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西暦2000年…南極大陸に大質量の隕石が落下。
南極の氷は一瞬にして融解、それに伴う津波と海面上昇で、世界人口は半分に激減した。
それから15年、ようやく復興の兆しが見え始めた頃、人類に新たなる危機が訪れた。
次々に襲来する、正体不明の特異生命体、「使徒」 である。
国連の特命組織である 「特務機関 NERV (ネルフ)」 は、襲来する使徒を殲滅するため、
汎用人型決戦兵器人造人間 「エヴァンゲリオン」 を極秘に開発していた。
主人公・碇シンジが長い間、別居していた父に呼び出されてやって来た街、第三新東京市。
そこで彼が見たものは、人類の存在を脅かす驚異 「使徒」 と国連軍との激しい戦闘であった。
危いところを迎えにきた 葛城ミサト一尉に救われたシンジは、彼女の案内で彼の父、
碇ゲンドウが司令官を務める特務機関 NERV の本部へと向かう。
(1) (2) (3) (4)
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【第九課 第二節】
NEON GENESIS EVANGELION
第一话 使徒、来袭 ②
(美里一边拿着电话, 一边开车)
美 里: 不用担心, 我在最优先保护他的安全, 那么帮我准备一下运输车吧。
直达的那一样。 对。毕竟是我自己说要去接他, 我会好好负起责任的啦。
先这样了。
(喃喃自语) 不过也真是倒楣, 车子才刚修好而已, 现在就已经烂得一蹋糊涂,
贷款还有33期 ・・・外加修理费啊 ・・・。而且我最好的衣服也完蛋了。
枉费我特地穿这件衣服来 ・・・.。
真 嗣: 那个 ・・・ 美里小姐。
美 里: 什么事?
真 嗣: 这么做真的没有问题吗?
(在后边的座位上摆着许多电瓶。美里顺手牵羊, 从路旁人家的汽车中把电瓶偷过来)
美 里: 没关系、没关系。现在是非常时期。为了发动车子这也是没办法嘛。
还有 ・・・ 不要看我这样,好歹我也是国际公务员哦。万事OK啦。
真 嗣: 很缺乏说服力的借口呢。
美 里: 真没意思。长得可爱, 却那么死板。
真 嗣: 是这样吗?
美 里: 怎么, 生气啦? 抱歉抱歉, 毕竟是个男孩子呢。
真 嗣: 美里小姐才是, 年纪不轻了还跟小孩子一样。
美 里: 他妈的!
(美里猛然大踏油门, 车子开始左右摇晃着驾进了隧道)
真 嗣: 救命!
(穿过隧道, 汽车停在一个车辆专用站台。
站台门口上有一个无花果叶片与文字 「特务机关 NERV」 构成的特殊标志。
汽车挪动到传送带上的运输车里)
(广播: 闸门即将关闭!请小心! 现在开车了。
本电车为 C-22 特别列车。直达 G-33 途中不停车)
真 嗣: 特务机关 NERV?
美 里: 对, 联合国直属的非公开组织。
真 嗣: 我爸爸就在这里吗?
美 里: 对啊, 你知道父亲在做什么工作吗?
真 嗣: 负责保护人类的重要工作 ・・・。从老师那边听来的。
・・・ 现在要去爸爸那里吗?
美 里: 是啊, 是会那样。
真 嗣: 爸爸 ・・・。
(真嗣的脑海里出现了一个哭泣的小孩的形象)
美 里: 对了, 你从父亲那里拿到 ID卡了吧。
真 嗣: 是。请看。
(真嗣拉开背包的拉链,取出一张附着 ID卡的书件, 书件上有点破损,背面被胶带纸粘过)
纸上方写着 「碇真嗣」 而纸下方写着 「速来! 碇源堂」 )
美 里: 谢谢。那这个你拿去看一下吧。
(美里将一本有关 NERV 机密的书递给真嗣。封面印着 「极密」,
而封底印着 「欢迎来到 NERV」 )
真 嗣: NERV ? 爸爸的工作 ・・・。是要我做什么吗?
