花嫁かるた 1937年(昭和12年) 邦画名作選 |
吉川(上原謙)は、東大卒のイケメン・サラリーマンである。
彼は、会社の会計課長と工場長から、気に入られ、見込まれてしまう。
そして、それぞれの娘(高杉早苗、忍節子)を嫁がされようとしている。
板挟みになった吉川は、街の易者(上山草人)に占ってもらうことにした。
易者の家の二階には、これまた吉川に恋心を抱くみさ子(桑野通子)が住んでいる。
東大出の美男会社員が、上司たちから娘婿に望まれて苦労するというストーリー。
桑野通子は当時、松竹大船の若手トップ女優だったが、1934年の同期入社で
ほとんど年の違わない高杉早苗とは、何かと比較される立場にあった。
そのため、花嫁候補の中で、上原謙が誰を選ぶかという点に話題が集まった。
上原謙は、一点非の打ちどころのない美青年ぶりで、多くの女性ファンを虜にした
二枚目スターだが、一方で、力強さを殆ど感じさせない華奢な優男でもある。
そのため、彼の主演する映画では、優柔不断のすれ違いを繰り返すばかりで、
なかなか恋人と結ばれないという、じれったい展開になる事が多い。
それは彼が、ヒロインを一気に抱きしめてハッピーエンドに持って行くという
力強さに欠けることに原因があるように思われるのである。
製作 松竹
監督 島津保次郎
配役 | 吉川(会社員) | 上原謙 | 奥村(会計課長) | 河村黎吉 | |||||||||
みさ子(美容院の女) | 桑野通子 | 浜子(長女) | 高杉早苗 | ||||||||||
下村(工場長) | 水島亮太郎 | エマ子(次女) | 水戸光子 | ||||||||||
蘭子(その娘) | 忍節子 | 菊枝(三女) | 高峰秀子 | ||||||||||
専務 | 大山健二 | 易者 | 上山草人 |