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物語の主人公 「大神一郎」 は、帝国海軍士官学校をトップクラスで卒業した若き海軍少尉である。

本人は軍艦勤務を志望していたのだが、希少な高い霊力を持つことから帝国華撃団配属となった。

着任を命じられた大神は、意気揚々と待ち合わせ場所の上野公園へ出向く。
そこで彼を待っていたのは、仙台から上京して間もない 「真宮寺さくら」 だった。

彼女の導きによって、大神は、銀座の帝国華撃団本部へと出頭する。
しかし、そこは少女歌劇団員が舞台に立つことで有名な 「大帝国劇場」 だった。

何がなんだか訳が分からず、途方に暮れる大神一郎であった…。



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【第五課 第二節】

接受了 「帝国华击团队长」 任命的海军少尉大神一郎,奉命来到指定的合流地点 —— 上野公园。
而在纷飞的樱花之中,来迎接他的正是花组的新人 —— 真宫寺樱。

樱     : 对不起 … 请问是大神一郎少尉吗?
(一个很好听的女孩子的声音在背后响起)

大   神: 是,我是大神 … !
(回过头来,站在面前的是一个穿粉红色和服的少女,大概16、7岁的样子,
长长的头发绑起来的马尾和头上的蝴蝶结感觉上都很适合她)

樱     : 我是米田中将交待我来为你带路的。
大   神: 啊,那你是!?
樱     : 我叫真宫寺樱,请多多指教!大神少尉。

(看着她的浅浅笑容,大神有些难以置信的问道:)
大   神: 请问,你是帝国华击团的人吗?
樱     : 是的! 我是帝国华击花组真宫寺樱。

大   神: 啊 … 我是帝国海军少尉 大神一郎。
            不过 … 没想到你这样的年轻女孩子会是队员,说实话我吃了一惊。

樱     : 我看起来很不可靠么?
大   神: 啊 … 不、不是 … 我不是这个意思。

(她扑哧一笑说道:)
樱     : 那,我们走吧。

(两人一同来到位于银座的大帝国剧场)
樱     : 我们到大帝国剧场了!
大   神: 剧场 … ?  我没听错吧? 可是 … 我有任务在身呀!

(她微笑着说:)
樱     : 那儿就是部队的秘密指挥所!

(和樱从大门口走进去,见到那气派的玄关,不由得令人赞叹起来)
大   神: 真是奢华的大门呢,不过说起来这里还真是静呀,一个人也没有。
樱     : 因为今天只有晚场,不过马上就要开演了,很快客人就会多起来了哟。

爱丽丝: 嘻嘻!  大哥哥是樱姐的男朋友吗?
(突然一个可爱得像洋娃娃般的小姑娘出现在面前)

樱     : 爱丽丝!不可以开大人的玩笑喔!
              这位可是调任到帝国华击团的大神一郎少尉哟。

(面对这样可爱的小姑娘任谁也生不起气来呢。大神弯下腰笑了笑)
大   神: 我是帝国海军少尉 大神一郎,请多多指教哟!

爱丽丝: 我是帝国华击团、花组的爱丽丝。还有,这是熊宝宝 「让·宝罗」,
              它是爱丽丝最好的朋友呢,你们可要好好相处哟。

(这真让大神吃惊,这样的小孩子竟然也是帝国华击团的成员,
她顶多也才10来岁,真是不可思议!!)

爱丽丝: 哎, 樱呀 … 。

樱     : 怎么了?
爱丽丝: 这个大哥哥也有灵力耶 … 他也要搭乘 「光武」 作战么?

樱     : 对呀。
爱丽丝: 爱丽丝 ··· 好讨厌战争。

(爱丽丝变得严肃起来。她的眼泪已经在眼眶里转了。
樱的眼中流露出怜悯的目光,仿佛在抚摸最喜欢的宠物身上的伤口那样小心翼翼:)

樱     : 不用担心,爱丽丝。来,我们到房间去,我念鹅妈妈的故事给你听。
爱丽丝: 嗯。

樱     : 啊、大神少尉,米田中将他在经理室里面,那我先失陪了。
(她说完牵着爱丽丝的手走了)

大   神: 她们走掉了,没办法,只好我自己去见米田中将了。

(正向前进,突然听见一声尖叫:)
堇     : 快来人呀!  快来帮忙呀!”

