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魔法の洞窟から離れた砂漠のオアシスまで避難してきたアラジンの一行。

ランプの魔人ジーニーは、主人の願いを三つだけ叶えてくれると言う。
アラジンは一つめの願いで、アリ王子に変身し、王宮へ乗り込む。

だが、王女のジャスミンはお高く止まってアリ王子には目もくれない。
王女の機嫌を直そうと、その夜、アラジンは絨毯に乗ってジャスミンを訪れる。




Do you trust me?

(僕を信じろ)



 

     

(1) (2) (3) (4) (5) (6)  (7) (8) (9) 

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【第十一課 第七節】


(魔毯奇迹般地逃出了洞穴,平稳地降落在沙漠的绿洲上。
这片绿洲上有一个美丽的湖泊,湖泊周围,还长着一些绿色的椰子树)

精 灵 :谢谢您搭乘魔毯航空公司的班机。请在毯子尚未停妥以前,不要离开座位。谢谢,再见。
感觉怎么样? 现在总相信我了吧。

阿拉丁 : 你的的确有一套。至于我的三个愿望。
精 灵 : 我是不是耳朵听错了?三个?你已经用掉一个了,小子!
阿拉丁 : 不对吧。我并不是真的想离开那个洞穴。那可是你自愿的哦?
精 灵 :  放羊的孩子,好吧,臭小子。下次少来这一套。

阿拉丁 : 成交。我有三个愿望,一定要非常的完美。你有没有什么愿望啊?
精 灵 : 我?从来没有人这样问过我耶。我…我想…算了吧。
阿拉丁 : 说嘛!
精 灵 : 我不能告诉你。

阿拉丁 : 快点告诉我。
精 灵 : 自由!!
阿拉丁 : 你被监禁了吗?
精 灵 : 所有的精灵都是一样的。虽然拥有全宇宙的力量,只有一点点生活空间。

阿拉丁 : 精灵,你太可怜了。
精 灵 : 可是呢。恢复自由身,不必一天到晚…你要什么,你想什么,你要干什么? 能做自己的主人。
那可是比拥有世界上所有的财富,至高无上的权力还要重要。我在说什么,
这种事情怎么可能发生嘛? 精灵,赶快清醒回到现实吧。

阿拉丁 : 为什么?
精 灵 : 因为只有一个办法。要主人帮我许这个愿,我才能离开这个小罐子。所以这种事怎么可能发生。
谁说的,我就会给你自由。没错,我保证是真的。等我许完前两个愿望,就用第三个愿望让你自由。
希望如此了,好吧。现在让我们来创造些奇迹,好好想想。你现在最想要的是什么?

阿拉丁 : 有一个女孩。
精 灵 : 做梦!我不能够让人谈恋爱,你忘了?
阿拉丁 : 我知道啦,不过,精灵。她既聪明又有趣又…漂亮美极了。她的眼睛简直…还有她的头发…她的笑容。
精 灵 : 这就叫做爱。

阿拉丁 : 可是她是位公主,想要一亲芳泽我只好变成…你能把我变成王子吗?
精 灵 : 我来找找看,霸王鸡,不好!阿拉斯加大螃蟹,还敢咬我,凯撤沙拉,你不要杀我,不对,变成一个王子。
这是正式的许愿,说那句神奇的话。

阿拉丁 : 精灵,我希望你把我变成一位王子!
精 灵 :太好了,首先,这帽子跟你的背心组合太过时了。再看看这些补丁,我该怎么说呢。要饭的,好吧,我们整理一下。
正点极了,我喜欢。

(阿拉丁脏乱的头发瞬间被梳理得整齐干净,破旧的衣服也换成了丝绸装。阿拉丁终于变成了一位英俊潇洒的王子)

