ギリシア神話事典              あ行 か行  き行 さ行 た行 な行 は行 ま行 ら行

ガイアGaia 大地女神。
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ガイアは、原初の混沌(カオス)から、タルタロス(奈落の神)、エロス(愛の神)と共に生まれたとされる大地の女神である。

彼女は、神をはじめとした様々なものを生み出すことができる能力を持ち、ウラノス(天空の神)とポントス(海洋神)を生み出した。

ガイアはウラノスと結ばれ、天(ウラノス)は大地(ガイア)を包み込み、天と地が創造された。

次にガイアは、ウラノスとの間に
@オケアノス(Okeanos)、Aコイオス(Koios)、Bクレイオス(Kreios)、Cヒュペリオン(Hyperion)、Dイアペトス(Iapetos)、
Eクロノス、Fテイア(Theia)、 Gテミス(Themis)、Hムネモシュネ(Mnemosyne)、Iフォイベ(Phoibe)、Jテテュス(Tethys)、
Kレア(Rhea)、Lキュクロプス、 Mヘカトンケイル(Hekatoncheir)を、

ポントス(Pontos)との間に
Nネレウス(Nereus)、Oタウマス(Thaumas)、Pフォルキュス(Phorkys)、Qケト(Keto)、Rエウリュビア(Eurybia)を、

タルタロスとの間に
Sテュフォン(Typhon)を産んだ。
(ヘシオドス 20,45,106,117,238,626,821)

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カイロネイアの戦いBattle of Chaeronea
BC338年マケドニア王フィリッポス2世(Philip II of Macedon BC382〜BC336)が
アテネ・テバイ連合軍をギリシア中部の都市カイロネイアで破り、ギリシアに覇権を確立した戦い。
(The Encyclopedia Britannica)


カオスChaos
宇宙が生成する以前の原初に存在したとされる混沌の状態をさすギリシア語。
原意は、「大きく口を開けた」虚の空間を意味し、その中にはすでに万物の胚種が混り合っていたともいう。
ヘシオドスによれば、初めにカオスがあり、続いてすべての母なる本源――大地の女神ガイア、そして地上から遠く離れた奈落の底にタルタロスが、
続いて神々のうちでも並びなく美しい愛の神エロスが生れた。
さらに、カオスよりエレボス(闇)とニュクス(夜)が生まれ、ニュクスはエレボスと通じてアイテル(光)とヘメラ(昼)を生んだ。
(ヘシオドス 115-125)



ガーゴイルGargoyle
ディズニーアニメ「ノートルダムの鐘 (The Hunchback of Notre Dame)」に登場する石の魔物。
この魔物は喉から大量の水を吐き出して村々を津波で破壊するなど悪行のかぎりを尽くしたといわれる。

やがて大司教に退治され、火刑に処された。
その灰はセーヌ河に流され、各地でガーゴイル像となって残っている。

元々は教会の門や屋根の装飾として用いられていた彫像のことをいう。
ゴシック建築では、雨が壁を傷めないよう雨樋 (あまどい) を突きだす必要があり、ガーゴイルをかたどった彫像が
雨水の落とし口として、教会などの屋根に飾られるようになったという。
Carol Rose (Giants, Monsters, and Dragons)



カストルKastor
スパルタ王テュンダレオス(Tyndareos)とレダ(Leda アイトリア王テスティオス Thestios の娘)の子で、ポリュデウケス(Polydeukes)とは双子の兄弟。
ヘラクレスに武器の使い方を教えたスパルタの守護神で、また航海の守り神でもある。
レウキッポス(Leukippos スパルタ王オイバロス Oibalos の子)の娘ヒラエイラ(Hilaeira)をさらって妻とし、アノゴン(Anogon)を儲ける。
メッセネ (Messene)を攻めた際、イダス(Idas メッセネ王アファレウス Aphareus の子)に殺されるが、ポリュデウケスと1日おきに、神々と人間の間にいることをゼウスに命じられた。
(アポロドロス 第三巻 11-2)


