ナイアデスNaiades
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ナイアスNaias(単数)泉、河、湖のニンフ。各自が住む河川の神がその父である。
予言の能力をもち、詩と音楽を守護し、豊穣、成育、治病などの能力ももつと信じられた。
ナイアスがいる泉や河の水を飲むと、病気が治るという。
しかし、水に入ることは冒涜とみなされ、呪われ病気になったり気が狂ったりすることもあるという。
おもなナイアスに、
アイギナ(Aigina アソポス河神の娘)、
アガニッペ(Aganippe ペルメソス河神 Permessos の娘。ヘリコン山麓 Helikon の泉のニンフ)、
アレトォーサ(Arethusa シュラクサイ Syrakusai の泉のニンフ)
アスティオケ(Astyoche シモエイス河神 Simoeis の娘。ダルダニア王エリクトニオスの妻)、
アンキノエ(Anchinoe ナイル河神の娘)、
カスタリア(パルナッソス山 Parnassos の泉のニンフ)、
スパルテ(Sparte エウロタス河神 Eurotas の娘)
カリロエ2(Kallirrhoe アケオロス河神の娘)、
カリロエ3(スカマンドロス河神の娘)、
キュアネ(Cyane アソポス河神の娘)、
シュリンクス(Syrinx ラドン河神の娘)、
ストリュモ(Strymo スカマンドロス河神の娘)
ダフネ(Daphne ペネイオス河神 Peneios の娘)、
テレファッサ(Telephassa ナイル河神ニルス Nilus の娘)、
バテイア(Bateia エウロタス河神 Eurotas の娘)
ペイレーネ(Peirene アソポス河神の娘。泉のニンフ)、
ペリボイア5(Periboia ラコニアの水のニンフ。イカリオスの妻)
ララ(Lara アルモ河神 Almo の娘)、
リビュエ(Libye ナイル河神メムフィス Memphis の娘)、
リュシアナッサ(Lysianassa ナイル河神メムフィス Memphis の娘)がいる。
(THEOI Greek Mythology Encyclopedia, THE CLASSES OF NYMPH)
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ナイキ(Nike) → ニケ
ナウシカ Nausikaa
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オデュッセイアに登場するファイアケス島(Phaiakes)の王アルキノオス(Alkinoos)の娘。
漂着したオデュッセウスにほのかな恋心を抱いて、親切に尽くす。
オデュッセウスは、妖精カリュプソに教えられた通りのコースを選び、夜も眠らずに巧みにいかだを操って進んだ。
しかし、遠くに、故郷に近いファイアケス島が見えてきたとき、またもや じゃまが入った。
海神ポセイドンが、オデュッセウスのいかだを見つけたのである。
ポセイドンは黒雲を呼び寄せ、愛用の三叉の矛(ほこ)を海中に突き立てると、激しくかき回した。
たちまち大嵐がおこり、いかだは木の葉のようにほんろうされた。オデュッセウスは海中に投げ出され、いかだはばらばらになった。
その残がいにしがみついて、彼は暗い波間を漂った。
二日二晩漂い続けて、ようやくファイアケス島に漂着した彼は、河口から陸に上がった。
それから水辺に近い森に入り、落ち葉に埋もれて深い眠りについた。
ファイアケス島の王アルキノオスの娘、ナウシカは、昨夜夢の中に現れたアテナのお告げで、まだ着たことのない婚礼衣装を洗濯しに来ていた。
洗濯を終えると、毬遊びに興じていたが、ナウシカの投げた毬が河に落ちると、侍女達が一斉に叫び声をあげた。
その声にオデュッセウスは深い眠りから覚めた。
彼はしばらくためらってから、助けを求めるために娘達の前に進み出た。
汚れ疲れきった全裸の男を見て、娘達はクモの子を散らすように逃げ出した。
一人ナウシカだけは毅然と彼を見つめていた。
オデュッセウスはナウシカの清楚な美しさと勇気に感動しながら丁重に言った。
