ギリシア神話事典         あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 む行    ら行  



ムーサMusa/ミューズ(Muse)  詩歌女神。
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複数形はムーサイ(Musai)。
カリオペ、ウラニア、 ポリュヒュムニア、エラト、テレプシコラ、 メルポメネ、タレイア、エウテルペ、 クレイオの9人で、詩・踊り・音楽を司る。

ゼウスとムネモシュネが九夜のあいだ交わって、九人のムーサを生んだという。

オリュンポスでは、アポロンを指揮者とし、彼の竪琴に合せて歌舞を演じて神々を楽しませる。

また地上の詩人たちは、ムーサの霊感を受け、その代弁者となって詩作すると信じられた。( → ヘシオドス)


カリオペ Kalliope (オルフェウスの母)叙事詩。(書板と鉄筆を持つ)
ウラニア Urania 天文。(杖、コンパス、天球儀)

ポリュヒュムニア Polyhymnia 賛歌。(竪琴)
エラト Erato 恋愛詩。(竪琴)

テルプシコラ Terpsichora 合唱と舞踏。(竪琴)
メルポメネ Melpomene 悲劇。(ぶどうの冠)

タレイア Thaleia 喜劇。(つたの冠、喜劇の仮面)
エウテルペ Euterpe 抒情詩。(笛)

クレイオ Kleio 歴史。(巻物)

女神は9名それぞれ一分野を担当する。
(ヘシオドス 36,52,75)

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ムスペルスヘイムMuspellsheim
世界を構成する九つの国のひとつで、人間族の国ミドガルド(Midgard)の南方にある火の国。
巨人スルト(Surt)によって警備される。
原初にここから飛んできた火花が、闇と寒冷の界域ニフルヘイム (Niflheim)の氷を溶かし、最初の生命体としての巨人ユミル(Ymir)が生まれる。
Teutonic Myth&Legend (Donald A. Mackenzie)


ムネモシュネMnemosyne
「記憶」の女神。ガイアとウラノスの娘。 ティタン神族。ゼウスとの間にムーサたちを産む。


メガラMegara
アッティカ西部メガリス(Megaris)にあった都市国家。
メガラ人が築いた植民市の中には、ビザンチオン(Byzantion 現在のイスタンブル)がある。
(The Encyclopedia Britannica)


メガラMegara
テバイ王クレオン(Creon)の娘。
ヘラクレスは、当時オルコメノス(Orchomenos)に隷属していたテバイの民を率い、オルコメノス軍と戦い、これを打ち負かした。
この功績により、クレオンから娘メガラ(Megara)を与えられ、テリマコス(Therimachos)、クレオンティアデス(Kreontiades)、デイコオン(Deikoon)を儲けた。
しかし、ヘラクレスは執拗なヘラの嫉妬により気を狂わされ、我が子を炎に投げ込んで殺してしまい、これを悲しんだメガラも自殺してしまった。
(アポロドロス 第ニ巻 4-11-12)


メソポタミア文明Mesopotamian civilization
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メソポタミアとはギリシア語で「川の間の地」の意。

現在のトルコ東部山中の水源からシリア北部を通過して、イラク領内に入り、バスラ(Basra)付近で合流して
ぺルシア湾に注ぎ込むティグリス川(Tigris)とユーフラテス川(Euphrates)に挟まれた地域を指す。

イラクの首都バグダット付近から北部はアッシリア(Assyria)、南部はバビロニア(Babylonia)と呼ばれ、
バビロニア地方はさらに聖都ニップル(Nippur)から北部はアッカド(Akkad)、南部はシュメール(Sumer)と呼ばれた。

人類最初の都市文明が開化したのは南部のシュメールで紀元前3500年頃であった。

それから約千年間シュメール・アッカドの地が文化の中心であったが、紀元前1757年、バビロニア王国(Babylonia)
のハンムラビ王(Hammurabi)がメソポタミアを統一して以来、バビロニア文化が当時の世界の頂点に立ち、
その影響は、東はイラン西部のエラム(Elam)、西は地中海沿岸地方から
トルコ中央部のアナトリア高原(Anatolian Plateau)にまで及んだ。