カッシオペイアKassiopeia
ヘルメスの子アラボス Arabos の娘。エチオピア王ケフェウス(Kepheus)の妃で、アンドロメダの母。
カッシオペイアは、娘アンドロメダが、ネレイス(Nereis 海のニンフ)たちよりも美しいと自慢した。
しかしこの言葉がネレイスたちの怒りをかい、彼女らは、海神ポセイドンに訴えた。
そこでポセイドンは海の怪物ケトス(Ketos)を送ってエチオピアを荒らさせた。
このためケフェウスとカッシオペイアは、娘を怪物の生贄に供さなければならなかったが、アンドロメダはペルセウスによって救い出された。
(オウィディウス Ovidius『変形譚 Metamorphoses』巻四)(アポロドロス 第ニ巻 4-3)


カッサンドラCassandra
トロイ王女。父親はトロイ王プリアモス(Priamos)、母親はトロイ王妃ヘカベ(Hekabe)。
トロイの滅亡を予言するが、だれもその言葉を信じなかった。
トロイ陥落後捕虜となり、アガメムノンに伴われてミュケナイに着いたが、彼の妻クリュタイムネストラによって彼とともに殺された。
(アポロドロス E5-7,5-23,6-23)



河童Kappa
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日本の水辺に棲むとされる伝説上の生き物。

全身は緑色で、口には短い嘴、背中には亀のような甲羅があり、手足には水掻きがある。
生魚を主食としているが、好物はキュウリである。

頭頂部には、いつも水で濡れている皿がある。
皿が乾いたり割れたりすると力を失う、または死ぬとされる。

馬や牛をいたずらで、あるいは肝を食うため水中に引きずり込み殺してしまうという。
その一方で人間の子供と川辺で遊ぼうとしたり、魚を分け与えたりする温和な面を持つ。

相撲や勝負事が好きで人間をゆうに上回る力で組み伏せる。
ただ、頭は良くないようで、人間に騙されて皿の水を自らこぼし、神通力を失って負けることも珍しくない。

そんなわけなので、河童に出会ったらお辞儀をすると良いとされる。

PIXIV百科事典

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カドゥケウス → ケリュケイオン 


カドモスKadmos
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フェニキアのテュロス王(Tyros)アゲノール(Agenor)とテレファッサ(Telephassa ナイル河神ニルス Nilus の娘。ナイアス Naias 水のニンフ)の子。
テバイ(Thebai)の始祖。

ゼウスが雄牛に身を変じて、カドモスの妹エウロペ2をさらったとき、アゲノールはカドモスにエウロペを探し出すまでは帰国を禁じて、捜索に出した。

カドモスはデルフォイ(Delphoi)で妹の行方を神託に問うたところ、雌牛を道案内とし、牛が疲れて横になったところに町を建設するように言われる。

テバイまでやってきたとき、雌牛が横たわったので、その牛をアテナに捧げるために、従者数名をアレスの泉に水を汲みにやると、
泉を守っていた蛇が従者たちの大部分を殺したので、カドモスは蛇を退治した。

アテナの助言により、その蛇の歯を蒔くと、地中から武装した男たちが現れ(スパルトイ Spartoi。「播かれた者たち」の意)、同士討ちを始めた。
その戦いで生き残った五人と共にテバイの町を建設。

ゼウスからアフロディテの娘ハルモニア(Harmonia)を贈られ、彼女との間にポリュドロス(Polydoros)、イノ(Ino)、セメレ(Semele)、
アガウエ(Agaue)、アウトノエ(Autonoe)、イリュリオス(Ilyrios)を儲けた。

しかし、カドモスの一家は不幸せだった。
娘のセメレ、イノ、子孫のアクタイオン(Aktaion)、ペンテウス(Pentheus)と、皆、不幸せな死に方をした。

カドモスの殺した蛇は、アレスの蛇だったからである。

カドモスは、「もし一匹の蛇がこれほどまで神々にとって大事なものなら、私も蛇になりたい」と叫んだ。

言い終わるか、しないかのうちに、カドモスの姿が変わりはじめた。
ハルモニアはそれを見ると、自分の姿もいっしょに変えて下さいと、神に祈った。

二人は蛇になった。 その後、二人はゼウスによってエリュシオン(Elysion)に送られた。

カドモスはフェニキアで発明されたアルファベットを、ギリシアに伝えたとされている。
(Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology by William Smith)

