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シンジがネルフ本部で見たもの、それはネルフが開発した巨大な汎用人型兵器
「エヴァンゲリオン」 だった。

自分を捨てたはずの父ゲンドウが、自分を呼びよせたのは、このエヴァ初号機に乗って
あの怪物と戦わせるためだった。それに気づいたシンジは搭乗を拒否する。

しかし、ゲンドウは 「乗らないならば帰れ」 と冷たく言い放ち、「予備が使えなくなった。
レイ、もう一度だ」 ともう一人のパイロットを呼びよせた。

ゲンドウの命令により、担架で運ばれてきたのは、包帯で包まれた痛々しい姿の少女だった。
彼女はエヴァの搭乗者として最初に選ばれたファースト・チルドレン、「綾波レイ」 であった。

このとき使徒の攻撃がネルフ本部まで及び、鉄骨がシンジの頭上に落下する。
その瞬間、エヴァの手が独りでに動き出し、鉄骨をさえぎり、シンジを守った。

ミサトとリツコが驚く中、担架から落ちるレイを助け起こそうとするシンジの手に、レイの血が滲む。

「逃げちゃ駄目だ!」 繰り返し自分に言い聞かせるシンジ。
意を決したシンジは、ついにエヴァンゲリオン初号機への搭乗を願い出る。

精鋭の国連軍を以てしても歯が立たなかった使徒に対し、エヴァンゲリオン初号機は有効なのか。
ネルフの総員が見守る中、人類存亡を賭けた戦いが今、始まろうとしていた。


   
(1) (2) (3) (4)

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【第九課 第三節】

NEON GENESIS EVANGELION
第一话 使徒、来袭 ③

(大量的血红色的冷却液体排出到 EVA 安装的第七机架中)

机械师A: 冷却完毕。
机械师B: 右腕重新固定完成。

机械师C: 机架内所有对接位无误。
通讯员A: 明白。停止信号插头已经排出。

(EVA 初号机机体背部的活动入口打开,头部垂下,
露出一个刚好能放进 Entry Plug 的圆柱形空间)

机械师A: 明白。插入 Entry Plug  (插入栓)

(一只巨大的机械臂抓住 Entry Plug,缓缓插入)

机械师D: 开放脊椎传导系统, 准备连接。
机械师C: 插头固定完毕。

(机械臂旋转着把 Entry Plug 放进指定位置,入口关闭。而头部也恢复正常状态)

机械师A: 开始第一次接触。

(黑暗的 Entry Plug 内开始变亮了)

通讯员A: Entry Plug 注水。

(淡黄色的液体 LCL 开始注入到 Entry Plug 内。果然有淡淡的血腥味)

真 嗣: 这是什么啊? 啊,啊,啊,呜 ···。
律 子: 没关系。只要肺之中充满 LCL, 就能直接呼吸氧气。很快就会习惯的。

真 嗣: 噗,咕啊 ··· 好难受。
美 里: 忍耐一下! 你是男孩子吧?

真 嗣: 唉 ···。

机械师A: 主电源接通。
机械师B: 动力传送至所有回路。没有问题。

(接通完电源的机械臂慢慢后移)

律 子: 明白!
通讯员A: 进行第二次接触。A10神经接续无异常。

机械师D: LCL 电量正常。

律 子: 思考形态以日语为基础原则,初期接触没有任何问题。
通讯员A: 双向回路开通。同步率 41.3%

(控制室的大屏幕上出现了两种波浪形的图案,
从屏幕左边开始移动的波浪形弧线图案代表了 EVA 的神经系统,
从屏幕右边开始移动的蓝色波浪形弧线代表了真嗣的神经系统,
两者的彼此同步协调才能更好的驾驶 EVA)

律 子: 好厉害!  (律子的语气有些激动)

通讯员A: 谐波均为正常值,没有失控现象。

律 子: 可以了。
美 里: 准备发射!

机械师A: 准备发射!
机械师B: 第一锁定栓释放!

机械师C: 确认解除。
机械师A: Umbilical Bridge  (脐带式管线桥)  开始移动!

机械师B: 第二锁定栓释放!
机械师C: 第一拘束器移除!