美 里: ・・・・・・。
真 嗣: 也是 ・・・ 没事的话, 爸爸怎么会写信给我。
美 里: 原来如此, 不擅长跟父亲打交道吧。跟我一样呢。
真 嗣: 好棒! 真的是地下都市啊。
(运输车终于快到达了目的地,忽然四周的风景豁然开朗。
一座座建筑物鳞次栉比的倒垂在天上,
整个地下城市的光线有些昏黄,不过仍旧不得不慨叹这地下城市的宏伟)
美 里: 对, 这就是我们的秘密基地。NERV总部。重建世界的关键, 人类的堡垒哦。
(不久, 真嗣和美里在通道里转来转去,美里一手拿着地图,一边叹气道:)
美 里: 好奇怪啊。应该是这条路的啊。就是因为这样这里才不适合穿裙子啊。
不过律子到底在哪里啊。不好意思哦, 我还不习惯这里。
真 嗣: 这里刚才已经走过了。
美 里: 不过不要紧啦, 系统就是为了让人利用才有的嘛。
(广播: 技术部一课, E计划负责人赤木律子博士。请速与作战部一课的葛城美里一尉联络)
(律子从水中爬到了泳池畔, 将潜水器材放置在一边。她缓缓站起身,反手拉下潜水服的拉链。
这位冷艳女郎是 NERV 的首席科学家——赤木律子,她一手摘了潜水护目镜道:)
律 子: 真伤脑筋, 又迷路了啊。
(电梯门忽然打开了,赤木律子出现在两人面前)
美 里: 哎呀, 律子・・・。
(美里不由自主的向后退了一步,只披着一件白色研究服的,
里面穿着比基尼的律子淡淡地对美里道:)
律 子: 在做什么呢, 葛城一尉。现在不但人手不足, 时间也很紧张。
美 里: 抱歉。
(律子无奈叹了口气,侧过身看着真嗣, 道:)
律 子: 他就是那个男孩吧。
美 里: 对, 根据马尔杜克报告书选出的第三适格者 (Third Children)
律 子: 请多指教了。
真 嗣: 是。
美 里: 这孩子跟他父亲一模一样呢。比如不可爱这一点。
(碇源堂一手扶着升降机的栏杆道:)
源 堂: 那么接下来就拜托了。
(源堂的升降机往下去。站在大屏幕下的冬月感慨道:)
冬 月: 隔了三年的重逢啊 ・・・。
通讯员C: 副司令! 目标再度开始移动了。
冬 月: 好, 全体人员进入第一战斗位置。
(广播: 再重复一次: 全体人员进入第一战斗位置。准备对地迎击战)
美 里: 听听。
律 子: 大难临头了呢。
美 里: 对了, 初号机怎样了。
律 子: 保持B型装备, 现在冷却中。
美 里: 那东西真的能动吗? 不是一次都没有动过吗?
律 子: 启动机率是 0.000000001% 叫它 09 系统真是讽刺。
(律子以玩笑的口吻道:)
美 里: 那不就是根本动不了吗?
律 子: 太失礼了吧, 又还不到 「0」
美 里: 以数字上来说是这样啦。总之, 不管怎么说, 一句 「启动不了」 可不行呢。
(一番闲言碎语后,三人上了气垫船,驶向总部最上层。
不多会儿上了岸,爬了两层楼梯来到了一个黑黑的空间里。
忽然灯亮了,一个巨大的脸出现在真嗣面前)
真 嗣: 那 ・・・ 那个 ・・・ 变得一片漆黑了。脸! ・・・ 巨大的机器人。
(真嗣急忙看着身边的手册)
律 子: 不用找了, 根本没收录进去。
这是由人类所制造的终极泛用人型决战兵器 ・・・ 人造人 「EVANGELION」。
这个初号机, 是在极其机密的情况下制造的, 我们人类最后的王牌。
真 嗣: 这也是爸爸的工作吗?
(碇源堂突然在大堂上层出现)
源 堂: 没错。好久不见了。
真 嗣: 爸爸 ・・・。
(碇源堂抿嘴一笑, 缓缓下命令道:)
源 堂: 出击!
(美里不禁口气强硬地反问道:)
美 里: 出击?! 零号机不是还在冻结中吗? 难道 ・・・ 想用初号机吗?
