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単身野獣の城へ乗り込んだベルは、牢に入れられた父親と再会する。

彼女は、父親の身代わりに自分が人質となって、城に残ることを決意する。

こうして、恐ろしい野獣と暮らさなければならなくなった失意のベルを、
城の召使いたちは快くもてなすのだが、野獣の傲慢な態度は変わらなかった。


(1) (2) (3) (4) (5) (6)  (7) (8)

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【第三課 第五節】

(在村子的酒馆里,加斯顿气冲冲地喝着酒)

加斯顿:她以为她是谁啊,根本没把我放在眼里,居然敢跟我说不。
来富:你说的对。
加斯顿:推辞,拒绝,当着那么多人的面,她丢尽我的脸,叫我以后怎么做人?

来富:还要啤酒么? 
加斯顿:干什么!真没用的,丢死人了。
来富:谁?你?不可能的啊,加斯顿,你千万别这么想。你一定要振作起来!
为何你会如此颓丧,加斯顿。看起来如此绝望。

(来富为了鼓励加斯顿重振雄风,载歌载舞,唱出了「加斯顿之歌」)

(唱)虽然你有不少缺点,加斯顿,大家仍希望像你,在小城中每个人都羡慕你,因为所有的人都爱你。
人人都尊重你也敬畏你,你是我心目中的希望。
没人像你,加斯顿,一样机灵,加斯顿。

没人有你那强壮的肌肉,加斯顿。
你翩翩风度多么的迷人,你更是我们榜样,你可以去向任何人打听,他们一定会跟随在你的身旁。
没人像你,加斯顿。你是偶像,加斯顿。

没人能比你更英俊潇洒,加斯顿。
加斯顿:在这世界上,没人能比我更强。
村民们:人人崇拜的加斯顿,为他欢呼,为他喝彩。
来富:加斯顿的专长,没人比得上他。

村民们:没人像你,加斯顿,骁勇善战,加斯顿,没人胜过你,别想打败你,加斯顿。
因为你拥有强壮的身体,还有健美的结实肌肉。

来富:而且绝没有松弛的赘肉。
加斯顿:我结实的胸口还长满胸毛。
村民们:勇敢坚强,加斯顿,聪明机智,加斯顿,就连嚼烟草也没人能胜过,加斯顿。

加斯顿:我抽烟草的功夫是无人能比,完美的加斯顿。当我年少,每天都最少吃四打蛋,
以帮助我的长大,而如今我长大要多吃一打,使我看起来像座高山。

村民们:没人像你,加斯顿,百发百中,加斯顿,穿着神气皮靴与众不同,
加斯顿,我用美丽的鹿角来做成装饰,我的偶像,加斯顿。


(就在这时,酒馆的门被吹开了。莫里斯站在门口。他的眼神疯狂,衣衫破烂)

莫维斯:救命,请帮帮我。
村民们:莫维斯?
莫维斯:我需要各位的帮助啊,他把她关在牢里了。
村民们:谁呀?

莫维斯:贝儿啊,快去救她,晚了就来不及了。
加斯顿:哦,慢一点,莫维斯。谁把贝儿关在牢里了?
莫维斯:野兽,一只可怕的怪物,野兽。

(众人嘲笑声此起彼伏)

村民们:很大的野兽?
莫维斯:巨大的!
村民们:一张又大又丑的嘴?
莫维斯:丑的恐怖啊!

村民们:还有又利又尖的爪子?
莫维斯:是的,你会帮我么?
加斯顿:好吧,老头,我们大家都会帮你的。
莫维斯:真的?哦,谢谢,谢谢。

(村民们把莫维斯扔出去)

村民们:神经的莫维斯,这老小子就是喜欢出这种洋相。
加斯顿:神经的老莫维斯? 哼哼,来富,我我突然有个想法。
来富:一定非常可怕。

加斯顿:没错,看那可怜老头是贝儿父亲,而他看起来像个白痴,现在我脑子不停在转动,
一个计划浮现我脑海,因我曾说过,要把贝儿娶回家,这诺言马上就会实现。

(对来富耳语)

加斯顿:假如我能把他…行吗? 然后我们就可以…。
来富:这她肯吗? 哦,我明白了,我们走。

(唱)没人像我,加斯顿,诡计最多,加斯顿。会用那卑劣手段,只有你加斯顿。
村民们:(唱)很快就能为他举办婚礼喜宴,我们偶像,加斯顿。
莫维斯:(在风雪中)难道就没有人肯帮我么?


