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大帝国劇場に到着した大神は、その仰ぎ見るような威容さに驚く。
だが大神を待ち受けていたものは、帝都の平和を守る任務ではなく、
劇場にやって来る客の切符を切る 「モギリ」 の仕事だった。
しかも支配人の 「米田中将」 は昼間からの飲んだくれのおやじ。
さらに団員は皆女性で、訓練どころか女優として舞台に立っている。
はあ …… 初日からすっかり意気消沈をしてしまう大神であった。
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【第五課 第三節】
(大神似乎什么都不明白地离开餐厅)
大 神: 到底是怎么回事啊,这里是不是秘密部队的基地?
(好不容易终于找到经理室。大神正准备敲门,门自己开了。
出现在他面前的是一位金色短发的外国女人,很漂亮的蓝色眼睛!)
玛丽亚: 您是哪位?
(非常流利的日语,应该是下过相当的功夫来练习吧)
大 神: 我是帝国海军少尉大神一郎。想拜访一下米田中将阁下 …
玛丽亚: 你就是被分配到帝击来的大神少尉呀。初次见面,你好,我是玛丽亚·橘。
大 神: 玛丽亚·橘小姐 …
玛丽亚: 米田中将在这里经理室。我还有练习要做,那么失陪了。
(她说完转身就走开了。
看起来挺严肃的,不过,总算遇到一个比较像军人的人了。
她说的练习难道是军事体操之类的吗?
不明白的事情想也没用,终于能见到米田中将了,大神就敲了两下门)
米 田: 哦,进来!
大 神: 打扰了!
(大神推开门走进去,敬了个礼:)
大 神: 从今天 12:00 起分配到帝国华击团,帝国海军少尉大神一郎,现在前来报到!
米 田: 嗯,我听花小路伯爵说过了。
(只见面色潮红的糟老头,一手拿着酒瓶,大舌头地说着:)
米 田: 哎,别那么硬梆梆地打招呼了。这里可是大帝国剧院,军人的官腔就免了吧。
(说完举起酒杯一饮而尽)
大 神: (什么!? 这个醉醺醺的老头是谁?)
(大神真不敢相信自己的眼睛)
米 田: 来 … 喝一杯!.
大 神: (急急拒道) 不,我早上不喝酒的。
对不起 … 米田中将阁下 …
真的 … 就是您吗?
米 田: 你这个人真的是睁着眼睛说瞎话,没有肩章就分不出三六九等吗。
我就是陆军中将米田一基! 混帐东西!
(惹他生气了,大神急忙敬了个礼)
大 神: 多、多有冒犯,实在是对不起。
(看来是本人没错了)
米 田: 很好!了解了就好了,那么我派给你第一个任务吧!
换上这个衣服,然后到接待处去!
真是的,这身军服不是太招摇了吗,这里可是秘密部队呀。
(大神心里的一颗大石头终于落地了)
大 神: (原来如此 … 乔装打扮来执行任务啊,到底是秘密部队!)
了解了! 大神一郎这就开始执行任务!
米 田: 这家伙! 好像已经说过不需要了,赶快去!
(米田中将有些不耐烦了)
大 神: 是!
(大神敬了个礼从房间里退了出来)
(走出经理室,突然出现两个人影)
大 神: 樱还有 … 爱丽丝,没错吧? 你们在这里干什么?
(看来两人都有偷听的嫌疑 … )
爱丽丝: 都是樱不好,爱丽丝刚才已经就说过 「快点溜呀」 了吧!
(爱丽丝嘟起了嘴)
樱 : 都怪爱丽丝啦,「去看看什么事的」 这种话,不是你说的吗!
大 神: 哈哈 ··· 能不能告诉我接待处的地点?
(看到她们都快吵起来了,大神赶紧扯开话题)
爱丽丝: 爱丽丝来给大哥哥带路!
(说着拉起大神的樱的手。他们三人就这么牵着手一直走)
樱 : 大神少尉,这里就是接待处。
爱丽丝: 大哥哥,剪票机就在桌子里面哟!
樱 : 唉,我们要迟到了。大神少尉,我们还有练习要做 … 先告辞了。
大 神: 虽然不知道是什么练习,不过还请你们两位多多加油哟!
爱丽丝: 好的,大哥哥!
樱 : 剪票的工作也请多多加油喔!
大 神: … 剪票?
(大神还没弄明白是怎么回事两人就走掉了 … 人流渐渐多了起来)
客 人: 喂,我说小哥啊,你是新来的吗?快点帮我们剪票啊!还要让我们等到什么时候!
(一个可恶的大婶嚷嚷起来)
大 神: 我可不是管票务的喔!
客 人: 你身上穿的不就是剪票服吗? 开什么玩笑!
大 神: 我是 …
(就差一点 「我是帝国华击团、花组的队长!」 秘密部队这件事被曝光了可不行!)