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カナンCanaan
地中海とヨルダン川・死海に挟まれた地域一帯の古代の地名。
BC13世紀頃、古代イスラエル民族が侵入し、先住民カナン人を征服して定着。
聖書で「乳と蜜の流れる場所」と描写される。
神がアブラハムの子孫に与えると約束した土地から、約束の地とも呼ばれる。
ギリシア人はここをフェニキアと呼んだ。
(The Encyclopedia Britannica)


ガニュメデスGanymedes
神々の宴でゼウスの酌童をつとめる美少年。
トロイ王トロス(Tros)とカリロエ3(Kallirrhoe)の子。
山で父の羊を飼っているところを、その絶世の美貌に目をつけたゼウスが、鷲に変身して天上に連れ去り、不死を与え、自分の杯に神酒ネクタルを注ぐ役をつとめさせることにした。
ガニュメデスの父母は息子との別れをひどく嘆いた。
ゼウスは父母の悲しみを癒すため、ガニュメデスを星座(みずがめ座)にした。
(Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology by William Smith)


ガネーシャGanesha/歓喜天
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ヒンドゥー教の知恵と学問の神ガネーシャは、芸術家や商人さらに泥棒たちの庇護者でもある。

シヴァ神(Shiva)と女神パールヴァティ(Parvathi)の息子で、象のあたまをしており、柔らかなクッションの上にすわって、大好物の米が盛られた椀を手にしている。
彼はブラフマー(Brahma 梵天)から「マハーバーラタ」(Mahabharata)を筆写するように命じられたという。

ガネーシャの出自は興味深い。
母パールヴァティは入浴中に夫シヴァの闖入にしばしば驚かされていた。
これを不満に思った彼女は、「門番」が欲しくなり、禊(みそぎ)のさいに出た汚物でガネーシャを創り、彼を見張りに立たせるのだった。

シヴァが無理やり中に入ろうとすると、ガネーシャがそれを妨げた。
そこでシヴァは、幻術を使い、美女マーヤー(Maya)を創りだして門番の気をそらせ、ここぞとばかりガネーシャの首をはねてしまう。

パールヴァティは怒り、息子を生きかえらせるようシヴァに迫った。
シヴァはガネーシャのあたまを懸命に探したが、見つけ出すことができず、やむをえず、たまたまそこを通りかかった象のあたまを代わりにつけた。

そのユニークな姿と温和な性格で人々に愛されるガネーシャは、インド各地に寺院を擁しており、それぞれ21本の茎をひとまとめにした赤い花と、
イチジクの形をした菓子(モダク Modak)が捧げられている。

Larousse Mythologies du Monde (Fernand Comte)

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カバラKabbalah
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カバラとは、ヘブライ語でユダヤ教の密儀を指す。
具体的には、ユダヤ教の宇宙観を「生命の木」(Tree of Life)という図形によって示す。

カバラ魔術は、宇宙と人間との一体化を目的とし、複雑な儀式を通して目的に達する。
「生命の木」には、10個のセフィロト(Sephiroto)と呼ばれる円と、それらを相互に結ぶ22本のパス「小径」がある。

