女の歴史   1963年 (昭和38年)       邦画名作選
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見初められて商家に嫁いだ信子は夫との間に息子をもうけるが、夫は戦死してしまう。

戦後、夫の親友・秋本と再会し、ほのかな想いを寄せるが、秋本はやがて姿を消す。

息子を抱え、闇屋をしながら戦後を生き抜いた信子は、ささやかな美容院を開く。

息子の功平は成長して車のセールスマンとして働きはじめる。

しかし、ある日、功平はキャバレーで働く恋人みどりを残して事故死してしまう。



功平の死後、みどり(星由里子)が訪ねてきて妊娠していることを告げる。
信子(高峰秀子)は「誰の子かわかるものか」と冷たく突き放す。

みどりは怒りを見せ「だったら堕ろします」と言い捨てて出ていく。
後悔した信子が後を追うと、アパートの隣人から「病院へいった」と言われる。


呆然として雨の中を歩いていると、濡れながら帰ってくるみどりと出会う。
「もう、堕ろしたの」と尋ねると、みどりは黙って母子手帳を見せる。

戦争に愛する夫を奪われ、女手一つで育てた息子も交通事故で失った信子の歴史。
そして同じ境遇になったみどりの歴史が続いていく。

「女の歴史」は「女たちの歴史」でもあったのだ。
悲しみを乗り越え、強く逞しく生きる女性像を追求した、名匠・成瀬巳喜男、渾身の一作。



 
  製作  東宝

  監督  成瀬巳喜男

  配役 清水信子 高峰秀子 幸一の母 賀原夏子         三沢玉枝    淡路恵子 
  夫・幸一 宝田明 秋本隆 仲代達矢         飛田    加東大介 
  息子・功平 山崎努 富永みどり 星由里子              

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