大 神: 虽然我现在是在剪票,不过,其实啊我果然还是一个小小的剪票员啊 … 哈哈 …
(大神只好陪着笑用手中的剪票机帮她把票剪了)
客 人: 我早知道是这么回事了!
(那可恶的大婶抢一般的从我手中夺过票头也不回地就进场了)
客 人: 今天可是堇小姐主演的 「茶花女」 哟,麻烦你快点吧!
(另一个大叔也跟着抱怨起来。
大神加快速度一个个从排队的客人那里接过票。
具体的记不清楚了,大概剪了十多分钟吧,一个年轻书生把票递给大神问道:)
客 人: 请问你喜欢堇小姐吗?
大 神: 堇?
(好像是那穿着大胆和服的少女吧,她好像确实说过自己叫神崎堇的。
… 低胸和服 … 我的脸有些发热了)
大 神: 虽然很少和她说话,不过她可能是我喜欢的那种类型呢 … 哈哈。
(年轻人使劲地握着大神的手)
客 人: 你可以和堇小姐说到话么!
大 神: 是 … 是的
(看着他眼睛里闪出的光)
客 人: 这真让人羡慕啊!!
(他放开我的手从怀里掏出一个信封来)
客 人: 这封信请帮我交给堇小姐,好吗?就说是热情的戏迷写来的就行了!
大 神: 好、好的!
(大神从他手里接过信封。… 终于把客人们都送进场了)
大 神: 我不是为了保卫帝都的和平才来到帝国华击团的么?
好了,接下来该问问米田中将怎么回事了
—— 让我去剪票?
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【注 釈】
【大舌头】 dà shé tou (=舌头不灵活,说话不清楚) ろれつが回らない。
【硬邦邦】 yìng bāng bāng (=坚硬,严格,正正经经 ⇔ 随便)
四角四面。かちこち。(原義は触って感じ取る硬さを形容する語)
<用例> 白菜冻得硬邦邦的。(白菜は凍ってかちんこちんだ)
【军人的官腔就免了吧】 jūn rén de guān qiāng jiù miǎn le ba
軍人言葉は抜きにしよう。
官腔 (役人言葉) 打官腔 (役人風を吹かす。お役所答弁)
免了(面倒なことは) 抜きにする。省く。無用だ。
【三六九等】sān liù jiǔ děng (=许多等级) ランクづけ。
<用例> 不应该把工作分为三六九等。(仕事をさまざまな等級に分けるべきではない)
【扯开话题】chě kāi huà tí (=打断话头) 話を中断させる。
【低胸和服】dī xiōng hé fú (=穿领口低的和服) 胸元が開いた和服。
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【口語訳】
(なにがなんだか分からぬまま大神はレストランを後にした)
大 神: なんだったんだ一体 … ここは秘密部隊の基地じゃなかったのか …?
(ようやく支配人室を探し当てた大神。 叩こうとしたドアが内側から開いた。
目の前に現れたのは、ショートヘアの金髪に、美しい青い目をした外国の女性だった)
マリア: どちら様ですか?
(とても流暢な日本語、おそらく相当な練習を積んだのであろう)
大 神: 自分は、帝国海軍少尉 大神一郎です。米田中将閣下に お目通り願いたいのですが …
マリア: あなたが大神少尉ですか? はじめまして、私はマリア・タチバナです。
大 神: マリア・タチバナさん …
マリア: 米田中将はこちらの支配人室におります。 では私は稽古がありますのでこれで失礼いたします。
(彼女はそう言うと、大神に背を向け、そのまま立ち去った。
彼女の凛とした物腰は、何やら軍人のような雰囲気を漂わせていた。
彼女の言った稽古とは もしや軍事体操の類のものであろうか?
いずれにせよ、これから米田中将に会えるのだ、いらぬ考えは振りほどき、大神はドアをノックした)
米 田: おう! へぇんな!
大 神: 失礼いたします!
(大神は部屋の中に入るや敬礼していう)
大 神: 本日12時、帝国華撃団に配属となりました帝国海軍少尉 大神一郎、ここに出頭いたしました!
米 田: ああ、花小路伯爵から話は聞いてるよ。
(ふと見ると、大神の目の前には、しまりのない赤ら顔のおやじ。
彼は酒瓶を片手に持ち、ろれつの回らぬ口調でいう)
米 田: まあ、そうかてぇ挨拶は抜きにしようや。 でぇいち、ここはおめぇ、大帝国劇場だ。 軍人言葉はいけねえよ。
(そう言い終わるや、酒の杯を挙げ、ぐっと飲み干した)
大 神: (な、なんだ、このほろ酔い機嫌のじいさんは!?)
(大神は思わず自分の目を疑った)
米 田: まあ、おめぇも一杯どうだ?
大 神: (あわてて拒む) いえ、自分は朝から酒は飲みません。
あの … あなたは本当に … 米田中将閣下
… なのですか?
米 田: べらんめぇ! てめえは、階級章が無けりゃ人間が見分けられねえのかい?
そうとも、俺が陸軍中将、米田一基だ! バカやろう!
