洲崎 (すさき) パラダイス赤信号   1956年(昭和31年)    邦画名作選
直線上に配置              

両親に結婚を反対され上京してきた蔦枝(新珠三千代)と義治(三橋達也)。

ひょんなことから州崎遊郭の入口にある一杯飲み屋の女将(轟夕起子)の世話に。

蔦枝はそのまま飲み屋を手伝い、義治も近くのソバ屋に働き口を見つけるが…。



舞台はかつて江東区に実在した遊郭「洲崎パラダイス」。

手前には川が流れ、堅気の世界とは橋一本で繋がっている。

物語はその橋のたもとにある場末飲み屋から始まる。


飲み屋の女将(轟夕起子)は、娼婦と駆け落ちした夫が、いつか帰ってくると思い、店を守っている。

そこへ男女の二人連れ(新珠と三橋)がやって来て働かせてくれと言う。

男は堅気の勤め人だったが、この女でしくじってクビになり、食うや食わずで流れ歩いて来たのだ。

女は甲斐性の無い男を捨てて、しばらく姿をくらますが、やがて男のところへ戻って来る。


男の扱いに器用なようでいて、結局放ってはおけない女。

家族を置いて出たっきりの夫を待ち続ける飲み屋の女将。

馬鹿にしているはずなのに男を励まそうとするソバ屋の娘。

どうしようもない男と女の腐れ縁を描き出した川島雄三の異色作である。



 

 製作  日活

  監督  川島雄三      原作  芝木好子

  配役 蔦枝 新珠三千代 玉子 芦川いづみ
  義治 三橋達也 落合 河津清三郎
  お徳 轟夕起子 三吉 小沢昭一

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「洲崎パラダイス赤信号」は、戦後、深川の洲崎弁天町にあって、

洲崎パラダイスと呼ばれた赤線街を舞台にしている。


当時の妓楼は、八十三軒。引手茶屋が四十五軒で、盛装した

総計九百七十人の遊女が、あでやかに客を誘ったという。


明治・大正・昭和と、吉原に次ぐ規模と格式を誇ったこの花街も

昭和三十三年の売春防止法成立とともになくなったが、現在でも

ところどころに、模造タイルを張ったかつての妓楼が残っている。