11月4日  タイムカプセル (36) 平成2年 (1990年)   タイム・カプセル
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この年、天皇陛下即位の礼が、皇居に内外の代表2,223人が参列して開かれ、天皇は日本国憲法遵守のお言葉を述べられた。
皇居赤坂御所のパレードの沿道は、12万人の人の波で埋り、両陛下はオープンカーから笑顔で手を振ってこたえられた。

(映画)第63回アカデミー賞「ダンス・ウィズ・ウルブズ」

バットマン」「シザーハンズ

東映「天と地と」(榎木孝明、津川雅彦浅野温子



(音楽)第32回レコード大賞「恋唄綴り」堀内孝雄

「おどるポンポコリン」B.B.クイーンズ「一円玉の旅がらす」晴山さおり「浪漫飛行」米米CLUB「天と地と」小室哲哉「働く男」ユニコーン「くちびるから媚薬」工藤静香「THE POINT OF LOVERS'NIGHT」TM NETWORK「真夏の果実」サザンオールスターズ  
M (プリンセス・プリンセス)


(テレビ)名探偵ポワロ(NHK 熊倉一雄、富山敬、翠準子)理想の男性(NHK 若村麻由美、藤岡琢也、天宮良、児玉清)京、ふたり(NHK 山本陽子、畠田理恵)渡る世間は鬼ばかり(TBS 藤岡琢也、山岡久乃)すてきな片想い(フジ 中山美穂、柳葉敏郎)世界で一番君が好き!(フジ 浅野温子、三上博史)キモチいい恋したい!(フジ 安田成美、吉田栄作)

想い出にかわるまで(TBS 今井美樹、石田純一)日本一のカッ飛び男(フジ 田原俊彦、時任三郎)恋のパラダイス(フジ 浅野ゆう子、本木雅弘)世にも奇妙な物語(フジ)ちびまる子ちゃん(フジ)




                     




(スポーツ)第14回ワールドカップ、開催イタリア、優勝西ドイツ(3回目)

(ファッション)シブカジ キレカジ
(流行語)「アッシーくん」「おやじギャル」 「成田離婚」 「ファジー」

(物故)サミー・デーヴィスJr.(64歳)グレタ・ガルボ(84歳) 藤山寛美(60歳) 高峰三枝子(71歳) 木暮実千代(72歳) 宮田輝(69歳) 若原一郎(59歳)

(社会)南ア黒人指導者マンデラ氏が27年ぶりに解放(2.11)ゴルバチョフ氏大統領に(3.13)大阪「国際花と緑の博覧会」開催(4.1)三井銀行と太陽神戸銀行が合併、さくら銀行に(4.1)ニューヨークのオークションでゴッホの絵が124億円で日本企業に(5.15)礼宮さま(秋篠宮)、紀子さま結婚の儀(6.29)

女子高生校門圧死事件(神戸)(7.6)ペルー大統領選で、日系2世のアルベルト・フジモリ氏が当選(7.28)イラクがクウェートに侵攻(8.2)東西ドイツ、45年ぶりに統一(10.3)ノーベル平和賞にゴルバチョフ大統領(10.16)自衛隊の海外派遣を定めた国連平和協力法案が廃案となる(11.8)天皇陛下の即位の礼(11.12)日本人初の宇宙飛行(12.2)

(その他)真田広之、手塚理美と結婚。藤井フミヤ、都渡まち子と結婚。薬丸裕英、石川秀美と結婚。出門ヒデ、ガンで死去。

「スーパーファミコン」(任天堂)「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」(ENIX)「キリン一番搾り」(麒麟麦酒)「NO」と言える日本(盛田昭夫・石原慎太郎) 「恋愛論」(紫門ふみ) 「ティラミス」黒人差別とのクレームによりカルピスのロゴマーク廃止。

スラムダンク(少年ジャンプ)花の慶次(少年ジャンプ)幽遊白書(少年ジャンプ)ナニワ金融道(コミックモーニング)クレヨンしんちゃん(漫画アクション)



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                       M (プリンセス・プリンセス)











すてきな片想い


食品会社に勤める与田圭子(中山美穂)は、ちょっと地味で平凡なOL。

ある朝、電車に乗り遅れそうなところを、向かいに住む俊平(柳葉敏郎)
に助けてもらい好感を抱く。


だがその直後、車内で派手に転んでバックの中身をぶちまけてしまう。

さらに、スカートのファスナーが全開していたのを見られ、笑われてしまう。


そんなドジな圭子は男性にもオクテだった。




やっと出社した圭子は、同僚の友美から一人の男性を紹介される。


自分を変えようと、友美から紹介された男性に、思い切って電話をかけてみた。

すると意外にも意気投合、実際に会うことに。

だが、待ち合わせ場所にいたのは、電車内のドジな失敗を一部始終みていた俊平だった。



恋愛に臆病なごく普通のOL・与田圭子と小さなおもちゃ会社に勤める野茂俊平の不器用な
恋愛模様を中心に、個性豊かな男女が加わり繰り広げられるラブコメディ。


その恋模様は、ヒロインの圭子が、恥ずかしさから電話で「林なな」と偽名でやり取りするなど、
常にもどかしさであふれ、視聴者は毎週やきもきしながら二人の恋を応援していた。


