| うぐひす侍 1939年(昭和14年) 邦画名作選 |

青葉藩の足軽奉公人・由解新八郎(片岡千恵蔵)は、妹の加津子(大倉千代子)と二人の貧乏暮らし。
毎日、内職の藪うぐいすを捕りに出かけているうちに、近所の百姓の子供たちと仲良くなった。
ある日、子供たちが彼の握り飯を奪い合って食ってしまったことから、百姓たちがひどい飢饉に
苦しんで、粥もすすれぬ悲惨な状況にあることを知った。
新八郎はどうにかして、餅のひとつも分けてやりたいと、城中の誰れ彼れなしに借金を申し込む。
しかし何処も同じ、ありそうで無いものは「金」である。
困っていると同僚の鴫野式之助(原健作)が、面白半分に一計を案じて、城中一の美人、家老・鷲津頼母の
娘・鶴江(市川春代)に、首尾よく恋文を受け取らせたら、五両の金を都合しようと言ってきた。
そこで新八郎は、うぐいすをオトリに使い、難なく鶴江に近づいたのだが、家老の知るところとなり、
激怒した家老・鷲津頼母の前に呼び出された。
新八郎は臆せず、頼母に向かって百姓の窮状を訴え、藩の悪政をなじったが、意外にも彼をまことの武士と
見込んで、頼母が打ち明けた事実は、頼母を失脚させようと企む次席家老・虎山主膳一味の悪計であった。
原作は、1937年「サンデー毎日」に掲載された山手樹一郎の同名時代小説。
生活の糧にうぐいすを飼う青葉城の一藩士が、お家騒動に巻き込まれて波乱万丈の末、悪人一味を
一網打尽に滅ぼすというユーモアと風刺とスリルに満ちた異色篇。
主人公・うぐいす侍は、身分の低い足軽の身であるが、藩内きっての剣道の達人であり、悪人どもを
大根を斬るが如く、ブッた斬ってお家騒動を解決する快男子である。
単に武勇の徒であるばかりでなく、百姓の子供らを憐れむ人間性豊かな人物でもあり、ユーモアと
機智に富んだ彼の行動は、至る所で笑いと称賛の声が上がっている。

主人公の新八郎を演じた片岡千恵蔵は、こうした性格の武士に現実性を与えることに長じており、
うぐいす侍の機智や諧謔は、まさに千恵蔵でなくては、この映画ほど明るく流れ出ないであろう。
その点、監督兼脚本を担当した丸根賛太郎は、千恵蔵の個性に適格な題材を選んだわけである。
製作 日活
監督 丸根賛太郎 原作 山手樹一郎
| 配役 | 由解新八郎 | 片岡千恵蔵 | 鶴江 | 市川春代 | |||||||||
| 野呂木半兵衛 | 沢村国太郎 | 加津子 | 大倉千代子 | ||||||||||
| 鴫野式之助 | 原健作 | 虎山主膳 | 市川小文治 | ||||||||||
| 鷲津頼母 | 志村喬 | 陸奥太平 | 団徳麿 |