へそくり社長    1956年(昭和31年)       邦画名作選

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明和商事の新社長・田代善之助(森繁久彌)は、三等社長と陰口を叩かれている。

先代社長の令嬢と結婚したがゆえの今日の地位だからである。

家では妻に全く頭の上がらない恐妻家だが、小唄の師匠・小鈴(藤間紫)に

出会ったことから、浮気の虫が騒ぎ出してしまう。


この女師匠、一見社長に気のあるそぶりだが、実はカネ目当て。

ある時、小料理屋を開業したいと、色気たっぷりに持ちかけられる。

社長に相談された秘書の小森(小林桂樹)は、へそくりの方法を進言する。

それは出張旅費の水増しや、ボーナスの支払伝票の偽造、などなどであった。



本作は、森繁の出世作となった「三等重役 1952年」の発展したもので、当時は
人事課長であった森繁が社長に出世して、大いに俗物振りを発揮している。


これに社長秘書の小林桂樹、経理部長の三木のり平といった面々が、社長の浮気とか、
他社との競争とか、次々と起こる事件を、賑々しく解決してゆく喜劇である。


優秀な人物は誰もいないが、互いに失敗をカバーし合う気風によって、会社は和気藹々
たる大家族の様相を呈し、何かというとすぐ宴会をやって盛大に騒ぐのである。

そこにはまさしく高度成長時代の日本の明るく浮き浮きした気分が濃密に現れている。


シリーズは、1956年の本作「へそくり社長」から、15年間にわたり、合計33作が公開され、
まさに東宝のドル箱シリーズとなった。




 

  製作  東宝

  監督  千葉泰樹

  配役    田代善之助 森繁久彌 経理部長 三木のり平
      妻・厚子 越路吹雪 株主・小野田 上原謙
      秘書・小森信一    小林桂樹        福原未知子    八千草薫 
      大塚悠子    司葉子        小唄師匠・小鈴    藤間紫 

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