タイムカプセル (60) 平成26年 (2014年)         タイム・カプセル

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2014年は、理化学研究所の「STAP細胞」騒動に明け暮れした一年だった。

1月に、理研の小保方晴子氏らが「STAP細胞」論文を発表。

世界的な大発見とあって注目度は大きく、報道が過熱。

小保方氏は「女子力」「リケジョ」などと、もてはやされ「オボちゃんフィーバー」が巻き起こった。


ところが5月に、改ざんなどの不正が発覚し論文を撤回。

すると報道は一気に小保方氏へのバッシングへと傾いた。

続いて8月に、論文作成を指導した理研の副センター長が自殺するというショッキングな出来事が発生。



12月に、理研調査委が「捏造、改ざんの可能性が高い」とする最終報告書を発表し、一連の騒動に終止符が打たれた。

これらはまた、真実などそっちのけで、売れるネタに飛びつくマスコミの体質が色濃く反映された事件でもあった。



(映画)第87回アカデミー賞「バードマン」

「マレフィセント」「ゼロ・グラビティ」「GODZILLA ゴジラ」「アメイジング・スパイダーマン2」

「永遠の0」(東宝 岡田准一、三浦春馬、井上真央)「STAND BY ME ドラえもん」(東宝)「るろうに剣心 京都大火編」(ワーナー 佐藤健、武井咲、伊勢谷友介)「テルマエ・ロマエⅡ」(東宝 阿部寛上戸彩、市村正親)「るろうに剣心 伝説の最期編」(ワーナー 佐藤健、武井咲、伊勢谷友介)

(音楽)第56回日本レコード大賞「R.Y.U.S.E.I.」三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE

「ラブラドール・レトリバー」「希望的リフレイン」「前しか向かねえ」「鈴懸の木の道で」「心のプラカード」AKB48  「GUTS!」「Bittersweet」「誰も知らない」嵐
「THE REVOLUTION」EXILE TRIBE 「何度目の青空か?」「気づいたら片想い」「夏のFree&Easy」乃木坂46



                                   




(テレビ)NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」(岡田准一、中谷美紀)NHK朝ドラ「花子とアン」(吉高由里子仲間由紀恵、伊原剛志)NHK朝ドラ「マッサン」(玉山鉄二、シャーロット・ケイト・フォックス)NHK「珈琲屋の人々」(高橋克典、木村多江)日テレ「花咲舞が黙ってない」(杏、上川隆也、生瀬勝久)

日テレ「明日、ママがいない」(芦田愛菜、鈴木梨央、三上博史)TBS「ルーズヴェルト・ゲーム」(唐沢寿明江口洋介山崎努)フジ「素敵な選TAXI」(竹野内豊、バカリズム)テレ朝「緊急取調室(天海祐希、大杉漣、でんでん、小日向文世)スカパー「ブレイキング・バッド」(牛山茂、唐沢潤)


(流行語)ダメよ~ダメダメ、集団的自衛権、ありのままで、カープ女子、壁ドン、危険ドラッグ、ごきげんよう、マタハラ、妖怪ウォッチ、レジェンド、デング熱、ハーフハーフ、イスラム国、2025年問題


(スポーツ)ソチ冬季五輪開催(2.7~23)男フィギュアスケートの羽生結弦、ソチ五輪大会初の金メダル(2.15)アメリカ大リーグ・ヤンキースの田中将大投手がデビュー(4.4)右肘痛で途中離脱もあったが、シーズン13勝(5敗)をマーク。全米オープンテニス男子シングルスで錦織圭選手が日本人初の準優勝(9.8)男子フィギュアスケートの高橋大輔選手が引退を表明(10.14)


(社会)外交・安保政策の企画・分析を行う国家安全保障局が発足(1.7)理化学研究所の小保方晴子氏らが「STAP細胞」の作製に成功との論文を発表(1.29)東京都知事選挙で元厚生労働大臣の舛添要一氏が当選(2.9)消費税率が5%から8%に引き上げ(4.1)理研調査委が「STAP細胞」の論文に意図的不正があったとの報告を公表(4.1)理研、筆頭著者の小保方晴子の不服申し立てを退け、論文撤回へ(5.8)