「どちらの王女様かはしりませんが、どうか私を助けていただきたい。私は決して怪しいものではありません。
不運にも船が難破し、命からがらこの島に辿り着きました。どうか私に着るものを恵んで下さい。
そしてこの国の国王の元へお連れ下さい」
ナウシカは、言葉の礼儀正しさと優雅な響きを聞くと、すぐに承知し侍女達を呼び戻した。
ナウシカは、宮殿を訪れて父王に保護を求める方法を彼に教えると、都の入口で別れた。
自分が見知らぬ男と、ともに歩いて、あらぬ噂を立てられないようにとの配慮だった。
会ったばかりなのに、なぜか彼のごとき人の妻になりたいと淡い恋心を抱かずにはいられないナウシカであった。
(オデュッセイア 第五歌 262 - 第六歌 331)
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ナーガNaga
インドの伝説と神話に登場する、上半身が人間の蛇神。
元来コブラを神格化した蛇神であり、尻尾を切られても再生し、古い皮を脱ぎ捨てて、若々しい姿で生まれ変わるコブラは神聖視され、古代インド人たちの「生命力」の象徴となっていた。
彼らの多くは、ナーガローカ (Nagaloka)、あるいは パーターラ (Patala) と呼ばれる地底界に住み、地底界の最下層に原初の蛇アナンタ
(Ananta) が住み、
その頭で全世界の重みを支えているといわれる。
ナーガはしばしば人間の姿で文学作品に登場し、雌のナーガは「ナーギニー (nagini)」と呼ばれ、非常に美しい容姿をしている。
ナーガは仏典においてもよく言及され、ブッダが悟りを開いたときに守護を務めたのがナーガだったとされている。
Carol Rose (Giants, Monsters, and Dragons)
ナクソス島Naxos
エーゲ海中部、キュクラデス諸島(Cyclades)中最大の島。オリーブ、ワイン、良質な大理石の産地。
神話で、テセウスの命を救ったアリアドネが置き去りにされた島として知られる。
(アポロドロス 摘要 1-9)(The Encyclopedia Britannia)
ナパイアイNapaiai
ナパイアNapaia(単数)谷のニンフ。
彼女たちは、ディオニュソスに従うシレノスやサテュロスともに野山や峡谷を乱舞して日を過ごすという。
おもなナパイアに、エウリュディケ(Eurydike オルフェウスの妻)、ニュサ(Nysa アリスタイオス Aristaios の娘)、ヒュアデス(Hyades)のファエシュレ(Phaesyle)、
アムブロシア3(Ambrosia)、コロニス2(Koronis)、エウドーレ(Eudore)、ポリュクソ(Polyxo)、ニュシアデス(Nysiades)のアムブロシア2(Ambrosia)、
アルシオネ(Arsinoe)、ブロミア(Bromia)、エラト2(Erato)、エリフィア(Eriphia)、ペディレ(Pedile)、ポリュヒュムノ(Polyhymno)がいる。
(THEOI Greek Mythology Encyclopedia, THE CLASSES OF NYMPH)
ナルキッソスNarkissos
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河の神ケフィソス(Kephisos)とニンフのレイリオペ(Leiriope)の間に生まれたナルキッソスはたぐいまれな美少年だった。
彼の美しさは大勢の娘や若者をとりこにしたが、ナルキッソスは誰を愛することもなく、彼らを冷たくはねつけるばかりだった。
ニンフのエコーも、ナルキッソスを愛したひとりである。
エコーはもともと陽気でおしゃべりな娘だった。
しかしゼウスの浮気隠しの手助けをしたことから、ヘラの怒りを買ってしまい、
相手の言う言葉の最後をオウム返しに繰り返すことしかできなくなってしまった。
思いを告げることができなくなったエコーは、ある日ナルキッソスを見かけると、そっと彼に近づき、抱きつこうとした。
しかしナルキッソスに手厳しくはねつけられてしまうのである。