紀元前1300年頃から国力を増してきた北方のアッシリア王国(Assyria)は、紀元前1000年頃になるとバビロニアと
覇権を争うようになり、両者のあいだで激しい勢力争いが繰り返された。

紀元前525年、メソポタミア全土がイランから出たアケメネス朝ベルシア(Achaemenid Persian)に統合され、
やがてベルシアが西方の小国マケドニア(Macedonia)出身の若き王アレクサンドロス(Alexandros)
に征服された時点で、古代メソポタミアの歴史は幕を閉じる。

(The Encyclopedia Britannica)

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メソポタミア神話Mesopotamian mythology
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アッカド人(Akkadian)の創世神話は「エヌマ・エリシュ(Enuma Elish)」と呼ばれる。

この叙事詩の冒頭の言葉で、「そのとき上に」という意味である。

7枚の粘土板に刻まれた神話は、原初の水が混じりあって最初の神々が誕生する様子を描写し、マルドゥク神(Marduk)
が最終的にどうやって宇宙の支配者となり、
人間の創造と最初の都市バビロン(Babylon)の建設を命じたかを物語っている。

原初の宇宙は、真水の神アブス(Apsu)と、塩水の女神ティアマト(Tiamat)しかおらず、周囲は静まりかえっていた。

この二者が混じりあって幾世代かの神々を作り、最後に天の神アヌ(Anu)と、
器用で機知に富み、最終的に大地と水の神になるエア(Ea)が生まれた。

若く元気な新世代の神々はアブスとティアマトを悩ませた。
ふたりは太初の静寂が恋しかった。

アブスは若い神々を殺そうと提案したが、ティアマトは自分たちが作ったものを死なせるのは忍びないと考えた。

しかしアプスは他の神々を自分で殺そうと決意した。
アプスの企みを知ったエアは彼を殺し、自らが真水の神となった。

エアと妻のダムキナ(Damkina)は息子をもうけた。
強大な神マルドゥクである。

彼は遊び相手として風を与えられると、ティアマトの水に嵐を引き起こした。
彼女は怒り、殺された夫アブスの復讐を決意する。

そしで怪物たちを集め、キングー神(Kingu)にマルドゥクを攻撃するよう命じた。
破壊的な戦いを恐れ、ティアマトを止めようとする神々もいたが、彼女は聞く耳をもたなかった。

マルドゥクだけは、他の神々から至高の権威を受け取ることを条件に、喜んで彼女と戦った。

マルドゥクは4つの風を集めてティアマトのロから吹き込ませ、彼女の体が風船のように膨らんだところに矢を放って切り裂いた。
ティアマトを負かしたマルドゥクは支配を開始した。

まずティアマトの体の半分で天を作り、唾液から雨雲を作った。
体の残り半分で大地を作った結果、胸が山になり、メソポタミアの2本の川ティグリス(Tigris)とユーフラテス(Euphrates)が彼女の目から流れ出した。

マルドゥクはバビロンの建設を命じ、最初の男ルル(Lulu)をキングの血から作った。
ルルとその子孫は用水路を掘り、バビロン周辺の土地を肥やし、人類が確実に繁栄できるようにした。

Myths&Legends (Philip Wilkinson)

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メストルMestor
1 ペルセウスとアンドロメダの子。
ペロプスの娘リュシディケ(Lysidike)を娶ってヒッポトエ(Hippothoe)の父となった。
ヒッポトエとポセイドンの間に生まれたのが、タフィオス(Taphios)である。

2 ポセイドンとアトランティス大陸の原住民の娘クレイト(Kleito)の子。アトランティス諸王の一人

3 トロイ王プリアモスの子。イデ山2で牛を奪いに来たアキレウスに殺害された。


メッセニアMessenia
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ペロポネソス半島の南西地域の古代ギリシア名。現メッシニア。

北にはエリスとアルカディア山脈があり、東にはラコニアと接し、南から西にかけて地中海(イオニア海)に面している。
前 1200年頃ドーリア人がこの地に侵入し、先住民と混血した。

