女の座    1962年(昭和37年)       邦画名作選

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商店を営む老いた父親(笠智衆)が倒れたという知らせが子どもたちのもとに届く。

子どもたちは次々と集まり、一時はあやぶまれた父親も、どうやら持ち直す。

しかし、三女(淡路恵子)とその夫は九州の実家に帰らず、そのまま居ついてしまう…。



成瀬映画でしばしば題材とされる大家族における嫁の地位をテーマとした作品。

東京オリンピック直前の変わりゆく東京の様子と絡め、ある一家の崩壊を描く。

昭和30年代後半、東京世田谷区あたりの荒物屋が舞台。
荒物屋は病死した長男の嫁・芳子(高峰秀子)を含み七人暮らしの大家族。

店は嫁の芳子が切りまわしている。しかし彼女はしょせん他所者。
次女の梅子(草笛光子)から「あなただけが他人だ」などと疎まれてしまう。


自分と家族を繋ぐのは息子だけと感じていた芳子だったが、その息子が事故死し、
跡取りを失った家の中で、芳子の嫁としての地位も危うくなってしまう。

物語の終盤、義父(笠智衆)夫婦が芳子を連れて三人だけで郊外へ立つシーン
帰る家もない芳子に、義父が「いつまでも一緒に、のんびり暮らそう」と語りかける。

義父のいたわりの言葉に、血縁関係を超えた絆を感じた芳子は、ようやく自分の
居場所が確保されたことを実感するのだった。



  製作  東宝

  監督  成瀬巳喜男

  配役    石川芳子 高峰秀子 長女・田村松代 三益愛子 四女・夏子 司葉子
      石川金次郎 笠智衆 夫・田村良吉 加東大介 五女・雪子 星由里子
      石川あき 杉村春子 次女・石川梅子 草笛光子 石川健 大沢健三郎
      次男・石川次郎 小林桂樹 三女・橋本路子 淡路恵子 六角谷甲 宝田明
      妻・蘭子 丹阿弥谷津子 夫・橋本正明 三橋達也 青山豊 夏木陽介

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