彼を繞(めぐ)る五人の女   1927年(昭和2年)     邦画名作選
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小山文雄(岡田時彦)は、大学の医学部を出たばかりの青年医師だ。

ある日彼は、丸の内の或る大劇場の女優・山村雪枝(岡田嘉子)を一目見るや、彼女に激しい恋心を覚える。

それは彼の初恋であった。しかし、雪枝には、すでに役者仲間の市川梅三郎という恋人がいた。


一方、文雄の雪枝に対する恋心に、心から同情した姉の美津子は、文雄を連れて雪枝の楽屋を訪ねた。

文雄と雪枝は、二言三言、言葉を交わしただけであったが、文雄の恋心はさらに募るばかりであった。

だがある夜、雪枝と梅三郎が睦まじく築地の待合へ入って行くのを見た文雄は、失望のどん底へと落ち込むのだった…。



物語は、若く純情な青年医師が、初め女優に恋し、結局純情を踏みにじられるところから、彼の女性遍歴は始まる。

主人公は、女優、下町娘、芸者、妾、令嬢という五人の女性から「恋の手ほどき」をしてもらうことになる。

そして彼はやがて「一人前の男」へと成長してゆくのである。


物語の結末は、最後に令嬢の女性とめでたく結ばれ、ハッピーエンドとなる予定であったのだが、残念な事に

その結末部分が検閲により、まるまる削除されてしまった。かりそめにも上流の令嬢ともあろうものが、

かかるドン・ファンみたいな男と結ばれるのは風紀上好ましくない、という理由であった。


ちなみに本作のテーマは「ドン・ファンの活躍」でなくて「男の成長物語」である。

結局主人公は、五人の女性から振られたまま、映画は終了してしまったのであるが、岡田時彦や岡田嘉子をはじめ

日活の美男美女がオールスター総出演という魅力もあって、本作は観客から大好評を博することとなった。



 
 
 
 製作   日活

  監督   阿部豊

  配役    小山文雄 岡田時彦 河村綾子(妾) 梅村蓉子
      山村雪枝(女優) 岡田嘉子 松浦澪子(令嬢) 夏川静江
      小林奈美子(下町娘) 徳川良子 市川梅三郎 谷乾一
      千代龍(芸者) 原光代

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