前 743年、スパルタによって征服され、ヘロット(Helot 農奴)とされた(第一次メッセニア戦争)。

前 685年、メッセニア人はアルカディアやアルゴスの支援で、独立を回復あるいは維持するために戦ったが敗れた(第ニ次メッセニア戦争)。

前464年には大地震を契機に蜂起(ほうき)したが、これも失敗(第三次メッセニア戦争)。

ようやく前369年、ボイオティアの都市テバイによって独立を回復した。

面積2991平方キロメートル、。オレンジ、レモン、アーモンド、イチジク、ブドウ、オリーブを産出。

(The Encyclopedia Britannica)

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メディアMedeia
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コルキス(Kolchis)王アイエテス(Aietes)とエイデュイア(Eidyia)(オケアニド Oceanid 海のニンフ)の娘。

イアソンに恋し、自分を妻としてギリシアに連れて行くことを条件とし、イアソンがアイエテスから出された課題を果たすのを手伝う。

青銅の脚を持ち火を吐くニ頭の雄牛を独力でつなぐという課題には、火を防ぐ薬を武具と身体に塗ることを教え、
また、竜の歯から生じた兵士たちには石を投げ、彼らが同士討ちをしている間に退治することを教えてイアソンを助ける。

しかし、イアソンから離婚されたときは、イアソンの新しい妻や、イアソンと自分との間に産まれた子供たち
メルメロス(Mermeros)とペレス(Pheres)を殺した後、有翼の竜の車でアテネに逃れ、アイゲウスに嫁いでメドス(Medos)を産む。

一度は殺そうとしたテセウスがアイゲウスの実の子であることが判明したとき、アテネを追放されてコルキスに帰り、
王位を簒奪した小父のペルセス2(Perses)を殺して父アイエテスに位を取り戻した。
(エウリピデス Euripides 『メディア Medeia』)

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メティスMetis
「智、賢明」の意。オケアノスとテテュスの子。オケアニデスの一人。
ゼウスの最初の妻で、彼女はクロノスが呑み込んだ子供たちを吐き出すようにレアに吐剤を作り与えた。
ガイアの予言により、彼女とゼウスの間の子供は息子の場合、父親を超える運命にあると告げられ、彼はメティスを飲み込んでしまう。
割れるような頭痛の中、ゼウスの頭から飛び出したのは武装したアテナであった。
(アポロドロス 第一巻 2-1,3-6)


メドゥーサMedusa
1 フォルキュス(Phorkys)とケト(Keto)の娘たちのうちの一人で、ゴルゴンのなかで唯一不死身ではない。
ペルセウスに首を切られたときの血からペガソス(Pegasos)とクリュサオル(Chrysaor)が生まれた。
また、切られた首はアテナの楯にはめ込まれた。 → ゴルゴン
(ヘシオドス275、280)(アポロドロス 第ニ巻 4-2-3)


2 ミュケナイ王ステネロス(Sthenelos)とニキッペ(Nikippe ペロプスの娘)の娘。
3 オイディプスを育てたコリントス王の妻。
4 プリアモスの娘。


メネラオスMenelaos
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ミュケナイ王アトレウス(Atreus)とアエロペ(Aerope クレタ王カトレウス Katreus の娘)の子。
アトレウスがアイギストスに殺害されたあと、兄アガメムノンとともにスパルタに亡命し、
そこでテュンダレオス王(Tyndareos)の娘で絶世の美女ヘレネと結婚し、義父の跡を継いでスパルタ王となった。
しかし母方の祖父カトレウスの葬儀のためクレタ島に行った留守の間に、彼の宮廷に客として滞在していたトロイの王子パリスによって、
ヘレネを財宝とともに連れ去られた。

これが、ヘレネの姉妹クリュタイムネストラと結婚し、ミュケナイ王となっていたアガメムノンを総指揮官とするトロイ遠征が企てられる原因となった。
トロイ戦争の間メネラオスは、アガメムノンを助けて奮戦し、多くの手柄を立てた。