律 子: 没有其他选择了。
美 里: 等等 ・・・ 「丽」 还不能行动吧。没有驾驶员啊。
律 子: 刚才已经到了。
美 里: (秀眉一皱) 认真的吗?
律 子: 碇真嗣。
真 嗣: 是。
律 子: 是你要坐上去哦。
真 嗣: 啊?
美 里: 但 「绫波丽」 和 EVA 同步都花了7个月。刚来的他根本办不到。
律 子: 只要坐上去就可以了。并不期待更多。
美 里: 可是 ・・・。
律 子: 击退使徒是我们现在的首要任务。
为此, 我们除了让稍微有机会能与 EVA 同步的人坐上去外, 别无他法。
这点你也应该明白的, 葛城一尉。
美 里: (缓缓道:) 是啊 ・・・。
(一直低着头,保持沉默的真嗣突然开口说道)
真 嗣: 爸爸, 为什么叫我来。
源 堂: 就和你想的一样。
真 嗣: 那你是要我乘上这个, 跟刚才那个东西战斗吗?
源 堂: 没错。
真 嗣: 那种事我才不要! 为什么现在才要我来。爸爸不是不需要我了吗?
源 堂: 就是因为需要才叫你来。
真 嗣: 为什么要我。
源 堂: 因为其他人办不到。
真 嗣: 办不到的 ・・・ 那样的事, 看也没看过, 听也没听过, 怎么可能办得到!
(真嗣用稍微颤抖的声音说道)
源 堂: 去听说明。
真 嗣: 什么啊 ・・・ 办不到的, 我怎么可能会驾驶这种东西!
源 堂: 要坐就快上去, 不然就给我滚。
(面对这种冷酷无情的说法,真嗣又低下了头。
而所有人的目光都投向了真嗣 ・・・ 美里、律子、工作人员)
(突然一阵震动传来)
源 堂: 被那家伙发现这里了吗。
(广播: 第一层第8号装甲板损坏 ・・・ D区各所发生火灾,
指定区域内的所有道路紧急封闭)
律 子: 真嗣, 已经没有时间了!
(律子急促地说道。
真嗣把目光投向了美里,希望美里能够帮助他。
但美里坚定地说道)
美 里: 坐上去吧。
真 嗣: 不要 ・・・ 特地来的 ・・・ 不应该是这样的。
美 里: 真嗣, 你是为了什么而来到这里的。
不能逃避 ・・・ 从你父亲面前, 更重要的是不可以逃避你自己。
(面对美里的质问,真嗣只能闭上眼睛转过身去)
真 嗣: 我知道 ・・・ 但是 ・・・ 我根本不行的啊!
(屏幕变成双向的声音通话)
源 堂: 冬月。让丽起来。
冬 月: 她能行吗?
源 堂: 又不是死了。
冬 月: ・・・ 知道了。
源 堂: 丽。
丽 : 是。
(一个柔弱的声音传来)
源 堂: 预备人员不能用了, 再来一次。
丽 : 是。
律 子: 将初号机的系统改为丽的配置。重新启动。
通讯员A: 明白, 中断原作业, 进行重启。
真 嗣: (果然我是不被需要的人)
咔嚓 ・・・ 咔啦咔啦咔啦 ・・・。
(很快传来了急促的脚步声,从美里离开的通道尽头的门打开了。
而一位医生和两名护士将重伤的一名女孩从病房里推了出来。
被称为丽的女孩头上缠着几层绷带,右眼贴着纱布。她穿着白色无袖紧身服 (战斗服?),
胸部,左、右手都缠着大量的绷带, 而左手还挂着营养液与生理盐水的混合物)
丽 : 呼哧 ・・・ 呼哧 ・・・。
(丽自己挣扎着慢慢爬起身来,仅仅一个起身就带来了一阵阵的疼痛,汗珠在脸上肆意游走)
轰隆隆隆!!!
(忽然, 又一次的攻击让使徒突破了 22层装甲板,
几个悬垂式高层建筑的碎片在攻击下掉落, 砸在了NERV总部中央设施。
冲击影响到了这里,刚刚爬起的丽由于激烈的摇晃,床向一边翻倒。
这时, 上方的钢铁结构支架由于摇晃断裂了,一块钢铁片向着真嗣的头掉了下来。美里大喊道:)
美 里: 危险!