(听声音好像是从左边的餐厅里传过来,大神急急奔去。
走进餐厅,一位穿着紫色和服的少女坐在餐厅正中的桌子前。
哗 … 这服装也太大胆了吧,在日本一般没有女孩子会穿低胸和服的。
真是令人不敢直视她!)

堇     : 喂,那边的小哥。
大   神: 你、你是说我吗?
堇     : 除了你还有别人吗?别装傻了,快到这边来!
大   神: 喔、好的。

(大神硬着头皮走过去)
堇     : 叉子掉到地上了,你能不能帮忙换把新的过来呀?

(举手之劳,大神身边的餐桌正好有摆好的刀叉。他笑着把叉子递给她)
大   神: 可以呀,来,请吧。

堇     : 谢谢!对了,你对于当家花旦我神崎堇大小姐落选,
             马丽亚却当上歌剧院头头的事有什么看法?
             米田这臭老头也真是的,一点用人的眼光也没有!

(她愤愤地将叉子叉进盘子里的沙拉自顾自地说起来)
大   神: 那个 … 我是今天起分配到此的帝国海军少尉 大神一郎,能不能拜会一下米田中将。

堇     :  … !
(看样子大神的回答让她有一点小小的吃惊。不过她马上转变了态度:)

堇     : 哎呀,这该怎么办呀!我真是失礼了呀,呵呵呵呵 ···。

(说完这些她突然站起来很亲昵地挽起大神的手在他耳边耳语道:)
堇     : 刚刚这些话可别告诉米田先生哟!好吗?
(她说着,轻轻在他脸上吻了一下)
大   神: 哇啊,你、你这突然一下,想干什么啊!

(大神被她的这个动作吓坏了,这么近距离接触女孩子还是头一次,
他的脸就这么刷地一下子红了)

堇     : 嘻嘻,别不好意思嘛,只是稍微报复 … 不,是报答一下而已嘛。

大   神: 那、那个,米、米田中将他、他、人、人在哪里啊?
堇     : 哦,米田先生他人在经理室呢。先别管这个了,
            我真心拜托你,刚刚的话可别告诉别人哟。好么,小川少尉?

(被叫做 「小川少尉」,大神的整个脸都拉长了几分)

大   神:  … 我叫大神。

堇     : 总之就是这样啦,那么你快去吧!
(她终于肯放开大神的手,他也松了一口气)

大   神: 喔,好的。


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【注 釈】

【马尾】 mǎ wěi  ポニーテイル。
【蝴蝶结】 hú dié jié ちょう結び。

【交待】 jiāo dài 
申しつける。言い含める。(=嘱咐 zhǔ fù)
<用例> 他臨走前交待我把房門鎖好。
(出かける前、ドアにしっかりカギをかけるよう申しつけた)

【难以置信】 nán yǐ zhì xìn
信じがたい。(unbelievable  不容易相信)

【不可靠】 bù kě kào
頼りにならない。信用できない。
<用例> 他为人可靠。(彼は信頼できる)

【扑哧一笑】 pū chī yī xiào 
クスリと笑う。ぷっと吹き出して笑う。

【任谁也】 rèn shéi yě
たとえ誰であろうと。
「任」 [接続詞] たとえ~であろうと。(=no matter  无论)
<用例> 任谁也劝说不了她。
(彼女を説得できる者などいない)

【好讨厌  tǎo yàn  战争】
戦争は大嫌い。「好」 は程度副詞。
<用例> 你让我好找啊。(ずいぶん捜したよ)

【变得严肃  yán sù  起来】
表情がブルーになる。
「起来」 は状況変化を表す結果補語。
<用例> 谈着,谈着,变得亲密起来。
(話してるうちにだんだん仲良くなった)