トロイ落城のおりには、パリスの戦死したあとヘレネの夫となっていたトロイの王子デイフォボス(Deiphobos)の館に行き、
これを殺してヘレネを取戻し、いったんは彼女も殺そうとしたが、その魅力に抗することができず仲直りして、八年を費やしてスパルタに帰り着いた。
以後彼は、ヘレネとともに繁栄と幸福のうちに長い年月国を統治した末に、最後には夫妻ともエリュシオン(Elysion)の楽園で、不滅の生を享受する特権を許されたという。
(エウリピデス Euripides 『ヘレネ Helene』line 1675)

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メノイティオスMenoitios
1 イアペトス(Iapetos ティタン神族)とクリュメネ(Klymene)(オケアニド Oceanid 海のニンフ)の子。
(アポロドロスによれば、イアペトスとアシア Asia オケアニド Oceanid 海のニンフ の子)
アトラス、プロメテウス、エピメテウス(Epimetheus)の兄弟。
ティタノマキア(Titanomachia クロノス率いるティタン神族と、ゼウスが率いるオリュンポス神族が覇権をあらそった十年戦争)
の際にはティタン側につき、父と共に勇敢に戦ったが、ゼウスの雷で撃たれ、タルタロスの領域に落とされた。

2 アクトル(Aktor テッサリアのフォルバス Phorbas の子)とアイギナ(Aigina アソポス河神の娘。ナイアス Naias 水のニンフ)の子。パトロクロスの父。


メフィストフェレス(Mephistopheles)
メフィストフェレスは、16世紀のドイツに実在した魔術師ゲオルグ・ファウスト(Johann Georg Faust)によって召還された悪魔である。
彼はファウストの魂と引き換えに全ての望みを叶えるという契約を交わし、その終焉の日を24年後に定めた。

24年間、ファウストは快楽に満たされた生活を送った。
そして約束の日には彼の眼球と歯だけが血溜まりの中に残った状態で発見されたという。
この物語は文豪ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)の手で「ファウスト」という作品になり、メフィストフェレスの名は広く知られるところとなった。
世界の神々と神話(水島朱音)


メムノンMemnon
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曙(あけぼの)の女神エオスがトロイ王子ティトノス(Tithonos)と交わって生んだ子。

ヘスペリデス(Hesperides 夕べの娘たち)に育てられ、エチオピア人の王となった。

伯父にあたるプリアモス王の要請を受けて、トロイ戦争にトロイ方の援軍として参加し、多くの手柄を立てた。

しかし、アンティロコス(Antilochos)を打取ったあと、親友であったこの若武者の死に復讐しようとするアキレウスと壮烈な一騎打ちを演じた末に、
天上でこの勝負をアキレウスの母のテティスとともに見守るエオスのゼウスへの懸命な嘆願もむなしく、ついにアキレウスに打取られた。

彼の死体はエオスによってエチオピアに運ばれ、以後エオスが息子をいたんで流す涙が朝露になるという。

(オウィディウス Ovidius『変形譚 Metamorphoses』巻13 600-622)

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メルポメネMelpomene ムーサの一人で悲劇を司る。
アケロオス(Acheloos)との間にセイレンたちを産んだ。


メルクリウス(Mercurius)→ ヘルメス


メレアグロスMeleagros
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カリュドン王オイネウス(Oineus)とアルタイア(Althaia アイトリアのプレウロン王 Pleuron テスティオス Thestios の娘)の子。

誕生して七日後に、母の前に現れたモイライ(Moirai)によって、炉の中の薪が燃尽きるまでしか生きられないと予言されたため、
アルタイアはすぐその薪を取出して火を消し、大切にしまっておいた。

ところが、女神アルテミスの怒りによって放たれた国を荒す猪を退治するため、ギリシア中の英雄を集め、「カリュドンの猪狩」
を催したメレアグロスは、この狩りに女性の身でただひとりだけ参加したアタランテ(Atalante)に恋心を抱き、
彼女が最初に矢傷を負わせたあと、彼がみずからの手で仕留めた猪の毛皮と頭とをアタランテに与えたことから、
これを不服とする母アルタイアの兄弟たちと争い、ついに伯父たちを殺してしまった。