そんなナルキッソスに、ついに意中の相手があらわれる。
ナルキッソスは、あるとき狩りに出かけ、泉の水を飲もうとしてかがみこんだ。
すると、そこにはこれまでに見たこともないほど美しい少年がいた。
その姿が水に映った自分の姿とは気がつかずに、ナルキッソスは決して報われることのない恋に落ちてしまったのである。
水面に手を差し伸べると、波紋が広がり、愛しい相手は姿を消してしまう。
ナルキッソスはうろたえ、ただ少年を見つめることしかできなかった。
ナルキッソスは日がな一日、泉から離れず、毎日、水に映った自分の姿を見つめ続けた。
食事もとらず、眠ることもせず、とうとうナルキッソスは衰弱して死んでしまう。
彼が死んだ場所には、美しい花が咲いた。
その花は、ギリシア語で『ナルキッソス(水仙)』と呼ばれた。
(Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology by William Smith)
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ニオベNiobe
タンタロスとディオネ(Dione)(オレアド Oread トモロス山 Tmolos のニンフ)の娘。
テバイ王アムフィオン(Amphion)に嫁してシピュロス(Sipylos)、エウピニュトス(Eupinytos)、イスメノス(Ismenos)、ダマシクトン(Damasichthon)、
アゲノール(Agenor)、ファイディモス(Phaidimos)、タンタロス2、アムフィオン2(Amphion)、エトダイア Ethodaia(またはネアイラ
Neaira)、
クレオドクサ(Kleodoxa)、アステュオケ(Astyoche)、フティア(Phthia)、ペロピア(Pelopia)、アステュクラティア(Astykratia)、オギュギア(Ogygia)、
クロリス(Chloris)を産んだ。(ヘシオドスは10男10女、ヘロドトスは2男3女、ホメロスは6男6女とする)
2人しか子を持たないレトよりも自分は子供に恵まれていると言ったためにレトの怒りに触れ、娘たちはクロリスを除いてすべてアルテミスに、
またアムフィオンを除く息子たちはすべてアポロンに殺された。
その後、テバイを去って父タンタロスのもとに帰り、ゼウスに祈って石に姿を変えてもらったが、一日じゅう涙がその石から流れているという。
2 フォロネウス(Phoroneus)とテレディケ(Teledike)(アルゴリス Argolis のニンフ)の娘。
ゼウスが交わった最初の人間の女で、アルゴスを産んだ。
ニケNike/ヴィクトリア(Victoria)/ナイキ (Nike)
クレイオス(Kreios ティタン神族)の子パラス(Pallas)とステュクス(Styx)の娘。「勝利」の女神。
ゼウスがティタン族と戦う者を募った際、真っ先に駆けつけて以来、常にゼウスのもとにいる。
ペルシア戦争の勝利は彼女の人気を急激に増大させた。
彼女はよく軍の女神としてのアテナに従って表されている。
有翼の女神として造型美術で表現され、オリュンピア出土のパイオニオス(Paionios)作、およびサモトラケ(Samothrake)出土の有名な像が残っている。
(Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology by William Smith)
ニッセNisse
デンマークの妖精で農家の守護神とされている。
背丈は小さな子供くらいで、濃紺の服をまとい、長いあごひげをはやしている。
農家の食糧貯蔵庫や納屋を住処にしており、畑仕事や子供たちの面倒を見て、
夜、家の人たちが眠っている間に、災いから守ってくれると信じられている。
クリスマスの時期にはサンタの手伝いをして、子供たちに贈り物を運んだりもする。
そんなニッセの大好物と言われているのが、ミルク粥とバター。
クリスマスイブの夜に、子供たちはこれらを暖炉の近くに置いておく。
これは彼らが、煙突から暖炉を通って家のなかに入ってくるからである。