術者は、「マルクト」=「王国」から「ケテル」=「王冠」を目ざして魔術修行をするのである。


「10」「マルクト」(Malkuth) は「王国」を意味し、物質世界を表わす。

魔術修行の第一歩は「潜在意識の浄化」である。
目に見える世界は自己の内面が投影されたものであり、他者を含めた全ての外界は、潜在意識が創りだした偽装である。

ゆえに、現実世界は夢と同類のものと認識しなければならない。

したがい、世界(他者や環境)を改善するには、潜在意識の浄化により、無限なる源泉からのエネルギーを
この世界にありのまま反映させることがまず必要となる。

「王国」とは、自分自身が創造主として顕現させている「この世界」の意である。


「9」「イェソド」(Yesod)は「基盤」を意味し、根源なるものを表わす。
「8」「ホド」(Hod)は「栄光」を意味し、強力なパワーを表わす。

「7」「ネツァク」(Netzach)は「勝利」を意味し、困難の克服を表わす。
「6」「ティファレト」(Tiphareth)は「美」を意味し、調和と美を表わす。

「5」「ゲブラ」(Geburah)は「公正」を意味し、善悪の判断を表わす。
「4」「ケセド」(Chesed)は「慈悲」を意味し、奉仕や献身を表わす。

「3」「ビナー」(Binah)は「理解」を意味し、理性と知性を表わす。
「2」「コクマー」(Chokmar)は「知恵」を意味し、知恵と教養を表わす。

「1」「ケテル」(Kether)は「王冠」を意味し、神の意志を表わす。

セフィロトは、被造世界にある万物の原型であり、セフィロトの働きを理解すれば、宇宙と歴史の内在的な働きを解明することができるとされている。 → グノーシス主義
創造の書(Sefer Yetzirah)(Rabbi Akiva & Rabbi Halevi)
Conversations with God(Neale Donald Walsch)
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カーマ・スートラKama Sutra
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現存するインド最古の性愛に関する文献。
哲学者ヴァーツヤーヤナ(Vatsyayana)の著とされている。

古来、インドでは、、アルタ(Artha 実利)、ダルマ(Dharma 聖法)、カーマ(性愛)の3つの取得が人生の目的(Purusartha)とされたが、
そのうち本書は「カーマ」に関する学説をサンスクリットの韻文でまとめたものであり、文学的価値も高い。

その内容は、第1巻総論、第2巻性交、第3巻処女との交渉と結婚、第4巻妻に関すること、第5巻他人の妻、第6巻遊女について、
第7巻秘法、という7巻より成っている。

カーマ・スートラは、ただ単に性愛の技術のみを扱ったものではなく、人間同士が出会い、互いに言葉を交わし、魅かれ合い、
愛し合うための手引書であり、その扱う領域は広大である。

魅力的な自分を作る方法、素晴らしい伴侶を手に入れる方法、身振りによる愛情表現、さらにはじめて初夜を迎える心得、
娼婦がオトコからお金を搾り取る心得など、実践的な技法が多岐に渡り記載されており、なかなか手のこんだ内容となっている。

カーマ・スートラの読者は、当時の裕福な都市生活者ナーガローカ (Nagaloka) を対象としており、洗練された市民、
都市文化を基盤として述べられていることが窺える。

彼らは、身なりのよい「都会育ち」であり、あか抜けした、教養のある、温厚な市民たちであり、その日常は、飾りを身につけ、
芸術や文学を論じ、当意即妙の会話に興じ、社交の場に出向き、そして何よりも情事、それも品格と洗練を伴った官能の歓びが
そのままダルマの遂行となるような、カーマ・スートラは、そのような人々のために書かれた手引書である

古代インドの、性の聖典として名高いが、奔放への誘惑は一切ない。むしろ読後には居住まいを正したくなる。
相手に尽くす、という心掛けの意味では、本書こそ最古最大の「人間行動の教科書」である。
ゆえに、この聖典の徳をすべて身につけた人物は、人間として尊敬に値する、と説かれているのである。

筑摩書房 世界文学大系「カーマ・スートラ」(岩本裕)
東洋文庫「カーマ・スートラ完訳」(中野美代子、岩本裕)
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髪の毛Hair
髪は人間の外に現れた魂、あるいは魂の宿る場所とされている。
身体から離れても、髪とその持ち主との交感的なつながりは残る。

爪や衣服にも同様のことがいえるが、髪は特に「魂の座」である頭部に生える毛であるだけに意味は深い。
髪を伸ばすと霊力が強まるという。
特に復讐の願をかける時は、それが成就するまで髪を切らないで魔力を蓄えたとされる。