これを聞いて怒った母は、薪を取出して燃やしたため、メレアグロスは絶命し、のちに後悔した母も息子のあとを追って自害した。

命を落とし冥界を彷徨っていたメレアグロスはヘラクレスと出会う。
ヘラクレスは、冥界の番犬ケルベロスを捕獲するため、女神アテナの導きで冥界へとやってきたのだった。

冥界で暮らすメレアグロスは、地上で生きている妹デイアネイラ(Deianeira)の身の上を案じていた。
メレアグロスは兄である自分や母、姉妹たちが次々と亡くなり、身寄りのないデイアネイラの将来を英雄ヘラクレスに託すことにした。

メレアグロスは、ヘラクレスが地上に戻ったらデイアネイラを妻にして欲しいと懇願する。
ヘラクレスはその申し出を快諾し、後にデイアネイラを妻とすることになった。

しかしこの結婚は、結果的にヘラクレスを死へと追いやることになってしまうのである。
(アポロドロス 第一巻 8-2-3)

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メロペMerope
1 太陽神ヘリオスとクリュメネ3の娘。ヘリアデス(Heliades)の一人。

2 アトラスとプレイオネの娘。プレイアデスの一人。

3 キオス王(Chios)オイノピオン(Oinopion)の娘。


メンテMenthe
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冥界の嘆きの河コキュトス(Kokytos)のニンフ。(ランパド Lampad)

冥界の王ハデスは、コキュトス河のニンフ、メンテの美しさに魅了されてしまった。

激しい嫉妬に駆られたペルセフォネは、メンテに呪いをかけ、草に変えてしまった。

以来この草はミントと呼ばれ、神殿の庭で、 可憐な花と芳香をたたえ咲き誇り続けた。

地上でも今も陽光を浴びる度に芳香を放ち、人々に自分の居場所を知らせるのだという。


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メンフィスMemphis
ナイル川下流左岸、カイロの南にある都市遺跡。
近くにギザ(Giza)などのピラミッド群がある。
第3王朝時代に首都となり、有名な建築家イムホテプ(Imhotep)のもとに最初の大石造建築が建造され、第4王朝にいたってその栄光は絶頂に達した。
(The Encyclopedia Britannica)


モーセMosheh
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前13世紀頃在世のイスラエル(Israel)の立法者、預言者。

エジプトでレビ族(Levi 祭司階級)の家系に生れ、エジプト圧政下のヘブライ人(Hebrew)を率いて脱出に成功した指導者。

イスラエルの子孫の力を恐れたエジプトのパロ王(Pharaoh)は、出生した男児の殺害を命じた。
モーセは生後3ヶ月に葦舟に乗せられ、ナイル川に流されたが、パロの娘 (モーセの命名者)に救われ宮廷で成人した。

しかし彼は苦役に従事する同胞を見、同胞を打ったエジプト人を殺したことからミデヤン(Midian アラビア北部)に逃れた。

同地の祭司エテロ(Jethro)の娘チッポラ(Zipporah)を妻として亡命生活をおくっていたが、シナイ(Sinai)山で神が彼に現れ、
イスラエル人のエジプト脱出を命じたので再びエジプトに戻った。

兄アロン(Aaron)の助けによって人々の説得に成功した彼は出エジプトを決行。
パロは追手の軍勢を差し向けたが、神の奇跡によって紅海の水が分断され、イスラエル人たちは海を歩いて渡ることができた。

だが追い討ちしてきたパロの軍勢は、海に沈んでしまう。
ついにイスラエルの民は、エジプト脱出を果たすことができた。
(出エジプト記 1−14章)

出エジプトの3日後、モーセはシナイ山で神と契約を結び十戒をはじめとするさまざまの掟が示された。
謝恩祭として捧げられた雄牛の血は契約の血と呼ばれている。

モーセは40年にわたって荒野をさまよい、民に別れのことばを残し、約束の土地カナン(Canaan)を目前にして
ピスガ(Pisgah)の山頂で120年の生涯を閉じた。
(申命記 34章)

(The Encyclopedia Britannica)

