あいつと私    1961年(昭和36年)       邦画名作選
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主人公・三郎の母親は有名美容師で、亭主のほかに堂々と愛人までいる。

その愛人を自由に自宅に出入りさせているとんでもない家庭である。

そんな破天荒な家庭に育った三郎と、女子学生のけい子は、ひょんなことから距離を縮めていく。


やがて親しくなった二人は、夏休みに三郎の軽井沢の別荘へ遊びに行くことになった。

しかし、そこでけい子は三郎の出生の秘密を知ることになる。



週刊読売に連載された石坂洋次郎の同名小説を、中平康が脚色・監督。
酒井和歌子のデビュー作としても知られる。

ストーリーは、ヒロインけい子の視点から見つめたモノローグで語られ、
自由奔放な主人公・三郎の青春スケッチのような形で描かれている。


時代は安保反対闘争の激しい頃。学生たちは連日デモに参加し、変わりゆく政治への抵抗をしていた。
彼らの若さゆえの暴走やレイプなどの深刻な問題も出てくるが、重苦しい雰囲気にはなっていない。

彼らは戦争中に生まれ、戦後の復興を経て、男女関係も開放的になるなど新しい価値観が生まれて来た。
物語は、裕福な家庭に育った三郎と、女子学生けい子との一夏を、爽やかに描き出した青春賛歌である。




 
 
  製作  日活

  監督  中平康  原作 石坂洋次郎

  配役 黒川三郎 石原裕次郎       妹ゆみ子 吉永小百合
  父 甲吉 宮口精二       妹たえ子 酒井和歌子
      母モトコ    轟夕起子          加山さと子    笹森礼子 
      浅田けい子    芦川いづみ          金沢正太    小沢昭一 

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