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ここは人々でごった返すアグラバの街。人々は陽気で活気に満ちている。
その人ごみの中をひとりの若者が駆け回っていた。彼の名はアラジン。
相棒の猿アブーと今日も盗みを働き、衛兵に追いかけられていたのだった。
しかし、そんなアラジンを、街の人々は優しく接します。
彼はただ貧しいというだけで、実は心の優しい快活な若者だった。
その街を見下ろすように建つ金色に輝く美しい王宮。
そこには、一人娘のお婿さん探しを心配している国王のサルタン。
そして、何人もの王子から求婚されている、美しい王女ジャスミンがいた。
娘や、早くお婿さんを決めておくれ。
わしは孫の顔が見たいのだよ。
お父さん、あたし
好きでもないヤツと結婚なんてイヤなの。
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【第十一課 第三節】
阿米得: 我从来没有受过这种污辱!
(有一个王子从皇宫里冲了出来,一副气冲冲的样子 ・・・)
国 王: 阿米得王子,你不会这么快就走了吧?
阿米得: 谁稀罕跟她结婚啊!
(国王望着他跑去的背影,看见他的阿拉伯裤子破了,
露着红桃花样的裤衩和屁股)
国 王: 茉莉!
(发生了什么事!? 国王提心吊胆地进入了皇宫的里院。
宫殿的里院很安静,呈现出一幅迷人的景色。
绿色的树木天空高地耸立,壮丽的白色回廊包围着里院。
在里院的中央有一个喷泉池,喷泉的水被很大的大理石水盘汇集。
清澈的水声终日不止,非常宜人。
在那个喷泉旁边,茉莉公主正在坐下来。
茉莉公主美丽漂亮,胜过着任何宝石的光华,也胜过着任何盛开的花朵。
她光滑的棕色皮肤上,黑色的瞳孔闪耀。
一头浓密的黑发一直垂到腰间,在发带上有很大的蓝色宝石发光着。
在公主脚下,一只很大的老虎安适地躺着。
这个老虎叫做乐雅,是从小时候跟茉莉公主一起玩的朋友)
国 王: 茉莉,哎哟,该死的乐雅。
(刚进入里院的国王,突然传来的一阵吼叫声被吃惊了。
只见乐雅叼着的是好像见过的花样布头。
那确实是刚才看到的阿米得王子的一片裤衩的布头啊)
国 王: 阿米得王子就是怎么被你气跑的。
茉 莉: 父王,乐雅只是想跟他玩嘛,对不对啊? 乐雅。
你只是想跟一个很爱打扮又自以为是的王子玩,是不是啊?
国 王: 亲爱的,你不能再拒绝所有上门求婚的人呢。
法律规定你必须嫁给王子。在你下个生日之前一定要完婚。
茉 莉: 这条法律是不对的。
国 王: 亲爱的,你只剩下三天了。
茉 莉: 父王,我不喜欢被逼着结婚。我希望能嫁给一个我所爱的人。
国 王: 茉莉,这个并不完成是法律的问题。我也不能永远陪着你身边。
如果能够的话,我只希望有人好好照顾你,我就放心了。
茉 莉: 父王,请你谅解,我从来没有做过一件我自己想做的事情。
从来没有一个真正的朋友,(向乐雅看)
除了你之外,乐雅。
再说,我从来都没有跨出过宫庭一步。
国 王: 可是,你是个公主啊。
茉 莉: 那我宁愿不要再当什么公主了!
国 王: 我 ・・・ 早知道我就不该生你这女儿。
(国王发了一阵牢骚,无力地垂下肩膀,进入了宫殿中。
茉莉叹了口气,四下张望。 她似乎好像跟被擒的小鸟们一样。
茉莉公主走近里院角落的鸟笼那边,把小鸟们放走了。
小鸟们一齐飞向明亮的天空。 看着那些自由飞翔的小鸟们,公主真是羡慕极了)
(返回宫殿的房间,国王不停地悲叹着)
国 王: 真搞不懂,谁教她这些呢? 她的母后也不会这么挑剔啊。
(房间里有一个摆着模型的桌子,城堡、寺院、广场、道路、
各种各样的城市模型做得很精巧。这些是国王最爱好的玩具。
他常常郁闷的时候都是靠这些模型来解闷的。
但今天像平时一样不能埋头玩了。
这时,大臣的贾方来到国王的面前。
国王见到贾方,心情一下子开心起来,跑到他跟前)
国 王: 是贾方啊。我最信赖的顾问啊。我是多么需要你的指引喔。
贾 方: 我生来就为服侍你的陛下。
国 王: 还不是关于茉莉啊。茉莉拒绝挑选驸马。我已经无计可施了。
艾 格: 无计可施了!!