机械师B: 以及,第二拘束器移除。
机械师A: 解除从 1 号到 15 号的安全装置!

(屏幕上的 3D 画面显示着一个个安全装置的解除)

机械师D: 确认解除。现在初号机的状态是 「Free」

机械师B: 内部电源充电完毕!
机械师C: 外部电源插座一切正常!

通讯员A: 明白。EVA 初号机移至射出口。

(随着滑轮的移动到发射位置,EVA 初号机脚下的固定栓固定,发射通道打开,
真嗣坐在 Entry Plug 内等待战斗的到来。一切即将开始)

通讯员A: 路线畅通,All Green  (完全没有障碍)
律 子: 发射准备完成。

美 里: 明白。 (转过身来询问源堂) 不会有问题吧?
源 堂: 当然。 只有打倒使徒,我们才有未来。

(一旁站着的冬月也询问道:)

冬 月: 碇,这样真的可以吗?

(源堂没有回答,只有一个诡异的笑)

美 里: 发射!

轰!嗖嗖嗖···

真 嗣: 鸣 ···。

(美里一声令下,发射台把 EVA 初号机迅速射到地面。使徒就在不远处。
Entry Plug 内的真嗣清楚地看见那胸前的红色球体发亮)

美 里: (暗自道:)  真嗣,别死啊。


(黑暗中, EVA 初号机和使徒, 无言相持不下)

美 里: 还好吧, 真嗣?
真 嗣: 啊 ··· 是!

美 里: 最终安全装置解除! EVANGELION 初号机离架!

(随着 EVA 初号机的手臂向前摇晃,身子微微向前倾)

律 子: 真嗣,现在只要想着 「走动」 这件事就好。
真 嗣: 走 ···。

(EVA 初号机有点笨拙的迈出了第一步)

律 子: 走了!

(指挥部的众人都露出激动笑意)

真 嗣: 走 ···。

(真嗣发出第二次指令。EVA 再次抬步,但迈至一半,平衡没有保持,
在惊呼和巨响下,轰然向前扑倒)

扑通!!

真 嗣: 哼哼 ···。

(真嗣抬头向上看去,来袭的巨大使徒已经出现在自身机体前方相当近的地方,
面对迎面而来的危险气息,他浑身战栗!)

美 里: 真嗣! 振作一点!  快点,快点爬起来!

嘎吱嘎吱 ···。

(来不及了! 使徒的左手已经如铁钳一般,抓住了初号机的头部。
右手扯住初号机的左臂腕部。然后,拉!双臂用力,将初号机的身体扭出种种形状)

真 嗣: 鸣啊···。

(Entry Plug 中的真嗣,已经丧失思考的能力,只能悲惨的嚎叫着,妄图减轻撕裂般的痛苦)

美 里: 真嗣,冷静下来,那不是你的手。

律 子: EVA 的防御装置呢?
通讯员A: 没有信号。

通讯员C: A.T.FIELD 没有展开!
律 子: 不行吗?

噗···!

(使徒折断了 EVA 的手臂,EVA 左手无力的耷拉下来)

通讯员A: 左腕损伤。
通讯员C: 回路断线!

美 里: 真嗣,快躲开!

嗵!

(确认了初号机受损,使徒抬起了抓着初号机头部的手臂,将初号机完全提到了空中。
紧接着,使徒左臂肘部之后原本长刺状的物体霎地发出眩目的绮丽紫色光芒。
光芒化作光枪从腕中喷出,近距离轰上初号机的面门)

真 嗣: 啊啊啊 ···

咚! 咚! 咚! ···

(一下、两下、三下 ··· 初号机的头部被使徒掌中的光枪不断的重击)

通讯员A: 头盖前部发生龟裂!
律 子: 装甲已经撑不住了!

咚!! 嗖嗖嗖 ··· 轰隆隆!!

(第八下轰击过后,绚烂的紫色枪芒破脑而出,将初号机一直钉在后面的高楼之上。
初号机头部无力垂下,眼中光芒亦消退下去)

通讯员B: 头部破损,损坏程度不明!
通讯员A: 控制神经接二连三地断线了!

