続々十代の性典 1953年(昭和28年) 邦画名作選 |
高校三年の麻布節子(南田洋子)は、登校の途中よく出会う大学生・新井慎吾(根上淳)から
両親を通じて婚約を申し込まれる。
が、彼女はこれを人間性無視の「男尊女卑」的な考えとして、頭から受けつけない。
夏休みに節子は、親友の田所圭子(若尾文子)らと、湖畔のキャンプに出かけた。
たまたまそこには、真吾とその親友・佐山守夫(船越英二)も来合せていた。
その夜、節子は湖で遊泳中に足がつってしまい、危く溺死しかかったが、慎吾に救われる。
真吾が立ち去った後、意識を取り戻した節子は、目の前にいた佐山を命の恩人だと錯覚する。
その後、写真の撮影にことよせて林の中に誘い出された節子は、佐山に犯されてしまう…。
大映「十代の性典シリーズ」第3弾。本シリーズは思春期の性のめざめを扱った内容。
女子高生を主人公にした学園ものだが、思わせぶりな題名もあってヒットし、
シリーズ化されたもの。
若い女優が多く出演しているが、とりわけ注目されたのが、ヒロインを演じた
大映の新人、南田洋子と若尾文子である。
二人は大映の同期入社(1951年)で、大型新人として売出し中だった。
この当時、イタリア映画「明日では遅すぎる」(ピア・アンジェリ主演)が大ヒットし、
少年少女の性教育映画の制作に各社がこぞって乗り出した時期であった。
しかし、その多くは文部省の推進する純潔教育を尻目に、青春の揺れる性を露出させ、
性衝動を奔放に発散する青年男女を描くといった内容だったため、反響も大きく、
とりわけ、教育界は「性典映画」排撃の急先鋒となった。
本作は、南田洋子演じる女子高生・節子をめぐって、二人の大学生が三角関係となり、
湖畔のキャンプでレイプ事件に発展するというセンセーショナルな内容であった。
また若尾文子は、親友・節子の窮地を何度か救い、旧態依然の節子の父親(見明凡太朗)にも
敢然と意見する明朗闊達な女子高生・圭子を演じている。
南田と若尾は、本シリーズで一躍人気女優になったものの、「性典スター」のレッテルを張られ、
それ以降、そのイメージを払拭するのに長らく苦労したという。
製作 大映
監督 小石栄一
配役 | 麻布節子 | 南田洋子 | 新井慎吾 | 根上淳 | |||||||||
田所圭子 | 若尾文子 | 佐山守夫 | 船越英二 | ||||||||||
田所克子 | 沢村晶子 | 麻布善蔵 | 見明凡太朗 | ||||||||||
西脇昌枝 | 小田切みき | 麻布文代 | 滝花久子 | ||||||||||
梶川徹 | 入江洋佑 | 尾崎先生 | 小林桂樹 |