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魔法の絨毯に乗り、星空デートをしたアラジンとジャスミン。

二人の恋は成就しかけるが、アラジンはランプをジャファーに奪われてしまう。

ジーニーを味方につけたジャファーは、ひとつ目の願いでアグラバの支配者となり、
国王から王位を奪い取る。

さらに、ふたつ目の願いで世界一の魔術師となったジャファーは、魔法でアラジンを
雪深い地の果てへ追放してしまう。



Sleep well, Princess.

(おやすみ、王女様)

Good night, my handsome prince.

(おやすみ、素敵な王子様) 



     
(1) (2) (3) (4) (5) (6)  (7) (8) (9) 

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【第十一課 第八節】


去看看这世界,神奇、善良又美丽,放开心灵,去接受另一种人生体验。
张开你的双眼,美景在眼前展现,与我一起遨游天际,造访星辰明月。

看这世界,拥抱这新的感觉,飞跃在云间,在星月间,在你我情谊之间。
看这世界,惆怅寂寞曾占心田。

有你在身边,飞在天边,泪水悲颜已化作为云烟。
在这崭新的世界飞翔,去看看这世界,神奇、闪亮又美丽,换个心情。 

人生到处充满着新鲜,看这世界,张开你的双眼拥抱这新的感觉,美景在眼前展现。

飞跃在云间,在星月间,在你我浓情蜜意之间,看这世界,
天南地北遨游,在这崭新的世界。

散尽千万般心情,有你在身边,飞在天边,泪水悲颜已化作为云烟。

看这世界,看这世界,在你身边,在你身边,
新的感觉,新的感觉,在你身边。



(魔毯载着阿拉丁和茉莉在阿格拉巴城的上空飞行。皇宫被远远地甩在了他们身后,
茉莉感到自己像鸟儿一样自由。魔毯飞过月球,飞过埃及金字塔,飞过希腊帕提农神庙,
最后落在了中国的紫禁城屋顶上看烟花)


茉 莉 : 这真是太神奇了。
阿拉丁 : 对呀。
茉 莉 : 可惜阿布错过这个机会。

阿拉丁 : 才不呢,它最怕烟火了。而且它也不喜欢飞行,它…。完了。
茉 莉 : 你就是我在市集上遇见的男孩,我早知道了。你为什么要骗我呢?
阿拉丁 : 茉莉公主,我真的很抱歉。

茉 莉 : 你是不是觉得我很笨。
阿拉丁 : 不!
茉 莉 : 笨到看不出来。

阿拉丁 : 不,我是…。希望你看不出来,不不不,我不是这个意思。
茉 莉 : 你到底是谁? 跟我说实话。

阿拉丁 : 实话? 事情是…事情是这样的。有的时候呢,我会穿平民的衣服,
到外面去体验一下贫民的生活。不过我真的是个王子。

茉 莉 : 你为什么不早告诉我呢?
阿拉丁 : 这个,你知道嘛。如果我跟你说,我是查看民情的话,你一定不会相信的,对不对?

茉 莉 : 我当然不相信。


(阿拉丁带茉莉公主回她的皇宫)

茉 莉 : 晚安!我英俊的王子。
阿拉丁 : 祝你有个好梦,公主。


(魔毯载着阿拉丁,飘落在了皇宫的庭园上)

阿拉丁 : 太棒了。好运终于降临在我身上了。

(突然,几个卫兵从暗中窜出来,抓住了阿拉丁)

阿拉丁 : 阿布!
卫 兵 :  还动!

(只见阿布和魔毯也绑在树上)

贾 方 : 你已经不再受欢迎了,阿巴巴王子。
阿拉丁 : 你想做什么?

