花は偽(いつわ)らず 1941年(昭和16年) 邦画名作選 |
舟木(徳大寺伸)は、勤務先の社長に見合いを勧められる。
相手は、大阪の醸造家の一人娘・假名子(高峰三枝子)だった。
だが舟木は、同僚のタイピスト・純子(水戸光子)に思いを寄せていた。
舟木の友人・城太郎(佐分利信)は、假名子の家とは昔から付き合いがあった。
そこで、舟木に彼女との仲を取り持とうと働きかける。
一方、純子のほうにも、縁談が持ち上がっていた。
舟木の見合いの事を知った純子は、会社を辞め、郷里へ帰っていく。
出張をしていて、純子が退職したことを知らなかった舟木は、
出張から戻ると、すぐに純子を追いかける。
一方、舟木との見合いがうまくいかなかった假名子は、
幼馴染の城太郎に心を寄せるようになる。
假名子はすぐに上京し、城太郎の許へ向かう。
しかし、城太郎にはすでに結婚を決めた女性がいた。
1940年「都新聞」に連載された藤沢桓夫の同名小説を大庭秀雄が映画化。
複雑に絡み合う男女の気持ちと、恋愛に対する葛藤やすれ違いが描かれる。
女性にとって幸せとは何なのかを訴えかけているような作品である。
若いサラリーマンの舟木(徳大寺伸)が、書類とともにデートの誘いを
書いた紙を、同僚タイピストの純子(水戸光子)に渡す場面がある。
そこには「今日、帰りにご都合いかがでしょうか。お返事待っています」と
書かれてある。このあたりは、社内恋愛のはしりともいえる。
また本郷あたりに、城太郎(佐分利信)のお気に入りの喫茶店があるのだが、
そこには観葉植物が置かれ、蓄音機からはクラシック音楽が流れている。
当時の風俗営業的な「カフェ」とは異なった、いわゆる「純喫茶」がこの頃から
登場したことを伺わせる。
製作 松竹
監督 大庭秀雄 原作 藤沢桓夫
配役 | 假名子 | 高峰三枝子 | 佐川純子 | 水戸光子 | |||||||||
舟木 | 徳大寺伸 | 大野木 | 大山健二 | ||||||||||
佐久間城太郎 | 佐分利信 | 槙江 | 森川まさみ | ||||||||||
假名子の母 | 葛城文子 | その父 | 斎藤達雄 |