剣豪二刀流 1956年(昭和31年) 邦画名作選
巌流島の決闘は武蔵の一撃の勝利に終った。だが敗れた小次郎の一門は復讐を誓う。
また小次郎の妻おりんは、仇を討つべく、短筒を手に入れるために長崎へ出立する。
1935年(昭和10年)朝日新聞に連載された吉川英治の小説「宮本武蔵」は、
たちまち多くの読者を魅了し、翌年には、嵐寛寿郎主演で映画化された。
1937年(昭和12年)には、片岡千恵蔵主演、お通役に宝塚の轟夕起子を抜擢した
日活作品が大ヒットし、以降、吉川武蔵は千恵蔵の独壇場となった。
戦後に作られた千恵蔵主演の武蔵がこの「剣豪二刀流」であり、巌流島の
決闘を終えてからの宮本武蔵の姿を描いたものである。
これは小山勝清の歴史小説「それからの武蔵 波浪編」を原作としている。
武蔵は、宿敵・佐々木小次郎に勝てば、お通(役名ではお孝)と人生の
やり直しをしようと決心する。
だが巌流島で小次郎を倒した武蔵は、これまでの死闘の日々をかえりみて
自らあやぶむところがあった。
自分が勝負に勝ち続けることができたのは、自然と兵法の理にかなっていた
からではなく、対戦した相手の技量に不足するところがあったからではないか。
こう疑問を抱いた武蔵は、士官の勧めを断り、お通との約束も断ち切って、
真の不敗の剣境を求めて、さらなる修行の旅へと出かけるのであった。
製作 東映
監督 松田定次