贾 方 : 最好让他永远消失…。


(贾方说着走离。阿拉丁被打昏,丢进了海里。
就在阿拉丁快要被海浪吞没的时候,神灯从他的头巾中掉了出来,精灵再次现身)

精 灵 : 每次都这样,洗泡泡浴的时候把我叫出来…。什么事? 拉丁,小子!你可别来这一套,
这次我不会上当了。除非你许个愿,不然我不会救你,你快说,精灵,我希望你救我一命。
快说,就当他说过了。奉舰长的命令,全速冲出水面。

(精灵救了阿拉丁并带他回了地上)

阿拉丁 : 咳!咳!
精 灵 : 你刚刚真把我吓坏了。

阿拉丁 : 精灵…我……谢谢你,精灵
精 灵 : 拉丁,我也愈来愈爱你了。但下次你不要让我干这种鸡毛蒜皮小事嘛。


(在茉莉公主的房间,她高兴的在哼着歌照镜子梳着自己的头发)

国 王 : 茉莉…。 
茉 莉 : 父王!我刚刚度过一段最美好的时光,我真是太开心了。
国 王 : 我想也是…茉莉,我已经为你选了一位丈夫…。
茉 莉 : 什么?

国 王 : 你要嫁给贾方…。
贾 方 : 你是如此的完美无缺,你会是个好妻子!
茉 莉 : 我绝对不会嫁给你的…父王,我要嫁给阿里王子。
贾 方 : 阿里王子早离开…。

阿拉丁 :我看你最好再去卜个卦,贾方!
茉 莉 : 阿里王子!
艾 格 : 这是怎么回事啊?
阿拉丁 :别装傻了,贾方!你想杀我灭口。

贾 方 : 什么?你简直是胡说八道…。陛下!他显然在说谎。
国 王 : 他在说谎…。
茉 莉 : 父王!你到底是怎么了?
阿拉丁 :我知道怎么回事了!

(阿拉丁走上前,从贾方手中抢过魔杖,把它摔得粉碎,魔法也在此消失,国王就清醒过来)

国 王 : 我的天啊!
阿拉丁 :陛下!贾方全靠这个东西控制你。
国 王 : 你说这? 贾方!你这吃里扒外的东西。
贾 方 : 陛下!请您听我解释…。

国 王 : 来人,来人啊!
艾 格 : 没戏唱了,我们死定了,糗大了。还是先找好坟场,我们死定了。
贾 方 : 我们走着瞧,小子!

(贾方从口袋里掏出一个烟雾弹,举了起来。突然升起了滚滚浓烟,烟雾散去后,他逃走了)

国 王 : 快,快去把贾方找出来,快点!
阿拉丁 :茉莉,你还好吧?
茉 莉 : 我很好。

国 王 : 没想到我最信赖的贾方。竟然千万百计害我,太可怕,太可怕了。
我怎么从来没有…。这是真的吗?
我女儿真的选中一个她喜欢的人?阿拉保佑,聪明的孩子我要亲你一下。
不,我要等到…你们立刻结婚,你们将会无比的快乐、富裕。接着你这孩子,你就会接替我的王位。

阿拉丁 :  王位?

国 王 : 对呀。你这种高尚杰出的年轻人,你所拥有无可匹配的品格,正是我们王国需要的人才。


(这时,贾方的隐秘黑窝)

艾 格 : 我们必需要离开,一定要离开!我要开始收拾行李了。带着我一些重要的东西。
一些轻便东西、还有枪、刀子。这个照片要不要带去? 带着吧,我看起来好帅。

贾 方 : 哈!哈!
艾 格 : 老天,他快崩溃了,他发疯了。贾方,你在家吗?