精 灵 :现在你还需要一点东西。你还需要…你的交通工具。对不起,小猴子,麻烦你过来一下。叫你来你就来,让你风风光光的。
进入阿格拉巴城,最后我再送你一只全新的、上等的骆驼,当心它会流口水,还是觉得不对嘛,不对啦,
让我想想看,你到底需要是这个…对了,要一只伊斯莱小飞象。快来照照镜子,瞧瞧你的大鼻子。

(精灵还用魔法把阿布变成了一头气派的大象,让它作为阿里王子的坐骑)

阿拉丁 : 阿布,你看起来真是帅呆了。
精 灵 :衣服没问题,象也有着落了。可是工作还没完成,小子,抓好你的包头布。我要把你变成全城的焦点。

(此时在皇宫大厅。国王在很开心地堆积木,突然贾方开门进来,这下把所有积木都打翻在地)

国 王 : 还能再加上一个。啊!!
贾 方 : 陛下,我终于找到解决公主难题的方法了。!
国 王 : 找到方法了。真的?!
贾 方 : 如果公主没有在指定的时间内,选出丈夫的话,那么国王就得帮她选个女婿。

国 王 : 可是所有求婚者,茉莉都不喜欢,我怎么能替她选个不喜欢的人。
贾 方 : 请别担心,陛下。我还有个建议。如果真的不能找到合适的人选,那么公主就必须嫁给一个…挺有意的。
国 王 : 什么,谁?
贾 方 : 宫廷大臣,那当然就是我了。

国 王 : 可是我记得法律规定,只有王子才能娶公主啊? 我可以确定是…
贾 方 : 看着我的眼神,交出你的心灵。
国 王 : 交出我的心灵。

(贾方用蛇形魔杖催眠了国王,让国王强行命令茉莉嫁给自己)

贾 方 : 忘记你的烦恼,命令公主嫁给我。
国 王 : 我会命令公主嫁给…可是你年纪这么大…。
贾 方 : 公主会嫁给我。
国 王 : 公主会嫁给…。什么,那什么声音? 那音乐。

(就在这时,外边乐队奏起的热闹音乐打破了贾法的魔法。
阿格拉巴城里一阵喧闹,一个年轻王子骑在大象上,带着无数的仆从和数不清的奇珍异宝,向皇宫走来。
王国的人们议论纷纷,称赞这位年轻人多么英俊、多么富有)

国 王 : 贾方,快过来看一看。

精 灵 :看看王子阿里,嘿!让条路给王子阿里。你该让条路给王子阿里。一起来让条路迎接王子。
王子就是他,阿里就是他,人见人爱受欢迎,阿里是个王子,真正的王子,看看他受人尊敬,五体投地,
他将要带来惊奇,让大家欢天喜地,来看看神秘的东方王子阿里,
阿里人人欢迎,是个万人迷,瞧瞧他身强体壮,万夫莫敌,他率领千军万马,击退可恶的土匪,

见义勇为还有谁,只有阿里,他带来金骆驼75只,很可爱不是吗?
53珍贵的紫孔雀,太美了我最喜欢他们的羽毛,还有一大堆稀奇的东西,像个动物园,
像一个前所未有的超级马戏,哦!阿里,英俊潇洒帅气的王子,
看看他人见人爱,多么着迷,我们都神魂颠倒,心中的小鹿乱跑,风度翩翩迷人的王子阿里,

他带来95只小猴子,金银珠宝数也数不尽,伺候他的人算也算不清,
不辞劳苦为他服务,用我一生伺候他,阿里千里迢迢来到这地方,来看看可爱美丽公主茉莉,
就为了这个原因,让他翻山又越岭,有60只大象还有金色骆驼,
有大熊大狮子超级大乐队,加上一群仆人和厨师,千百只鸟唱着欢迎,王子阿里。

(阿里王子的队伍浩浩荡荡地走进皇宫)

国 王 : 太棒了,唱得太好了。
阿拉丁 :国王陛下,我千里迢迢来此只为一亲公主芳泽。
国 王 : 阿里王子,我非常高兴能见到你。我来帮你介绍一下,这是我朝中大臣贾方。
贾 方 : 幸会呀,但是恐怕阿巴巴王子。