通讯员C: 驾驶员无反应!
美 里: 真嗣!!!

(大量的鲜血从 EVA 前后脑部创口喷溅而出)

通讯员A: 活动的维持发生问题。

美 里: 状况怎么样?

通讯员A: 同步曲线反转。电波开始反转逆流!
律 子: 将回路切断!

通讯员A: 不行! 拒绝信号,不接受命令!
美 里: 真嗣呢?

通讯员C: 监视器没有反应,生死不明!
通讯员B: 初号机完全沉默!

律 子: 美里!
美 里: 到此为止了···作战中止! 优先保护驾驶员,把驾驶舱强制射出!

通讯员A: 不行!完全不受控制!
美 里: 你说什么!

(EVA 的左眼发出亮光)

磅 ··· 隆隆隆 ···。

通讯员D: EVA 再次启动!
通讯员A: 怎么可能? 不可能会动的!

美 里: 不会吧 ··· ?
律 子: 暴走 ··· ! ?

轰隆隆隆 ···

(EVA 开始野兽般的怒吼。机体再次站起身来!
屈膝下蹲之后,初号机弹射出去,落在使徒上方,要骑在使徒身上。

EVA 就用双手朝使徒头部狠狠地戳了一拳。
而后一个倒空翻跳到了使徒的身后,暂且保持距离。

接着猛地转过身来,再次冲向使徒。
看到初号机的再次启动, 冬月就自说道:)

冬 月: 赢定了吧?

砰 ・・・・・・

(这时使徒展开 A.T.FIELD,挡下了 EVA 的玫势。初号机被隔绝在光壁之外),

律 子: A.T. FIELD?

美 里: 不行,只要有 A.T.FIELD 在···.。
律 子: ···就无法接触使徒!

咻咻咻 ···。

(EVA 首先伸出折断软垂的左腕。伴随又一声吼叫,腕部肌肉突然涨大膨起,
但很快出现的肌肉又全部倒卷回去,左腕竟然变回完好无损的状态)

通讯员B: 左腕复原!

美 里: 好厉害!

(EVA 迅速来到使徒面前,顺势右手想要插进了 A.T.FIELD 中)

通讯员A: 初号机也展开 A.T.FIELD。相位空间被渐渐中和了。

律 子: 不,是被侵蚀了。

(EVA 如同撕纸一般破开了 A.T.FIELD,随之是一声怒吼)

美 里: A.T.FIELD 竟会这么简单就展开完成。

(随着 A.T.FIELD 的破碎, 使徒掌中的光枪再次发出,却被 EVA 利索的闪过。
巨大的紫色光波在 EVA 身后形成了一个巨大的十字架。

再次发动进攻,EVA 左手紧紧抓住使徒的双手,
用力一扭,使徒的双手立刻折断,蓝色的血液在折断处溢出。

而后又是一脚将使徒远远地踢走,只见使徒倒着飞撞向身后的建筑物,一阵烟雾四散。
EVA 乘胜追击将使徒狠狠的撞到,压在身下, 将使徒的护胸的骨骼掰下,墨蓝色的液体再次流下。

并用力地捶打着使徒胸前的那颗巨大的红色圆球。红色圆球 「喀吧」 的一声龟裂开来。
最后关头使徒见自己生机无多,忽然紧紧抱住 EVA 的头,身体也变成了球状)

美 里: (惊呼道:)  它打算自爆吗?

轰轰 —— 巨大爆炸声 ——

(随着强光的闪过,一道巨大的绿色十字架的光线在第三新东京市的上空闪现。
在大屏幕上看见这一切的人们在惊讶)

美 里: EVA 呢?

(从浓雾与热浪中一个身影出现了,那是 EVA 初号机)

律 子: 那就是 EVA ···。
美 里: 它 ··· 的真面目。

通讯员B: 回路接通。

(真嗣仍在 Entry Plug 内)

通讯员A: 系统恢复了。量表恢复正常位置。
通讯员C: 确认驾驶员的生存。

律 子: 机体回收班,动作快!
美 里: 以保护驾驶员为最优先。

(真嗣也从痛苦中恢复过来,在他环顾左右间,初号机被使徒破坏的面部装甲脱落下来,坠到地上。
初号机旁边是一栋以反光玻璃为表面的大楼,真嗣可一看到初号机此时的全貌。

真正的头部显现出来,竟然是 ・・・ 肉体!一幅肉缝张开,里面出现了 ・・・ 绿色的眼睛!
「生 ・・・ 生命体!」 这是真嗣再昏迷之前唯一发出的叫声 ・・・ )

真 嗣: 啊啊啊啊啊啊 ・・・!




