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翌朝寝坊したジョーは、まだ眠っている娘を部屋に残し、新聞社へ向かう。
記者会見を、うっかり寝過ごした彼は、行ってもないのに、支局長に報告。
支局長から 「アン王女は急病で、記者会見は中止」 と大目玉を食らう羽目に。
だが新聞に掲載されていた王女の写真をみて驚く。
それはさきほどまで酔っ払いと思っていた娘とうりふたつだったからである。
そこではじめて昨晩の娘の正体が、実はアン王女だったことに気づくジョー。
ふってわいたチャンスに色めき立った彼は、王女と一日をすごそうと画策する。
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【第二課 第二節】
(此时,大使馆里,安公主不见踪影,大家一片哗然。
在大使馆中一间房里,大使坐在桌子前,伯爵夫人坐在正面的椅子。
将军站立在旁边。卫兵恭敬地走到大使面前)
大 使: 怎么样?
卫 兵: (公主) 没有 (找到) ,阁下。
大 使: 楼下你有没有去找?
卫 兵: 每一个地方都找过了。包括地下室。
大 使: 我相信你不会对外泄露消息的。我得告诉你,公主是王位的直接继承人。
这件事必须列为最高机密。你可以发誓保密吗?不透露消息给任何人。
卫 兵: 是的,阁下。
大 使: 很好,现在我们得向皇上陛下报告此事。
(乔回家进屋一看,才发现她在乔的床上睡觉。
乔抱着她,把她身子抛到旁边沙发上去了)
安 : 好快乐。
乔 : 我也一样。真倒霉。
( 大使馆报告,安公主突患疾病)
(第二天中午,本打算去公主记者招待会的乔,睡过了头)
乔 : 和公主见面吹了。十一点四十五分。
(乔打计程车焦急地赶到了报社)
乔 : 你好。
秘 书: 早上好,乔。韩德森先生一直在找你。
(听了秘书的话,乔太紧张了。他心里想,自己没赶上记者招待会的事情,已经被局长发现了?)
乔 : 非常感谢。
(乔把秘书剩下的咖啡一口喝完,深吸了一口气,敲了办公室的门)
局 长: 进来。
乔 : 你是不是一直在找我呀?
局 长: 是的,你要出勤。
(局长狠狠地瞪了他一眼)
乔 : 什么? 我?
(乔看着局长秃顶的脑袋,故意装糊涂地说)
局 长: 我们社里的新闻。总比人家晚半个小时。我们在职务的分配上…。
乔 : 我昨晚就接到分派的任务了。
局 长: 你接什么任务了?
乔 : 十一点四十五分和公主见面。
局 长: 你已经和公主见面了?
(局长用怀疑的目光看了他一眼)
乔 : 当然,我现在才刚回来。
(局长突然笑容满面地对他说)
局 长: 是这样,那我向你道歉了。不要紧。好了…来…告诉我。她有没有回答问题?
乔 : 不会,只是些例行的…。
局 长: 好了…你现在不必急着找了。我这还有一份备份问卷。
在欧洲加强联系的问题上。他们有什么构想呢?
乔 : 她有着很好的构想。
局 长: 她真的这么说吗?
乔 : 她说有两种影响。从直接及问接的方面来说。是…是这样的影响。
局 长: 真是见解深刻。
(局长拿出采访问卷,询问乔对于这些问题公主是怎么回答的。乔只得开始瞎局长)
乔 : 自然她不会认为问接的影响。跟直接的影响相同。当然这也不会是相同的。
接着她谈到了主题…。没有人可以完全体会,就这样。
局 长: 他们可真会摆脱问题呀。他们愚弄了你,你知道吗?我怀疑他们其中尚有许多内情。
你觉得在未来的外交关系上。是谁在扮演主力呢?
乔 : 年青人!她认为是年青人的世界。可以领导世界走向…更美好的世界…。
局 长: 相当有创意。对了,顺便再问一下。她今天穿了什么?