Carol Rose (Spirits, Fairies, Leprechauns, and Goblins: An Encyclopedia)
ニーベルンゲンの歌Nibelungenlied
ドイツ中世の英雄叙事詩の代表作。
古くは「ニーベルンゲンの災い(Der Nibelunge Nt)」といわれた。
ゲルマンの異教時代の英雄伝説、歌謡をもとに、13世紀初頭、ドナウ川流域出身の騎士詩人によって書かれたと推定される。
英雄ジークフリート(Siegfried)の冒険と死、その妻クリームヒルト(Kriemhild)の復讐、ブルグント族(Burgundians)の滅亡を描く。
古代ゲルマン人の悲劇的宿命観が基調。ヘッベルの戯曲やR.ワグナーの楽劇に脚色された。→ ジグルド(Sigurd)→ ブリュンヒルド(Brunhild)
(The Encyclopedia Britannica)
ニーベルンゲンの指輪Der Ring des Nibelungen ニーベルングの指輪
R.ワーグナー作詞作曲の舞台祝祭劇。
序夜、楽劇「ラインの黄金」 Das Rheingold (初演 1869、ミュンヘン) ;第1夜、楽劇「ワルキューレ」 Die Walkre
(初演 70、同地) ;
第2夜、楽劇「ジークフリート」 Siegfried (初演 76、バイロイト Bayreuther) ;第3夜、楽劇「神々のたそがれ」 Gtterdmmerung
(初演 76、同地) の4部作。
4夜にわたり全曲が初演されたのは、1876年8月 13〜17日、バイロイト祝祭劇場(Bayreuther Festspielhaus)においてである。
素材を「エッダ(Edda)」「ヴォルスンガ・サガ (Volsunga saga) 」はじめ、その他の神話、伝説、童話などに求め、
ワーグナー自身の自由な創作を加えて前後 20年余かけて完成した作品。→ ジグルド(Sigurd)→ ブリュンヒルド(Brunhild)
(The Encyclopedia Britannica)
ニフルヘイムNiflheim
世界を構成する九つの国のひとつで、凍るような霜と暗闇が立ち込める世界。
Teutonic Myth&Legend (Donald A. Mackenzie)
ニュシアデスNysiades
オケアノスとのテテュス(Tethys)の娘たち。シチリアのニュサの谷(Nysa)に住むナパイアイ(Napaiai 谷のニンフたち)。
アムブロシア2(Ambrosia)、アルシオネ(Arsinoe)、ブロミア(Bromia)、エラト2(Erato)、エリフィア(Eriphia)、ペディレ(Pedile)、ポリュヒュムノ(Polyhymno)を指す。
ゼウスから赤子のデュオニュソスの養育を委託される。
(THEOI Greek Mythology Encyclopedia, THE CLASSES OF NYMPH)
ニヨルドNjord
豊穣神の種族であるヴァン神族(Vanir)の統領で、スカジ(Skadhi)の夫。フレイ神(Frey)とフレイヤ女神(Freyja)の父。
アース神族(Aesir)とヴァン神族が太古に戦ったのち和睦すると、2柱の子の神たちとともにアスガルド(Asgard)に住み、アース神族のなかで主神格の地位を与えられた。
海辺のノアトゥン(Noatun)に館を構え、海と漁、交易などのことを司るとされたが、富と豊穣全般に関係する神としても、しばしば息子のフレイと並んで祭祀された。
(The Encyclopedia Britannica)
人魚 (Mermaid) → マーメイド
ニンフNymphe/ニュムフェ
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山川草木やある場所、地方、町、国などの擬人化した精。
若い乙女の形をとるとされているが、神と異なり、不死ではなく、その代わりに非常に長寿である。
おおむね舞踊と音楽を好み、ディオニュソスと踊り、庭や牧場に花を咲かせ、あるいはアポロンやヘルメスとともに家畜の群れを牧する。