阿拉丁 :是阿里王子。
贾 方 : 不管你叫什么啦,你不能光靠着突如其来的游行。就想要这个…
国 王 : 阿拉真主。这真是个惊人的设计,我有没有这荣幸能不能…
阿拉丁 :当然可以了,陛下,我帮您。

(阿拉丁让国王坐上魔毯上飞)

贾 方 : 陛下,我必须反对这件事。
国 王 : 别紧张,贾方。高兴一点。我来了!
贾 方 : 可不可以再说一次,你从哪里来的?

阿拉丁 :这个地方很远,你可能从来都没有听过。
贾 方 : 说说看啊。
国 王 : 我来了!当心一点,笨孩子,你小心一点。别挡着我,我要降落了。

(国王很开心地坐在魔毯上,在皇宫中左绕右绕的飞了一阵,慢慢落在地上)

贾 方 : 完美极了,陛下。
国 王 : 太棒了,太好了,我已经找到点诀窍了。我对这个年轻人印象很好,
不知道这个茉莉,她会不会喜欢这个年轻的王子啊?

贾 方 : 我觉得他很可疑呀。
国 王 : 别胡说了,贾方。我最引以为傲的,就是我看人一向很准。
艾 格 :是啊,看得准才怪。
国 王 : 茉莉一定会喜欢他的。

阿拉丁 :我相信,我也会喜欢茉莉公主。
贾 方 : 陛下,我不得不为公主说句公道话。这小子跟以前的求婚者没什么两样。我不觉得他哪一点配得上公主。
阿拉丁 :国王陛下,请相信我是阿里王子。请让我见公主,我会赢得她的芳心。

(此刻茉莉公主突然出现在大厅)

茉 莉 : 太过份了吧。你们几个凭什么替我决定我的命运呢? 我不是一只待宰的羔羊耶!

(茉莉公主似乎生气的转身就回房间)


国 王 : 我的天啊!你放心好了,阿里王子。我们先让茉莉冷静下来再说。

(国王边安慰着阿里王子,边把他带到客厅休息一下。贾法嘴里不高兴地唠唠叨叨着)

贾 方 :我想阿巴巴王子,该向茉莉公主道别了。


(晚上,皇宫庭院的一个角落里。精灵和魔毯下着象棋。阿拉丁一个人就发愁着)

阿拉丁 : 我该怎么办。茉莉连跟我说一句话都不愿意。早知道就不许这什么笨蛋的王子愿望了。
精 灵 : 该你了。果然是好棋。我不敢相信,我居然输给一张毯子。
阿拉丁 : 精灵,我要你帮我。
精 灵 : 好的,小子,你给我听好。你如果要得到公主的放心,就要全力出击,懂了吗?

阿拉丁 : 怎么做?
精 灵 : 告诉她事情真相。
阿拉丁 : 开玩笑,这怎么行嘛。一旦公主发现,我只不过是个街头小混混,她一定会笑我。

精 灵 : 女人不就喜欢男人逗她笑吗? 拉丁,不跟你开玩笑,你真的该恢复真面目。
阿拉丁 : 不到最后关头我办不到。好吧,我决定去见她。我会…我一定会很酷、很浪漫。我看起来怎么样。
精 灵 : 像个王子。

(阿拉丁坐在魔毯飞上了茉莉公主的阳台)

阿拉丁 :茉莉公主!
茉 莉 : 谁呀?
阿拉丁 :是我…阿拉…我是阿里王子。
茉 莉 : 对不起,请你离开。
阿拉丁 :公主不要这样嘛。拜托再给我一次机会,好不好?
茉 莉 : 能不能不要来烦我啊?