髪を切ることは供物としての意味を持つ。
死者の哀悼のために髪を切る習慣は、現代もインドのヒンドゥ教徒等の間で見られる。
またエジプトの寡婦たちは、死後の世界でお守りになるようにと、自分の髪の毛一房を亡くなった夫の遺体と一緒に埋めたという。
悠久なる魔術(真野隆也)


ガラティアGalateia
1 海のニンフ。海神ネレウス(Nereus)とオケアノスの娘ドリス(Doris)の娘。ネレイデス(Nereides)の一人。

ガラティアは、シチリア島の羊飼いアキス(Akis)と恋に落ちた。
しかし、かねてよりガラティアを恋慕していたキュクロプスのポリュフェモスがこれに嫉妬し、岩を投げつけた。
アキスは岩の下敷きになって死んでしまった。
死んだアキスの血はエトナ山のそばを流れる河となった。
(オウィディウス Ovidius『変形譚 Metamorphoses』巻13)

2 キュプロスの彫刻家ピュグマリオン(Pygmalion)の妻。象牙の彫像から人間に変身した。


カーリー(Kali) → ドゥルガー


カリオペKalliope
ムーサの一人で叙事詩を司る。
ピエリア王(Pieria)オイアグロス(Oiagros)との間にリノス(Linos)とオルフェウスを産んだ。


カリスCharis  優雅女神
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ゼウスとエウリュノメ(Eurynome)(オケアニド Oceanid 海のニンフ)の間に生まれた娘たち。複数形はカリテス(Charites)。

美と優雅の三女神、アグライア(Aglaia)、エウフロシュネ(Euphrosyne)、タレイア(Thaleia)を指す。

カリスたちは美しい若い娘の姿で表され、オリュンポスの山頂に住み、神々の宴ではアポロンの竪琴やムーサたちの歌声と共に演舞した。

神々や人々に肉体的な美しさを表して喜ばせるだけでなく、精神的な部分においても優美を与えたといわれるため、
美術だけでなく技術を志す人々にも信仰された。

本来は春の芽生えの活力を表した神であったと考えられている。

後に、愛と美の女神アフロディテの従者と見なされるようになった。
(ヘシオドス907-909)(The Encyclopedia Britannica)

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カリストKallisto
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アルカディアのニンフ。(アルセイド Alseid 森のニンフ)

カリストはゼウスと愛し合い、ニ人の間にアルカス(Arkas)という男の子が生まれた。

これを知ったゼウスの妻ヘラはねたみ、カリストをクマの姿に変えてしまった。
月日は過ぎ、クマにされたカリストは森の中で立派に成人した息子のアルカスに出会った。

カリストは息子を抱きしめたいと思い、アルカスに近づいていった。

そのクマが母親であることと知らないアルカスには、クマが襲ってくるようにしか見えなかった。
アルカスは弓を構え、母親を殺そうとした。

これを見たゼウスはアルカスを小熊の姿に変え、母子ともに天に上げて星座とした。
おおくま座とこぐま座は天上で、親子仲良く輝いている。
(オウィディウス Ovidius『変形譚 Metamorphoses』巻ニ)

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カリュアティドCaryatid
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アテネのエレクテイオン神殿(Erechtheion)の女人像柱。

カリュアの乙女たち(Caryatis)と呼ばれる六体の女性の彫像が柱となって神殿を支えている。

ペルシア戦争の折、ペルシア側に加担したギリシア南部の町カリュア(Carya)の女性に、
女神アテナが罰として頭に重い荷物を載せて働かせたことからとされる。

エレクテイオン神殿は、アテネ王エリクトニオス(Erichthonios)に捧げられたイオニア式の神殿で、紀元前406年に完成。
 
また、アテナとポセイドンも祭られており、アクアポリスの中でも最も神聖な場所とされている。

なお、エレクテイオン神殿のカリュアティドはレプリカで、オリジナルはアクロポリス博物館に展示され、
一体はロンドンの大英博物館で見ることができる。
(The Encyclopedia Britannica)

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カリュケKalyke
1 アイオロス2とエナレテ(Enarete ネレウス Neleus の息子デイマコス Deimachos の娘)の娘。エンデュミオン(Endymion)の母。
2 エドレミット(Edremit) のヘカトン(Hecaton)の娘。ポセイドンの妻。キュクノス(Kyknos)の母。