贾 方 : 阿里王子什么都不是,可恶的阿拉丁。神灯在他手上。
艾 格 : 我们的命好苦啊。
贾 方 : 哎格,现在是你立功的机会…。

(贾方邪笑着)


(在皇宫客厅里。阿拉丁思绪纷乱,心里安静不下来)

阿拉丁 : 王位? 他们要我继承王位。

(阿拉丁擦一擦神灯,精灵就跑出来)

精 灵 : 掌声立刻永远欢呼,阿拉丁,你已经赢得公主的芳心,下一步你要怎么做呢?
你应该说要让精灵自由,快点说。

阿拉丁 : 精灵,我做不到。
精 灵 : 你当然做得到啊。你只要说,精灵,我希望你获得自由。

阿拉丁 : 不要闹了啦,我很抱歉,我真的很抱歉。他们希望我做国王。
不! 他们要的是那个阿里王子,没有你,我只是阿拉丁而已。

精 灵 : 拉丁你赢了。
阿拉丁 : 那是因为你,所以我才变得有价值,一旦他们发现我不是真的王子,一旦茉莉发现了,我就会失去她,
精灵,我不能够遵守诺言。我…我不能还你自由。

精 灵 : 没关系,我了解。反正你欺骗了所有的人,再多骗我一个也无所谓。我现在只想告退一下,我的主人。

(精灵说着就灰心丧气的回去灯里了)

阿拉丁 : 精灵,我真的很抱歉。

(一口唾沫从灯嘴中吐了出来)

阿拉丁 : 好吧,既然这样,你就别出来了。

(阿拉丁生气地把神灯塞进了靠垫底下)

阿拉丁 : 你们看什么看!阿布,对不起啦。我不是有意的,等等,不要这样嘛。
我在干什么? 精灵是对的,我…一等要把真相告诉茉莉。

艾 格 : 阿里,你过来一下好吗?

(茉莉公主声音突然传出)

阿拉丁 : 我来了。茉莉,你在哪里?
艾 格 : 在皇宫外面,快点。
阿拉丁 : 我来了。 

艾 格 : 你倒大楣了,你这个笨鸟。哈哈,贾方见到你一定高兴死了,做得好,哎格!
再继续,不,真的如果有一百分,你得一百一十分。贾方,你太大方了,不好意思,我脸都红了。

(阿拉丁听到茉莉的声音,原来是艾格装出来的。艾格,悄悄地飞进皇宫的客厅,从靠垫底下偷走了神灯)


(阿格拉巴的居民都来到了皇宫前广场,国王向大家大声宣布)

国 王 : 阿格拉巴的子民们,我的女儿终于选出了一位求婚者…。

阿拉丁 : 茉莉。
茉 莉 : 阿里,你到哪儿去了?
阿拉丁 : 茉莉,我有话要告诉你。

茉 莉 : 全国的人都在听父王宣告呢。
阿拉丁 : 茉莉,请你听我说,我不是你们所想的那个…。

国 王 : 英俊潇洒的阿里王子!
阿拉丁 : 天啊!

艾 格 : 你看看,他们在对那个杂碎欢呼耶。
贾 方 : 让他们去吧。

(贾方摩擦着神灯,把精灵叫出了)

精 灵 : 拉丁,我告诉你…。

(精灵出来后不想面对他,然后转过来发现是别人)

精 灵 : 我真的觉得你变了个人了,阿拉丁怎么被一个黑暗、罪恶丑陋的人取代了?
贾 方 : 现在我是你的主人!

精 灵 : 我倒大楣了。
贾 方 : 精灵,完成我第一个愿望,我希望变成国王高高在上。

(虽然不情愿,精灵还是不得不服从贾方的命令。接着空中开始电闪雷鸣,精灵的魔法要开始把贾方变成国王了)


国 王 : 阿拉保佑,怎么了,怎么了? 怎么回事呢? 到底发生什么事了。贾方,你这卑鄙的叛徒。
艾 格 : 胡说!贾方国王怎么会背叛你。

阿拉丁 : 是吗,我们走着瞧好了。神灯呢?
贾 方 : 在我的手上,阿巴巴。

(精灵把皇宫举起来。与此同时,皇宫里的一切东西都变得黑暗邪恶的颜色)

阿拉丁 : 精灵,住手!
精 灵 : 孩子对不起,我换了个主人。
国 王 : 贾方!我命令你住手!
贾 方 : 你的命令已经不管用了,现在得听我的,你也有向我跪拜的一天。

茉 莉 : 我们死也不会向你跪拜的。
艾 格 : 我算准了你们会这么说。

贾 方 : 其实你们不愿臣服于国王。你们也得臣服于魔法之下。
精灵!我的第二个愿望,我希望成为全世界以及全宇宙最强的魔法师!