(在野兽的城堡。贝儿仍然趴在床上哭,有敲门声)

贝儿:谁呀?
茶煲太太:是我,茶壶太太,别怕,先喝杯热茶。
贝儿:哦,你是?

(贝儿后退,撞到衣柜人)

衣柜人:哦,小心点儿啊。
贝儿:哦,这怎么可能?
衣柜人:我知道,希望没吓到你。
阿齐:我说过她很漂亮,对吧?

茶煲太太:别说了,快过去吧。小心点,别撒了。
贝儿:哦,谢谢你。
阿齐:你要不要看我玩特技?

(只见茶水就咕嘟咕嘟地冒泡起来)

茶煲太太:阿齐!
阿齐:对不起。
茶煲太太:我觉得你是一位非常勇敢的女孩子。
衣柜人:我们都是这么想的。

贝儿:但是,我失去了我爸爸,我的梦想,所有的一切。

茶煲太太:开心一点儿,事情总会好转的。放心吧,
哦,对了,晚餐的时候你可以和他好好地聊一聊。阿齐,走啦。

阿齐:拜拜。

衣柜人:好了,我们晚餐时候,该穿什么呢? 让我看看柜子里有什么衣服?
真不好意思。哦,有了。穿这件会让你看起来令人着迷。

贝儿:谢谢你的好意,可是,我不会跟他一块吃晚餐的。
衣柜人:哦,那怎么行啊?
葛士华:小姐,晚餐好了。

(在楼下的餐厅。野兽不耐烦地来回踱步)

野兽:怎么这么久?我跟她说过要她下来,她为什么还不来?
茶煲太太:哦,有点耐心吧主人,可怜她在一天之内就失去了父亲跟自由啊。
卢米亚:主人,你有没有想过,这个善良美丽的女孩也许会解开咒语啊。
野兽:我当然有,我又不是傻瓜。

卢米亚:好极了,你爱她,她也爱你,然后,咒语就解开了,我们就可以变回人类了。
茶煲太太:这事不容易,需要时间啊。
卢米亚:但是,玫瑰花已经开始凋谢了…。
野兽:哦,没有用的,她那么美,可我……我呢!

茶煲太太:所以你要想办法让她了解你啊。
野兽:我不会!
茶煲太太:简单嘛。先把你凶恶的外表改一改,站直了!像个绅士一样。
卢米亚:当她进来的时候,给他一个礼貌愉快的笑容,快,笑给我看看。

(野兽呲牙笑)

茶煲太太:哦,这样会吓着她的。
卢米亚:以你的才智,给她一个好印象。
茶煲太太:而且要温柔。

卢米亚:多多赞美她。
茶煲太太:可是要有诚意。最重要的…还得要控制自己的脾气!哦,她来了?
卢米亚:哦,她来了?

(葛士华进来,不知所措的)

葛士华:嗨,晚安。
野兽:人呢?她在哪里?
葛士华:谁?哦,那个女孩啊,是,有个女孩,哦,事实上呢,她现在正处于…,这种情况…她,她不来了…。
野兽:什么!!!

(野兽怒形于色地向贝儿的房间跑去)

葛士华:主人,请你不要太急躁!
野兽:(猛敲贝儿的房门)我说过要你下来吃晚饭!
贝儿:我不饿!
野兽:你快点出来!不然我…我打烂这扇门!