また清い泉の主となって病を癒やし、森や山でアルテミスらに従い狩りの成功を助け、歌と予言の力によって人間を力づけたり、
サチュロスやシレノス、パンと愛をかわしたりする。
ときに森を通る旅人を驚かせたり、乗移ったり、また人間を恋してその妻や愛人となり、またヒュラスのようにさらったり、
愛を裏切ったとしてダフニスのように殺したり、仇をなすこともある。
代表的なニンフに、オケアニデス(Okeanides 海)、ネレイデス(Nereides 海)、アルセイデス (Alseides 森) 、
ナパイアイ (Napaiai 谷) 、ドリュアデス (Dryades 木) 、オレイアデス (Oreiades 山) 、ナイアデス (Naiades 河、泉、湖)、
ランパデス(Lampades 冥界)らがいる。
(THEOI Greek Mythology Encyclopedia, THE CLASSES OF NYMPH)
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ニュクスNyx
夜を表す女神。
カオスから生れ、兄弟のエレボス (闇) と結婚して、アイテル (光) とヘメラ (昼) を産み、その後さらにタナトスThanatos (死) 、
ヒュプノスHypnos (眠り) 、ヘスペリデス(夕べ)、モイライ(運命)、エリス (争い) 、ネメシス(憤り)など、
人間の苦しみの原因となるさまざまな神や災いを産んだとされる。
ニンフルサグNinhursag
シュメール語で「山の女主人」の意。シュメールの大地母神。
ダムキナ(Damkina)とも呼ばれる。水神エンキ(Enki)の配偶女神。
豊穣多産、出産を司り、「神々の母」をその主要な形容辞とする。
メソポタミアの王たちの守護女神でもあった。
なお、英雄ギルガメシュ(Gilgamesh)に挑戦させるべく送り込まれた野人エンキドゥ(Enkidu)は、ニンフルサグが創ったものとされる。
世界女神大事典(岡田明子、森雅子)
ヌアダNuadu
ケルトの神。アイルランドの神話に神族「ダーナ神族(Dannan)」の最初の王として登場する。
無敵の神剣を持ち、神々を率いてアイルランドに来寇し、フィル・ボルグ族(Firbolgs)らの先住民族たちをマグ・トゥレド(Mag Tuired)の野において撃破したが、
この戦闘の最中に負傷して右腕を失ったために、王位をいったんブレス(Bres)に譲らなければならなかった。
その後、医術の神ディアン・ケヒト(Dian Cecht) に銀の腕を取りつけてもらったヌアダは再び王となるが、彼の宮廷にやってきた万能の神ルー(Lugh)に譲位し、
このルーを王としてダーナ神族がフォモール族(Fomorians)を相手に戦った、第2次のマグ・トゥレドの戦いで戦死をとげたとされる。
アーサー王 (King Arthur) 伝説に登場する聖杯グレイル(Holy Grail)の城の身体に障害のある城主は、このヌアダの変化したものとする見方が専門家の間で有力である。
(The Encyclopedia Britannica)
ヌトNut
エジプト神話の女神。天空の女神。
ゲブ(Geb)の双生児の妹だったが、ラー(Ra)の意にそむき知らぬ間にゲブの妻となった。
2人は初め重なり合っていたがシュウ(Shu)が天を差上げたので、ヌトは弓なりになって手足の指で身を支え、星のちりばめられたその腹部は天の穹窿を形づくった。
ラーの娘として、ヌトも太陽の母とされ、毎朝太陽は彼女の胸から生れ出るものとされた。
また死者の守護神ともみなされた。
雌牛の形や、頭上に丸い壺を載せた人間の形で表わされる。
オシリス(Osiris)、セト(Set)、ネフティス(Nephthys)、イシス(Isis)は彼女の子供である。
(The Encyclopedia Britannica)
ヌンNun/ヌウ(Nu)
古代エジプトの神。混沌を意味する原初の海で、創造に先立ち、すべてのものの根源を胚胎していた。
太陽神ラー(Ra)はヌンから生れた。
いくつかの文書は彼を「神々の父」と呼んでいるが、彼の行なった創造は知的なものにとどまった。
