ハワイ・マレー沖海戦   1942年(昭和17年)     邦画名作選
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海軍兵学校生の立花忠明(中村彰)は、分家の一人息子である
友田義一(伊東薫)から、航空兵に志願したいと相談を受ける。

海軍航空隊での訓練を終え、入隊を果たした友田を待っていたのは、
教官となった立花だった。

やがて1941年(昭和16年)12月8日早朝、ハワイ奇襲の命令が下る。

友田は、ハワイの米国太平洋艦隊に魚雷を撃ち込み成果を上げた。

また立花は、マレー沖に潜む英国極東艦隊の戦艦二隻を撃沈させた。

その頃、友田の母・つね(英百合子)と姉・喜久子(原節子)は、
ラジオから流れる戦果に聞き入っていた。



当時の大本営広報部が、東宝に制作させた国威発揚映画である。

戦闘シーンは全て、円谷英二によるミニチュアを使った特撮によって
見事な戦争スペクタルに仕上がっていた。

ミニチュアの真珠湾に浮かぶアメリカの艦隊が、これまたミニチュアの
日本の戦闘機の攻撃で、次々に撃沈される場面は、殆ど本物に見えた。

本作の公開によって、日本国民の戦闘意欲は、いやがうえにも高揚したのである。


しかし、この時すでに日本は、ミッドウェー海戦で大敗し、戦局は大いに不利な
状況に陥っていたのだが、戦果は、赫々たる勝利の報のみが国民に伝えられた。

その後、戦局は悪化の一途を辿るのだが、それにもかかわらず、終戦の前年まで
えんえんと、同じような国威発揚映画が制作され続けたのである。

 
 
 製作   東宝

  監督   山本嘉次郎    特撮監督 円谷英二

  配役    友田義一 伊東薫 立花忠明 中村彰
      母・つね 英百合子 山下大尉 藤田進
      姉・喜久子 原節子 佐竹艦長 大河内伝次郎
      妹・梅子 加藤照子 栗本司令 進藤英太郎

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