乔 : 你是说她穿了什么式样的衣服?
局 长: 是的,在一般的意思上是这样。怎么了,这里很热,是不是?
乔 : 不…我只是刚急着赶回来而已。
(局长又问道公主今天穿了什么,乔支支吾吾,急得出了一身汗)
局 长: 对了…你还说。你提到的故事情节。你是说她穿着灰色的衣服?
乔 : 不,我并没有这样提过。
局 长: 可她通常都是这么穿的呀。
乔 : 那么它是有一点灰…。
局 长: 我了解你的意思。是一种金色的,对吗?
乔 : 对,就是那一种。你说得正确极了。
局 长: 我觉得你讲得非常好。其实事实上。公主今早她患疾病了。
正躺在床上,发着高烧。并且取消了全部的活动。你刚才…所说的一切。
到底是怎么回事?我希望你说老实话。
(局长站了起来,吐着几口唾沫,语气加重地说)
乔 : 全部? 全部活动?
局 长: 是的!白莱德,取消…全部!
乔 : 真是很难下咽。
(说话被揭穿,乔尴尬极了,一时不知道说什么好)
局 长: 根据你说的事实你刚离开会场。你来看看这张罗马首页的新闻吧,看一看··。
乔 : 好吧,好吧,我睡过头了。这是每个人都会遇到的。
(局长拿了一张印有公主像片的报纸。
乔看到了公主的照片后大吃一惊,原来他昨晚带回家的女孩是公主)
局 长: 如果你起得早你就会看到早报。也会预先知道这个消息。
一件将军所关注有兴趣的消息,如可以防止未来在金价的变动,股票及你所提出的谎话。
如果我是你会改行做些轻松的工作。比方说,床铺管理员等等。
(局长还在一旁喋喋不休,讽刺挖苦着他。乔凝视报纸上的那张照片,局长的一句话都听不进去了)
乔 : 你说这就是公主?
局 长: 没错,她就是公主。她就是淑女中的典范。你再好好地看一看吧。
你可能今后还会去拜访她呢。
乔 : 我没有被开除?
局 长: 不,你没有被开除。我如果要开除你,就不会让你说这么长了。
你自己知道该怎么办。
(局长冲着他怒气冲冲地说。乔拿着报纸匆匆忙忙走开了)
局 长: 这人有点不对劲呀。
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【注 釈】
【皇上陛下】huáng shang bì xià 国王並びに皇后陛下。(their majesties)
【韩德森】hán dé sēn ヘンダーソン。(Henderson)
アメリカン・ニュース・サービス社ローマ支局長。ジョーの上司。
【你要出勤 chū qín】 これから出勤か?(just coming to work)
「要」は着手を表す助動詞。
<用例>他要回来了。(彼はこれから戻る)
【分派】fēn pài それぞれに任務を言い渡す。配属する。(pick up)
【例行】lì xíng きまりどおり行う。 公事を型の如くとり行う。
【备份】bèi fèn 予備(のもの)。スペア。(copy)
【问卷】wèn juàn アンケート(用紙)。(questions on the list)
【体会】tǐ huì 理解(する)。体得(する)。身にしみてよくわかる。(understand)
【摆脱】bǎi tuō (牽制・束縛・困難などから)抜け出す。逃れる。脱却する。(break away from )
【愚弄】yú nòng からかう。愚弄する。なぶりものにする。(make fun of)
【顺便】shùn biàn 〔副詞〕ついでに。
【式样】shì yàng 様式。型。デザイン。(design)
【你还说】 話を続けろ。「还」は継続を表す時間副詞。
<用例>我叫他别唱了,他还唱。(もう歌うなと言うのにまだ歌っている)
【故事】gù shi 物語。お話。(story)
【情节】qíng jié 筋。ストーリー。経緯。内容。(details)
【下咽】xià yàn 飲み込む。飲み下す。(swallow)
【睡过头】shuì guò tóu 寝過ごす。(over sleep)
【关注】guān zhù 関心を持つ。重大な注意を払う。(have interest in)
【改行】gǎi háng 転業する。商売を変更する。くら替えする。(change your job)
【床铺】chuáng pù 寝床。(bed)
【淑女】shū nǚ 淑女。レディー。(lady)
【典范】diǎn fàn 模範。手本。(model)
【你可能今后还会去拜访 bài fǎng 她呢】 今後も彼女と会見する機会もあるだろうからな。
(you might be interviewing her again some day)
「还」は継続を表す時間副詞。「会」は可能性を表す助動詞。
<用例>这种状态还会继续一段时间吧。(この状態がしばらく持続するだろう)
【不对劲】bù duì jìn 変だ。おかしい。(strange)
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【口語訳】
(その頃、アン王女が行方不明になったとの知らせに、大使館は騒然となっていた。
大使館の一室。大使はテーブルの前に、伯爵夫人は正面の椅子に座っている。
かたわらには将軍が立っている。ひとりの衛兵がうやうやしく大使の前に進み出る)
大 使: どうだ?