脚本は「君が嘘をついた」(1988年)で連ドラデビューしたばかりの野島伸司によるもの。

電車で転んだ出会いのシーンから、クリスマスのハッピーエンドに至るまで、その細やかな
感情の機微にあふれた台詞の数々は、ラブコメディのお手本のような出来栄えである。


本作の好評を受け、同じく恋愛のもどかしさをテーマに制作された「東京ラブストーリー」(1991年)
さらに同年の「101回目のプロポーズ」とあわせ「純愛三部作」と位置づけされた。












理想の男性


美恵(若村麻由美)は、OL二年生。弘志(天宮良)と付き合っている。


デートの帰り、弘志に送ってもらったのを、父の勇造(藤岡琢也)に見られてしまった。


乗っていた車が外車だったことから、勇造は弘志を気に入らない。

くどくど文句を言う勇造に、美恵は思わず弘志と結婚するつもりだと言ってしまう。


弘志も両親に美恵との結婚の意思を打ち明け、とりあえず両家揃って食事をすることに。






橋田寿賀子のオリジナル脚本。当人同士が結婚を決意しても、親の同意なしには

結婚できないという核家族世代の状況をコメディに仕立てている。


若い男女の結婚について、子離れできない親たちが何かと口出しする姿に苦笑を誘われる。


娘を手離したくない勇造の複雑な気持ちや、職工上がりの印刷会社社長・竜治(児玉清)の

突っ張った態度などが面白い。


しかし何と言っても一番笑いを取っているのは、藤岡琢也演じる勇造で、この人の

キャラクターでセリフも生きてくる。










渡る世間は鬼ばかり


岡倉家の当主・大吉(藤岡琢也)は、親会社を定年退職後、子会社の重役になる。

だが、人に使われない生活を夢見る大吉は、いずれは退職を考えていた。


そんな折、行きつけの小料理屋「おたふく」で、きんぴらごぼうの作り方を教わり、
心機一転、料理人を目指すことを決意する。


大吉は、長年勤めた会社を退職し「おたふく」で板前の見習いとして働くことになった。




だが、妻の節子(山岡久乃)は、そんな大吉の夢が理解できず、不満を募らせるのだった。



定年を迎えた夫婦と5人の娘たちの暮らしを通し、老後、共働き、嫁姑問題など
家庭をめぐる様々な問題をシリアスに描いた大家族ホームドラマ。


脚本の橋田壽賀子は、NHK「となりの芝生」(1976年)で、嫁姑バトルを描いた
辛口ホームドラマの世界を確立した。

本作でも、姑の小島キミ(赤木春恵)の嫁いびりが人気の一因となっている。


ドラマを通じて姑の「口撃」が炸裂。実家の都合で、嫁の五月(泉ピン子)が
一晩家を空けてから帰宅すると「朝帰りとはいいご身分」とばかりにピシャリ。

ついに疲れ果て「店を1日だけ休みたい」と嫁が申し出ると「あんたの都合で
勝手に決められちゃ、たまらない」とばかりに一蹴。


人間関係の難しさ、家庭の幸福とは何かを、丸20年にわたり問い続けた作品である。
本シリーズは平均視聴率18.2%、最高視聴率27.2%を記録した。













想い出にかわるまで


沢村るり子(今井美樹)は、商社に勤務するOLである。

彼女は、エリートサラリーマン高原(石田純一)との社内結婚を間近に控えていた。


だが、知り合った写真家の水口(財津和夫)にも惹かれ、二人の男性の間で心を揺らす。

一方、るり子の妹・久美子(松下由樹)は、姉の婚約者である高原に密かな想いを寄せていた。


久美子は、結婚にためらう姉の心の透き間を読みとり、高原を誘惑し、関係を持ってしまう。

このことは、やがてるり子だけでなく家族も知ることとなり、物語は悲劇的な結末を迎える。






新しい恋人の出現、婚約破棄、元婚約者と実の妹が結婚するという波乱に満ちた
ストーリー展開がこのドラマの面白さで、ジェットコースタードラマとも呼ばれた。


ヒロインのるり子は、結婚式などの具体的な話し合いの中で、婚約者との
価値観の違いを目の当たりにする。

生来真面目なるり子はその一つ一つが割り切れず、立ち止まって考える。


そんな彼女のペースにめんどくささを感じつつも、高原は努力してるり子を理解しようとするが噛み合わない。

いちいち言葉尻を捕らえて高原をなじるるり子に精神的にまいっていた高原は、
るり子の妹の久美子に強引に迫られて、ついうっかり関係を持ってしまう。


この事実が決定打となり、るり子と高原は破局。