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【注 釈】

A10神経 shén jīng

A10神経 (エーテンしんけい)
脳内を走っている神経の一つであり、人造人間エヴァンゲリオンとパイロットをつなぐ最も重要な神経接続の名称。
その名前のとおり、脳幹の無随神経におけるA系・B系・C系のうちのA系神経に属する。
A10神経は、脳幹の神経核から中脳、視床下部、扁桃核を通過したのち、大脳新皮質に至る。
その側枝は海馬まで伸びており、大脳辺縁系を経て脳の前頭連合野に到達する。
エヴァのパイロットはこの神経を通してエヴァとシンクロすることで、エヴァを操縦することができるとされる。

A10神经。神经学中,它是在人脑中产生吗啡成分,同时产生快感的部位,也负责管理记忆。
EVA驾驶者的A10神经的脉冲及同步率与EVA必须保持一致才可以对其正常操作。


LCL  (Link Connected Liquid)

LCL (同調接続用液体)
エヴァンゲリオンのコックピット (エントリープラグ) 中に注水される人口培養液の一種であり、
肺の中に満たすことでガス交換が可能になり、空気中と同様の呼吸ができるとされている。
また、LCL はパイロット搭乗後、エントリープラグ内で電化され、その分子配列を変化させる。
(この分子配列の変化は、モニター上でも表示される)
これにより、LCL はその状態を液体から気体状のものに変質させ、老廃物の循環・浄化等の能力を活性化させ得る。
なお、LCL の本質は胎児に於ける羊水の役割、つまり、急激な温度変化、強度の衝撃からパイロットを守る事が主目的と考えられる。

LCL是一种注入EVA驾驶舱内的黄色、有血腥味的粘稠液体,其成分与原始海洋类似。
当该液体通入电力时,其分子组成将会改变,可以进行EVA与驾驶员间的神经连结,
并且直接供给氧气(这代表LCL中氧气含量超过21%),同时LCL也有减缓物理攻击,隔绝精神污染,担负生命维持的功能。


【脐带式管线桥】 qí dài shì guǎn xiàn qiáo
アンビリカル・ブリッジ (Umbilical Bridge)
エヴァの拘束具の一。複数の油圧ロックボルトの土台。 整備用の足場としても使用される。
なお語源は、スペースシャトルと発射台を接続している部分の意で、NASAで使用されている。

拘束EVA机体的平台。也适用于维修工作的脚手架。


【以反光玻璃为表面的大楼】
壁面が反射ガラスとなっているビル。
以・・・为~ (=use ・・・ for ~  用 ・・・ 作 ~)
<用例> 福音战士是以近未来都市为题材的动画片。
(新世紀エヴァンゲリオンは、近未来都市を題材としたアニメである)


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【口語訳】

第一話 使徒、襲来 ③

(エヴァ初号機が保管されているケージに、まるでダムの放水のように、赤い冷却液が注ぎ込まれる)

メカニックA: 冷却終了。
メカニックB: 右腕の再固定、完了。
メカニックC: ケージ内、全てドッキング位置。

通信員A: 了解、停止信号プラグ、排出終了。

(エヴァ初号機の頭部が前傾し、機体背後のカバーが開く。エントリープラグを装填する円柱形の空間が現れる)

メカニックA: 了解、エントリープラグ挿入。

(巨大な機械の腕が エントリープラグを捉え、ゆっくりと装填する)

メカニックD:  脊髄連動システムを解放、接続準備。
メカニックC:   プラグ固定、終了。

(エントリープラグがゆっくりと回転して沈み込み、カバーが閉じられる。エヴァの頭部も正常な位置に回復する)

メカニックA:   第一次接続開始。

(薄暗かったエントリープラグ内が明るくなる)

通信員A:  エントリープラグ、注水。

(黄金色の液体 LCL がエントリープラグ内へ注ぎ込まれる。微かに生臭い血のにおいがする)

シンジ:  う、なんですか、これ。うわっ、あっ、うぷっ!
リツコ:  大丈夫、肺が LCL で満たされれば、直接血液に酸素を取り込んでくれます。すぐに慣れるわ。

シンジ:  ぶはっ!うわっ、気持ち悪い。
ミサト:  我慢なさい!男の子でしょ!