(乐雅跑过来吓他)

阿拉丁 :冷静点,退后,退后。
精 灵 :不要冲动啊!我们的罗密欧。进展得怎么样啊。有什么话慢慢说,慢慢来。
茉 莉 : 等等,先别走!我好像在哪儿见过你…。 
阿拉丁 :没有…不可能吧!

茉 莉 : 你让我想起一个在市场上见过的人。
阿拉丁 :市集? 只有我的仆人才会去那种地方。我的仆人都是从那里找来的。我想你一定是认错人了。不可能是我嘛?
茉 莉 : 没错。我想也是的。
精 灵 :大情人够了没有?谈谈她吧,她的智慧、兴趣、头发、眼睛、随便什么,换个话题。

阿拉丁 :茉莉公主,你很…完美的、优美的、高贵的…清洁的。
茉 莉 : 清洁?
阿拉丁 :对不起。很清纯。
精 灵 :转得真硬。

茉 莉 : 别忘了,我是非常富有的。
阿拉丁 :对。
茉 莉 : 我还是位公主。
阿拉丁 :我知道。

茉 莉 : 我只是一个要送给王子的礼物罢了。
阿拉丁 :对,对。一个像我这样的王子…。
精 灵 :糗了,糗了。
茉 莉 : 是啊,像你这样的王子,狂妄、自大就像那些披着骄傲外衣的孔雀一样。

阿拉丁 :等等。
精 灵 :着火了,着火了。
阿拉丁 :可是…。
茉 莉 : 走吧,离开这个阳台。

阿拉丁 :什么?
精 灵 :留住她,留住她。要不要我去叮她一口?
阿拉丁 :滚开。
精 灵 :好, 耍帅。不过你千万记住,你就是你。

阿拉丁 :知道!
茉 莉 : 你说什么?
阿拉丁 :你说得是,你绝对不是一只待宰的羔羊,你应该有自由选择的权力。我得走了。

(阿拉丁从阳台跳下)

茉 莉 : 不!
阿拉丁 :什么,什么?

(原来,阿拉丁被魔毯接住升起来)

茉 莉 : 那个是什么东西啊?
阿拉丁 :这是一张魔毯。
茉 莉 : 好可爱哦。

阿拉丁 :你…想像不想去兜兜风,我们可以飞离皇宫。看看外面的世界?
茉 莉 : 安全吗?

阿拉丁 :当然…你相信我吗?
茉 莉 : 什么?
阿拉丁 :你相信我吗?
茉 莉 : …相信。

(茉莉公主觉得这个年轻人不但很友善,而且还很面熟,于是微笑着坐上了魔毯。他们一起离开皇宫飞上了天空)


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【注 釈】

【一亲芳泽】yì qīn fāng zé (=与美女亲近)お近づきになる。(to even have a chance)
<用例> 画中女子明皓齿,巧笑妍艳,翩翩然要走出画里,与人一亲芳泽。
(絵に描かれた美しい女性は、顔なじみのように艶やかに微笑んでいる)

【正点极了】zhèng diǎn jí le (=有气派)かっこいい。(make you look so good)

【风风光光】 fēng fēng guāng guāng (=有光彩)体裁を整える。
<用例>每个人都只看到我表面上的风风光光。 (誰もが私のうわべの姿だけを見ている)

【待宰的羔羊】 dài zǎi de gāo yáng (=替人受罪)戦利品。(prize to be won)
【转得真硬】 zhuǎn de zhēn yìng (=掩饰得好)うまくごまかす。(nice recovery)

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【口語訳】

(奇跡的に洞穴を脱出した絨毯は、穏やかに砂漠の中のオアシスに着地した。
オアシスには美しい湖があり、湖のまわりにはナツメヤシが青々と茂っている)

ジーニー: 魔法の絨毯航空にご搭乗ありがとうございました。皆様、機体が完全に止まるまでお待ちください。
どうだ、オレ様の実力がこれでわかったろう?

