そよかぜ 1945年(昭和20年) 邦画名作選 |
みち(並木路子)は18歳の少女。 母と一緒に劇場の裏方として働き、
照明係を勤めながら歌手を夢見ている。
楽団員たちはそんなみちの才能を見抜き、歌を教えていた。
楽団長の舟田(上原謙)や年長の平松(斎藤達雄)はみちに優しかった。
だが、横山(佐野周二)とみちはお互い意識しながら、口を開けば
憎まれ口の応酬になってしまうのだった。
歌手を夢見る照明係の娘(並木)が、有名歌手になっていくサクセスストーリー。
本作は、ヒロイン並木路子の歌声と赤いリンゴ、そして青空の対比が描き出す明るい
イメージが、敗戦直後で荒んだ人々の心を癒し、大きな希望を与えたのだった。
戦禍によって建物が傷つき、イスが足りなくても、人々は一円の入場料を払い、
映画館につめかけ、入口の扉が閉まらないほどの満員状態という人気ぶりだった。
本作の挿入歌「リンゴの唄」が爆発的なヒットとなり、歌った並木路子は、この年
の大晦日に開催された「紅白音楽試合」に出場。
これは、GHQによって「歌合戦」という言葉が好戦的であるとして禁じられたため
「音楽試合」となったもので、事実上の「第一回紅白歌合戦」であった。
製作 松竹
監督 佐々木康
配役 | みち | 並木路子 | 舟田 | 上原謙 | |||||||||
みちの母 | 若水絹子 | 平松 | 斎藤達雄 | ||||||||||
横山 | 佐野周二 | 歌手 | 霧島昇 |
赤いリンゴに くちびる寄せて だまって見ている 青い空 リンゴは何にも いわないけれど リンゴの気持ちは よくわかる リンゴ可愛いや 可愛いやリンゴ あの娘よい子だ 気立てのよい娘 リンゴによく似た 可愛いい娘 どなたがいったか うれしいうわさ 軽いクシャミも トンデ出る リンゴ可愛いや 可愛いやリンゴ (作詞:サトウハチロー 作曲:万城目正 唄:並木路子) |
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