シンジ:  うーん・・・。

メカニックA: 主電源接続!
メカニックB:   全回路、動力伝達問題なし。

(電源をつなぎ終わった機械の腕は、ゆっくりと後方に移動する)

リツコ:  了解。
通信員A: 第二次コンタクトに入ります。 A10神経接続、異常なし。

メカニックD:  LCL転化率は正常。
リツコ:  思考形態は、日本語を基礎原則としてフィックス。 初期コンタクト、全て問題なし。

通信員A: 双方向回線、開きます。 シンクロ率、41.3%。

(コントロール室モニター上に、二種類の波形が現れた。
モニター左側の波形は、エヴァの神経系統を、右側の青い波形は、シンジの神経系統を表示している。
両者の波形は、高レベルのシンクロ率を維持していた)

リツコ:  すごいわね。

(リツコは、やや興奮気味に言った)

通信員A: ハーモニクス、すべて正常値。暴走、ありません。
リツコ:  いけるわ!

ミサト:  ・・・発進準備!!

メカニックA: 発進準備!
メカニックB:  第一ロックボルト外せ!

メカニックC:  形状確認!
メカニックA:  アンビリカルブリッジ、移動開始!

メカニックB:  第二ロックボルト外せ!
メカニックC:  第一拘束具、除去。

メカニックB:  同じく、第二拘束具を除去。
メカニックA:   一番から十五番までの、安全装置を解除。

(モニター上の3D画面は、安全装置の全面解除を表示していた)

メカニックD:  解除確認。 現在、初号機の状況はフリー。
メカニックB:  外部電源、充電完了。

メカニックC:  外部電源接続、問題なし。
通信員A: 了解、EVA初号機、射出口へ!

(発射位置まで移動した エヴァ初号機の足もとは、プラグでしっかりと固定され、上方の通路は全開となった。
エントリープラグ内のシンジは、来るべき戦闘の到来を待つばかりとなった)

通信員A: 進路クリヤー、オールグリーン。
リツコ:  発進準備完了!

ミサト:  了解。・・・ (振り向いてゲンドウに確認する) 構いませんね?

ゲンドウ: もちろんだ。使徒を倒さぬ限り我々に未来は無い。

(ゲンドウの傍らに立つ冬月も、念を押すように小声で問いかける)

冬 月:  碇。 本当にこれで良いんだな?

ゲンドウ: ・・・。 (ゲンドウは、ただ意味ありげな笑いを浮かべ、これに答えた)

ミサト:  発進!

バシュッ!! ゴゴゴ ・・・

シンジ: くっ ・・・。

(ミサトは、発進命令を下した。
エヴァ初号機を固定していた発射台は勢いよく射出され、すぐさま地上に到達した。
そう遠くないところに使徒が立ちはだかっている。
エントリープラグ内のシンジの目に、使徒の胸元に輝く赤色の球体がはっきりと見えた)

ミサト:  (心中、祈るように呟く)  シンジ君、死なないでよ ・・・。

(闇の中、エヴァ初号機と使徒は、無言で対峙していた)

ミサト:  良いわね、シンジ君。
シンジ:  あっ、はい。

ミサト:  最終安全装置、解除!エヴァンゲリオン初号機、リフトオフ!

(エヴァ初号機の腕が前方へ揺れる、体がかすかに前へ傾く)

リツコ:  シンジ君、今は歩くことだけを、考えて。
シンジ:  (・・・ 歩く ・・・)

(エヴァ初号機は、ややぎこちなく、第一歩を踏み出した)

リツコ:  歩いた!