アラジン: 確かにたいした実力だね。ところで三つの願いだけど。
ジーニー: なんだって? 三つの願い? キミはもう、すでにひとつかなえてしまっただろ?
アラジン: とんでもない。いつオレが逃げたいって君に頼んだ? 君が好きでやったのさ。
ジーニー: あらら、悪いオオカミにだまされちゃった。しかたない。でも無料サービスはこれっきりだぜ。

アラジン: じゃあそういうことで。さて三つの願いは慎重に考えないとな。そうだな…君だったら、何を望む?
ジーニー: オレだったら? そんな質問されたの、初めてだな。オレの望みは…いや、やめておこう。
アラジン: 言えよ!
ジーニー: とても言えないよ。

アラジン: 遠慮しないで言ってみろよ。
ジーニー: 自由さ!!
アラジン: 閉じ込められて自由がないってコトかい?
ジーニー: そう、オレたちランプの精は、驚異の宇宙パワーを持ってるが、住んでるトコはものすごく狭いのさ。

アラジン: ジーニー、それは可哀相だな。
ジーニー: しかし、自由になれば「ご主人様ご用は?」なんて言わなくてすむ。
どんな財宝も、どんな権力も、自由にはかなわない。自由は最高さ。でもそれは夢、かなうはずもないんだ。

アラジン: どうして?
ジーニー: オレが自由になるには、ご主人様が願ってくれことが必要なんだ。
そうすればこの狭いランプから解放される。でもそんなことは実際にありえない。

アラジン: まかしとけ、オレが願おう。約束するよ。オレの願いが二つかなったら、三つ目の願いで君を自由にしてやるよ。
ジーニー: ほんとに? オレもそうなるように願ってるよ。さあ、マジックのはじまりだ。
で、どうなんだ? キミの一番の望みは何だい?

アラジン: 実は…好きなコがいるんだけど。
ジーニー: そりゃダメだ。言っただろ、恋愛関係はダメだって。
アラジン: わかってるよ、でも、ジーニー。彼女は賢くて、一緒にいると楽しくて…素敵なコなんだ。
目がキラキラして…きれいな黒髪…素晴らしい笑顔。

ジーニー: 友よ、それが恋というものさ。
アラジン: でも彼女は王女なんだ。彼女とお近づきになるには…そうだ、ボクを王子にしてくれないか?

ジーニー: ふーむ、王子の作り方ね。調べてみよう、ええと「チキンのキング風」「アラスカのキングクラブ」「シーザーサラダ」
きゃあ、ボクを殺さないで! いや、ちと違うな。ええと、ホントに願うのなら、魔法の言葉を言ってくれ。

アラジン: ジーニー、オレを王子にしてくれ!

ジーニー: よしきた。まず、その恰好をなんとかしなくちゃ。
ベストにトルコ帽なんて時代遅れだよ。このツギハギも、まるでこじきだね。
さあこれでよし、お似合いだぜ、アラジン。


(アラジンのぼさぼさの髪はきれいにまとめられ、つややかに輝いている。ぼろぼろの服も上等のシルクの衣装に変わった。
アラジンは見違えるようなあか抜けた王子に変身していた)

ジーニー: でも何か足りないな。そうだ王子の乗り物がいる。おい、そこのモンキーちゃん、
キミをピカピカにしてやるから、ちょっと来てごらん。

アグラバの街に入るには、やはり最新型の上等のラクダが必要だな。でもラクダはよだれを流すからどうかなあ。
あれがいいか、これがいいか…そうだ! ダンボがいい。鏡を見てごらん、どうだい魅力のロングノーズ!


(ジーニーは、王子になったアラジンの乗り物として、アブーを巨大なゾウに変身させた)

アラジン: アブー、なかなかカッコイイぜ。
ジーニー: これで衣装もゾウもそろった。いよいよ最後の仕上げだ。
ターバンをしっかり押さえてろ。さあ本番だ、アグラバの街に大スター登場だ!!