衛 兵: (王女は) どこにもおられません。
大 使: 庭もさがしたのか?
衛 兵: 地下室までくまなく。
大 使: では、このことは内密に。言っておくが王女様は王位継承者であられるお方。
よってこの事態は国家の最高機密である。誰にもこのことは漏らしてはならない。秘密を守ると約束できるね?
衛 兵: 了解です、閣下。
大 使: これでよろしい。このことは陛下にご報告せねばなりませんな。
(家に帰ったジョーは、彼女がジョーのベッドの上で寝ているのを発見。
彼女を抱き上げ、そばのソファーの上に放り投げるジョー)
ア ン: …光栄です。
ジョー: こちらこそ。…まったく、もう。
(朝の新聞記事 大使館より緊急配信。アン王女が突然の発病)
(目が覚めて、昼過ぎまで寝込んでしまったことに気付くジョー)
ジョー: しまった、王女との記者会見が…。11時45分だったのに。なんてこった。
(ジョーは、慌ててタクシーをつかまえ、勤務先の新聞社に駆けつける)
ジョー: おはよう、ハニー。
秘 書: おはよう、ジョー。 ヘンダーソンさんがお待ちよ。
(ジョーは秘書の言葉に凍りついた。記者会見に行かなかったことが、やはり支局長にバレているのだろうか)
ジョー: ごちそうさま。
(ジョーは、秘書の飲みかけのコーヒーを一口すすると、大きく深呼吸してから、支局長の部屋をノックした)
支局長: どうぞ、入りたまえ。
ジョー: 支局長、お呼びですか?
支局長: いま来たのか?
(支局長はデスクから思いきりジョーを睨みつける)
ジョー: 私が? どういうことですか。
(支局長の禿げ上がった頭を見下ろしながら、ジョーはとぼけたふりをする)
支局長: 当社のニュースは、他社に比べていつも30分は遅れている。仕事の任務にしても…。
ジョー: 仕事上の任務なら昨晩引き継いでますよ。
支局長: じゃあ、どんな任務だ?
ジョー: 11時45分、王女の記者会見ですよ。
支局長: 記者会見に行ったのか?
(支局長は疑わしい目でジョーを見た)
ジョー: ええ、たった今。
(支局長は突然上機嫌になり、ジョーににこやかに話しかける)
支局長: そうだったのか、これは失礼した。まあ、それはひとまずおいて。
よろしい、では聞くが、会見では王女が質問に答えられたのか?
ジョー: まさか、型どおりの回答がいくつかあっただけですよ。
支局長: そうか、いや君は取材メモを探す必要はない。質問状の予備はここにある。
では、ヨーロッパ連合の結成についてのご意見は?
