建国史 尊王攘夷   1927年(昭和2年)     邦画名作選
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嘉永六年、浦賀沖に黒船が来航。世は正に大混乱となった。

安政初年、米国総領事ハリスは、米艦隊を率いて神奈川沖に来訪。

幕府の全権と会見して、通商条約の締結を迫った。

この難局を乗り切るため、彦根藩主・井伊直弼が大老の要職に就いた。

井伊は諸事情を考慮し、天皇の勅許を得ずして条約の調印へと踏み切った。

だが、これが水戸斉昭をはじめとする攘夷論者の怒りを招いてしまった。



監督・池田富保が独自のオリジナルシナリオにより「建国史」と銘打って制作した超大作。

井伊直弼といえば安政の大獄で反対派を弾圧した冷徹な人物というイメージがある。

だが本作では、井伊を時勢を見通す憂国の宰相と解釈し、黒船来航から桜田門外の変
に至るまで、彼の激動の半生を、その政治手腕を軸に、じっくりと描いている。


見どころの一つは、大河内伝次郎演じる井伊直弼と水戸斉昭(山本嘉一)との対決である。

「勅許を得ずして何故条約に調印したか」の面責に応え「幕府の特権にて調印致し申した。
それに前もってご内諾を得ております故」

「紅毛人に神国の地を踏ませて残念とは思わぬか」との詰問にも「時節至れば已むを得ませぬ」
と応え、その昂然たる風格は、山本嘉一の老練に対し少しもひけをとらなかったのである。


 
 
 製作   日活

  監督   池田富保

  配役    井伊直弼 大河内伝次郎 一橋大納言慶喜 桂武男
      水戸斉昭 山本嘉一 松平久之充 葛木香一
      有村治左衛門 尾上多見太郎 関鉄之助 新妻四郎
      三條大納言実万 岡田時彦 芸妓おあき 酒井米子

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