9月9日    モスラ  1961年(昭和36年)    邦画名作選     春夏秋冬 (重陽の節句)
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台風の直撃を受けた貨物船が、水爆の実験場であるインファント島付近で座礁沈没した。

救助された乗員たちは、無人と思われたその島に、原住民が生存していることを伝える。

実態調査のため、島に派遣された一行は、そこで妖精のような小さな女性「小美人」と出会う。

小美人は、巨大な蛾「モスラ」を、島の守護神としてあがめ、巫女として仕えているのだった。


だが調査隊の隊長ネルソンは、小美人を島から拉致し、東京で見せ物にして一儲けをたくらむ。

虜となった小美人は、テレパシーで島の守護神、モスラの救けを呼ぶ。

モスラは小美人の声に応え、海を渡って東京に来襲する…。



                      



巨大な蛾であるモスラが、まず卵で登場し、幼虫から繭を作り、成虫となって飛び立つという、

その変貌してゆく様子が「絵画」的に素晴らしく、特撮映画史上屈指の名シーンとなっている。


核の大国「ロリシカ」が、水爆実験の場所にしている南太平洋の無人島「インファント島」沖で、

日本の貨物船が遭難するという「第五福竜丸事件」をはっきりとなぞったエピソードで幕を開ける。


新聞の見出しは「生存者還る、気づかわれる原爆症」本作でも、貨物船「第二玄洋丸」が登場し、

見る側に、ビキニ環礁で「死の灰」を浴びた、第五福竜丸事件の記憶が蘇るのである。


ロリシカ国は、核実験を行っている大国で、明らかにアメリカを指している。さらに映画の後半、

モスラに破壊される都市は「ニューカーク」であり、これはまさにニューヨークを連想させる。

前作のゴジラは、水爆実験の落とし子であり、モスラもまた、卵の時にインファント島で被爆している。

まさに彼ら「怪獣」は、度重なる被爆を経験した日本人の、核の恐怖を物象化した存在だったのである。




 
 製作  東宝
  監督    本多猪四郎   特撮監督  円谷英二

  配役    福田善一郎 フランキー堺 小美人 伊藤ユミ 原田博士 上原謙
      花村ミチ 香川京子 小美人 伊藤エミ 中条博士 小泉博
      天野編集長    志村喬        ネルソン    ジェリー伊藤        中条信二    田山雅充  

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            モスラの歌


  モスラの歌     
       
  Mothra Ya Mothra    モスラよ モスラ 
  Dengan Kesaktian Hidupmu    汝の命の魔力で 
  Regtulah Doa Hamba−Hambamu Yang    身分卑しき 汝の下僕の 
  Renda Bangunlah Dan     唱える祈りを 受け入れよ 
  Tunjukanlah Kesaktianmu    起ち上がり 汝の魔力を 示し給え 
       
  Mothra Ya Mothra    モスラよ モスラ 
  Dengan Hidupamu Yang Gemilang Lindungilah Kami    平和をもたらす 我らの守り神よ 
  Dan Jadilah Pelindung  Perdamaian   光輝く汝の生命にて 
  Perdanaian Adalah  Hnya Jadian Yang   我らを 永遠(とこしえ)に守り給え 
       
  Tinggal Bagi kimi  Yang Dapat Membawa   平和は 我らに残された 生きる道 
  Kami Kekemak Muran  Yang  Abadi   永遠(とわ)の繁栄(さかえ)に 我らを導き給え
       
  作詞: 由起こうじ  作曲: 古関裕而     
  歌: ザ・ピーナッツ 1961年(昭和36年)