愛染かつら 1938年(昭和13年) 邦画名作選
看護婦高石かつ枝は皆にすすめられて余興に歌をうたった。
伴奏は津村病院長の長男浩三が買って出た。
これが縁で浩三とかつ枝は度々会うようになった。
浩三はかつ技に求婚するが、彼女は亡夫との間に子供がいたため躊躇する。
だが、誠実な浩三の熱い思いに、いつしかかつ枝の心も傾いていく…。
雑誌「婦人倶楽部」に連載された川口松太郎の小説「愛染かつら」を野村浩将が映画化。
上原謙は自伝(1984年)の中で「電報の一本でも打ちさえすれば、誤解もスレ違いも
生じないのにと思うと、自分で演じていてもバカバカしかった」と回想している。
上原は内心「あほくさい」と思いながら演じていたわけで、ではなぜ映画がヒット
したかというと、やはり主題歌や挿入歌が優れていたからではないだろうか。
例えばヒロインが、待ち合わせ時間に間に合わず、恋人を乗せた列車が走り去ってゆく、
そういった、ここ一番のスレ違いシーンで主題歌が流れ、観客の涙をしぼるのである。
内容は凡作なのに、主題歌のおかげでヒットした映画は、古今東西よく見られることだ。
いずれにしても本作は、公開初日以来、連日超満員の盛況で、映画館の入り口には
行列が途切れず、空前の大ヒット。
その後も、続篇、完結篇と作られ、主人公の二人を、別れさせたり、再会させたり、
えんえんとスレ違わせつつ、二年間に渡って映画興行界を独走したのである。
製作 松竹
監督 野村浩将
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配役 |
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高石かつ枝 |
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田中絹代 |
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津村保樹 |
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藤野秀夫 |
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服部医学士 |
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佐分利信 |
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高石敏子 |
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小島和子 |
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津村清子 |
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葛城文子 |
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服部美也子 |
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高杉早苗 |
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高石さだ枝 |
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吉川満子 |
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津村竹子 |
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森川まさみ |
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津村浩三 |
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上原謙 |
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中田未知子 |
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桑野通子 |
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