興亡新選組 1930年(昭和5年) 邦画名作選
元治元年(1864年)6月5日夜、近藤勇率いる新選組は、池田屋に集まる尊攘派志士を襲撃。
折しも祇園祭、隊伍堂々と帰還する新選組を一目見ようと、京の街は人垣で埋め尽くされた。
以来「泣く子も黙る」新選組として、その名は広く諸国に知られ、彼らは一躍英雄となった。
同年7月19日、禁門の変で、長州薩摩の鎮圧に奮戦した新選組は、幕府から恩賞を下賜される。
だが、慶応3年(1867年)12月18日、近藤勇は銃弾を受け負傷、大阪に逃れ、海路江戸へ敗走。
やがて隊伍を立て直し、長州薩摩による官軍を鎮圧せんと甲州へ出撃するも、一敗地にまみれる。
近藤勇は、下総流山まで逃れたが、官軍に包囲され投降、板橋宿で斬首の刑となる。享年35歳。
反革命の手先である近藤勇は、元来は悪役だが、大仏次郎の「鞍馬天狗」で天狗と対立する英雄
として描かれ、滅びゆく幕府に殉じた人物として判官びいき的に悲愴に扱われるようになった。
大河内伝次郎演じる近藤勇は、歴史の流れに抗して戦うが、遂に下総の流山で官軍に捕えられる。
首を斬られることになり、髭がのびていては見苦しいと、剃刀で髭をそった後、果てるのである。
花も実もある武士として描かれた彼の生涯は、淡々として鮮烈、伊藤大輔ならではの名篇である。
なお本作は、前後篇130分の長篇であったが、現在ではフィルムが散逸し、数点の断片が残るのみである。
製作 日活
監督 伊藤大輔
|
配役 |
|
近藤勇 |
|
大河内伝次郎 |
|
|
|
土方歳三 |
|
浅香新八郎 |
|
|
|
寿々 |
|
山田五十鈴 |
|
|
|
芹沢鴨 |
|
市川小文治 |
|
|
|
沖田総司 |
|
刀根正 |
|
|
|
お柳 |
|
桜井京子 |
|
|
|
清河八郎 |
|
鳥羽陽之助 |
|
|
|
山南敬助 |
|
葛木香一 |
|
|
|
芸妓百代 |
|
伏見直江 |