(这时艾格模仿了国王的话说。
国王就从口袋里拿出一片饼干,塞进了艾格的嘴里)
国 王: 谁啊? 哦,来块饼干,小可爱。
贾 方: 陛下,对付这些笨动物,可真有一套啊。
陛下,或许我可以为你找到解决难题的好办法呀。
国 王: 看来也只有你能帮我。
贾 方: 可是,我需要用到你这颗神秘的蓝钻石呀。
国 王: 你说这戒指啊。这是我的传家之宝。
贾 方: 它会帮助公主找到一位如意郎君的。
(贾方把他的手杖放在国王的眼前。
手杖上有个蛇头,蛇头上的眼睛开始闪光。贾方把手杖靠近国王)
贾 方: 请您放心,事情会如您所愿的。
国 王: 事情会如我所愿。
贾 方: 蓝钻石 ・・・
国 王: 好 ・・・ 吧 ・・・ 贾方,就照你说的把戒指给你 ・・・
(原来贾方是一名精通操纵人心的巫师。
受到暗示的国王从手指上拿下蓝钻石戒指,把它交给贾方)
贾 方: 一切交给我了,陛下。现在可以去和你玩具们玩乐了
国 王: 好吧,那我就等你的好消息了。
(看到那个情况,贾方一边自笑,一边从房间出去了。
来到秘密的塔里,一直沉默下去的艾格一下子大喊起来)
艾 格: 我实在受不了了!
我再也不愿意吞下那些发了霉令人想吐的饼干了,恶心极了。
我很不得抓着他的头甩一甩。
贾 方: 冷静一点,艾格。我早晚会变成国王,取代那个笨蛋的。
艾 格: 到那个时候,我要把饼干塞进他的喉咙里。
(贾方和艾格互相看脸,发出了阴险的笑声)
(这天夜里,天空的月亮格外地明亮。
此时,茉莉公主换上了一身粗布衣服,罩上面纱,偷偷地来到了皇宫的围墙下。
老虎乐雅很快察觉,它不想让公主去,叼了她衣服下摆)
茉 莉: 对不起,乐雅。我想清楚了。我不能让我自己老死在这里啊。
(听了公主的话,乐雅似乎明白了她不得已的心情。
乐雅把自己的头给她当作梯凳,让她跨过了围墙)
茉 莉: 我会想念你的 ··· 再见。
(于是公主在乐雅的帮助下,离开了皇宫。
在宽广的里院里,只有一个老虎的影子孤零零地伫立着)
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【注 釈】
【国王】guó wáng 国王 (Sultan)
【谁稀罕跟她结婚】 shéi xī hǎn gēn tā jié hūn
誰が好んで結婚するものか。稀罕(=以为希奇而喜爱)
<用例> 谁稀罕做你太太。(お前を嫁にする奇特なヤツがいるものか)
【红桃花样的裤衩】 hóng táo huā yàng de kù chǎ
ハート柄のパンツ。
【提心吊胆】 tí xīn diào dǎn (=十分担心或害怕)
〈成〉おっかなびっくりである。心中びくびくする。
<用例> 提心吊胆地往里头看。(恐る恐る中をのぞく)
【茉莉】mò lì ジャスミン (Jasmine)
【乐雅】lè yǎ ラジャー(ジャスミンのペットのトラ) (Rajah)
【就是怎么被你气跑的】 jiù shì zěn me bèi nǐ qì pǎo de
一体なぜお前に腹を立て出て行ったのか。
「就」 は 「怎么」 を強調する範囲副詞。 「是・・・的」 は判断構文。
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【口語訳】
アクメット: こんなに侮辱されたのははじめてだ!
