元気で行かうよ 1941年(昭和16年) 邦画名作選 |
絹代(田中絹代)は、書店に勤めて家計を支え、父と弟と三人暮らしをしている。
父親(河村黎吉)は、一攫千金を狙って、金鉱探しにうつつをぬかす道楽者だった。
絹代は、何とかして父親を、山師業から足を洗わせようとしていた。
絹代の弟(和田昭人)は、ある製図会社で給仕のアルバイトをしている。
あるとき、その弟が会社の上司(佐野周二)にぶたれて怪我をしてしまう。
気の強い絹代は、上司に文句を言うため、会社へ出向いて行く。
ところが、よく話を聞いてみると、どうやら弟が社員のランチ代をごまかして
小遣いを稼いでいた事が分かる。平謝りに謝る姉の絹代。
これがキッカケとなり、上司は、弟を通して絹代の家庭の事を知るようになり、
やがて二人は、恋模様を繰り広げていくのだった。
主演の佐野周二は、人気絶頂だった1938年(昭和13年)7月、中国戦線に応召され
1941年2月の帰還まで二年半余り、彼にとって手痛いブランクとなった。
本作は、軍隊生活を余儀なくされ、ようやく帰還した佐野を励ますようなタイトル
と共に、彼の俳優復帰を祝って、松竹オールスター総出演で制作された傑作である。
配役は、佐野周二と上原謙は友人、彼らの上司が佐分利信、その妻が桑野通子、
佐野周二の妹役で上原謙の婚約者が高峰三枝子、という豪華キャストとなった。
本作で、田中絹代の弟は、会社のお茶くみや雑用など、いわゆる給仕業務を担当している。
同年の「花は偽らず」など、他の作品にも、小学校高学年から中学生ぐらいの
給仕をする男の子が登場する。
この当時、こうした小使いのような役割を担う子供が、会社の事務所の中に
存在していたことに気づかされるのである。
製作 松竹
監督 野村浩将
配役 | 今井周二 | 佐野周二 | 青木謙 | 上原謙 | |||||||||
妹・三枝子 | 高峰三枝子 | 沖田絹代 | 田中絹代 | ||||||||||
大塚信 | 佐分利信 | その弟 | 和田昭人 | ||||||||||
妻・通子 | 桑野通子 | その父 | 河村黎吉 |