卢米亚:主人,也许我说的不对,但这种方法是不能打动一个女孩的芳心的。
葛士华:如果您能像个绅士,也许会好一点儿。
野兽:她实在是太不可理喻了!
茶煲太太:温柔,温柔。

野兽:(温柔的)你下来吃饭么?
贝儿:不要!
葛士华:礼貌,绅士。
野兽:不知道我有没有这份荣幸,跟你一块进顿晚餐?

葛士华:说,请。
野兽:请…。
贝儿:不!谢谢!
野兽:(大怒)你不可能永远在里面!

贝儿:我可以!
野兽:好!你就在里边挨饿!她如果不肯跟我吃晚饭,你就永远没有饭吃!

(野兽大吼一声走过去)

茶煲太太:哦天啊,他的脾气怎么还是不改啊?
葛士华:卢米亚,你在这守着,如果有任何情况,就马上来通知我。听见没有?

卢米亚:这件事你交给我,你放心好了。
葛士华:我看,我们还是先下去收拾收拾吧。

(野兽推开西厢房的门,走到窗边的桌子旁。桌子上有一面魔镜和一个玻璃瓶,瓶子里装着一枝玫瑰)

野兽:我好好的请她都被拒绝了,哦,他到底要我怎么样?

(野兽拿起魔镜)

野兽:求她…我要看那个女孩。

(魔镜的玻璃慢慢变化,旋转,直到贝儿的影像出现了)

衣柜人:哦,只要你花点心思在主人身上,就会明白他不是坏人,你为什么不给他一个机会呢?
贝儿:我不想了解他,我才不要跟他有任何关系呢!

野兽:(放下魔镜)哦,我真是自欺欺人,她不会像常人一样的看我,我…永远是个野兽,没希望的…。

(野兽盯着那枝被施了魔法的玫瑰,叹了口气,只见又一片花瓣落到了桌上)


(贝儿偷偷溜出卧室向厨房走去)

卢米亚:要要要。
扫把人:不要。人家以前被你烫过。
卢米亚:哦,我的天啊,她跑出来了!

(厨房里)

茶煲太太:好了,快跟哥哥姐姐一块进厨子里去吧。
阿齐:人家不想睡嘛。
茶煲太太:该睡了。
阿齐:不,我不要。

烤箱人:哦,我忙了一整天是为了什么啊? 真是白白浪费了我那么好的烹调技术。
茶煲太太:哦,你不要再抱怨了,今天每个人都很累了。

葛士华:哦,依我看,她也太过分了,我们的主人都已经说请了…。
茶煲太太:他一定要试着控制自己的脾气,否则的话,他将永远…。

(贝儿进入厨房)

葛士华:真高兴见到她出来,我是葛士华,是这里的总管。

(卢米亚冲过来)

葛士华:他是卢米亚。
卢米亚:我是卢米亚。认识你是我的荣幸,如果有什么需要我,为您服务的话…。
葛士华:没关系,您尽量吩咐。
贝儿:……我,有点饿了…。

茶煲太太:真的?(对厨具们)听见了没有,她饿了。快生起火来,拿出银器,叫醒瓷碟。
葛士华:不要忘记主人的交待。

茶煲太太:哦,我才不管呢,反正我是不会让孩子挨饿的。
葛士华:哦,好吧,一杯水,一个面包,就行了。

卢米亚:葛士华,我真服了你,她不是犯人,她是我们的贵客!我们一定要让她觉得很亲切,小姐,这边请。
葛士华:好吧,小声一点啊…要是被主人听见了,我们就惨了。

卢米亚:当然当然,可是一顿丰盛的晚餐,怎么能没有音乐?
葛士华:音乐?


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【注 釈】

【怎么做人】(=没脸见人)  世間に顔向けできない。(publicly humiliated)

【衣柜人】yī guì rén  ワードローブ(Wardrobe)城の着付け係。
元オペラ歌手だったが、呪いで洋服ダンスの姿になっている。

【自欺欺人】zì qī qī rén(=通过欺骗自己得到心理安慰)  自らを欺く。(I'm just fooling myself)
この場面では、醜い野獣である自分が、美しい娘との晩餐のひとときを
期待したことに対する自責の念を語っている。

【真服了你】(=你这个傻子)  ほとほと感心するよ、お前には。(I am surprised at you)



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【口語訳】

(村の居酒屋。ガストンが酒を飲んで息巻いている)

ガストン:俺を振るとは生意気な女だ。何様だと思ってやがる。
ライフ:ほんとだよ。

ガストン:俺をはねつけ、締め出し、人前で恥をかかせやがった。
ライフ:ビールのおかわりは?