(ひとりの王子が、かんかんに怒った様子で宮殿から出てきた)
国 王 : アクメット王子どの、そうあわてて帰らんでもよいではないか。
アクメット: 誰があんな娘と結婚なんかするもんか!
(国王が、ふと彼の後ろ姿を眺めると、なんと彼のふくろズボンが破れて、
ハート模様のパンツとお尻がむきだしになっている)
国 王 : あのジャスミンめ!
(いったい何事が起こったのか。国王はハラハラしながら宮殿の中庭へ入っていく。
宮殿の中庭はとても静かで、うっとりするような景色が広がっていた。
緑の木々は空高くそびえ、壮麗な白亜の回廊が中庭をとり囲んでいる。
中央の池には噴水があり、流れ落ちる水は大きな大理石の水盤に受けられて、
終日絶えることのない澄み切った水音を心地よく響かせている。
その噴水のほとりに、王女ジャスミンは腰を下ろしている。
王女ジャスミンの美しさは、どんな宝石の輝きにも、咲き誇る花にもまさっていた。
彼女のなめらかな小麦色の肌に、輝く黒い瞳。
豊かな黒髪はフサフサと腰のあたりまで垂れて、ヘアーバンドには大きなブルーの宝石が輝いていた。
王女の足下には、一匹の大きなトラがゆったりとくつろいでいる。
このトラはラジャーといい、王女ジャスミンとは子供のころからの親友だった)
国 王 : ジャスミン! こ、こら、ラジャー、脅かすんじゃない!
(中庭に入ってきた国王は、突然ラジャーのうなり声に驚かされる。
見ると、ラジャーは見覚えのある模様の布切れをくわえていた。
あれは確かにさっき見たアクメット王子のパンツの切れっばし)
国 王 : そうか、これでアクメットが怒って帰ったワケか?
ジャスミン: お父様、ラジャーは遊んだだけよ。そうよね、ラジャー?
あなたはあのキンキラ衣装の鼻もちならないアクメット王子と、遊んでただけよね?
国 王 : 姫よ、せっかく来てくれた見合いの相手を、追っぱらうのはやめてくれんか。
今度の誕生日までに、お前はどこかの王子と結婚しなければならんのじゃ。
そう法律で決まっておる。
ジャスミン: それは法律のほうが間違っているわ。
国 王 : 姫よ、あと三日しかないというのに。
ジャスミン: お父様、私、ムリに結婚するのはイヤなの。 結婚するなら、やっばり愛がなくっちゃ ・・・
国 王 : ジャスミン、これは法律だけの問題ではない。
わしがいつまでも生きていると思ったら大間違いだぞ。
・・・ じゃから、わしは、早くお前に身を固めてもらって安心したいのじゃよ。
ジャスミン: お父様、もう、お願いだからわかって。
私、何もかも召使まかせで、今まで何ひとつ自分でしたことないのよ。
本当の友達だっていないし
・・・ (ラジャーを見て) お前だけは別よ、ラジャー。
それに私、宮殿の外にだって出たことがないんだから。
国 王 : ジャスミン。おまえは王女なのだぞ。
ジャスミン: こんなのが王女の暮らしなら、私はもう王女をやめたいわ。
国 王 : 困ったものじゃ ・・・ 娘なんかもつものではないわい。
(国王はひとしきり愚痴を言うと、がっくり肩を落として、宮殿の中へ入ってしまった。
ジャスミンはため息をついて、あたりを見回す。自分は、捕われの小鳥と同じようなもの。
ふと彼女は庭隅にある鳥籠に歩み寄り、鳥たちをいっせいに外へと放した。
輝く空に向けて、鳥たちはいっせいに飛び立っていく。
自由に空を飛び回る鳥たちを見て、ジャスミンは心底羨ましく思った)
(一方、宮殿の部屋へと戻ってきた国王はしきりに嘆いていた)
国 王 : どうもわからん、誰が娘にあんな知恵をつけたのじゃろう。
彼女の母親はあれほど分からず屋ではなかったのに。
(国王の部屋には、いろいろな模型が並べられているテーブルがあった。
それらは城、寺院、広場、道路など、種々の街の模型でとても精巧に作られていた。
これらは国王の最も愛好するおもちゃだった。
国王は、いつも気がふさいだ時には、これらの模型で気晴らしをしていたのだ。
しかし今日だけは、ふだんのように没頭して遊ぶことができなかった。
この時、大臣のジャファーが部屋の中に現れた。
国王はジャファーを見ると、急にほっとした気持ちになって彼のもとに駆け寄った)
国 王 : ああ、ジャファー。わしの最も頼りになる助言者よ。
ぜひお前の知恵を借りたいものじゃ。
ジャファー: 陛下のためなら、いかなるご相談であろうとも。
国 王 : ほかでもない、ジャスミンの結婚のことじゃ。姫は誰を連れてきても、首を縦に振ろうとせぬ。
わしはまったくお手上げなのじゃ。
イアーゴ : お手上げじゃ!お手上げじゃ!