(就在砸落的那一瞬间,EVA 的右手挣脱了拘束器,挡下了这一切。
而一块钢铁片撞在碇元堂面前的玻璃上破碎四散。元堂一脸镇定,右嘴角依然上翘)
机械师A: EVA 动了。这是怎么回事!? 右手的拘束器被扯开了。
机械师B: 不会吧! 不可能的。连插入栓 (Entry Plug) 都还没插入。
律 子: 不可能会动的啊。启动系统没有异常, 内部神经连接, 无法确认。
美 里: (扶着一边的栏杆站起身) 连接口设备都没有居然会有反应。
不如说 ・・・ 是保护了他。能行!
(真嗣不禁跑向倒在地上的丽,扶着受伤的她)
丽 : 呼 ・・・呼 ・・・。
(她脸上就充满痛苦的表情, 咬紧牙根,以全身的力量调整呼吸,
一滴滴鲜血从绷带里渗出)
真 嗣: 不能逃避, 不能逃避 ・・・。
(就算人在怎么无情也不能将她抛弃不管! 真嗣终于叫道:)
真 嗣: 我坐!! 我来驾驶!!
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【注 釈】
【顺手牵羊】 shùn shǒu qiān yáng
〈成〉ついでにヒツジを引いていく。〈喩〉事のついでに他人の物を持ち去る。
【鳞次栉比】 lín cì zhì bǐ
〈成〉(家がうろこやくしの歯のように) ずらりと並んでいるさま。
【E 计划】 E jì huà
E 計画 (イーけいかく)
予測されていた使徒の襲来に対抗すべく、人造人間エヴァンゲリオンを建造する開発計画の通称。
2015年までに3体のエヴァが実用化に成功していた。
ネルフ本部における責任者は赤木リツコ。
また海外支部 (アメリカ第1支部や第2支部、ドイツ第3支部) にもそれぞれ E 計画責任者がいるものと推測される。
E计划。建造一系列EVA的计划,亦促成了NERV的成立。
【马尔杜克】 mǎěr dù kè
マルドゥック機関 (マルドゥックきかん)
エヴァンゲリオンのパイロット適格者を選出するために設けられた国連直属の諮問機関。
パイロット適格者を選出すると、その個人情報は報告書として特務機関ネルフに提出される。
名称の由来は、バビロニア神話の主神 (天地創造神) であるマルドゥック (Marduk) から。
马尔杜克机关。负责挑选EVA驾驶员候选者(Children),直属人类补完计划委员会。
【B 型装备】 B xíng zhuāng bèi
B 型装備 (ビーがたそうび)(B-type Equipment)
エヴァの装備状態の一つ。
エヴァ各機に標準装備されているプログレッシブ・ナイフ (Progressive Blade) のみで、
特にオプションを装備していないときは B 型装備 (ベーシックの意) と呼ばれる。
基本的に陸上戦用の装備であり、特別な理由がない限り、この装備で戦闘を行うが、
水中ではうまく動かないなどの難点がある事も指摘されている。
EVA的通常装备,包括肩部武器匣等,是出场最频繁的装备。
【闲言碎语】 xián yán suì yǔ 〈成〉むだ話。 くだらない話。
【同步】 tóng bù
シンクロ (synchro) エヴァの操縦システム。
エヴァの操縦はシンクロと呼ばれる A10 神経 を介した一種の脳波コントロール (思考制御) によって行われる。
シンクロ率が高いほどエヴァは高い能力を発揮するが、そのぶん過フィードバックによるパイロットへのダメージが
高くなるとされる。
这个数据反映驾驶员与EVA之间的协调性。普通状态下在0%至100%之间浮动,数据越高,协调性越好,
同时,战斗、防御能力相应上升,可以将EVA的潜在能力更多地发挥出来。
相反的,同步值呈逆流状况时,EVA的性能也随之下降,降至0点时,行动中止。
但就初号机的多次暴走而言,以上规律也并非绝对。
【除了让稍微有机会能与 EVA 同步的人坐上去外, 别无他法】