ガストン:俺が何だってんだ! いい面の皮だぜ、面目丸つぶれだ。
ライフ:誰だって? ガストン? そんなことないさ、思いつめるなよ、
しっかりしてくれ。落ち込むなんて、あんたらしくないぜ。

(落ち込んだガストンを励ますため、ライフは「ガストンを讃える歌」を歌って酒場を盛り上げる)

(歌う)不足もあるかも知れないが、ガストン、あんたはみんなの希望なのさ。
村の中じゃ賞賛の的だ。みんなあんたを愛してる。

そうさ、誰もがあんたを敬服し、誰もがあんたに憧れる。
ガストン、あんたは最高、ガストン、あんたは機敏。

ガストン、あんたの筋肉、誰よりも強くたくましい。
そして誰よりも魅力的、男の中の男、誰もが言うだろう、模範とするなら、あんたしかいないと。

ガストン、あんたは最高、ガストン、あんたは英雄、
ガストン、誰よりもあか抜けて男前。

ガストン:この世界で、俺に太刀打ちできる者は誰もいないさ。
村人達:誰もが崇拝するガストン、みんなで彼を讃えよう。

ライフ:ガストン、あんたの腕前は、誰もがはるかに及ばない。

村人達:ガストン、あんたは最高、勇敢で負け知らず、ガストン、その丈夫な身体、
強健な筋肉、あんたと張り合うなんて、誰もできやしない。

ライフ:無駄な贅肉もありゃしない。
ガストン:そして胸毛のセクシーさ。

村人達:勇敢で強靱なガストン、賢く機知に富むガストン、タバコを咬むのさえ、誰もが到底及ばない。

ガストン:俺は咬みタバコの技量だってピカ一なのさ。ガキの頃、毎朝四ダースの卵を食い、
今じゃ五ダースはへっちゃらだ。その成果がこれ、もりもりの筋肉の塊だ。

村人達:ガストン、あんたは最高、ガストン、あんたは百発百中、ブーツ姿が似合う男、
鹿の角の飾りが似合う男、我らが英雄、ガストン。


(と、ふいに居酒屋の扉があいた。ベルの父モーリスが立っている。服は破れ、目は血走っている)

モーリス:誰か助けてくれ!
村人達:モーリスだ。

モーリス:手を貸してくれ、あの子が牢に閉じ込められた!
村人達:誰が?

モーリス:ベルじゃ、すぐに救い出さねば間に合わない。
ガストン:落ち着け、モーリス。誰がベルを牢に入れた?

モーリス:野獣だ、見るも恐ろしい怪物じゃ!

(たちまちあざけりの笑い声がうずまいた)

村人達:大きい野獣か?
モーリス:巨大な野獣じゃ!

村人達:大きくて醜い牙か?
モーリス:恐ろしく醜い牙じゃ!

村人達:鋭い爪も?
モーリス:そうじゃ、手を貸してくれるか?

ガストン:いいとも、モーリス、みんなで手を貸してやろう。
モーリス:ほんとに? ありがとう、感謝する。

(モーリスを居酒屋の外に放り出す)

村人達:困ったじいさんだ、笑わせてくれるよ。
ガストン:困ったじいさんか? おい、ライフ、いいことを思いついた。

ライフ:また悪巧みかい?
ガストン:そんなとこさ。あのおいぼれはベルの父親だ。少し狂っているが、それを利用するんだ。
俺は必ずベルと結婚する。この計画なら完璧だ。

(ライフに耳打ちする)

ガストン:その作戦だが…というわけだ。
ライフ:ほんとにやるのかい? わかったよ、それで決まりだ!