阿拉丁 : 精灵!不可以!

(瞬间,雷鸣隆隆地回荡着,震动着整个房间。魔法开始发挥作用,贾方变成了穿着黑衣裳,最邪恶的魔法师)


艾 格 : 各位先生、女士们,让我们以最热烈的掌声欢迎魔法师贾方。
贾 方 : 我们讲到哪里了? 对了,你们要向我跪拜。

(国王和茉莉浑身没劲儿地跪在地上。这时,乐雅大吼一声向贾方扑去。贾方举起了魔杖把乐雅变成了小虎)

贾 方 : 缩小,公主,我迫不急待的要介绍一样东西给你。
阿拉丁 : 贾方,你不要碰她!

贾 方 : 快来看看,你的阿里是什么东西。仔细瞧,靠过来看他的德性。
你相信花言巧语。那一切都是假的,来看看冒牌的王子阿里。
艾 格 : 或许我们应该叫你阿拉丁。

(贾方向阿拉丁挥舞着魔杖。接着,阿里王子的华丽衣服不见了,他又一次穿上了从前的那些破衣服)

茉 莉 : 阿里,你…。
阿拉丁 : 茉莉。我本来是要告诉你的,但是…。

贾 方 : 阿里只是个骗子,贫穷阿拉丁。他什么也都没有却欺骗你。他全身一无可取。
不值得留在这里,把他永远赶出这个地方。再不出现破坏我的好事。

阿拉丁 : 精灵!
贾 方 : 火箭快发射这坏蛋阿里,就离开地球,呀呼!拜拜,再见,来世吧!冒牌阿里。哈哈哈。

(贾方把魔杖一挥,将阿拉丁的身体,跟阿布和魔毯一起塞进皇宫的高塔里。
接着,旋风掀起,高塔像火箭一样, 画着孤线,冲向遥远的尽头飞去了)


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【注 釈】

【才不呢】cái bù ne (=不会这样吧)  そんなことないさ。
「才」は、強調を表す語気副詞。 <用例>才冷呢! (ばかに寒いね)

【还动】hái dòng (=不要动了)  ジタバタするな。
「还」は、非難を表す語気副詞。 <用例> 还嘴硬!(強がるなよ)

【杀我灭口】hā wǒ miè kǒu (=杀死知道内情的人)  口封じする。

【吃里扒外】chī lǐ bā wài (=叛徒)  裏切り者。 (traitor)
<用例>那个吃里扒外的职员被开除了。 (その職員は背信行為で解雇された)

【没戏唱了】méi xì chàng le (=没有希望)  見込みがない。(we are dead)
<用例> 这个生意没戏唱了。(この商売はパッとしない)

【糗大了】qiǔ dà le (=丢脸)  メンツ丸つぶれ。
【走着瞧】zǒu zhe qiáo (=等过一段时间再下结论)  覚えてろ。 (not done yet)

【倒大楣了】dào dà méi le (=太不幸了) ツイてない。(got a problem)

【算准】suàn zhǔn (=看准)  見当をつける。
<用例> 诸葛孔明算准机会施巧计。(孔明は機を見極めるや奇策をめぐらした)

【看他的德性】 kàn tā de dé xìng (=又不是什么大人物)  ヤツのツラをみてみろ。(not as you know him)
<用例> 瞧你的德性。(おまえ何様のつもりだ)