(どうも怒らせてしまったようだ。 大神は慌てて敬礼する)
大 神: し、失礼しました!
(どうやら本人に間違いなかった)
米 田: よぉし! わかればよろしい。 では最初の任務を申しつける!
こいつに着替えて、受付に行きな!
まったく、そんな軍服のまんまじゃ目だってしょうがねぇや。
なにせ秘密部隊なんだからよ。
(大神は、心の中の疑問がやっと晴れた気がした。
やはり … 変装して任務を遂行する。 まさにこれは秘密部隊にちがいない!)
大 神: 了解しましたっ!! 大神一郎、これより任務につきます!
米 田: こいつ! かてぇあいさつはいらねぇって、言っただろう! さっさといきな!
(米田中将は多少いらいらしているようであった)
大 神: はっ!
(大神は敬礼し、支配人室を後にした)
(支配人室を出た大神の前に、突然二人の人影が現れる)
大 神: さくらくん … そしてアイリス、だったね? こんなところで、何をしているんだい?
(見たところ二人は盗み聞きをしていたようだ)
アイリス: ほら、ね。 さくら、だから 「逃げよう」 って言ったのに!
(アイリスが不服そうに口を突きだす)
さくら : アイリスだって 「様子を見に行こう」 って言ったじゃない!
大 神: ははは … ところで受付の場所を教えてくれるかい?
(言い争いを始めた彼女たちを見て、大神は慌てて受付の場所を尋ねる)
アイリス: アイリスがお兄ちゃんを案内する!
(アイリスはそう言うと二人の手を引き始める。三人は手をつないでまっすぐ受付に向かって歩いていった)
さくら : 大神さん、こちらが受付です。
アイリス: お兄ちゃん、ハサミは引き出しの中にあるよ!
さくら : あっ、大変! 遅れちゃう!! 大神さん、ごめんなさい、私たち稽古がありますので、お先に失礼します!!
大 神: どんな稽古か知らないが、二人とも頑張ってくれ。
アイリス: アイリス頑張るよ、お兄ちゃん!
さくら : 「モギリ」 のお仕事も頑張ってくださいね!
大 神: … モギリ … ?
(大神は二人があわてて去って行ったのはどういうことなのかはっきりしなかった。 しかし人の流れはだんだん多くなってきた)
客 人: ちょいと!! そこのモギリのお兄さん! あんた新入りだろう? さっさと早くチケットを切っておくれよ!
まったくもう、いつまで待たせるんだよ!
(ひとりの口やかましいおばさんがわめき始める)
大 神: じ、 自分はモギリ … などではありません!
客 人: あんたが着てるのは、モギリの制服だろうが? つまらん冗談は言いなさんな!
大 神: じ、 自分は …
(あやうく 「自分は帝国華撃団、花組の隊長だ!」 という言葉が口に出そうになった。
いいや 「秘密部隊」 … この事については、決して表ざたにすることは許されない)
大 神: … 自分は、今モギリをしていますが、実は、 … ははは … やはりモギリ担当なんです。
(やむなく大神は愛想笑いを浮かべながら、手元のハサミで、客のチケットを切り始める)
客 人: いまさら分かり切ったことをお言いでないよ!
(そのこ憎らしいおばさんは、チケットを大神の手からひったくると、そのまま劇場の奥へ去って行った)
客 人: 今日は、あのすみれ嬢主演の 「椿姫」 なんです。 すみません、急いでくれますか?
(続いてやってきたおじさんも不平をこぼし始める。大神はい並ぶ客のチケットを次から次へと切り続けた。
はっきり記憶していないが、恐らく十数分ほど、チケットを切り続けたであろうか。
するとひとりの若い書生がチケットを大神に渡していう)
書 生: あなたはすみれ嬢をどう思いますか?
大 神: えっ!? す … すみれ?
(あの大胆な和服を身につけた女性のことか。彼女は確かに、自分は 「神崎すみれ」 と名乗っていたようだが…
あの胸をあらわにした和服の女性 … 大神の顔は多少赤らんだ)
大 神: 彼女とは話をしたことはありますが … 彼女は私の好きなタイプかもしれません …ははは…。
(その若い書生は力を入れて大神の手を握る)
書 生: あなたはすみれ嬢とお話したのですか!
大 神: は … はい。
(彼の眼の中でひとすじの光がきらめいた)
書 生: それは何とうらやましい。
(彼は私の手を解放すると、懐からなにやら一枚の封筒を取り出した)
書 生: この手紙をすみれ嬢にお渡し願えませんか? 熱烈なファンより、と伝えてください。 ではお願いしましたよ!
大 神: あ、はい!
(大神は彼から封筒を受け取る)
(ついに客達をすべて劇場内に迎え入れた)
大 神: 自分は、帝都の平和を守るために帝国華撃団に来たのではなかったのか?
よし、かくなるうえは、米田中将にどういうことか説明してもらおう
―― 自分にモギリをやらせたその理由を …