父ありき 1942年(昭和17年) 邦画名作選 |
中学教師の堀川周平(笠智衆)は、妻に先立たれ、息子、良平と二人暮らし。
修学旅行で生徒が事故死し、周平は責任をとって辞職する。
息子を進学させるため単身上京して働く周平。
良平が教師となり、彼の花嫁候補も見つかり、やっと一息つけると思った矢先、
周平は倒れてしまう。
長年脇役をつとめて来た笠智衆が主演する数少ない作品のひとつ。
息子を大切に育て上げ、誠実に生きた男の人生が描かれている。
本作は、優しさと厳しさを兼ね備えた理想の父親像が描かれているとして、
文部省推薦映画に指定された。
戦前の小津は「生まれてはみたけれど」など、笑いとペーソスを交えて、
気弱で頼りない父親ばかりを描いて来た。
だが実際のところ、戦前は頑固で厳格な父親が多かったという。
この頃は、既に太平洋戦争に突入しており、軍や政府は、戦意高揚のための
映画を奨励している時期であった。
映画は時代を映す鏡という。小津は、戦時期に相応しい父親像を描いたのである。
製作 松竹
監督 小津安二郎
配役 | 堀川周平 | 笠智衆 | 黒川保太郎 | 佐分利信 | |||||||||
良平 | 佐野周二 | 平田真琴 | 坂本武 | ||||||||||
少年時代 | 津田晴彦 | 清一 | 大塚正義 | ||||||||||
ふみ | 水戸光子 | 内田実 | 日守新一 |