国民投票法改正。投票年齢を18歳以上に(6.13)安倍内閣が集団的自衛権の限定的な行使容認を閣議決定(7.1)「STAP細胞」論文作成を指導した笹井芳樹・同研究所副センター長が自殺(8.5)安倍首相と中国の習近平国家主席が初の首脳会談(11.10)沖縄県知事選で辺野古への基地移設反対の翁長雄志氏が初当選(11.16)特定秘密保護法が施行(12.10)第3次安倍内閣が発足(12.24)理研調査委が「ES細胞混入の可能性が高い」とする最終報告書発表(12.26)


(国際)ウクライナのヤヌコビッチ大統領、ロシアへ亡命(2.27)乗客乗員239人を乗せたクアラルンプール発の北京行きマレーシア航空機が離陸後、消息不明に(3.8)ロシアがウクライナのクリミア自治共和国を併合(3.18)韓国の旅客船「セウォル号」が沈没。死者295人、行方不明者9人(4.16)ウクライナ共和国大統領選で元外相のポロシェンコ氏が当選(5.25)

イスラム過激派ISIL(ISIS)が「イスラム国」樹立を宣言(6.29)ウクライナ上空でマレーシア航空機が撃墜。乗客乗員298人死亡(7.17)香港で行政長官選挙制度を巡り民主派が大規模デモを開始(9.28)マレーシアのLCC、エアアジア航空機がインドネシア海域で墜落、乗員乗客162人が死亡(12.28)


(芸能)作曲家の佐村河内守が作品を別人に代作させていた事実が発覚(2.6)歌手のASKAが覚せい剤取締法違反容疑で逮捕(5.17)岩手・滝沢市のAKB握手会でメンバー二人がのこぎりを持った男に襲撃される事件が発生(5.25)西島秀俊(43)が16歳年下の一般女性(27)と結婚(11.19)米倉涼子(39)が 2歳年下の会社経営の男性と結婚(12.26)向井理(32)と国仲涼子(35)が結婚(12.28)


(物故)淡路恵子(80)小野田寛郎(91)宇津井健(82)渡辺淳一(80)山口淑子(94)土井たか子(85)桂小金治(88)高倉健(83)菅原文太(81)

(その他)「妖怪ウォッチ」「格安スマホ」「人生はニャンとかなる!」(文響社 水野敬也、長沼直樹)「村上海賊の娘」(新潮社 和田竜)「銀翼のイカロス」(文藝春秋 池井戸潤)




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名曲が実は代作


被爆二世で「現代のベートーベン」と言われた「全聾」の作曲家・佐村河内守の作品が、

実はゴーストライターによるものだということが判明。

18年間代作していた桐朋学園講師の新垣隆が記者会見で真相を語り、謝罪した。(2.6)


ちなみに、作品のひとつ「ヴァイオリンのためのソナチネ」は、ソチ・オリンピック(ロシア)の

フィギュアスケートで、高橋大輔選手が使うことになっていた。

高橋は、曲を変更しないで予定通り使用すると発表した。











AKB48握手会襲撃事件


岩手県滝沢市で開かれた「AKB48」の握手会で、メンバー2人と男性スタッフが、

のこぎりを持った男に襲われ負傷した。(5.25)


殺人未遂容疑で、青森県十和田市の無職の男(24)を現行犯逮捕。

県警の調べに対し、男は「人を殺そうと思った」「誰でもよかった」

などと供述していることが、捜査関係者への取材で分かった。



「会いに行けるアイドル」がウリの「AKB48握手会」は、握手券を1枚でも持ってさえいれば、

誰でも参加できることから、毎回数千人ものファンが詰めかける。


会場も広く警備が手薄になりがちだが、実際に当日の警備にあたっていたのは、客を誘導する

バイトが100人いただけで、時間短縮のために手荷物検査もやっていなかったという。


この事件の影響で、以降に予定されていたイベント、握手会が続々と中止に追い込まれた。

今後の警備面で、AKB48を運営する芸能事務所は、大幅な見直しと対策を迫られることになった。









   
   



