箱根山   1962年(昭和37年)     邦画名作選
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高度成長時代の日本。箱根の山奥にも、観光業者が開発の手を伸ばしていた。

その箱根山に、150年もの間、いがみ合ってきた二軒の老舗旅館があった。

先祖代々、犬猿の仲である玉屋と若松屋である。

だが、玉屋の番頭(加山雄三)と若松屋の一人娘(星由里子)は仲良しだった。

ある日、玉屋に、大物政治家の大原(森繁久弥)が、皮膚病の治療のため宿泊する。

大原は、番頭に湯舟で背中を流してもらう内に、彼の誠実な人柄を気に入ってしまう。



観光開発が進む高度成長期の箱根を舞台に、老舗旅館の一人娘と若番頭の恋の行方が軽妙に描かれる。

ヒロインを演じる星由里子は、三つ編みにセーラー服姿が可愛いが、気が強く、高飛車でもある。

若番頭を演じる加山雄三は、頭のきれる好青年で、かつ忠義心の持ち主であり、好感が持てる。

そんな二人に愛が芽生え、将来を約束する仲になる。
反目している玉屋と若松屋を一緒にして、地元の発展に尽くすという壮大な夢を抱くのだった。

本作は、箱根が資本競争に飲み込まれてしまうという、シリアスなテーマを扱いながらも、
二人の青春劇をミックスした、さわやかで趣のある娯楽作品に仕上がっている。


 
 
 製作   東宝

  監督   川島雄三      原作 獅子文六

  配役    勝又乙夫 加山雄三 森川きよ子 三宅邦子
      森川明日子 星由里子 大原泰山 森繁久彌
      森川里 東山千栄子 北条一角 東野英治郎
      森川幸右衛門 佐野周二 近藤杉八 中村伸郎

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