(一方、こちらは宮殿の広間。国王が大好きな積み木に夢中になっている。
突然ジャファーが勢いよく入ってきて、積み木の山はガラガラと崩れてしまった)

国  王: さあ、もう一息じゃ、ひぇ~!
ジャファー: 陛下、ついに、私が王女様の悩みを解決いたしました!

国  王: おお、本当か! それはどういう方法じゃ?
ジャファー: 王女様が期日までに夫をお決めにならないときは、国王が代わりに夫を選ぶのです。

国  王: じゃが、娘の気に入る男がおらんのじゃよ。無理に嫌いな男と結婚させるわけにもいくまい。

ジャファー: 陛下、ご安心ください。私にひとつ提案があります。
もしもふさわしい王子がいない場合、王女の結婚すべき相手は…ふむ、これはなかなか…。

国  王: いったい誰じゃ?
ジャファー: 相手は国務大臣、すなわち私と結婚すればよいということですな。
国  王: ちょっと待て。法律では、王女と結婚できるのは王子だけのはずじゃが…。

ジャファー: 私の目を見るのだ、心の奥にある想いを差し出すのだ…。
国  王: 心の奥にある想い…。

(ジャファーは、魔法の杖で国王に催眠術をかけ、王女が自分に嫁ぐよう命令させようとした)

ジャファー: すべての悩みを忘れて、私と結婚するように、どうぞ王女にご命令を…。
国  王: おまえが娘と結婚を? じゃが、おまえは年じゃろう?

ジャファー: 王女は私に嫁ぐのだ…。
国  王: 王女はおまえに…。んっ? あれは何だ? なんの音楽だ?


(このとき、ジャファーの魔法は効力を失ってしまった。宮殿の外からにぎやかな楽隊の音楽が響いてきたのだ。
アグラバの街中が喧騒に包まれていた。
ゾウに乗った若い王子が、数え切れない宝物と無数の召使いたちを従えて、宮殿に向かって行進している。
アグラバの人々は、なんと高貴で凛々しい若者なのだろうと、口々に王子を褒め称えた)

国  王: ジャファー、おまえも来て見てみなさい。


ジーニー: 道をあけなよ、アリ王子のお通りだ。さあ、みんなそろってお出迎え。
王子、その名はアリ王子、人々に愛され、広く人気を博する、まさに彼こそ王子の中の王子。
頼もしいお方、底知れぬそのお力に、人々は心から感服し、みな彼に忠誠を誓う、さあ、みんなお迎えあれ、神秘な東方のアリ王子を。

強靭な身体で、千軍万馬を率い、盗賊が来ようと、かなう者なし、無敵の強さ、それが我らのアリ王子。
人々はみな歓迎し、心から慕うその魅力、貢ぎ物をごらんよ、その素晴らしい壮観、黄金のラクダ75匹と、
宝石でできた53羽の紫クジャク、そして数えきれない珍しい宝物、それはあたかも、いまだかつてないスーパーサーカスそのもの。

高貴で美しく凛々しい我らがアリ王子、人々はみな彼にぞっこん、恋の闇路に踏み迷う、その魅力はいっこうに色あせることはない。
さっそうと人を魅惑する我らのアリ王子。彼は95匹のサルたちを従え、金銀財宝、宝石はまさに無尽蔵、彼に従う召使は数えても数えきれない。
彼らは労苦を惜しまず、ひざまずいて王子に仕える。

そのアリ王子は、山越え、谷越え、遠路はるばる、まさに逢いにやってきた、うるわしのジャスミン王女に。
60頭のゾウ、そして黄金のラクダ、ジャイアントパンダにジャンボライオン、加えて大勢の召使とコックたち、
さらに一千百羽の鳥たちが、みな一斉に歌い、讃えるそのお方こそ、我らの偉大なるアリ王子!