ウクライナ騒乱


2014年2月、ウクライナで反政府暴動が発生し、政権は崩壊、ヤヌコビッチ大統領はロシアに亡命した。

Wikipedia によれば、この反政府暴動にアメリカが関与していたことを、当時のオバマ政権が明言している。


つまり、反政府組織による政府転覆は見事に成功したが、実は、その反政府組織に莫大な資金を投入し、

クーデターを背後で支援していた黒幕が、オバマ政権だったというわけである。


ところで、当時のウクライナ駐在のアメリカ大使館の電話は、すべてロシアのKGBに盗聴されていた。


インターネットで公開されている盗聴ビデオによれば、当時のオバマ政権のヌーランド国務次官補が

駐ウクライナのアメリカ大使に、ヤヌコビッチ大統領失脚後の政権人事を指示する内容となっている。



ヤツェニュク新首相はじめ、傀儡人事がそっくりそのまま就任しているのには、まったく恐れ入る。

もっと恐れ入るのは、盗聴されている事実を承知のうえで、堂々と政治介入を行うアメリカという国の大胆不敵さである。














マッサン


大正九年、本場のウイスキー造りを学ぶため、単身スコットランドに渡った亀山政春(玉山鉄二)。


彼は二年の修行を終え、現地で駆け落ち同然で結婚したスコットランド人女性・エリーと帰国。


政春の実家へと向かった二人。政春の母に会えるのが楽しみだったエリーは意気揚々と挨拶する。


しかし、政春の母・早苗(泉ピン子)が発した言葉は「外国人の嫁は絶対に認めない」だった。





ヒロインは朝ドラ初の外国人。ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝と妻リタがモデルの物語。


初めての本格的な国産ウイスキー造りに取り組む夫婦の姿を描く。夢の実現に向けひたむきな

二人の姿は印象的だが、結婚もウイスキー造りもピンチの連続だった。


ヒロインのエリーを演じたシャーロットは、米国ニューメキシコ州生まれ。大学で演劇を学び、

映画にも端役で出演したが「女優として生き残れるのか」と不安を感じていた。


そんな時、米国のオーディション情報誌で、NHKがヒロイン募集をしている記事を見つけた。

日本語は全く話せなかったが、思い切って飛び込んだ。


オーディションには、五百人を超える外国籍の女性が参加したという。

日本語が達者で、演技もハイレベルのツワモノ達が大勢押しかけたと思われる。

だが、誰もかれも、彼女の前にあえなく敗れ去った。


やはり女優にとっては、個人の魅力こそが最大の力なのだろう。彼女の美しいブロンドの髪、

可憐でチャーミングな表情、彼女はそこにいるだけで、魅力を放った。絵になったのである。








珈琲屋の人々


東京下町の商店街。その中にひっそりとたたずむ、レトロな喫茶店「珈琲屋」。

店主・宗田行介(高橋克典)が淹れるコーヒーを楽しみに、人々は珈琲屋を訪れる。


そんな行介には大きな心の傷があった。彼は過って人をあやめた過去があった。

刑務所に服役中、店主だった父が亡くなり、行介は出所後、店を継いだのだ。


ある日、「冬子」と名乗る女性(木村多江)が店を訪れ、ブレンドを注文する。

冬子は行介によって命を奪われた男性の妻だった。



行介は事情を知らないまま、カップを差し出す…。


東京の下町にたたずむレトロな喫茶店を舞台にしたヒューマンドラマ。


これまで「特命係長・只野仁」など、アクション系俳優のイメージが強かった高橋克典が、

今回は寡黙で陰がある喫茶店のマスター・行介役で新境地を見せている。


殺人歴があり「自分は幸せになる資格がない」と、ストイックな生き方を、頑ななまでに

実践している。高橋の抑えた演技が、切なさ、やるせなさを感じさせる。


相手役は、木村多江。行介に夫を殺された看護師・冬子という役どころ。


殺した男は出所後、都内の商店街でコーヒー専門の喫茶店を切り盛りしている。