しばしば水端に半身を沈め、腕を差上げて彼から生れた神々を支える人間の姿で表現される。
しかし、彼の寺院や崇拝者はなかった。
(The Encyclopedia Britannica)
ネイトNeith
エジプト第26王朝(サイス Saite 朝 BC664−BC525)の守護神。
智恵と戦いの女神であり、軍神として戦士の武器を作り、戦士が死んだ時、その遺体を守るとされる。
頭の上に軍神の象徴である交差した矢と盾をのせ、手にはアンク(Ankh)
と王笏(Was-sceptre 神権の象徴)を持つ。
古代ギリシアの歴史家ヘロドトス(Herodotos BC485〜BC425)は、ネイトとアテナを同一視している。
おそらくどちらも軍神であり、智恵の女神という共通点から考えられた見られる。
(The Encyclopedia Britannica)
ネオプトレモスNeoptolemos
アキレウスがトロイ戦争の前に、女装してスキュロス島(Skyros)のリュコメデス王(Lykomedes)の宮廷に隠れていた間に、王女デイダメイア(Deidameia)と交わってもうけた子で、
このとき父がピュラ(Pyrrha)とあだ名されたため、別名をピュロス(Pyrrhos)ともいう。
アキレウスの死後、予言によって彼の参戦がトロイ攻略に不可欠と知ったギリシア軍の陣営に迎えられ、多くの武勲をあげて勝利に貢献し、戦利品の分配では、
ヘクトルの妻アンドロマケを得て、彼女にモロッソス(Molossos)らの子を生ませた。
メネラオスの娘で、オレステスの婚約者だったヘルミオネを妻に与えられ、なぜ彼女に子が生れないか神託を聞きにデルフォイに行ったところをオレステスによって殺害された。
(アポロドロス 第三巻 13-8, E5-10,6-12,6-13)
ネストルNestor
ネレウス(Neleus)とクロリス3(Chloris)の子。ピュロス王。
高齢の身にもかかわらず、二人の息子とともに90隻の軍船を率いてトロイ戦争に参加、みずからも戦場に出るかたわら、総指揮官アガメムノンとアキレウスの争いの仲裁に努めるなど、
ギリシア軍の最長老として時宜に応じた助言・忠告を与えた。
饒舌家で,その話はとかく若い時分の武勇談に傾くきらいはあるものの、だれからも尊敬される老人として、ホメロスの叙事詩に描かれている。
(イリアス 第一歌 247, 第ニ歌 601)
ネクタルNectar
神々の飲み物(葡萄酒)。不老不死になるという。 ゼウスは蜜を入れて飲むのが好みという。
(The Oxford Classical Dictionary 3rd ed. by Simon Hornblower and Antony
Spawforth)
ネフェルティティNefertiti/Nefretete [生没年未詳]
古代エジプト第18王朝のイクナートン(Ikhnaton)の妃。ツタンカーメン(Tutankhamen)の義母。
ミタンニ(Mitanni)の王女とも、エジプト貴族の娘ともいわれるが、出自は不明。
ベルリン国立博物館所蔵の未完の美しい胸像が有名。
6人の娘を産み、そのうち3女のアンケセナーメン(Ankhesenamun)はツタンカーメンの正妃である。
ネフェルティティは、夫とともにアトン神(Aton)を崇拝したが、晩年は夫の寵愛を失って退いた。
アマルナ(Amarna)の北宮に彼女の遺品が発見されたので,そこに引退したものと思われる。墓は不明。
(The Encyclopedia Britannica)
ネフテュスNephthys
死者の守護神。
女神イシス(Isis)とオシリス神(Osiris)との妹、両神の弟神セト(Set)の妻。
天空の女神ヌト(Nut)、大地の神ゲブ(Geb)から生まれた、五人兄弟のいちばん末っ子であるネフティスは、「一年の終わり」を象徴する。
と同時に「年を閉ざし」、新たな年を「開く」ものとされる。
もっと大きな視点で言うと、この世の終わりを告げる役目、ということになるかもしれない。