カリュドンKalydon
古代ギリシア、アイトリア(Aitolia)のエウエノス河岸(Euenos)の都市。
エリス王アイトロス(Aitolos)の子、カリュドンが建設したといわれる。
メレアグロスとその他の英雄たちがこの地で野猪狩りしたことで有名 。
(The Encyclopedia Britannica)


カリュドンKalydon
エリス王アイトロス(Aitolos)とプロノエ(Pronoe テッサリアのフォルバス Phorbas の娘)の子。
カリュドン市の祖。
アイオリア(Aiolia イオルコス王クレテウス Kretheus の娘) との間に、エピカステ(Epikaste)とプロトゲネイア2(Protogeneia)をもうけた。


カリュドンの猪狩りhunting of the Kalydonian Boar
カリュドン王オイネウス(Oineus)が、ある年、アルテミス女神に捧げ物を怠ったことから、怒った女神は恐ろしい大猪を送って国中を荒させた。
オイネウスはこの猪を倒すために英雄たちを集め狩りを催した。
猪は、唯一の女性参加者アタランテ(Atalante)の矢で最初の傷を負い、ついにはオイネウスの子メレアグロスによって仕留められた。
メレアグロスは獲物の皮と頭をアタランテに贈ったが、叔父たちがこれを奪おうとしたので彼らを殺してしまった。
このことがやがて母の怒りによってメレアグロス自身が殺される原因になったとされる。
(The Encyclopedia Britannica)


カリュプソ Kalypso
1 オギュギア島に住む海のニンフ。アトラスの娘。
島に一人で住み、時々難破した水夫を海から引き寄せては楽しんでいた。
災難のひとつにあったばかりのオデュッセウスを救い出し、一緒に暮らした。
七年後、オデュッセウスは出発したいと言い出し、 彼女が悲しみながら作ったいかだに乗って島を後にした。
(オデュッセイア 第一歌 14, 第五歌 14)

2 オケアノスとテテュスの娘。(オケアニド Oceanid 海のニンフ)
(ヘシオドスによれば、カリュプソはオケアノスの娘。ヘシオドス 359,1017)


カリュブディスKharybdis
シチリア島のメッシナ海峡(Messina)にいたとされる怪物。
ポセイドンとガイアの娘で、もとは人間の女の姿をして地上に住んでいた。
猛烈な大食で、あるときヘラクレスが、ゲリュオン(Geryon)が飼っていた牛の群れを、ギリシアに連れ帰る途中、
それらの牛をむさぼり食ったために、ゼウスの怒りを買って雷で打たれ、海に住む怪物となった。
日に三度、海水を、付近を通る船と一緒に大量に飲み込んでは吐き出し、同じ海峡のイタリア側の岸にいたスキュラとともに、
この場所を航海の最大の難所の一つにしていたとされる。
(オデュッセイア 第12歌 104)


カリロエKallirrhoe
1 オケアノスとティテュスの娘。(オケアニド Oceanid 海のニンフ)
クリュサオルとのあいだに怪物ゲリュオン(Geryon)とエキドナ、
ポセイドンとのあいだにミニュアス(Minyas)、
ナイル河神ネイロス(Neilos)とのあいだにキオネ(Chione)、
リュディア(Lydia)初代王マネス(Manes)とのあいだにコテュス(Kotys)が生まれた。

2 アケオロス河神の娘。(ナイアス Naias 水のニンフ)アルクマイオン(Alkmaion エピゴノイ軍勢の総大将)の妻。

3 スカマンドロス河神の娘。(ナイアス Naias 水のニンフ)
トロイのトロス(Tros)とのあいだにクレオパトラ(Kleopatra)、イロス(Ilos)、アッサラコス(Assarakos)、ガニュメデスが生まれた。


