猟銃　 1961年 （昭和36年）　　　　　　　邦画名作選

                 

彩子は、若き医師・門田礼一郎と結婚し、芦屋で何不自由ない生活を送っていた。

ある日、若い女が礼一郎との間に生れた少女・薔子を連れて彩子の前に現れた。

夫の不行跡を知った彩子は、礼一郎と離婚し、少女を育てる決意をする。


一方、会社重役の三杉穣介は、結婚したばかりだが、年が離れているせいか、
会話も趣味も噛み合わない、ギクシャクとした新婚生活を送っていた。

そんなある日、穣介は、妻・みどりのアルバムの中から妻の従姉・彩子を見つける。

美しい彩子に一目惚れした穣介は、一計を案じて彩子に近づこうとするが…。



松竹メロドラマの巨匠・五所平之助が、井上靖の短編文芸小説を映画化。

妻の従妹と八年に渡る不倫関係を続ける夫、二人の関係を知らぬげに男との情事にふける妻。

濃厚な情念が横溢する男女の心の機微と、人間の業を鋭く描き出した愛欲メロドラマの傑作。


キャスティングは、不倫する男に佐分利信、愛人に山本富士子、本妻に岡田茉莉子である。

山本富士子は、当初、佐分利信の妻役を希望していたが、夫の不倫を見て見ぬふりをする
奔放な妻役は、岡田茉莉子が適役ということになった。

日本女性の鑑のような山本富士子が愛人役というのも、ドラマの面白みを倍増させている。



  製作　　松竹

  監督　　五所平之助       原作　　井上靖