エジプト神話は二極化された世界観を描き出すことが多いが、イシスが昼であるならネフティスは夜であり、イシスが動であるならネフティスが静である。
また、イシスが積極的なもの、生を与えるのに対し、ネフティスは消極的なもの、死を与える存在でもある。
セトに殺されたオシリスを蘇らせる時には、イシスとネフティス、必ず二人セットで登場する。
これは、冥界へ入り、また出てくる「死」と「復活」を意味しているとも取れる。。
(The Encyclopedia Britannica)
眠れる森の美女Sleeping Beauty
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フランスのシャルル・ペロー(Charles Perrault)の「童話集」に収められた童話のヒロイン。
あるところに子どもを欲しがっている国王夫妻がいた。
ようやく女の子を授かり、盛大な祝宴が行われた。
国中から招待された7人の妖精たちは、お祝いに「美しさ」「優しさ」「優雅さ」などを贈った。
しかし祝宴に招かなかった妖精が現れ「王女は錘(つむ)が刺さって死ぬ」という呪いをかける。
まだ贈り物をしていなかった妖精は「王女は錘が刺さり百年間眠りにつく」という呪いに変える。
呪いを取り消さなかったのは修正以外不可能だったためである。
やがて呪いが成就し、美しい王女は錘で指を刺して百年の眠りについてしまう。
城中の一同も眠るが、やがてある王子が城に達し、王女にキスすると、すべてが目ざめるのである。
フランスでは、生得的な資質を妖精たちの贈り物とする民俗信仰があり、北西部のブルターニュ地方では、
出産の際に妖精のための食卓を別室に用意する風習が残っている。
ギリシア神話では、運命を司る三女神モイライ(Moirai)が、それぞれ運命の糸を紡ぎ、(Klotho クロト)、
分け与え(Lachesis ラケシス)、断ち切る(Atropos アトロポス)とされる。
出生時に死ぬ日について予言するとされた彼女たちの役割をこの物語に登場する妖精たちは与えられていたのである。
またエジプト神話の女神ハトホル(Hathor)は、主聖所であるデンデラ(Dendera)の神殿で、彼女の7人の介添え人と共に
実際の出産に立ち会い、新生児の運命を定める託宣を行っている。
世界女神大事典(大澤千恵子)
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ネメアNemea
ペロポネソス半島北東部アルゴリスにある古代遺跡。
当時はアルゴスのクレオナイ(Cleonae)の一部で、現在はコリントス県の一部
ヘラクレスがライオンを退治した地といわれる。
ネメア競技会もここで行われた。 20世紀に入って、前四世紀のゼウスの神殿、大祭壇などが発掘された。
(The Encyclopedia Britannica)
ネメアの獅子Lion of Nemea
ヘラクレスに退治される怪獣。エキドナ(Echidona)と双頭の犬オルトス(Orthros)との母子姦から生れ、ヘラに育てられてネメアの森に住み、猛威をふるった。
12の難業の第1番目にその退治を命じられたヘラクレスは、刃物の通らぬこの獣の首を絞め、窒息させて皮をはぎ、エウリュステウス王(Eurystheus)のところに持帰って見せた。
この皮は以後ヘラクレスの衣服の代りになり、獅子は天に上げられて獅子座になったとされる。(The Encyclopedia Britannica)
ネメシスNemesis
ニュクスの娘で義憤(ぎふん)の女神。
度はずれたすべての行為に対する神罰を神格化した存在。
特に、神をないがしろにする人間の傲慢に容赦なく手きびしい罰を与えると信じられた。
ニンフのエコーの愛を拒んだナルキッソス(Narcissus)に罰を与えたのはネメシスであるとされる。
(Greek Myths & Greek Mythology by greekmyths-greekmythology.com)
ネレイデスNereides (ネレウスの娘たちの意)
ネレイスNereis(単数)海のニンフたち。