(歌う)完璧な作戦だぜ、ガストン。卑劣なプレーは、あんたの得意技、ガストン、あんたは天才だ!

村人達:(歌う)さあみんなで結婚式の準備をしよう、我らが英雄、ガストンのために!

モーリス:(吹雪の中)誰も助けてくれんのか?


(一方、野獣の城では、ベルが依然としてベッドに伏せ泣き続けている。ふと、ドアを叩く音が聞こえる)

ベル:誰?
ポット夫人:私です、ポットよ、怖がらないで。お茶でもいかがですか。

ベル:でも、あなた方は?

(ベルが後ずさりすると、ワードローブにぶつかる)

ワードローブ:え、気をつけて!
ベル:信じられないわ?

ワードローブ:そんなに驚かないでくださいな。
チップ:ほらね、ママ、美人だって言ったでしょ?

ポット夫人:さあチップ、ついだわよ、ゆっくりとね、こぼさないように。
ベル:ありがとう。

チップ:ボクの特技を見せてあげるよ。

(たちまちお茶は、ぶくぶくと無数の泡となってはじけ始めた)

ポット夫人:チップ!
チップ:ごめんなさい。

ポット夫人:あなたはとても勇敢でしたよ。
ワードローブ:みんなそう思っているわ。

ベル:でも父だけでなく、私の夢も失ったわ。

ポット夫人:だいじょうぶ。元気を出して、きっといいこともありますよ。
夕食のときには、ゆっくりとおしゃべりを楽しむといいわ。チップ、行くわよ。

チップ:バーイ。

ワードローブ:さあ、晩餐用のドレスを選んでみましょう。わお、どうしましょう、
あら、これはどうかしら。きっと素敵に変身するわ。

ベル:ご親切は嬉しいけど…晩餐には出ませんわ。
ワードローブ:どうして…出なくちゃ?

コグスワース:晩餐の準備が整いました、どうぞ。


(城の食堂。野獣がイライラしながら、行ったり来たりしている)

野獣:まだ来ないのか? どうしてこんなに待たせるのだ? 
ポット夫人:もう少しご辛抱を。あの娘はこの一日で父親と自由を失ったのです。

ルミエール:ご主人様、あの娘が魔法の呪いを解いてくれるかも知れません。
野獣:それが分からぬほど、わしは馬鹿者ではない。

ルミエール:それはよかった。二人が思い思われる仲になれば、呪いが解けて、私達は人間に戻れます。
ポット夫人:そんな簡単にはいかないわ。愛には時間が必要なの。

ルミエール:しかし、あのバラはすでに萎れかけています…。
野獣:無理だ。あの娘は美しいが…わしの姿は…。

ポット夫人:あなたの魅力を彼女に分からせるのです。
野獣:できるものか!

ポット夫人:簡単よ。まず礼儀正しくなさって。紳士らしく振る舞うのです。
ルミエール:愛想よくにっこり微笑むんです。さあ、笑ってみて。

(野獣が牙をむき出して笑う)

ポット夫人:彼女を怖がらせるおつもりですか?
ルミエール:気の利いたウィットで彼女を笑わせてみたら?

ポット夫人:できるだけ優しく。
ルミエール:お世辞を浴びせてみては?

ポット夫人:誠意が大切。そして何よりも…カッとなって腹を立てないこと!
ルミエール:え、彼女が来た?


(コグスワースがおろおろした様子で入って来る)

コグスワース:へい、おまたせを。
野獣:それで、彼女はどこだ?

コグスワース:彼女って? ああ、あの娘ね、ええと、その、正直に申しますと、実は…来ないんです…。
野獣:何だと!!!

(血相を変えた野獣は、ベルの部屋に走っていく)

コグスワース:ご主人様、興奮しないでください!
野獣:(ドアを激しく叩く)なぜ食事に来ない!

ベル:食べたくありません!
野獣:開けないとドアを破るぞ!