【眼眶  yǎn  kuàng  里转  zhuàn  了】
(涙の粒が) 目の縁を行ったり来たりしている。
→ 涙が目にいっぱいあふれている。

【怜悯  lián mǐn  的目光】 あわれみに満ちた眼差し。

【小心翼翼】 xiǎo  xīn  yì  yì
〈成〉(言動が)慎重である。注意深い。

【鹅妈妈】  é mā ma
マザーグース (Mother Goose)
英国の子どものための伝承歌謡の総称。
遊び歌や早口ことばなど、さまざまな形がある。

【硬着头皮】 yìng zhe tóu pí
〈慣〉やむを得ず。しぶしぶ。

【举手之劳】 jǔ shǒu zhī láo
〈成〉造作もないこと。お安い御用。

【当家花旦】 dāng jiā huā dàn
一座のヒロイン。(本来は京劇の女形役者を指す)

【真是的】 zhēn shi de
まったくもう (あきれた、しょうがない)

【自顾自地】 zì gù zì de  (=只管自己)
自分勝手に。独りよがりに。

【拜会】 bài huì 訪問し面会する。
【耳语】 ěr yǔ 耳打ち (する)。ひそひそ話 (をする)。
【吓坏】 xià huài たまげる。びっくり仰天。

【刷  shuā  地一下子红了】
一気にかぁーと赤くなった。
「一下子」 は時間副詞。
<用例> 天一下子阴 yīn了下来。(空が一気に曇ってしまった)



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【口語訳】

帝国華撃団隊長への着任を命じられた海軍少尉、大神一郎は指定された合流地点 「上野公園」 へやって来た。
桜の花びらが舞い散る中、彼を迎えにきたのは花組の新人、真宮寺さくらだった。

さくら: あの … 大神一郎少尉ですか?

(後ろから涼やかな若い娘の声が聞こえてきた)

大 神: はい、自分が大神であります ・・・!

(振り向いた視線の先には一人の桜色の和服を着た少女が立っていた。年の頃は16、7 だろうか。
長い黒髪をポニーテイルにまとめ、蝶結びで結わえた姿は、少女にとても似つかわしく絵になっていた)

さくら: 米田中将の命令でお迎えに上がりました。
大 神: えっ、じゃあ、君が!?

さくら: 私、真宮寺さくらと言います。よろしくお願いします、大神さん。

(彼女の軽やかな笑顔に、大神はいささか信じ難い気持ちで尋ねた)

大 神: あの … 君は帝国華撃団の方ですか?
さくら: はい、私は帝国華撃団花組の真宮寺さくらです。

大 神: 自分は帝国海軍少尉、大神一郎です。
           でも … あなたのような若い女の子が団員とは想いもしませんでした。まったく驚きです。

さくら: 私って、そんなに頼りなく見えるのかしら?

大 神: あっ、いや、すみません … そういう意味ではありません。

(彼女はクスリと笑いながら言った)

さくら: それでは、まいりましょう。

(二人がやって来たのは、銀座にある大帝国劇場だった)

さくら: 着きました。ここが大帝国劇場です.
大 神: 劇場 … ? 自分は何か聞き違いでも … 自分は任務を受けて来たのですが。

(彼女はにこやかに微笑みながら言った)

さくら: ここが部隊の秘密基地なのです!

(正面から中に入ると、いかにも風格のある表門が見えた。
それは思わず賛嘆の声が出るほど素晴らしい造りだった)

大 神: 本当に豪華な入口ですね。そうは言っても意外とここは静かだな、人っ子一人いない。
さくら: 今日は夜の部だけですから。でも間もなく開演ですし、すぐにお客さんでいっぱいになりますよ。

アイリス: うふふ! お兄ちゃんはさくら姉さんのボーイフレンドかな?

(突然、一人の西洋人形のような愛らしい女の子が現れた)

さくら: アイリス! 大人をからかってはいけません。
     こちらは転任されて来た帝国華撃団の大神一郎少尉ですよ。

(こんなにかわいい女の子を前にしては、誰だって許してしまう気になるに違いない。
大神は腰を屈めてにこやかに笑いかけた)

大 神: 自分は帝国海軍少尉、大神一郎です、どうぞよろしく!

アイリス: 帝国華撃団花組のアイリスです。これは熊の「ジャンポール」。
       アイリスの一番のお友達なの。どっちもよろしくねっ。

(これには少なからず驚いた大神だった。こんな幼い子供が帝国華撃団員だと言うのか。
彼女はどう見てもやっと10歳余り。不可解とはまさにこのことだった)

アイリス: ねぇ、さくら … 。
さくら: どうしたの?