(その姿を、モニターで見ていたネルフ司令室スタッフは皆、歓声を上げた)

シンジ:  (・・・ 歩くっ!)

(シンジは、引き続き、次の指令を下す。エヴァは、さらにもう一歩を踏み出す。
しかし半分まで進んで、バランスを崩し、けたたましい叫びと大きな音をたて、
どすんと前へうつぶせに倒れてしまった)

ズズウーン!

シンジ:  くっ!

(シンジは頭をもたげ、上を見あげた。
巨大な使徒は、すでにエヴァの機体の、かなり近い場所に接近していた。
面と向かって来る険悪な気配に直面し、シンジの全身に戦慄が走った!)

ミサト:  シンジ君、しっかりして! 早く、早く起き上がるのよ!

ガキィッ! ググ ・・・

(間に合わなかった!
使徒の左手はすでに鉄のペンチの如く、エヴァの頭部を、がっしりと捉えた。
さらに右手で、エヴァの左腕部をつかみ、力任せにねじり上げた。
名状しがたい奇怪な形状にゆがんでいくエヴァの全身)

シンジ:  うわぁぁ!

(シンジは、すでに思考能力を喪失していた。
引き裂かれるような苦痛を、少しでも軽減するかの如く、
ひたすら悲痛な叫び声を上げるばかりだった)

ミサト:  シンジ君、落ち着いて!あなたの腕じゃないのよ?

リツコ:  EVAの防御システムは?
通信員A: シグナル、作動しません!

通信員C: フィールド、無展開!
リツコ:  だめか!

バキィィ ・・・

(使徒は、ついにエヴァの左腕を断ち切った。 エヴァの左腕が、だらりと垂れさがる)

通信員A: 左腕損傷!
通信員C: 回路断線!

ミサト:  シンジ君避けてっ!

バシッ! 

(エヴァのダメージを確認した使徒は、鷲掴みにしたエヴァの頭部を体ごと宙に持ち上げた。
すぐさま左ひじ後方の長いとげを振り上げるや、とげの先端から紫色の光芒を噴出する。
光芒はまっすぐに噴き出して、エヴァの顔面に直撃した)

シンジ:  う、うわぁぁっ!

バシッ! バシッ!

(一発、二発、三発、その光芒の刃は、エヴァの頭部を続けざまに強襲した)

通信員A: 頭蓋前部に亀裂発生!
リツコ:  装甲がもう持たない!

バシッ! ズガァァーン!!

(そして八発目、使徒の最後の一撃が、頭部を貫通し、エヴァの体を、後方の高楼の上に吹き飛ばした。
エヴァの頭部は、力無く垂れさがり、目の中の光は消失した)

通信員B: 頭部破損、損害不明。
通信員A: 制御神経が次々と断線していきます!

通信員C: パイロット、反応ありません!
ミサト:  シンジ君っ!!

(エヴァの頭部の傷口から、大量の鮮血が、瀑布の如く噴出した)

通信員A: 活動維持に、問題発生。

ミサト:  状況は?!
通信員A: シンクログラフ反転、パルスが逆流しています!

リツコ:  回路遮断、せき止めて!
通信員A: 駄目です、信号拒絶、受信しません!

ミサト:  シンジ君は?!
通信員C: モニター反応なし。生死不明!

通信員B: 初号機、完全に沈黙。

リツコ:  ミサト!?
ミサト:  ここまでね ・・・。作戦中止、パイロット保護を最優先!プラグを強制射出して!

通信員A: 駄目です、完全に制御不能です!

ミサト:  なんですって!?

(突如、エヴァの左眼が、再び輝きはじめる)

バキン! グオオオオオ!!

通信員D: エヴァ、再起動!
通信員A: ・・・ そんな、動けるはずありません!

ミサト:  まさか ・・・!
リツコ:  暴走 ・・・!

ウオォォォォーーン!

