大阪の宿   1954年(昭和29年)    邦画名作選

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保険会社勤務の三田喬一は、重役を殴る事件を起こし、大阪へ左遷になる。

鬱々とした気分で大阪に来た彼は、安旅館、酔月荘に投宿する。

宿には、三人の女中がおり、三田は少しずつ彼女たちと交流を深めていく。、

やがて、それぞれが、様々な悩みを抱えていることを知る…。




水上滝太郎の同名小説を、五所平之助が脚色、映画化した新東宝創立七周年記念作。

主人公の三田は、30歳を過ぎた独身男で、会社勤めをしながら小説を書いているが、
社命で東京から大阪支社へと転勤してきて、土佐堀の旅館「酔月」に長期逗留する。


物語はこの酔月を舞台として展開するが、全篇を貫く事件は存在せず、好人物だが、
気難し屋の三田をめぐる日々が、四季の移ろいと共に、淡々と描かれるのみである。

だが男勝りの女将と三人の女中、酔月の泊り客や北新地の芸妓など、貧しき善意の
人々との交流に、そこはかとない哀愁や諧謔が感じられ、観ていて飽きることがない。

古き良き時代の人情風俗を、哀歓込めて描いた名匠五所平之助ならではの佳篇である。





  製作  新東宝

  監督    五所平之助   原作  水上滝太郎

  配役    三田喬一 佐野周二 おりか 水戸光子 おっさん 藤原釜足
      友人田原 細川俊夫 おつぎ 川崎弘子 おみつ 安西郷子
      同僚住友    十朱久雄        お米    左幸子        井元貴美子    恵ミチ子 
      芸妓うわばみ    乙羽信子        おかみさん   三好栄子        野呂    多々良純 

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