宮本武蔵 地の巻   1937年(昭和12年)     邦画名作選
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関ヶ原の戦いの敗残兵は単身故郷に帰るも、落ち武者狩りや騙し討ちに遭遇する。

生きる目標を失った武蔵(たけぞう)は、すっかり心がすさんでしまう。

そんな彼を救ったのは、沢庵和尚と幼馴染のお通であった。

沢庵に出会い捕縛された武蔵は、自分の生きる道を説いてもらう。

剣禅一如を目指し、剣の道に生きる志を立て、名乗りを宮本武蔵と改める。



1935年(昭和10年)朝日新聞に連載された吉川英治の同名小説を、尾崎純監督が映画化。


本作「地の巻」は、手の付けられない暴れん坊であった武蔵(たけぞう)が、禅僧・沢庵の
教導により、ひとりの人間として知性に目覚めていく姿が描かれる。

吉川武蔵は、戦前は片岡千恵蔵の独壇場であった。

同年「宮本武蔵 風の巻」で黒川弥太郎が武蔵を演じたが、あまり評判にならなかった。


武蔵の恋人役のお通には、当時、宝塚のトップスターであった轟夕起子が引き抜かれた。

これは千恵蔵の、お通役にぜひとも轟夕起子をという、たっての希望のためだった。

破格の契約金による引き抜きだったため、世間を驚かせ大事件となった。


だが当の轟は、宝塚に未練たっぷりで、日活への入社は本意ではなかった。

撮影所入りの日が来ても、彼女は出社せず、一週間のストライキを決行した。

宝塚で仲の良かった橘薫に慰められて、泣く泣く本読みに加わったという。


だが本番になると、武蔵を慕うお通を可憐に華やかに演じ、時代劇の撮影所には
類のない、まばゆいばかりの近代的な美貌がたちまち注目を集めた。



 
 
 製作   日活

  監督   尾崎純  原作 吉川英治

  配役    新免武蔵 片岡千恵蔵 お通 轟夕起子
      池田候 沢村国太郎 朱美 大倉千代子
      本位田又八 原健作 お甲 衣笠淳子
      森野三兵衛 志村喬 沢庵和尚 河部五郎

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