黄金の日日 1978年(昭和53年) ドラマ傑作選
永禄11年(1568年)秋、織田信長(高橋幸治)は、15代将軍足利義昭を奉じ上洛を果たした。
その後、信長は、豊かな経済力を持つ交易港・堺に、二万貫の矢銭(軍用金)の献上を課す。
当時の堺は、鉄砲・火薬の製造、さらに中国・明などとの南蛮交易で栄えていた。
信長が堺の商人たちに求めたのは、その莫大な財力、とりわけ鉄砲と火薬であった。
天下統一を目指す信長にとって、将軍の権威と強大な軍事力は必須条件だったのだ。
だが、堺の豪商・能登屋(志村喬)をはじめとする自治組織・会合衆は、信長の要求を拒否。
会合衆の大半は、信長を「田舎武士」「成り上がり」と軽視していたのである。
これに激怒した信長は、六万の軍勢で堺の町を包囲してしまう。
一方、会合衆の一人・今井宗久(丹波哲郎)は、信長と敵対するのは得策ではないと考えていた。
宗久は、千利休(鶴田浩二)と相談し、名器・松島の茶壺を信長に献上し、和睦を結ぼうとする。
そして、宗久に同行して壺を届けるため、五右衛門、善住坊、助左(市川染五郎)の三人を選ぶ。
茶壺で、堺が守られるなら安いものだが、信長がその価値をわかるかどうか、一つの賭けであった。
深夜、宗久らは、ひそかに堺を脱出して、信長のいる芥川城へ向かった。
ようやく芥川城へとたどり着いた宗久たちは、信長との対面を果たす。
茶壺を受け取った信長は、宗久に二万貫を免除する代わりに、相撲をしていけと持ちかける。
宗久は負けてしまうが、割って入った助左が勝ちを収める。
助左の奮闘に感じ入った信長は、家来になれと助左に命じてくるのだが…。
戦国末期、海外に雄飛した堺の豪商・呂栄助左衛門を主人公として、経済の視点から
日本史をとらえるという画期的な構想のもとに制作された大河ドラマ。
単なる戦記物ではなく、庶民の立場から描いたドラマで、初めて商人が主人公と
なったという点でも、これまでの大河ドラマと一線を画している。
主人公の助左衛門役には、当時歌舞伎界のプリンスと謳われた市川染五郎が抜擢された。
また、織田信長役に高橋幸治、豊臣秀吉役に緒形拳と、大河ドラマ第三作「太閤記」と
全く同じ配役が組まれた。
視聴者の評価も高く、最高視聴率34.4%を記録。大河ドラマで初めて、フィリピンでの
海外ロケが行われたことも話題を集めた。
(制作)NHK(原作)城山三郎(脚本)市川森一
(配役)助左(市川染五郎)美緒(栗原小巻)織田信長(高橋幸治)豊臣秀吉(緒形拳)杉谷善住坊(川谷拓三)
石川五右衛門(根津甚八)今井宗久(丹波哲郎)今井宗薫(林隆三)千利休(鶴田浩二)能登屋平久(志村喬)
津田宗及(津川雅彦)笛/モニカ(夏目雅子)しま/桔梗(竹下景子)