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【口語訳】

見てごらん 目の前の世界を 不可思議で 煌めいて そして美しい
心を開いて さあ身をまかせよう 新たな世界に

どこまでも 美しく広がる 未知の世界
思うままに 二人して 飛んでゆこう 空の果てまで

見てごらん 心躍る 未知の世界
輝く雲 きらめく星の光 このまま二人して 見つめよう

見てごらん 怖がらないで 誰も僕らを 止められはしないから

思うままに 二人して 駆け抜けよう 空の果てまで
すべての涙と 悲しみは 過去のものに なったのだから


追いかけよう 目の前の世界を 不可思議で 煌めいて そして美しい
心を開いて さあ確かめよう 新たな世界を

どこまでも 美しく広がる 未知の世界
夢を追い 二人して 確かめよう 新たな世界を

見てごらん はるかなる 未知の世界
輝く雲 きらめく星の光 このまま二人して 見つめよう


思うままに 二人して 駆け抜けよう 空の果てまで
すべての涙と 悲しみは 過去のものに なったのだから

見てごらん 目の前の世界を 二人だけの 夢の世界
はっきり感じられる この胸のときめき 今君と二人で



(アラジンとジャスミンを乗せた絨毯はアグラバの街の上空を飛んでいた。宮殿がはるか彼方に霞んで見える。
ジャスミンは、自分が鳥のように、自由に空を飛び回っているような気分になった。

絨毯は月をめぐり、エジプトのピラミッドを駆け抜け、ギリシアのパルテノン神殿を通過して、
最後に中国の紫禁城の屋根の上に降り立った。夜空には花火が打ち上げられている)


ジャスミン: ああ、本当に何もかも夢みたい。
アラジン: そうだね。

ジャスミン: きっとアブーも来たかったでしょうね。
アラジン: いいさ。あいつは花火が嫌いだし、飛ぶのも好きじゃないから…あ、しまった!

ジャスミン: やっぱり市場で会った人なのね! わかっていたわ。どうして嘘をつくの?
アラジン: ジャスミン、ごめんよ。
ジャスミン: 私をなんだと思ってるの。
アラジン: いや、それは…。

ジャスミン: ずっとだませると思ってたの。
アラジン: でもバレちゃうなんて…いや、そうじゃなくて、悪気はなかったんだ。
ジャスミン: あなた、本当は誰なの? 本当のこと言って!

アラジン: 本当のこと? つまりボクは…ときどき庶民の恰好をして、彼らの生活を体験するために、
宮殿から抜け出してたんだ。本当に、王子なんだ。

ジャスミン: じゃあ、どうして隠していたの?
アラジン: わかるだろう? だって王子が変装して街に出るなんて、そんなの誰が信じるって言うのかい?

ジャスミン: そうね、私もきっと信じないわ。


(アラジンはジャスミンを宮殿に送り届けた)

ジャスミン: おやすみなさい! 素敵な王子様。
アラジン: おやすみ、王女様。


(絨毯はアラジンを乗せて、中庭へ舞い降りていった)

アラジン: ああ、なんて幸せな感じ…生まれて初めてだよ。


(突然、物陰に隠れていた衛兵たちが、寄ってたかってアラジンを取り押さえた)

アラジン: アブー!
衛 兵: しっかり押さえつけろ!

(気がつくと、ゾウのアブーと絨毯も捕らえられて木に縛りつけられている)

ジャファー: 我々にとって、おまえは「好ましからざる客」なのだよ、アババ王子。
アラジン: 何をするつもりだ?

ジャファー: 衛兵ども、こいつが二度と現れぬよう始末しておけ!


(ジャファーが立ち去ると、アラジンは後頭部を殴られ、気を失ったまま、海に放り投げられた。
まさに波浪にのみ込まれる寸前、魔法のランプが彼のターバンの中から落下し、その衝撃でジーニーが現れた)

ジーニー: まったくもう、お風呂に入ってるときに限って、呼び出されたりするんだよなあ…なんだい? アラジン。
おいおい、冗談はやめてくれよ、んっ? アラジン、しっかりしろ、願ってくれないと救えないんだよ! 
早く言うんだ「ジーニー、オレを救え!」って。よし、イエスなんだな? よーし、艦長の命令により、全速浮上!!