(エヴァは、獣のような咆吼を放った。
機体は再度立ち上がり、すぐさま膝を屈して、態勢を整えるや、
その場で大地を蹴って大跳躍、一気に使徒に襲い掛かる。

エヴァは、両手で使徒の頭部に強烈な一撃を加え、
そのまま空中で一回転しながら、使徒の攻撃をかわし、一旦距離を置いて後方に着地。

一瞬後、エヴァは勢いに乗じて身を翻し、再び使徒に向かって突進する。
初号機の再起動を見届けた冬月がぼそりと呟く)

冬 月:  ・・・勝ったな。

ヴォォーン・・・・・・

(この時、使徒は A.T.フィールドを展開、エヴァは、厚い光の壁の外で断絶される)

リツコ:  A.T.フィールド!

ミサト:  駄目だわ、A.T.フィールドがある限り・・・、
リツコ:  ・・・使徒には接触できない!

シュウオオオ ・・・・

(大咆哮とともに、エヴァの左腕がうねる。
切断され、垂れさがっていた左腕の筋肉が膨張を始め、完全無欠な状態へと復元を遂げた)

通信員B: 左腕復元!

ミサト:  すごい!

(エヴァは、すばやく使徒の目の前に迫り、勢いに乗じて、右腕をA.T.フィールドに差し込む)

通信員A: 初号機も A.T.フィールドを展開、位相空間を中和していきます!

リツコ:  ・・・ いえ、侵食しているんだわ ・・・!

(エヴァの両手が光の壁に食い込み、紙を引き裂くようにA.T.フィールドがこじ開けられた。
エヴァは再び咆哮を上げる)

ミサト:  あの A.T.フィールドをいとも簡単に・・・!

(A.T.フィールドを破りきった瞬間、使徒の光の刃がエヴァを襲う。
エヴァは、身体を捻っていとも簡単にそれをかわす。
使徒の放った光芒は、はるか後方に直進し、巨大な光の十字架を噴きあげる。

エヴァは再び間合いを詰め、左腕で使徒の両腕をむんずとつかみ、そのまま力任せに握り潰した。
緑色の血液が使徒の傷口からあふれ出る。

さらに崩れ落ちる使徒の胸元を蹴り上げ、遠方の兵装ビル目がけて使徒を弾き飛ばす。
兵装ビルは一気に倒壊し、ひとしきりの煙霧が四方に散らばる。

ビルに凭れ掛かるようにして倒れた使徒を猛追し、体当たりで抑え込み、胸当ての骨格を左右に引きちぎる。
またも暗緑色の鮮血がどくどくと流れ出す。

初号機は使徒に対しマウントポジションになると、腹部の赤い球体を何度も殴りつけた。
ピシ、っとヒビが球体に走る。

最後の瀬戸際、すでに勝機を失った使徒は、突然体を起こしてエヴァの身体に巻きついた。
使徒の体が球状に変形する)

ミサト:  (驚いて叫ぶ) 自爆する気!?

ズドドオーン――

(凄まじい爆発音に続き、強烈な閃光がほとばしる。ひとすじの巨大な十字架の炎が、第三新東京市の上空を貫いた。
司令室にいるスタッフの全ては、驚愕の表情で茫然とモニターを見つめていた)

ミサト:  ・・・ EVAは!?

(濃霧と爆炎の中からひとつの影が現れた。それはまさにエヴァ初号機の姿だった)

リツコ:  あれがEVAの ・・・
ミサト:  ・・・ 本当の姿 ・・・!

通信員B: 回路接続。

(シンジは未だなお、エントリープラグ内にいた)

通信員A: システム回復、グラフ正常位置。

通信員C: パイロットの生存を確認。

リツコ:  機体回収班、急いで!
ミサト:  パイロット保護を最優先に!

(ようやく意識を取り戻したシンジは、呆然と周囲をながめる。
使徒に破壊され、醜く焼け焦げたエヴァの頭部装甲が地上に崩れ落ちた。
傍らのビルの壁面に張られた反射ガラスに、初号機の全貌が浮かび上がる。

ゆっくりと壁面に映ったその頭部を見つめるシンジ。
その赤黒く張り裂けた血肉の隙間から、緑色の巨大な眼球が現れる。

「せ ・・・ 生命体!」 それは再び意識を失う寸前に、彼が最後に発した言葉だった)

シンジ:  ・・・ うっ、うわぁぁぁぁ!!