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モイラMoira 「分け前」の意。複数形はモイライ(Moirai)
ニュクス(Nyx)から生まれた運命を司る三女神、すなわち、紡ぐ者クロト(Klotho)、支える者ラケシス(Lachesis)、糸を断つ者アトロポス(Atropos)をさす。
オリエントの三相一体の女神「創造する者」「維持する者」「破壊する者」(Triple Goddess)に相当する。
古代ギリシアにおいて、人生は、「乙女」によって紡がれ、「母親」によって支えられ、「老婆」によって切られる神秘的な糸であるという原理が認められていた。
(一説では、ゼウスとテミスの娘たち。アポロドロス 第一巻 3-1)


モリガン Morrigan
ダーナ伝説(Danann cycle)やアルスター伝説(Ulster Cycle)など多くのアイルランド伝承に登場するダーナ神族(Dannan)の戦いの女神。
名は「偉大なる女王」の意。

雄弁と文学の神オグマ(Ogma)の息子デルバイス(Delbaeth)と女神エルンマス(Ernmas)の娘で、戦女神バドブ(Bodb)、マッハ(Macha)とは姉妹にあたる。
他の姉妹たち同様、鳥と結び付けられ、灰色や赤い衣をまとった美女や鳥の姿をとって戦場に現れた。

マグ・トゥレド(Mag Tuired)の戦いでは、モリガンはダーナ神族の王ヌアダ(Nuada)と同衾して勝利を約束し、
姉妹で魔術を駆使してフィル・ボルグ族(Firbolgs)を恐慌状態に陥れたとされる。

フォモール族(Fomorians)と激戦を繰り広げた「マグ・トゥレド第2の戦い」でも、モリガンは多彩な活躍を見せている。
ダーナ神族の主神ダグダは、彼女と一夜を共にし、戦いの勝利と栄光を約束されたという。
モリガンは、約束通り彼女の姉妹と共に戦場を飛び回り、フォモール族の士気を大いに乱したのである。

アルスター伝説(Ulster Cycle)では、彼女は、アルスターの英雄クー・フーリン(Cu Chulainn)の誘惑者、そして守護者として複雑な役割を果たしている。
Dictionary of Celtic Myth and Legend(Miranda J. Green)



モーリュMoly
魔よけの霊草。
オデュッセウスがヘルメスから貰い受けた草。キルケの魔法を防いだ。
(オデュッセイア 第10歌 302-320)(アポロドロス E-7-16)



モルガン・ル・フェMorgan le fay
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コーンウォール公(Duke of Cornwall)ゴルロイス(Gorlois)とイグレーヌ(Igraine)の娘。アーサー王(King Arthur)の異父姉妹。

ジェフリー・モンマス(Geoffrey of Monmouth)による「マーリン伝(Vita Merlini)」 によれば、
海の彼方にあるアヴァロン島(Avalon)に住む9人姉妹の長女である。

この島が「至福の島」とも呼ばれるのは、あらゆるものを自然に生み出すからである。

彼女の名前の「フェ(fay)」とは、ケルト伝承における妖精、もしくは魔法に長けた女性を意味し、
モルガン・ル・フェという名は「魔女モルガン」といったニュアンスがある。

魔女の名が示すとおり、彼女はあらゆる薬草の薬効に通じているのみならず、変身術や、作り物の翼を用いた飛行の術に長けている。

モルガンの原型は、アイルランド伝承に登場するダーナ神族(Dannan)の戦いの女神モリガン(Morrigan) だとされている。

女神モリガンは、ダーナ神族の王ヌアダ(Nuada)や主神ダグダ(Dagda)と交わって、
2度にわたるマグ・トゥレド(Mag Tuired)の戦いにおいてダーナ神族を勝利へと導き、
さらにアルスター(Ulster)の英雄クー・フーリン(Cu Chulainn)に加護を与えた。

アヴァロンの妖精であるモルガン・ル・フェは、カムランの戦い(Battle of Camlann)で傷つき、致命傷を受けたアーサー王を懐に抱き、
迎えに来た船でアヴァロン島へ連れて行ったとされている。

世界女神大事典(松村一男、森雅子、沖田瑞穂)