(ジーニーは、アラジンを海から救い出し、地上に送り届けた)

アラジン: ごほっ、ごほっ!
ジーニー: アラジン、頼むから脅かさないでくれよ。

アラジン: ジーニー、オレ何て言ったら…ありがとう、ジーニー。
ジーニー: アラジン、オレもあんたを好きになってきたぜ。だが頼むぜ、これからは、あまり手を焼かさないでくれよな。


(宮殿の王女の部屋では、ジャスミンが鏡に向かって髪をくしけずっていた。
唇からは、ひとりでにハミングがこぼれている)

国  王: ジャスミン…。
ジャスミン: お父様! 今日、とても素敵なことがあったのよ。私、とても幸せなの。

国  王: そりゃよかった。ところでジャスミン、おまえの夫をわしが決めてやったぞ…。
ジャスミン: なんですって?

国  王: おまえはジャファーと結婚するんだ…。
ジャファー: うるわしのジャスミン王女よ、あなたは私のお妃になるのです。

ジャスミン: おまえと結婚なんてまっぴらよ! お父様、私、アリ王子と結婚します。
ジャファー: アリ王子はとっくに姿を消してしまったよ。

アラジン: もう一回、よく水晶玉をのぞいてみるんだな、ジャファー!
ジャスミン: アリ王子!

イアーゴ: そんなバカな?
アラジン: とぼけるな、ジャファー! おまえはボクを殺そうとしたじゃないか。

ジャファー: なんと? くだらんたわごとを言うな…。陛下! 彼はとんでもない嘘つきですぞ。
国  王: そうじゃ、とんでもない嘘つきだ…。

ジャスミン: お父様! いったいどうなさったの?
アラジン: こいつが犯人だ!

(アラジンは、ジャファーから魔法の杖を奪い取り、床に叩きつけて木っ端みじんに粉砕した。
たちまち魔法は解け、国王は正気に戻った)

国  王: こりゃどうしたことだ!
アラジン: 陛下!ジャファーはこれで国王を操っていたのです。

国  王: なんじゃと? ジャファー! この裏切り者め!
ジャファー: 陛下! これには深いわけがありまして…。

国  王: 誰か、誰かおらんか!
イアーゴ: もうおしまいだ、あきらめようぜ、いさぎよく覚悟しようや。

ジャファー: まだ終わってはおらんぞ、こぞう!

(ジャファーはポケットから煙幕弾を取り出して掲げた。
たちまち煙が立ち込め、それが晴れたときには、ジャファーは逃走していた)

国  王: 早くジャファーを追え、探し出すんだ!

アラジン: ジャスミン、だいじょうぶか?
ジャスミン: ええ、だいじょうぶよ。

国  王: ジャファーめ、誰よりも信用しておったのに。こんな陰謀をたくらんでおったとは。
まったく恐ろしいことじゃ。あれ? これは夢ではないか?

私の娘が、ついに花婿を見つけおったぞ! おお、アラーの神よ。我が息子よ、キスさせておくれ、いや、やめておこう。
すぐにも婚礼の用意じゃ。二人は幸せになり、そしてアリ王子は国王になるのじゃ。

アラジン: 国王に?

国  王: そうじゃ、君のように非の打ちどころのない若者こそ、この国が求めている人材なのじゃ。


(一方、ジャファーの秘密の隠れ家)

イアーゴ: ヤバいよ、すぐ逃げよう。大事なモノだけ荷造りしてさ。荷物はなるべく軽くな。
まずケンカ道具だ。銃にナイフに。この写真どうする? 持っていけよ。なかなかシブいじゃん。

ジャファー: ハ!ハ!ハ!
イアーゴ: たいへんだ、とうとうイカレちまったぜ。ジャファー、しっかりしてくれよ、おい?