カルカスKalchas
トロイ戦争に従軍した予言者。
ギリシア軍を襲った疫病の原因がアポロン神を怒らせたことにあると明かし、味方の窮状を救う手だてを示したほか、
トロイ戦争の勝利までの年月を予言したと語られている。
ホメロス以後の伝承では、ギリシア艦隊がアウリス港から出帆する際、アガメムノンの娘イフィゲネイアを人身御供に要求した話が名高い。
(エウリピデス Euripides 『アウリスのイフィゲネイア Iphigeneia he en Aulidi 』)(アポロドロスE-3-21-22)


カルナック神殿Karnak Temple
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エジプト、ナイル川東岸テーベの北部カルナックにあるアモン(Amun)神殿。創建は第12王朝時代。
中王国時代には地方神であったが、テーベ(Thebes)が首都になると、アモン神は太陽神ラー(Ra)と合体、国家最高神となった。

新王国時代にはハトシェプスト女王(Hatshepsut)、トトメス3世(ThutmoseV)、セティ1世(Seti I)、ラムセス2世(RamsesII)などが主な神殿を建立。
その後も建造が進み、プトレマイオス王朝(Ptolemaic dynasty)やローマ帝国時代の遺跡も残るエジプト最大級の神殿となった。

アモン神殿の壮大な多柱室の中央の柱は高さ3m、直径5m、その左右に並ぶ蕾形柱頭をもつ円柱は総数122本を数えるという。

またルクソール神殿(Luxor Temple)との間を結ぶ長さ約3kmの参道の両脇には、アモン神の象徴である「羊頭のスフィンクス像」が並んでいる。
古代エジプト人はこの「スフィンクス参道(Sphinx Alley)」を往来して神殿に行き、礼拝したという。
(The Encyclopedia Britannica)
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カロンCharon
冥界の河アケロン(Acheron)の渡し守。長いひげの老人で、小船で死者を対岸へ運んでいる。
死者は船賃として一オボロス銅貨(Obolos)を彼に渡さなければならない。
古代ギリシアでは、死者の口の中に一オボロス銅貨を含ませるという習慣があった。
一オボロスをもっていない死者は後回しにされ、200年間待たされてからようやく渡すことができるという。
(Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology by William Smith)


観音Guanyin
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伝承によれば、観音は、周王朝の時代、西域の興林国の王、妙荘の第3王女(妙善)として生まれた。
興林国は、峡谷と絶壁によって周囲を閉ざされた高原地帯にあり、気候は温暖で、国の東南には須弥山の諸峰が峨々と聳え、その頂は年中雪に覆われていたという。

妙善は、幼い頃から肉類・魚介類を食べず、虫にも憐れみの念を抱く優しい性格であった。
成長するに伴い優れた才覚と人徳を発揮し、国の将来を担う存在として期待されるようになる。

父王の妙荘は、妙善に婿をとらせ国政を司らせようとしたが、妙善は仏教を好み、仏の導きによって香山寺で出家し、尼となった。

妙善が出家してしまったため、無念遣る方ない父王はいっそのこと娘を殺害しようとする。
だが、閻魔王が現れて彼女を地下世界に逃れさせた。

この世界で、彼女は断罪された者たちの苦しみを軽くし、地獄を一種の楽園に変えてしまう。
やがて閥魔王によって解放された彼女は、囚人たちを鎖から解き放し、毒蛇から毒を抜き取り、雷を無力化できる者として崇敬される。

地獄で修業を積み、仏陀より観世音菩薩に奉ぜられた妙善は、苦しみにあえぐ衆生の救済に向かう。
観世音菩薩は、まず人々に稲作を教え、穀粒をその乳で満たして健全なものにした。

自分を必要とする者たち、とりわけ水や悪霊、火、剣などに脅かされている者たちを救済した。
そして疾病に苦しむ者たちを完壁なまでに癒してやった。

真の心をもって観世音菩薩の名を一心に唱えるならば、すべての苦難、苦悩から解放され、奇跡を起こすことができるとされている。


観世音菩薩伝(周兆昌)
KISA スピリチュアル・アート https://ameblo.jp/spacetera/

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神々の系譜

                   
プロトゴノイ (Protogonoi 原初神)                        ティタン神族                             オリュンポス神族






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