丹下左膳 第一篇   1933年(昭和8年)     邦画名作選

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伊賀の国、柳生藩主の弟、柳生源三郎(沢村国太郎)は名だたる剣客であった。

彼は、江戸の司馬道場の娘・萩野(山田五十鈴)との縁談がまとまり、江戸に上ろうとしていた。

だが、婚礼の引出物である家宝「こけ猿の壺」が何者かによって盗まれてしまう。

壺を奪ったのは、司馬道場の乗っ取りを企む師範代・丹波の陰謀であると判明する。

柳生家では、壺の奪回のため、より抜きの一隊を江戸に差し向けた。


一方、源三郎は、植木職の姿で萩乃の家を訪れ、丹波の企みを知らせようとする。

だが、待ち構えていた丹波の門弟たちが、源三郎に襲い掛かる。

すると突如、隻腕隻眼の丹下左膳が現れ、快刀乱麻の活躍で源三郎の窮地を救う。

かたじけないと言いつつも、源三郎は、左膳が無類の剣の使い手であることを知る。


共に人に譲らぬ剣客であることは、すなわちどちらか一人は倒れなければならない。

かくして、源三郎対丹下左膳の宿命の対決は、避けられぬものとなってしまった…。



毎日新聞に連載された林不忘の時代小説「新版大岡政談」の続篇として作られた作品。

柳生家に伝わる「こけ猿の壷」とそこに隠された埋蔵金の争奪戦を描いた物語である。


丹下左膳は、原作では悪人であったが、伊藤大輔監督の脚色により、柳生一族の窮地を
左膳が救い、信頼で結ばれるという正義のヒーロー的要素を増した描き方がされている。

なお本作は、原版103分であったが、欠落部分が多く、45分程度の現存版が残されている。




 

  製作  日活

  監督    伊藤大輔   原作  林不忘

  配役    丹下左膳 大河内伝次郎 司馬十万斎 高勢実乗 峰丹波 市川小文治
      柳生源三郎 沢村国太郎 萩野 山田五十鈴 チョビ安 中村英雄
      柳生対馬守 阪東勝太郎 お蓮 伊達里子 櫛巻お藤 吉野朝子

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