(アリ王子の隊列は威風堂々と宮殿に入った)

国  王: 見事じゃ、実に素晴らしい!
アラジン: 国王陛下、私は王女様にお目通りを願いたくて、はるばるやってまいりました。

アリ王子、ようこそまいられた。そうじゃ、紹介しよう、これが我が王国の国務大臣、ジャファーじゃ。
ジャファー: まことにもって喜ばしいことで、アババ王子。

アラジン: アババでなくて、アリです。
ジャファー: ともかくアリ王子、私の許可なく、あのようなパレードをされたのは、ちとよろしくありませんな…。

国  王: おお、アラーの神よ! この絨毯はすごい。驚きじゃ。どうであろうかな、わしも、ちょっと乗ってみたいのだが…。
アラジン: もちろんですとも、陛下、お手伝いいたします、どうぞ。


(アラジンは、国王の手を取り絨毯に乗せる)

ジャファー: 陛下、おやめください、危険です。
国  王: よいではないか、ジャファー。楽しみも少しは必要じゃ、さあ、いくぞ!

ジャファー: ところでアリ王子、どちらの国からおいでになったのかな?
アラジン: えーと、あなたもこれまで聞いたことのない遠い国ですよ。

ジャファー: ふむ、それは何と言う国ですかな?

国  王: おーい、わしは着陸するぞ! 気を付けろ!じゃまするなよ!


(大喜びで魔法の絨毯に乗った国王は、宮殿内をあちこち、ひとしきり飛んだあと、ゆっくりと下に降りてきた)

ジャファー: お見事でございます、陛下。

国  王: ああ、面白かった。なんとか飛ぶコツをつかんだぞ。アリ王子はすばらしい若者じゃ。
あとはジャスミンが、この若者を気に入ってくれるかどうかじゃ。

ジャファー: このアリ王子は、どうも信用できませんぞ。
国  王: 何を言うか、ジャファー。わしは人を見る目には自信があるのじゃ。

イアーゴ: へん、何が人を見る目だ。

国  王: 娘のジャスミンもきっと彼を気に入るじゃろう。
アラジン: 私もきっと、王女を気に入るでしょう。

ジャファー: 陛下、王女のために一言言わせてください。
このアリ王子だって、いままでの求婚者と同じこと、特にいいところもありません。王女の相手としてふさわしくありませんぞ。

アラジン: 国王陛下、私、アリ王子を信じてください。王女に会わせていただければ、きっと彼女の愛を得る自信がございます。


(このとき、突然ジャスミンが宮殿の広間に姿を現した)

ジャスミン: 冗談じゃないわ! 勝手に私の将来を決めないでちょうだい。私はゲームの賞品じゃないのよ!

(ジャスミンは、そう叫ぶと、怒った様子で身をひるがえし部屋に戻っていった)


国  王: なんということだ。じゃが、アリ王子、心配なさらんでよろしい。しばらくすれば王女も機嫌をなおすはずじゃ。

(国王はアリ王子を慰めながら、くつろがせようと客間に導いていった。
あとに残ったジャファーは不機嫌そうにつぶやいた)

ジャファー: おまえには、消えてもらわねばなるまい、アババ王子よ。


(その夜、宮殿の庭の一角。ジーニーと絨毯がチェスを指している。アラジンだけは一人悩んでいた)

アラジン: どうすればいいんだ。ジャスミンは話もしてくれない。そもそも、王子になろうなんて願いが間違っていたんだ。
ジーニー: キミの番だ。あれ? オレの負け? じゅうたんに負けるなんて、ジュウダンじゃないぜ!

アラジン: ジーニー、力を貸してくれよ。

ジーニー: いいだろう、お若いの。こいつは覚えときな。可愛コちゃんを口説くには、マジでストレートに打ち明けるんだ、わかるか?
アラジン: どうするんだ?
ジーニー: 彼女にホントのことを言うんだ。

アラジン: バカいえ、そんなことできるか。オレがただのドブネズミだってわかったら、笑われておしまいさ。
ジーニー: 笑いの取れる男がモテることだってあるさ、アラジン。これは冗談なんかじゃない、本当の自分で勝負することだ。

アラジン: ここまできた以上、できるわけないだろ。いいさ、彼女に会って来る。
王子らしく、クールにカッコよく決めてやるぜ。どうだい、オレってどう見える?