アイリス: このお兄ちゃんも霊力 (ちから) がある … 「光武」 に乗って一緒に戦うの?
さくら: そうよ。

アイリス: アイリス、戦争嫌い!

(アイリスの表情がくもった。彼女の目にはすでに涙がいっぱいたまっている。
さくらの目には、アイリスをいたわるような眼差しが見てとれた。
まるで大好きなペットの身の傷口を注意深くそっとなであげるように:)

さくら: 大丈夫よ、アイリス。さあ、お部屋に行きましょう。マザーグースの本を読んであげるから。
アイリス: うん。

さくら: あっ、大神さん、米田中将は支配人室にいます。それでは私たち、これで失礼いたします。

(彼女は話し終わるとアイリスの手を引いて立ち去った)

大 神: 彼女たちは行ってしまうし、しょうがない、自分自身で米田中将に会うしかないな。

(まっすぐに進むと、突然叫び声が聞こえた:)

すみれ: 誰か! 誰か来てちょうだい!

(声は左側のレストランの中から伝わってきたようだ。大神はあわてて駆けつける。
レストランに入ると、一人の紫色の和服を着た少女が中央のテーブルの前に座っていた。

うわっ、なんて大胆な服なんだ! 
日本では普通、女の子がこんなに胸元をあらわにした服を着るなんてありえない。
目のやり場に困るよ、ほんと!)

すみれ: ちょっと、そこのあなた。
大 神: じ、自分でありますか?

すみれ: 他に誰がいるの? ばか面してないで早くこっちにいらっしゃい!

大 神: はあ、わかりました。

(大神はぐっとこらえながら歩いていく)

すみれ: フォークを落としてしまったの。新しいのと換えてきてくださる?

(幸いそれほど手間はかからなかった。
大神の回りにある食卓にちょうど良いナイフとフォークが並べられていた。
彼はにこやかに笑いながらフォークを彼女に渡す)

大 神: OK、さあ、どうぞ。

すみれ: ありがとう! ところで … 。
      うちのヒロインにこの私 「神崎すみれ」 が落選して、あのマリアが歌劇団のトップだなんて、
      あなたどう思います? あの米田のマヌケ親父ったら、人を見る目がまったくありませんことよ。

(彼女は憤慨して大きな皿のサラダにフォークを突き立てながら手前勝手に話し始めた)

大 神: それが … 自分は今日からここに配属となった帝国海軍少尉、大神一郎であります。
      米田中将にお取次ぎ願いたいのですが。

すみれ:  … !

(大神の言葉は彼女をいささか動揺させたようである。さすがに彼女はすぐさま態度を変えてきた:)

すみれ: あらまぁ! どうしましょ、大変失礼いたしましたわ、おほほほ ・・・。

(しゃべり終わると彼女は突然立ち上がり親しげに大神の腕を引きよせながら耳打ちする:)

すみれ: 先ほどのお話、くれぐれも米田さんには内緒ですわよ。いいですわね?

(彼女はそう言いながら、そっと彼の頬に口づけをした)

大 神: うわっ! いきなり、な … 何をするんですか!

(彼女のこの行動は大神をパニックに陥れた。何せこんな近距離で女の子に接するのは初めてだったからである。
彼の顔はすっかり赤く染め上がった)

すみれ: うふふ … 照れなくてもいいのよ、これはちょっとした仕返し … ではなくてお返しですの。 

大 神: その … よ、米田中将、あ、あの方はどこにいるのですか?

すみれ: あら、米田さんなら支配人室よ。それはそれとして、私からお願いがありますの。
       くれぐれもこの事は他言無用ですわよ。よろしいですわね、小川少尉?

(彼女に 「小川少尉」 と呼ばれて大神の顔は幾分こわばった)

大 神: 自分は … 「大神」 です。

すみれ: とにかくそういうことで、じゃあ、あなたはもうお行きなさい!

(彼女はようやく大神の腕を解放した。彼もこれでほっと一息つくことができた)

大 神: はあ、わかりました。