能与 EVA 同步 (エヴァとシンクロできる) + 稍微有机会 (わずかな見込みのある)
+ 的人 (人間を) + 让 (して) + 坐上去 (搭乗させる) + 除了外 (以外に)
+ 别无他法 (他の方法は無い)
動詞 「有」 を中心語とした述連構造文であり、以下の文型に変換できる。
把 + 稍微有能与 EVA 同步的机会的人 + 坐上去之外 + 没有别的办法。
【那种事我才不要! 为什么现在才要我来】
そんな事、ぜったい断る。なぜ今になって自分を呼んだのか。
「才①」は、強調を表す副詞。
<用例> 他才不要呢! (彼が欲しがるもんか)
「才②」は、時間副詞。
<用例> 六点才走了。 (六時になって、やっと出かけた)
cf.六点就走了。 (まだ六時なのに、もう出かけた)
【就是因为需要才叫你来】
必要だからこそ呼んだのだ。
「才③」は、帰結を表す副詞。
<用例> 就是因为不明白才问你的。(分からないからこそ尋ねているのだ)
【插入栓】 chā rù shuān
エントリープラグ (Entry Plug)
エヴァンゲリオンの操縦者が乗りこむ白色の細長いカプセル状コックピット (操縦席)。
EVA の頚椎に相当する部分から挿入され、パイロットとのシンクロ、及び起動が行われる。
操縦の際、パイロットは脳と機体を神経接続するインターフェース・ヘッドセットを頭部に装着する。
更に補助として 「プラグスーツ」 を着用する。
これにはシンクロ補助や生命維持・救命などのシステムが内蔵されている。
插入栓。形如胶囊,里面充满着可吸入的液体LCL。座舱驾驶员在他们的插入栓内部控制他们的EVA。
【不如说】 (= rather than )
むしろこう言える。どちらかと言えば。
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【口語訳】
第一話 使徒、襲来 ②
(車を走らせながら、ミサトは携帯で電話をしていた)
ミサト : ええ。心配ご無用。彼は最優先で保護してるわよ。だから、カートレインを用意しといて、本部まで直通のやつ。
そう。迎えに行くのは私の言い出したことですもの、ちゃ~んと責任持つわよ。じゃっ!
(ぶつぶつ独り言をいう) しっかしもうサイテー!せっかくレストアしたばっかだったのに早くもベッコベコ。
ローンがあと33回+修理費かぁ、おまけに一張羅の服まで台無し。せっかく気合入れてきたのに
・・・ トホホ。
シンジ: あの、ミサトさん ・・・、あの、ミサトさん!
ミサト : なに?
シンジ: いいんですか、こんなことして。
(後部座席には、道端に乗り捨ててあった他人の車からくすねて来たバッテリーが大量に積んであった)
ミサト : ああ~、いいのいいの。今は非常時だし、車動かなきゃしょうがないでしょ。
それ にあたし、こう見えても国際公務員だしね。万事オッケーよ。
シンジ: 説得力に欠ける言い訳ですね。
ミサト : つまんないの。かわいい顔して、意外と落ち着いてるのね。
シンジ: そうですか ・・・
ミサト : あれ、怒った? ごーめん、ごめん。おっとこのこだもんね~。
シンジ: ミサトさんこそ、年のわりに子供っぽい人ですね。
ミサト : くぅ~っ! (このガキ!)
(ミサトは、思いきりアクセルを踏みつけた。車は左右に激しく揺れながらトンネルに入る)
シンジ: うわぁ~!
(トンネルを抜けると、車は車両専用プラットホームの前に止まった。
プラットホーム入り口の標識には、イチジクの葉のマークと、「特務機関 NERV」 という文字が表記されていた。
車は、ベルトコンベア上のカートレインに移動した)
(アナウンス : ゲートが閉まります。ご注意ください。発車いたします。・・・)
シンジ: 特務機関ネルフ?
ミサト : そう。国連直属の非公開組織。
シンジ: 父のいるところですね。
ミサト : まね~。お父さんの仕事、知ってる?