ジャファー: アリ王子だと? あのこぞうめ! 正体はアラジンだ。ヤツがランプを持っているのだ。
イアーゴ: だからヤバいんだろ?

ジャファー: イアーゴ、いよいよおまえの出番が来たようだ…。

(よこしまな笑みが、ジャファーの口元に浮かんだ)


(宮殿の客間。アラジンの表情は、なぜか冴えなった)

アラジン: 国王になるのか…このオレが?

(アラジンは魔法のランプを擦り、ジーニーを呼び出す)

ジーニー: バンザ―イの声が鳴りやまない、ついに王女のハートを射止めたんだ。
やったね、アラジン。さて、お次の願いはどうする? さあ「ジーニーを自由にする」って言ってくれ。

アラジン: ジーニー、オレできないよ。
ジーニー: いえるだろう?「ジーニー、自由になってくれ」ただそれだけ言えばいい。

アラジン: よしてくれ、ジーニー、本当にごめんよ、国王がオレをアリ王子だと思って、王位を継げって言っている。
だけど君がいなければ、オレはただのアラジンだ。

ジーニー: アラジン、君の勝利だ。

アラジン: それはすべて君のおかげなんだ。こうやってみんなに認められたのも、君のおかげだ。
もしオレが王子じゃないってわかったら、ジャスミンはオレを見捨てるだろう。
ジーニー、これからもオレひとりじゃやっていけないよ、だから、君をすぐには自由にできないんだ。

ジーニー: ま、そりゃそうだろうな、わかったよ。そうやってキミは、いろんな人をだましてきたんだ。
だます相手がオレひとり増えただけなのさ。それじゃあ失礼しますよ、ご主人様。

(ジーニーは、しょんぼりした様子でランプの中に戻っていった)

アラジン: ジーニー、ホントにごめんよ。

(すると、ランプの口からプッとツバが返ってきた)

アラジン: 何すんだよ、じゃ、ずっとその中にいろ! 

(アラジンは腹を立てて、ランプをクッションの下に押し込んだ)

アラジン: 何見てるんだ!アブー。ごめん、そんなつもりで言ったんじゃないんだ。おい、待てよ、待てったら。
ああ、おれはいったい、何をやっているんだろう。ジーニーの言うとおりだよ。ジャスミンにホントのことを言わなくちゃ。

イアーゴ: アリ、ちょっとこっちへ来てちょうだい!

(ジャスミンが呼んでいる声が聞こえた)

アラジン: ジャスミン、どこにいるんだ?

イアーゴ: 宮殿の外よ、早く。
アラジン: いま行くよ。

イアーゴ: ハッハッハ、ひっかかったぜ、ざまあみろ。これでジャファーも大喜び。
「よくやったぞ、イアーゴ。これは百点満点どころか、百二十点だ!」そんなにほめられちゃ、テレちゃうぜ!

(ジャスミンの声は、イアーゴの作り声だったのだ。
イアーゴは、こっそりと宮殿の客間に入り、クッションの下から、まんまとランプをせしめて行った)


(宮殿の前の広場では、アグラバの人々に向けて、国王が大声で知らせを告げていた)

国  王: アグラバの民よ、わが娘が、ついに素晴らしい伴侶を得たぞよ!

アラジン: ジャスミン。
ジャスミン:アリ、どこにいたの?

アラジン: ジャスミン、君に話したいことがあるんだ。
ジャスミン:国中の人が集まって待っているのよ。

アラジン: ジャスミン、聞いてくれ、ボクは…。
国  王: 紹介しよう、我が国期待のホープ、アリ王子じゃ!
アラジン: ああ神さま!

