青い山脈   1949年(昭和24年)       邦画名作選

直線上に配置


女子高生の新子は、いたずらのラブレターをもらい、若い英語の島崎先生に相談する。

先生は、この事件を材料にして男女の健全な交際を説くが、生徒たちに反感を持たれてしまう。

教員仲間からも非難を受け、ついには新聞沙汰になって、町中の大問題に発展してしまう…。




朝日新聞に連載された石坂洋次郎の小説を、今井正が映画化したもの。

映画も主題歌も大ヒットし、この後、何作ものリメイクが製作された。

「恋愛」についてクラスで話し合うシーンで、ひとりの女生徒が立ち上がって答える。

「昔は恋愛は悪いことでしたが、戦争に負けてからは良いことになったと思います」

現在では考えられないことだが、これは戦前と戦後の恋愛観の変化を端的にとらえた言葉だ。
戦前は、嫁入り前の娘が男と会うことは不道徳とされ、その後の縁談話にも影響したのである。


「青い山脈」では、男女交際を不純で恥ずべきものとみなす戦前の社会通念が操り返し描かれる。

口では民主主義と叫びながら、古い固定観念に縛られている教師たち、そして男女交際に厳しく
当たる大人たちが、実は自分らは芸者遊びをしているという欺瞞に満ちた姿が描き出されている。

そういったタブーを、若い人間のエネルギーで打破していこうとするところに本作の見所がある。
映画のラストは希望に満ちたシーンで完結する。それは封建性から解放された青春讃歌でもある。




  製作  東宝

  監督  今井正

  配役    島崎雪子 原節子 梅太郎 木暮実千代 寺沢新子 杉葉子
      金谷六助 池部良 沼田玉雄 龍崎一郎 松山浅子 山本和子
      ガンちゃん 伊豆肇 笹井和子 若山セツ子 岡本先生 藤原釜足

直線上に配置