ジョー: 彼女は素晴らしい構想があると。
支局長: 彼女は本当にそう言ったのかね。
ジョー: その効果は二つあって、直接的な側面と間接的な側面から説明できると、つまり…そういった効果でして。
支局長: なるほど、見識が深いな。
(支局長は取材メモを取りだし、記者会見の内容をジョーに尋ねる。
ジョーは、適当なことを言ってなんとかごまかそうとした)
ジョー: もちろん彼女は、間接的効果と直接的効果は同じ物とは考えていない、当然同じ物であるはずがない。
続いて彼女は主題について述べ、その要点は、この効果を完全に理解できる者など誰もいない、
つまりそういうご意見でした。
支局長: 彼らの話は問題点から逸脱しているな。彼らは君をからかっているんじゃないのか、そうだろ?
私は彼らの中にまだ多くの内部事情をかかえているとにらんでいる。
ところで君は、将来的な外交関係について、誰が主役を演ずると思うかね。
ジョー: アン王女いわく、世界の若い力がより良い未来を築くと。
支局長: なるほど、それは斬新な考えだ。よし、ついでに聞くが…彼女の今日の服装は?
ジョー: 何を着てたかって意味ですか?
支局長: そう一般的に言えばそういうことだ。どうした、部屋が暑いのか?
ジョー: いいえ、走って来たので。
(すると支局長は、今日の会見で、王女は何を着ていたのかと唐突に尋ねる。
ジョーは思わず言葉に詰まり、冷や汗をかきながら何と答えようかと思案した)
支局長: もっともだ。さあ話を続けてくれ、君が述べている物語のあらすじをな。
で、彼女の服の色はグレー?
ジョー: いや、そんなことを言ったおぼえは。
支局長: いつもグレーなのに。
ジョー: そういえばグレーに近かったような。
支局長: わかった、あの金色のだ、そうだろ?。
ジョー: そうそう、それです。確かにそれだ。
支局長: なかなか良い説明だったよ。だが事実はこうだ。王女は今朝、急病になり、高熱で今も床に伏せておられる。
よって今日のご公務はすべてキャンセルされた。先ほどからお前が言っていることは一体どういうことだ。
本当のことを言ったらどうだ。
(支局長は立ち上がって、つばを飛ばしながら語気を荒げた)
ジョー: …す、すべて中止?
支局長: そうだ、ジョー・ブラッドレー。すべて中止だ。
ジョー: そんなバカな…。
(自ら墓穴を掘ってしまった。ジョーは居たたまれなくなり、眉間にしわを寄せた)
支局長: お前はたった今、王女に会ってきたそうだが、このとおり朝刊の一面をよく見てみるがいい。
ジョー: わかった、わかったよ、実は寝坊して遅刻したんだ。でも寝坊するのはよくあることでしょう。
(局長は王女の写真が載っている新聞を取り出す。
ジョーは王女の写真を見て胆をつぶした。昨晩家に泊めた彼女はなんと王女だったのだ)
支局長: 早起きして朝刊を読んでいれば、この情報はすぐ目の前にあったのにな。
某国の将軍が関心を持ったという興味深い記事もある。
将来の金相場の変動、そして株式やお前がでっち上げたでたらめな話などを防止することができるという記事だ。
もし私がお前なら、こんな気楽な仕事はやめて何か別の仕事を探すがね。たとえば寝床の管理人とか。
(支局長の延々と続く説教は、朝刊にくぎづけのジョーにはまったく聞こえていなかった)
ジョー: これが王女!?
支局長: そうだ、これが王女だ。彼女は貴婦人の手本と言ってもいい。
よく見ておけ、いつかまた取材のチャンスがあるかもしれん。
ジョー: つまり私はクビに?
支局長: いや、まだだ。クビにする気があったら、お前のくだらん長話につきあうはずがあるまい。
お前は自分が何をしたらいいかわかってるだろうな。
(支局長はえらい剣幕で怒鳴ったが、ジョーは朝刊を手にしたまま慌ただしく部屋を飛び出した)
支局長: 頭がどうかしてるな、まったく。