婚約三羽烏 (こんやくさんばがらす)  1937年(昭和12年)   邦画名作選
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失業中の加村周二(佐野周二)は、半年間もブラブラしている。

同棲中の恋人(三宅邦子)も、愛想を尽かして出て行ってしまった。

周二は、今度こそ必ず就職しようと、銀座の織物会社の面接を受ける。

面接会場で、三木信(佐分利信)、谷山健(上原謙)の二人に出会う。

三人はめでたく採用された。

おまけに社長令嬢(高峰三枝子)は飛び切りの美人だ。

三人の婿の座を賭けたレースが始まるのだが…。




1935年(昭和10年)佐分利信が松竹に入社した当時は、上原謙が大売り出しの真っ最中だった。

翌年には、上原の大学の後輩、佐野周二も入って来て、にわかに松竹は二枚目の殿堂となった。

三人顔を並べて、松竹の三羽鳥としてお目見えさせたのが本作「婚約三羽烏」である。


上原謙の一点非の打ちどころもない美青年ぶりに対して、佐野は素朴で庶民的な明るさがあり、
佐分利信は、そのぶっきら棒な野放図さが、彼独自の魅力となっていた。


ところで三人の役名を見ると、苗字だけ代えて、名前が芸名そのままになっている。

これは、三人のそれぞれの個性を、そのままストーリーに投影するという企画意図であり、
三者三様の魅力が存分に引き出されたスタイリッシュなラブコメに仕上っている。


 
 
 製作   松竹

  監督   島津保次郎

  配役    加村周二 佐野周二 順子 三宅邦子
      谷山健 上原謙 栄子 森川まさみ
      三木信 佐分利信 お仙 小牧和子
      令嬢・影山伶子 高峰三枝子 たばこ屋のおばさん 飯田蝶子

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