イアーゴ: 看ろよ。あんな貧相なガキに大歓声だぜ。
ジャファー: 騒がせておくがよい。

(ジャファーはランプを擦り、ジーニーを呼び出した)

ジーニー: アラジン、言っておくが…。

(背を向けて出てきたジーニーが振り返ると、目の前には別の顔があった)

ジーニー: あーらま、これは別の人? アラジンはいつのまに、醜悪で陰険そうな男に変わってしまったの?

ジャファー: 今日からはわしが主人だ!
ジーニー: あらら、何たることに。

ジャファー: ジーニー、ひとつ目の願いだ。わしをこの国の王にしろ!


(不本意とはいえ、ジーニーはジャファーの命令に従わざるを得なかった。
たちまち雷と稲妻が広がり、魔法の力でジャファーは王に変わりはじめた)

国  王: おお、アラーの神よ、これはどうしたことか? 一体何が起こったのじゃ?
ジャファー、この裏切り者!

イアーゴ: バカいえ! その裏切り者が国王になったんだもんね。
アラジン: なんだと、そうはさせるものか。ああ、ランプがない!

ジャファー: ワハハ、ランプはここにあるぞ、アババ王子。

(ジーニーが両手で宮殿を持ち上げはじめた。同時に、宮殿のすべてのものが暗く邪悪な姿に変わってゆく)

アラジン: やめろ、ジーニー!
ジーニー: ごめんよ、ご主人が変わってしまったんだ。

国  王: やめろ、ジャファー! 命令だ!
ジャファー: おまえはもう王ではない。わしが命令する。これからはおまえらが、わしにひざまずくのだ。
ジャスミン:誰がおまえなんかにひざまずくものですか。

イアーゴ: そう言うと思ったよ。
ジャファー: ひざまずくのが嫌なら、魔法の前にひざまずかせてやるわ。
ジーニーよ、ふたつ目の願いだ。わしを世界最強の魔術師にしろ!

アラジン: ジーニー!駄目だ!


(その瞬間、雷鳴が轟き、部屋を揺らした。魔法が効力を発揮し、ジャファーは黒い衣装をつけた禍々しい魔術師に変身した)

イアーゴ: 諸君! 温かい拍手で迎えてくれ。世界一の魔術師、ジャファーの誕生だ!
ジャファー: では、続きといこう。そこの二人、わしにひざまずくのだ。

(王とジャスミンはぐったりとひざまずいた。その時、ラジャーがうなってジャファーに飛びかかった。
だがジャファーが杖を掲げると、ラジャーはたちまち子トラに変身してしまった)

ジャファー: ワハハ、おすわりだ! さて、おまちかね、王女に面白い人間を紹介しよう。
アラジン: ジャファー、王女に手を出すな!

ジャファー: 見るがよい、おまえのアリの正体を。うまくだませたものだな。いまこそヤツの化けの皮をはがしてやるぞ! 
イアーゴ: こいつはドブネズミのアラジンだ!

(ジャファーがアラジンに向けて杖を振ると、アリ王子の上等の服は消え失せ、再びぼろぼろの服に戻っていた)

ジャスミン:アリ、あなた…。
アラジン: ごめんよ、ジャスミン。言おうと思ったんだ、でも…。

ジャファー: こいつは素性いやしいペテン師だ。化けの皮がはがれたからには、ここに留まる必要もあるまい。
おまえは追放だ。地の果てまで飛んでいくがよい。オレ様にこれ以上、邪魔だてできないようにな!

アラジン: ジーニー!

ジャファー: さあ、ドブネズミを乗せて、宇宙の果てまで飛んで行け。
ヤッホー!バイバイ、あばよ、あの世でまた会おう! ワハハハ!

(ジャファーが杖を振るうと、アラジンの体は、アブーと絨毯とともに宮殿の塔の中へ飛びこんだ。
すると旋風が巻き起こり、宮殿の塔はロケットのように弧を描いて、はるか地の果てへと飛んでいってしまった)