シンジ: 人類を守る、大事な仕事だと先生からは聞いてます。
・・・ これから、父のところへ行くんですか?
ミサト : そうね、そうなるわね。
シンジ: (・・・ 父さん)
(シンジの胸中に、ひとりのむせび泣く子供のイメージが現れた)
ミサト : あっそだ!お父さんから、IDもらってない?
シンジ: あっ、はい。どうぞ。
(シンジは、ナップザックのファスナーを開け、IDカードが添えてある一枚の書類を取り出す。
書類はかなり破損していて、裏面のあちこちが、セロハンテープで補強されていた。
紙の上方に 「碇シンジ」、紙の下方に 「来い! 碇ゲンドウ」 と書かれていた)
ミサト : ありがと。じゃぁ、これ、読んどいてね。
(ミサトは、一冊の 「NERV 機密マニュアル」 をシンジを渡す。
表紙には 「極秘」、裏表紙には 「NERV 江ようこそ」 という字面が印刷されていた)
シンジ: ネルフ? (父さんの仕事 ・・・) なんかするんですか? 僕が。
ミサト : ・・・・・・。
シンジ: ・・・ そうですね。用も無いのに、父が僕に手紙をくれる筈、無いですよね。
ミサト : そっか、苦手なのね、お父さんが。あたしと同じね。
シンジ: んっ? あっ、すごい!ホントにジオフロントだ!
(カートレインは、ほどなく目的地に到着しようとしていた。突然、周りの景色がぱっと開けてくる。
見ると、建築物のひとつひとつが、上下を逆さまにして、一面に並んでいた。
地下都市全体が、たそがれ時の光線に満たされ、その雄壮な眺めには感嘆せざるを得なかった)
ミサト : そ。これがあたしたちの秘密基地、ネルフ本部。世界再建の要、人類の砦となると ころよ。
(間もなく、シンジとミサトは通路の中で、何度も同じところを行ったり来たりしていた。
ミサトは片手に地図を持ち、一方でため息をついていう)
ミサト : おっかしいな~。確かこの道のハズよねぇ~。
うわっ、これだからスカート穿きづらいのよね、ここ。
しっかしリツコはどこ行っちゃったのかしら~。ごめんね~、まだ慣れて無くて。
シンジ: さっき通りましたよ、ここ。
ミサト : ・・・でも、大丈夫。システムは利用するために、あるものね。
(館内放送: 技術局一課、E 計画担当の、赤木リツコ博士、赤木リツコ博士、
至急、作戦部第一課葛城一尉までご連絡ください)
( リツコは水の中からプールサイドに上がり、傍らに潜水器材を置いた。
彼女はゆっくりと立ち上がって、バック・ハンドで潜水服のファスナーを引き降ろす。
この冷やかで美しい女性は NERV の首席科学者 ―― 赤木リツコである。
彼女は片手でシュノーケルをはずしていう)
リツコ: あきれた。また迷ったのね。
(エレベーターの扉が突然開き、赤木リツコ が二人の前に現れる)
ミサト : うひいっ!あ、あらリツコ。
(リツコを前にして、ミサトは思わず後ろへ一歩退いた。
ビキニの水着を身に付け、上に研究用の白衣だけをまとったリツコは、冷然とした口調でミサトにいう)
リツコ : 何やってたの、葛城一尉。人手も無ければ、時間も無いのよ。
ミサト : ごめっ!
(リツコはあきれ返った顔でため息をつき、傍らのシンジを見ていう)
リツコ : ふぅ~。 ・・・ 例の男の子ね。
ミサト : そう。マルドゥックの報告書による、サードチルドレン。
リツコ : よろしくね。
シンジ: あっ、はい。
ミサト : これまた父親そっくりなのよ、可愛げのないところとかね。
(ゲンドウは、昇降機の手すりに片手を置きながらいう)
ゲンドウ: では後を頼む。
(ゲンドウの昇降機は下へ向かった。大スクリーンの下に立つ冬月は感慨深げにいう)
冬 月: 三年ぶりの対面、か。
通信員C: 副指令、目標が再び移動を始めました!