海神ネレウス(Nereus)とオケアノスの娘ドリス(Doris)の間に生れた。
いずれも美貌の 50人の娘たちで、父とともに海底の宮殿に住むとされる。
おもなネレイスに、
アムフィトリテ(Amphitrite ポセイドンの妻)、
ガラティア(Galateia シチリアの海のニンフ)、
テティス(Thetis ペレウスの妻)、
プサマテ(Psamathe アイアコスの愛人)がいる。
(THEOI Greek Mythology Encyclopedia, THE CLASSES OF NYMPH)
ネレウスNereus
ガイアとポントスの子。
ヘラクレスが第11の難行を果たす際に縛られ、ヘスペリス(Hesperis)たちが林檎を守る場所を白状させられた。
ドリス(Doris オケアニド Oceanid 海のニンフ)との間にアムフィトリテ(Amphitrite)やテティスを含む50人の娘たちネレイデス(Nereides)を儲けた。
ネレウスNeleus
ポセイドンとテュロ(Tyro エリス王サルモネウス Salmoneus の娘)の子。
ペリアス(Pelias)と双子の兄弟。
ネレウスとペリアスは、生まれるとすぐ捨て子にされた。
そこへ通りかかった馬飼いに養育されて二人は成長した。
拾われるときに馬の蹄であざ(ペリオン)のつけられてしまったほうがペリアスと名づけられ、他方がネレウスと名づけられたという。
母テュロは、サルモネウスの兄弟でイオルコスの王クレテウス(Kretheus)の妻となり、アイソン(Aison)、アミュタオン(Amythaon)、フェレス(Pheres)を生んだ。
ペリアスとネレウスはクレテウスの養子に迎えられた。
クレテウスが死ぬと、ペリアスはネレウスを追放してイオルコスの王座を継いだ。
このとき、クレテウスの実子アイソンを捕らえて妻子ともに監禁したともいう。
追放されたネレウスはメッセニア(Messenia)に来てピュロス(Pylos)を建設した。
(アポロドロス 第一巻 9-8-9)
ノトスNotos
アストライオス(Astraios)とエオス(Eos)の子で「南風」の神。
ノームGnome
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土を司る四大精霊のひとつ。赤いとんがり帽子にきこりのような格好で、身長一メートル以下の髭を蓄えた老人の姿をしている。
老木の下に住み、地中を自在に移動でき、大地に隠された貴金属や宝石などの財宝を守っているとされる。
彼らの住処を荒らし、財宝を採掘しようとする人間たちに対して、かつて戦いを挑むノームもいた。
現在では、生活の場を地上に変えて、人里離れたところでひっそりと暮らす選択をしているという。
16世紀の錬金術師パラケルスス (Paracelsus) が、著書「妖精の書」(Liber de Nymphis, Sylphis, Pygmaeis
et Salamandris et de caeteris Spiritibus)
で定義した四大元素霊 (地、水、火、風) のうち、地に属するとされた自然霊 (Nature spirits) である。
(The Encyclopedia Mythica)
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ノルンNorn
ノルンは運命の女神で、生れてくる人間の寿命や、幸不幸を決めるという。
ユグドラシル(Yggdrasil)の根元に住む三姉妹で、名をそれぞれ ウルズ(Urthr 過去)
ヴェルザンディ(Verthandi 現在)スクルド (Skuld 未来) という。
この三姉妹は、子供が誕生するたびに現れ、その子の運命を決定する。
昔から伝わる「眠り姫」の物語の中で、洗礼式に招待された妖精たちはこの三姉妹である。
シャルル・ペローの童話など、後の物語では妖精の人数は七人に増えている。
たいてい彼女たちは、長い灰色の服を着て、灰色の薄いガーゼのベールを頭からかぶった
姿で描かれる。
(Carol Rose, Spirits,Fairies,Gnomes and Goblins)