右門捕物帖 幽霊水芸師 1941年(昭和16年) 邦画名作選
江戸の大店の娘・お美代が、右門と伝六のもとに奇妙な幽霊話を持ちかける。
聞けば毎夜、気味の悪いことに、父親の寝起きする部屋の障子が水浸しになるというのだ。
夜中に誰も出入りした者はなく、部屋を代えても、朝になると水浸しになっているという。
さて、この毎夜、障子にかかる「幽霊水」。果たして何者の仕業であろうか。
右門と伝六の推理が始まった…。
「右門捕物帖」は、佐々木味津三の時代小説を、嵐寛寿郎の主演で映画化したもの。
主人公は南町奉行所同心の近藤右門。無口であることから「むっつり右門」の異名をもつ。
岡っ引の伝六を伴い、持ち前の推理で数々の難事件を解決してゆく痛快捕物時代劇である。
ラスト近く「幽霊水」の正体を暴いたむっつり右門が、悪党どもの前にヌッと立ちはだかる。
「やいやい幽霊、真っ昼間から出るには少し早すぎたようだぜ」と名セリフ。
悪党どもの振りかざす短剣を、さっとかわして、ここからが颯爽たる右門の大チャンバラとなる。
大店の娘・お美代を演じた深水藤子は、戦前の日活京都のスター女優である。昭和7年、日活に入社。
可憐な娘役として、大河内・阪妻・千恵蔵・嵐寛の四大スターと数多く共演し、絶大な人気を博した。
昭和10年、大河内伝次郎主演の大作「大菩薩峠 甲源一刀流の巻」では、机竜之介に試し斬りされる
老巡礼の孫娘・お松を好演している。
なお本作は、原版57分であったが、現在ではフィルムが散逸し、10分程度の断片が残るのみである。
製作 日活
監督 菅沼完二 原作 佐々木味津三
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配役 |
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むっつり右門 |
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嵐寛寿郎 |
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八幡屋荘兵衛 |
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大邦一公 |
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ちょん切れ松 |
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嵐寿之助 |
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おしゃべり伝六 |
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沢村国太郎 |
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娘・お美代 |
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深水藤子 |
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弥之吉 |
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団徳麿 |
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あばたの敬四郎 |
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志村喬 |
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水芸師お瀧 |
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大倉千代子 |
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浜右衛門 |
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小川隆 |