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山羊(やぎ)座 → アマルテイア


八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま) → 三種の神器(さんしゅのじんぎ)


八咫鏡(やたのかがみ) → 三種の神器(さんしゅのじんぎ)






ユグドラシルYggdrasil
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ユグドラシルとは、混沌の時代からすべての世界を支えるトネリコ(Ash)の大樹である。
次元を超越して世界を繋ぐ文字通りの「世界樹」であり、北欧神話においてすべての世界は
この大樹の枝葉の上に存在するとされている。

ユグドラシルが支える世界

@アスガルド(Asgard オーディン Odin たちなどのアース神族 Aesir の棲む世界)
Aアルフヘイム(Alfheim 白エルフ Ljosalfar の棲む世界)
Bヴァナヘイム(Vanaheim アース神族と対を成す巨神の一族ヴァン神族 Vanir の世界)

Cミドガルド(Midgard 人間界。周囲を大海が取り巻いている)
Dムスペルスヘイム(Muspellsheim 炎に覆われた世界。火の巨人・ムスペルたちとその族長たるスルト Surt が棲む世界)
Eヨトゥンヘイム(Jotunheim 「霜の巨人」と「山の巨人」の両巨人が棲む世界)

Fスヴァルトアルファヘイム(SvartAlfaheim 黒エルフ Svartalfar や小人族の棲む世界)
Gニフルヘイム(Niflheim 永久凍土に覆われた世界の最下層。かつて巨人ユミル Ymir が生誕した場所)
Hヘルヘイム(Helheim 冥府の女王ヘル Hel が支配する国)

ビフロスト(Bifrost)
神々が神界アスガルドから下界へとかけた虹の橋を指す。名前は「ぐらつく道」を意味する。


ユグドラシルに棲む生物

ユグドラシルには、その幹や枝葉に多数の生物を宿している。

フレースヴェルグ(Hresvelgr)
ユグドラシルの頂・天の北端にたたずむ大鷲。
彼の羽ばたきが世界の風となって吹き渡っているという。
毒竜ニドホッグ(Nidhogg)とは犬猿の仲で、リスのラタトスク(Ratatoskr)を通じて互いに罵り合っているという。


ユグドラシル




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ユニコーンUnicorn
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額に一本の角を持った白馬で、スコットランド王やエリザベス女王の紋章にも使われている聖獣。
ヨーロッパでは神聖な力と純潔の象徴とされる。

ユニコーンに関しては、さまざまな記述が残されている。

ギリシアの医師、クテシアス (Ctesias) の「インド誌 (Indica)」によれば、ユニコーンの角には解毒作用があるとされ、
角でつくった盃で飲み物を飲んだ人間はさまざまな病にかからなくなるとされている。
このため、つねに毒殺の危機におびえていた中世ヨーロッパの貴族たちは、こぞってユニコーンの角を探し求めたという。

ローマの博物学者プリニウス (Gaius Plinius) や、セビリアの神学者 イシドールス (Isidorus) によれば、
ユニコーンは極めて獰猛で、足の速さはウマやシカにも勝る。
角は長く鋭く尖っていて強靭であり、その一突きはゾウを殺すことができるとされている。

その凶暴さから、人間が生きたユニコーンを生け捕りにするのは、長い間、絶対に不可能だとされていた。

しかし、いつのころからか、人々のあいだにユニコーンを捕える方法が知られるようになる。
その方法とは、ユニコーンは若い処女に弱く、処女をおとりとして使えば、処女に近づいてきて、その頭を膝の上にのせて眠ってしまうというものである。

そのすきに、物陰に隠れていた漁師たちが、ユニコーンを捕えるのである。
こうして捕まえたユニコーンの角は、貴重な解毒薬として極めて高価に取引されたのである。

この処女に弱いという伝説から、やがてユニコーンは貴婦人の守護者のような存在になり、美しい馬の姿で描かれるようになったとされる。

(The Encyclopedia Mythica),Indica (Ctesias), Naturalis historia (Gaius Plinius), Etymologiae (Isidorus)