冬 月: よし、総員第一種戦闘配置。
(館内放送: 繰り返します、総員第一種戦闘配置、対地迎撃戦用意・・・)
ミサト : ですって。
リツコ : これは一大事ね。
ミサト : で、初号機はどうなの?
リツコ : B型装備のまま、現在冷却中。
ミサト : それってホントに動くの~?まだ一度も動いたこと無いんでしょ?
リツコ : 起動確率 0.000000001%。 オーナインシステムとはよく言ったものだわ。
(リツコは冗談めいた口ぶりで言った)
ミサト : それって、動かないってこと?
リツコ : あら失礼ね。ゼロではなくってよ。
ミサト : 数字の上ではね。ま、どのみち、動きませんでした、ではもう済まされないわ。
(ひとしきりの雑談の後、三人はホバークラフトに乗り、本部最上階に向かった。
ほどなく到着し、さらに二層の階段を登ると、薄暗い空間が現れた。
突然明りがつき、視界いっぱいに巨大な顔がシンジの目に飛び込んだ)
シンジ: あっ、あのっ!真っ暗ですよ? うわっ! 顔?!巨大ロボット?!
(シンジは急いで手元のマニュアルに目を向ける)
リツコ : 探しても載ってないわよ。
人の作り出した究極の汎用人型決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン。その初号機よ。
建造は極秘裏に行われた。我々人類、最後の切り札よ。
シンジ: ・・・ これも父の仕事ですか?
(碇ゲンドウがホール上層に現れた)
ゲンドウ: そうだ。
シンジ: あっ?!
ゲンドウ: 久しぶりだな。
シンジ: 父さん ・・・。
(碇ゲンドウは、ニヤリと唇を歪め、ゆっくりと命令をくだした)
ゲンドウ: ふっ。出撃。
(ミサトは思わず強い口調で問い返す)
ミサト : 出撃!?零号機は凍結中でしょ?!まさか、初号機を使うつもりなの?
リツコ : 他に道は無いわ。
ミサト : ちょっと、レイはまだ動かせないでしょ!?パイロットがいないわよ!
リツコ : さっき届いたわ。
ミサト : (まゆをひそめる) マジなの?
リツコ : シンジ君?
シンジ: はい。
リツコ : あなたが乗るのよ。
シンジ: えっ?
ミサト : でも、レイでさえ、EVAとシンクロするのに7ヶ月もかかったんでしょ?
今来たばかりのこの子にはとても無理よ!
リツコ : 座っていればいいわ。それ以上は望みません。
ミサト : しかしっ!
リツコ : 今は使徒撃退が最優先事項です。そのためには誰であれ僅かでもEVAと
シンクロ 可能と思われる人間を乗せるしか、方法は無いわ。
分かっているはずよ、葛城一尉。
ミサト: (おもむろにつぶやく) ・・・ そうね。
(うつむいたまま沈黙を保っていたシンジは、不意に顔を上げ、口を開いた)
シンジ: ・・・ 父さん、なぜ呼んだの?
ゲンドウ: お前の考えている通りだ。
シンジ: じゃあ、僕にこれに乗って、さっきのと戦えって言うの?
ゲンドウ: そうだ。
シンジ: 嫌だよそんなの!何を今更なんだよ!父さんは、僕が要らないんじゃなかったの?
ゲンドウ: 必要だから呼んだまでだ。
シンジ: なぜ、僕なの?
ゲンドウ: 他の人間には、無理だからな。
シンジ: そんな、見たことも聞いたことも無いのに、出来るわけ無いよ!
(喉の奥から絞り出すようなシンジの声はかすかに震えていた)
ゲンドウ: 説明を受けろ。
シンジ: そんな ・・・!できっこないよ!こんなの乗れる訳無いよっ!
ゲンドウ: 乗るなら早くしろ。で、なければ帰れ!
(情け容赦の一切ないゲンドウの言葉に、シンジは再びうつむいた。
そこにいるすべての人間の眼差しがシンジに向けられていた ・・・ ミサト、リツコ、そして作業スタッフ)
(突然、ひとしきり震動が伝わって来た)
ゲンドウ: 奴め、ここに気付いたか。
(アナウンス: 第一層第8装甲板が破壊され、D区各所に火災発生。指定区域内すべての通路を緊急封鎖しました)
リツコ : シンジ君、時間が無いわ。
(リツコがせき立てるようにいう。
シンジの目が、何かを求めるようにミサトに向けられる。
しかし彼女はきっぱりとした口調で、言い放った)
ミサト : 乗りなさい。
シンジ: 嫌だよ ・・・ せっかく来たのに、こんなの無いよっ!
