王政復古 担龍篇 双虎篇   1939年(昭和14年)   邦画名作選
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動乱の幕末。近藤勇(阪東妻三郎)率いる新選組の、勤皇志士に対する弾圧は日増しに激しさを増していた。

新選組に急襲され、多くの志士が討ち取られた池田屋事件で、辛くも難を逃れた桂小五郎(片岡千恵蔵)は、
坂本龍馬(嵐寛寿郎)の意に従い、薩摩の西郷吉之助(小杉勇)に会い、薩長連合の必要を説得する。

西郷は承諾し、薩長両藩の同盟が成立、ここに倒幕への流れが一気に加速したのである。


一方、徳川慶喜(沢田清)は、倒幕派の勢いが強まっているのを感じ、政権を天皇に返す「大政奉還」を宣言。
天皇に国を治める力がないと見た慶喜は、従来通り、幕府の勢力を軸に、新体制で政治を執ろうと考えたのだ。

この名を捨てて実を取る「大政奉還」により、薩長両藩による「倒幕」の道は潰えたかに見えたのだが…。



日活オールスター総出演、幕末の新選組と勤皇の志士たちとの対立を描いた時代劇超大作。

幕末ものは戦前の時代劇の大きなジャンルの一つであった。この時期、日本は中国との戦時体制に突入しており、
時節柄、勤皇愛国の大義名分があり、敵味方多士済々であり、登場人物の知名度も高い。


映画では、新選組の成立から、王政復古以降、薩長の新政府軍に追われ、敗走する新選組の姿までが描かれる。

従来の幕末ものでは、勤皇が善玉、新選組が悪玉として描かれていたのだが、鞍馬天狗シリーズを契機として、
敵ながら天晴なる悲劇の英雄というイメージとなった。


ことに戦後は、幕末ものというと新選組がヒロイックに登場する例が多い。時代の変転の中で見棄てられてゆく
悲劇のヒーローたちを哀惜するというテーマは、源義経以来の日本人の判官びいきに馴染むものといえる。



 
 
 製作   日活

  監督   池田富保  原作 滝川紅葉

  配役    桂小五郎 片岡千恵蔵 徳川慶喜 沢田清
      坂本龍馬 嵐寛寿郎 宮部鼎蔵 河部五郎
      近藤勇 阪東妻三郎 佐々木唯三郎 原健作
      西郷吉之助    小杉勇            福原越後    志村喬 
      中岡慎太郎    月形龍之介            おとめ    市川春代 
      土方歳三 沢村国太郎 芸妓幾松 花柳小菊

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