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ユピテル → ゼウス


ユミルYmir
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原初の巨人。北欧創世神話で、全生命の祖となるのは、永遠なる氷の表面に、春最初に流れ出る水である。

それというのは、この水が、「南」の風により生気を与えられ、集まって、生ける肉体、原初の巨人ユミルの肉体を形づくり、
そこから他の巨人や人間、場合によっては神々までが生まれ出たからである。

蒸気を上げる火山と氷河とに囲まれたアイスランド人は、火と氷が一体となる創世神話を作り上げた。
北には氷と雪の陸地、南には煮えたぎる火と炎の世界。

生命は「原初の巨人」という姿をとって、これらふたつの相反する力の相互作用から生まれたのである。

Dictionnaire des symboles(Jean Chevalier, Alain Gheerbrant)

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妖精fairy
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広くヨーロッパの民間伝承で信じられていた自然霊 (Nature spirits) の一種。

「森や川や草木など、自然のものにやどってる精霊(万物に宿るとされている意思をもった霊)たち」と定義される。

人間に好意的なもの、人にいたずらしたりだましたり、命を奪おうとするもの、運命を告げるものなど、さまざまな伝承がある。

例えば妖精が人間の子供をさらって代わりに彼らの子供を置いていくという「取り替え子」(チェンジリング Changeling)の迷信は中世では広く伝わっていた。

ウィリアム・シェイクスピアの「真夏の夜の夢 (A Midsummer Night's Dream)」ではチェンジリングでさらってきた子をめぐって
妖精王オベロン (Oberon) と女王ティターニア (Titania) が仲たがいをする場面がある。


北欧神話に登場するエルフ (Elf) は、とても美しく若々しい姿で、魔法の力を持ち、森や泉、井戸や地下などに住むとされる。

J・R・R・トールキン (John Ronald Reuel Tolkien) の「指輪物語 (The Lord of the Rings)」に登場するエルフは、
すらりとした長身にとがった耳が特徴の半神的な種族として描かれている。

グリム童話「白雪姫 (Little Snow White)」に登場する七人の小人として知られるドワーフ (Dwarf) は、背が低く長い髭をたくわえた頑健な種族であり、
高度な鍛冶や工芸技能をもつとされている。

イングランドのコーンウォール (Cornwall) にすむピクシー (Pixie) は気まぐれな小人で、赤い顔をし、耳は尖っており、緑の服を着た姿で一般に知られ、
怠け者を見つけるとつねったりポルターガイストを起こして懲らしめるという。


アイルランドのレプラコーン (Leprechaun) はいつでも片方の靴だけをつくっている靴屋の妖精であり、グリム童話「小人の靴屋 (The Elves and the Shoemaker)」
に登場する妖精とはこのレプラコーンのことと言われている。

馬の姿をしたケルピー (Kelpie) はスコットランドに住み、旅人を水の中に引きずり込んだり、夜、水車を回したりするという。

妖精画の作品においては、背中に羽根が生えている少女の姿で登場する事も多い。

20世紀初頭のシシリー・メアリー・バーカー (Cicely Mary Barker) の「さくら草の妖精 (The Primrose Flower Fairy)」は、
花びらで造られたような衣装をまとった愛らしい妖精の姿が表現されている。

(The Encyclopedia Mythica)(www.flowerfairies.com United Kingdom)


→ 取り替え子(Changeling)

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ヨトゥンヘイムJotunheim
世界を構成する九つの国のひとつで、霜の巨人と山の巨人の両巨人が住む国で、ミドガルド (Midgard)の北東にある。
Teutonic Myth&Legend (Donald A. Mackenzie)


ヨルムンガンドJormungand
妖婆アングルボダ(Angrboda)がロキ(Roki)との間に産んだ怪物で、「ミドガルドの大蛇 (Midgardsormr)」とも呼ばれる。
ミドガルド (Midgard)を取り巻き、自分の尾をくわえるほどの大きさがある。
海釣りに出たトール(Thor)の鎚で一撃を加えられ、一時は海底に逃げるが、ラグナロク(Ragnarok)の戦いでトールにとどめを刺される。
Teutonic Myth&Legend (Donald A. Mackenzie)






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