(この時、イアーゴが国王の口真似をしてわめき立てた。
それを聞いた国王はポケットの中からビスケットを取り出して、イアーゴの口の中に押し込む)
国 王 : 誰じゃ? うぉっほっほっ、可愛いのう。 これをやろう。
ジャファー: さすが陛下、動物の扱いがお上手で。 さて、陛下がお困りの難問は、私が解決いたしましょう。
国 王 : ほんとうにお前は頼りになるわい。
ジャファー: ただし、それにはこの神秘のブルーダイヤが必要でございます。ぜひ私に、これを。
国 王 : えっ、これを?これは我が王家に伝わる大切な家宝じゃ。
ジャファー: だからこそ、王家のお婿探しにぜひとも必要なのでございます。
(このとき、ジャファーは彼の杖を国王の目の前に置いた。
杖の上には、一匹のコブラがついていて、そのコブラの目が突然ぱっと光り輝いた。
ジャファーは杖を国王の方へグイッと向ける)
ジャファー: どうぞご心配なく、それを私に。そうすれば、すべてはうまくまいります。
国 王 : そうか。すべてうまくいくのじゃな。
ジャファー: さあ、ダイヤを。
国 王 : よかろう、ジャファー。お前が必要と言うなら、これを持っていくがいい。
(なんとジャファーは人の心をあやつる魔術を心得ていたのだった。
暗示にかかった国王は、指の上から青いダイヤの指輪をはずし、それをジャファーに手渡してしまった)
ジャファー: すべて私におまかせを、陛下。では、心おきなくお遊びをなさいませ。
国 王 : わかった、ではお前の良い知らせを待つことにしよう。
(ジャファーはほくそ笑みながら、その様子を見届けて部屋を出ていった。
隠れ家の塔へ来ると、ずっと黙っていたイアーゴが一気にまくし立てはじめる)
イアーゴ : もう、アッタマにきたぜ。毎回カビくさいビスケットばっかり食わせやがって。
まったく吐き気がするったらありゃしねえ!
あのフーセンおやじのアタマを掴んで、バコンバコン振り回してやりてえぜ!
ジャファー: 落ち着け、イアーゴ。わしはいずれ国王になるであろう。あの薄らバカのボケ老人を追い出してな。
イアーゴ : いいぞ、そしたら今度はおれが、あいつの口にまずいビスケットを押し込んでやる!
(ジャファーとイアーゴは、顔を見合わせて陰険な笑い声を立てた)
(その日の夜は、月がひときわ明るく照り輝いていた。
すると王女ジャスミンが、地味なかぶりものに身を包み、こっそりと宮殿の塀の下にやって来た。
トラのラジャーはいち早く察知して、王女を行かせまいとして彼女の服の裾をくわえる)
ジャスミン: ごめんね、ラジャー。あたしよく分かったの。
あたしはこのまま、ここで一生を終わりたくないのよ。
(それを聞いたラジャーは、やむにやまれぬ王女の気持ちがわかったようだ。
ラジャーは自分の大きな頭を踏み台の代わりに差し出し、彼女に塀を越えさせた)
ジャスミン: さよなら、ラジャー!
(こうして王女は、ラジャーの助けのもと、宮殿を離れることができた。
あとには広々とした中庭に、一頭のラジャーの影だけが寂しげにたたずんでいた)