ルミエール:ご主人様、強引なやり方では、女性の愛は勝ち取れませんぞ。
コグスワース:どうか紳士らしくなさってください。

野獣:実に強情な女だ!
ポット夫人:とにかく優しく、優しく。

野獣:(優しげに)食堂に来てくれないか?
ベル:嫌よ!

コグスワース:紳士らしく礼儀正しく。
野獣:一緒に食事をしてくれないか?

コグスワース:どうぞ、と言う、
野獣:どうぞ…。

ベル:いいえ、結構です!
野獣:(激怒する)部屋に閉じこもるつもりか!

ベル:ええ、そうよ!
野獣:よろしい! 一緒に食事をしないのなら、勝手に飢え死にするがよい!

(ひと吠えして走り去る)

ポット夫人:やれやれ、彼の気性は直らないようね。
コグスワース:ルミエール、ドアで見張っていろ。何かあったら報告するんだ、わかったか?

ルミエール:了解。おまかせを。
コグスワース:さて我々は下に行き、食事の片づけをしよう。


(野獣は西の塔の扉を押し開け、窓際のテーブルに向かう。
テーブルには、魔法の鏡とガラス瓶があった。瓶の中には、一輪のバラが挿してある)

野獣:わしが下手に出て頼んだのに断りおった。ひれ伏せとでも言うのか?

(野獣は魔法の鏡を手に取る)

野獣:あの娘を映し出せ…。

(すると鏡のガラスがゆっくりと渦巻き、部屋にいるベルの姿が映し出された)

ワードローブ:ご主人様だって見かけほど怖い人ではないわ。話くらいしてみたら?
ベル:話したくもないわ。彼とは一切、関係したくないの!

野獣:(鏡を放す)わしは実に愚か者よ。彼女の目から見れば、自分はただの怪物だ。望みはない…絶望だ。

(野獣は、ガラス瓶に目をやり、ひらひらと舞い落ちる一枚の花弁を見て、ため息をもらした)


(ベルが部屋をこっそり抜け出し、厨房に歩いていく)

ルミエール:な、ちょっとぐらい、いいだろ?
フェザーダスター:だめよこんなところで…また火傷しちゃうわ。

ルミエール:あ、大変だ、彼女が抜け出したぞ!

(厨房)

ポット夫人:さあ、チップ、戸棚の中で、兄弟と一緒にお休み。
チップ:眠くないよ。

ポット夫人:眠るのよ。
チップ:まだ眠くないのに。

オーブン:せっかくの料理が全部、無駄になっちまった。一日中、休むひまなく働いたのに。
ポット夫人:愚痴はおやめなさい。今夜はみんな精一杯やったのよ。

コグスワース:あの娘も頑固者だ。こ主人様が丁重に頼んだのに。
ポット夫人:あのかんしゃくは直さないと、呪いなんて解けないわ。

(ベルが厨房に入る)

コグスワース:これはお嬢さま、私はコグスワースです。ここの管理人をやっとります。

(ルミエールが二人の間に割り込んでくる)

コグスワース:彼はルミエールだ。

ルミエール:私はルミエールです。お見知りおきを。ご用があれば…。
コグスワース:どうぞお申しつけください。

ベル:少しお腹がすいたの…。
ポット夫人:聞いた? 空腹ですって。すぐ火を起こして! 食器たちも目をお覚まし!

コグスワース:ご主人様のお言葉を忘れたのか?
ポット夫人:かまうもんですか、空腹なのにほっとけないわ。

コグスワース:よろしい、では水一杯とパンのかけらを。

ルミエール:コグスワース、あきれたやつだな、お前は。
お嬢さんはお客様だぞ。とびっきりのおもてなしをしなくては。さあこちらへどうぞ。

コグスワース:では静かにやれ。ご主人様に知れたら、俺たちゃ首が飛ぶぞ。

ルミエール:わかってる。だがこれは晩餐会だ。音楽なしの食事は味気ない。さあ、ミュージック、スタート!

コグスワース:み、ミュージックだと?