高原は、るり子のことが忘れられないでいたが、けじめをつけるため久美子と結婚する。



恋愛とは、もともとめんどくさいものである。
衝突したり、ヤキモチを焼いたり、傷ついたりすることは、避けられない。


あまりにも生真面目な性格が災いして、婚約者に疑念を抱いたヒロインは、
その不満を他の男性への思慕に向ける。


だが結局、恋愛に失敗し、恋人を失ってしまうという女の愚かさを、シニカルに描きあげた渾身の愛憎ドラマである。













     




名探偵ポアロ


三日間のヨーロッパ横断の旅にのぼったオリエント急行は、厳寒の季節には似合わず、いつになく混んでいた。

列車は山中で大雪のため立ち往生し、その鍵のかかった車室で、一人の大富豪アメリカ人が死亡した。


他殺の疑いが濃かった。満身に12カ所もの刺し傷を受けていたのだ。

密室状況の豪華な列車内で起こった奇妙な事件に、乗り合わせた名探偵ポアロ(デヴィッド・スーシェ)が捜査を開始する。

しかし、車輛の乗客には、すべてアリバイが。




イギリス制作のアガサ・クリスティー原作のドラマ。殺人事件を名探偵ポアロが解決していく。


自称、世界一の名探偵であるポワロは、山高帽に口ひげがトレードマーク。

ベルギー出身の美食家で、秩序を重んじる整理魔で、異常なまでの潔癖症でもある。


彼の推理手法は、入念に登場人物に話を聞き、鋭い観察眼を発揮し、真相を突き止めるというもの。



オリエント急行の車内で発生した殺人事件は、ポアロの推理によって、ついに犯人が判明。


さしもの難事件も解決したのだが、ポアロは、マフィアの抗争による殺人事件だと当局に報告、

それ以上乗客たちの罪を追及することはしなかった。


あえて真相を闇の中に葬るという、このポアロ流の裁決が、ドラマに感動と共感をもたらしている。


なお、日本語吹き替えは、ヒッチコックの吹き替えでもお馴染みの熊倉一雄。

彼のとぼけた雰囲気の口調が、ポワロにチャーミングさを加えている。

















湾岸戦争(Gulf War)


もともとイラクとクウェートは、オスマン帝国の属州として同じ地域にあった。

第一次世界大戦でオスマン帝国が敗北すると、この地域はイギリス領となった。


だが1932年、イラクがイギリスから独立したとき、クウェートの地は
イラクから切り離されてしまった。

その後1938年、クウェートに巨大油田が発見され、以降クウェートは
石油産業が主要な産業となった。




1961年、クウェートがイギリスから独立。

このとき、イラク政府が、クウェートはもともとイラクの領土であり、
イギリスによって不当に分離された旨を内外へ発信した。

そして、ついに1990年8月、イラクのフセイン大統領はクウェートに侵攻し併合した。



これに対して、国連から非難決議が出され、アメリカを中心とする多国籍軍が
イラクに侵攻、1991年1月、湾岸戦争が勃発。

石油資源の下で発展を遂げていたクウェートの都市が戦場になった光景は、
世界に衝撃を与えた。



1991年2月、イラクの敗北により湾岸戦争は終結。

クウェートの油田は大きな被害を受けたが、1992年半ばまでに侵攻前の石油産出水準
に回復。その後のクウェートは、戦前をはるかに上回る発展を遂げている。



2011年3月に発生した東日本大震災の際には、湾岸戦争時の多国籍軍への日本の資金援助
の礼として、500万バレル(450億円相当)の原油無償援助で話題となった。












      シザーハンズ(EDWARD SCISSORHANDS)1990年(米)

山奥の古城に住む発明家の博士が造り上げた人造人間エドワード(デップ)は、まだ未完成で、
両手がハサミで作られていた。ところが、完成間近のある日、博士が急死してしまう。

途方に暮れるエドワードは、親切なボッグス家に引きとられる。彼はハサミを使った特技を
活かして街の人気者になる一方で、ボッグス家の娘キムに恋心を抱くようになる。

奇怪な外見とは裏腹に優しい心を持った青年の純愛を描くダークファンタジーの傑作。
触れたいのに触れられない。デップの切なげな表情がたまらない。

(監督)ティム・バートン(TIM BURTON)
(出演)ジョニー・デップ(JOHNNY DEPP)ウィノナ・ライダー(Winona Ryder)