白い滑走路   1974年(昭和49年)      ドラマ傑作選

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国際線機長の杉山(田宮二郎)は、若手から嫌われるワンマン機長である。

一方、安全を最優先する厳格な姿勢は、航空会社からは厚い信頼を受けている。


あるとき、香港から東京へ向かう帰路、機内で若い女性客が睡眠薬で自殺を図る。

乗り合わせていた医師の診断では、一刻も早く胃の洗浄が必要とのこと。

杉山機長は急遽、沖縄の那覇空港への着陸を要請する。


しかし、同機には、東京の病院で必要な緊急用の血清が積まれていた。

血清の輸送を担当する厚生省技官は激しい非難の声をあげる。

「機長は、東京で死に掛かってる血清を必要な人を見捨てるつもりか!」

着陸か、それとも運航継続か、杉山は究極の選択を迫られる。




国際線旅客機の乗務員という女性にとって憧れの職業に大人の恋をからませたドラマ。


妻に蒸発されたパイロットにスチュワーデスと同僚の未亡人、という組み合わせで
当時人気絶頂の田宮二郎、松坂慶子、山本陽子が出演している。


相手役の松坂と山本は、田宮自身によるキャスティングで、失踪した妻の綾子役も
同様に有名女優が指名されていた。


ピアニストである綾子の回想シーンには、ピアノを弾く指先しか画面に映らない。

そのため、綾子を演じる女優はいったい誰なのか、波乱の物語の行方とともに
多くの視聴者を引きつけ、茶の間の話題をさらった。


なお、劇中で綾子が弾く哀しげなメロディの曲は、ショパンの「バラード第1番」、
激情的な曲は、同じくショパンの「即興曲第4番」(幻想即興曲)である。
   

 
(制作)TBS、松竹(脚本)小山内美江子、ジェームス三木

(配役)杉山重夫(田宮二郎)杉山綾子(浅丘ルリ子)折井薫(松坂慶子)折井文平(松村達雄
上条里子(山本陽子)尾形雄吉(高松英郎)尾形八重(風見章子)



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                     ショパン 即興曲第4番 嬰ハ短調 (Fantaisie Impromptu, C♯ minor, Op.66)