ミサト : シンジ君、何のためにここに来たの?
だめよ、逃げちゃ。お父さんから、何より自分から。
(ミサトの詰問に、シンジはただ目を閉じて顔をそむけるだけだった)
シンジ: ・・・ 分かってるよ、でも、出来るわけ無いよっ!
(スクリーンの音声は双方向通話に切り替えられた)
ゲンドウ: 冬月、レイを起こしてくれ。
冬 月: 使えるかね?
ゲンドウ: 死んでいるわけではない。
冬 月: ・・・ 分かった。
ゲンドウ: レイ ・・・
レ イ : ・・・ はい。
(スクリーンの向こうから、弱々しい声が伝わってきた)
ゲンドウ: 予備が使えなくなった。もう一度だ。
レ イ : はい ・・・
リツコ : 初号機のシステムをレイに書き直して、再起動!
通信員A: 了解、現作業を中断、再起動に入ります。
シンジ: (やっぱり僕は、要らない人間なんだっ・・・!)
ガシャン ・・・ ガラガラガラ ・・・。
( このとき、差し迫った足どりの音が伝わって来た。、
ミサトから少し離れた通路の扉が開き、一人の医者と二人の看護婦が一台のベッドを運んできた。
ベッドには体中傷を負った少女が横たわっていた。
レイと呼ばれたその少女の頭部には幾重にも包帯が巻かれ、右目はガーゼで覆われている。
彼女は、戦闘服と思われる、袖の無い、白いボディスーツを着ていたが、
胸部、左、右手もすべて大量の包帯を巻き付け、左手には栄養物の点滴液が注入されていた)
レ イ : くっ ・・・!はぁっ、はぁっ!
( レイは、むりやり体を起こそうとするが、傷が痛むのかひどく辛そうだった。玉の汗が顔から大量に噴き出していた)
ズゴォオオオオオン!!
( 突然、ネルフ本部を轟音が襲った。
使徒の再度に渡る攻撃によって、本部最上階の装甲板が突破された。高層建築の破片が次々と落下してくる。
ベットから起き上がろうとしていたレイは、衝撃の影響で、バランスを崩し床に倒れこんでしまう。
このとき、上方の鉄骨の支柱が揺れ、ひと固まりの鉄骨の切れ端が、シンジの頭上に落下してきた。
ミサトが大声で叫ぶ)
ミサト : 危ないっ!
( 落下した鉄骨がまさに激突するかと思われた、その一瞬、エヴァの右腕が拘束具を引きちぎり、
鉄骨のすべてをさえぎってハジキ飛ばした。
鉄骨の一部が、ゲンドウの前のガラスにぶつかり、粉砕して四方に散らばる。
ゲンドウは微動だにせず落ち着き払っていた。口もとは依然として含み笑いを浮かべている)
メカニックA: エヴァが動いた?どういうことだ?
メカニックB: 右腕の拘束具を引きちぎっています!
リツコ : まさか、あり得ないわ!エントリープラグも挿入していないのよ!?
動くはず無いわ!
ミサト : (片側の手すりで体を支え立ち上がる) インターフェイスも無しに反応している?
というより、守ったの? 彼を!
・・・ いけるっ!
(シンジは思わず、倒れこんでいるレイのもとへ駆け寄った。彼女の背中を支えて起き上がらせる)
レ イ : はぁっ ・・・ くっ!はぁっ、はぁっ ・・・
(彼女は苦痛に満ちた表情で、一呼吸するのも苦しそうだった。
包帯が巻かれた傷口から、血がとめどなく溢れ出している)
シンジ: 逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ ・・・。
(たとえどのように非情な者であろうと、彼女を捨てて顧みないことがあろうか。 シンジはついに叫んだ)
シンジ: やります!・・・ 僕が乗ります!!