ジーニー: まあね、王子様みたいだ。


(アラジンは、絨毯に飛び乗って、ジャスミンのいるバルコニーへと舞い上がった)

アラジン: ジャスミン!
ジャスミン:誰?
アラジン: ボクだ…アラ…いや、アリ王子だ。

ジャスミン:ごめんなさい、会いたくないわ。
アラジン: ちょっと待って、話をするだけでも。
ジャスミン:私にかまわないでちょうだい。

(トラのラジャーが、うなり声を上げて寄ってくる)

アラジン: ちょっと待て、あっちへ行ってくれ。
ジーニー: 落ち着け、オレたちのロミオさま! うまくやっているかい。話はなるべくゆっくりとな、ゆっくりと。
ジャスミン:ねえ、ちょっと待って! あなた、どこかで会わなかった…。

アラジン: いや…そんなはずは!
ジャスミン:あなたは、前に市場で会った人にそっくりよ。

アラジン: 市場だって? そんなとこは召使が行くだけだよ。
ボクの召使の多くはそこから探して来たのさ。ボクとそんなところで出会うわけがない。

ジャスミン:そうね、そんなはずないわね。
ジーニー: どうしたプレイボーイ、言いたいことは言ったのか? なんでもいいからほめるんだよ。
頭がいいとか、面白いとか、髪がきれいとか、目が素敵とか、話題を変えろ。

アラジン: えーと、ジャスミン、君はその…完璧で、優美で、気高くて…きちょうめん。
ジャスミン:きちょうめん?
アラジン: いやその。とても清純で…。
ジーニー: よし、うまくごまかしたな。

ジャスミン:ご存じよね、私とてもお金持ちなの。
アラジン: その通りだね。
ジャスミン:それに私は王女。
アラジン: それも知っているよ。

ジャスミン:どこの王子も私との結婚を狙っているわ。
アラジン: そう、その通り、ボクみたいな王子もね…。
ジーニー: こりゃ、やばい、やばいぞ。
ジャスミン:そう、あなたみたいな王子もね、来るのはみんな、気取り屋で自惚れ屋の嫌な王子ばっかり!

アラジン: ちょっと待って。
ジーニー: 緊急事態、緊急事態!
アラジン: でも…。
ジャスミン:どうぞ、そこから飛び降りるがいいわ!

アラジン: 何だって?
ジーニー: 何してるんだ、早く引きとめろ! オレが彼女を、チクンと刺しちゃおうか?
アラジン: あっちに行ってろ。

ジーニー: よし、わかった、でも忘れるな、最後の勝負はキミ自身なんだ!
アラジン: 知っているよ!
ジャスミン:今何て言ったの?
アラジン: いや、君の言う通りだ。みんなが君を品物みたいに扱っている。決めるのは君自身なのにね。じゃあ、行くよ。

(アラジンはバルコニーから飛び降りる)

ジャスミン:あっ、ダメ!
アラジン: 何、何がだい?

(実は、アラジンの体は絨毯に乗って浮いていたのだ)

ジャスミン:それって、いったい何なの?
アラジン: 魔法の絨毯さ。
ジャスミン:かわいいのね。

アラジン: 君…よかったら一緒に乗ってみない? 宮殿を抜け出して、広い世界を見てみるんだ。
ジャスミン:大丈夫かしら?

アラジン: もちろん…君はボクを信じるかい?
ジャスミン:えっ?

アラジン: ボクを信じるかい?

ジャスミン:…信じるわ。


(ジャスミンは、どこか見覚えのあるこの若者に、親しみを感じ、微笑みながら絨毯に座った。
彼らは一緒に空高く舞い上がり、宮殿を後にした)