花の影 1982年(昭和57年) ドラマ傑作選
佐保子(夏目雅子)は、東京へ出て来て六年、大東銀行に勤めていた。
六年前に母親を亡くし、父親とは絶縁状態のまま、故郷の弘前を離れて上京
して来たのだが、今は千鳥ヶ淵のマンションで一人暮らしを満喫している。
そんなある日、佐保子に縁談が持ち上がった。
銀行の上司・石田専務(山村聡)が同じ銀行の俊之(あおい輝彦)と結婚しないか
と打診してきたのだ。
そんな折り、佐保子は幼なじみの宗太郎(田中健)と再会する。
彼はニューヨークから帰国したばかりの新進画家となっていた。
平岩弓枝ドラマシリーズの放映三百回記念番組。
母の不倫の恋とその後の自殺、という暗い過去をもったヒロイン佐保子の一生を、
十代から八十代まで、それぞれ一話完結で、八回に渡って描き分けている。
それぞれの回で、佐保子を演じるのは、古手川祐子(18歳)、夏目雅子(24歳)、山本陽子(35歳)、若尾文子(40歳)、
新珠三千代(51歳)、高峰三枝子(60歳)、杉村春子(70歳)、京塚昌子(82歳)の八人。
それぞれの世代の「佐保子」が抱えた問題が桜の花に託して叙情的に描かれるのだが、そのテーマにかかわる桜は、
全編を通じて随所に咲き乱れ、物語全体が画趣あふれる作品に仕上がっている。
(制作)フジテレビ(脚本) 平岩弓枝
(配役)佐保子(古手川祐子、夏目雅子、山本陽子、若尾文子、新珠三千代、高峰三枝子、杉村春子、京塚昌子)
輪西宗太郎(広岡瞬、田中健、竹脇無我、田村高広)石田博雄(山村聡)佐々木俊之(あおい輝彦、津川雅彦)