「いじわるな思い」を抱きつつ、客を装って殺した側を観察に。


冬子は、ひどい人間だと思っていた行介が物静かで優しいことに驚く。

憎しみたい相手が善良な人だと知って、自らの心の持っていきどころを無くしてしまう。


憎しみ・恨みを心の支えにして生きてきた冬子は、これまでの生き方を変える岐路に立つ。


物語は、派手さはなく、終始落ち着いた印象で、しみじみと味わい深く描かれている。

まさに一杯の美味しいコーヒーのような、滋味にあふれた一作となっている。










花咲舞が黙ってない


花咲舞(杏)は、東京第一銀行入行5年目の銀行員。

明るい性格で、客からも同僚からも人気の窓口係である。


ある日舞は、本部の「臨店班」に異動を命じられる。

臨店とは、問題を起こした支店へ行って、指導し解決を図る仕事だ。

舞はそこで、ベテラン行員の相馬健(上川隆也)とコンビを組む。


あるとき、茅場町支店で事務ミスが見つかり、舞と相馬は現場へ向かう。





二人の来訪に、支店長の矢島(羽場裕一)は迷惑顔を浮かべて説明する。

ミスはベテランの窓口係・聡子(木村佳乃)が一人でやったことだという。


だが、聡子の優秀な仕事ぶりを見た舞は、どうしてもそれが信じられずにいた。


そんな中、営業終了後の集計作業で、現金が100万円足りないという事件が発覚する。

聡子が、客の請求より多く払い出してしまう「過払い」というミスを犯していたのだ…。



花咲舞と相馬健のコンビが、銀行内の様々なトラブルを解決してゆく連続ドラマ。


二人が追うのは、全国の支店で起きる事件や不祥事の数々。

現金紛失、横領、情報漏洩、粉飾決算、計画倒産……そして、宿敵・真藤常務の頭取争い。


ヒロインの花咲舞は、地位も権力もない、ただの一行員だ。

だが、上司に対しても間違っていることは「間違っている」と、はっきり言う性格。

銀行のしがらみに捕らわれず、真っすぐに突き進む彼女の気っぷの良さが小気味いい。


本作の平均視聴率は16.0%、最高視聴率18.3%(最終話)の好成績を記録した。









明日、ママがいない


9歳の真希(鈴木梨央)は、養護施設「コガモの家」に入所する。

母親が傷害事件を起こして逮捕されてしまったからだ。


真希は、そこで3人の少女と出会う。3人は互いにあだ名で呼び合っていた。

ピアノが上手なピア美(桜田ひより)、家が貧しいボンビ(渡辺このみ)、
そして、ポストと呼ばれる少女(芦田愛菜)だった。


養護施設を運営するのは、佐々木(三上博史)という施設長だ。





彼は子供たちに「おまえたちはペットショップの犬と同じだ」と言い放つ。

そして里親に引き取ってもらえるよう「かわいげ」を身につけろという。

子供たちは、上手に泣けるようになるまで食事も与えられないのだった。



様々な家庭事情で養護施設に預けられた子供たちが「里親探し」をするという物語。


児童養護施設は、全国に約600あり、約3万人の孤児が入所している。(2014年厚生労働省)

かつて孤児は、戦災孤児や捨て子がほとんどだったが、現在では児童虐待や離婚などで親に
捨てられるケースが急増しているという。本作は、そんな時代背景を反映したドラマである。



第1話の放映後、養護施設「慈恵病院」から、同番組の放映中止を求める抗議の声が寄せられた。

病院側の主張は、ドラマが施設の実態とかけ離れているほか、赤ちゃんポストに預けられた子に
「ポスト」というあだ名が付けられた点などが「視聴者に誤解や偏見を与える」というものだ。


これに対して、日本テレビ側は「ドラマは子供の視点から『愛情とは何か』ということを描くもの
であり、ぜひ最後までご覧いただきたい」と放映中止や謝罪には応じない考えを病院側に伝えた。



第1話には、子供を捨てて再婚する母親が登場する。再婚に支障があるから子供を捨てる。
これは親の身勝手というものであり、親を放棄したも同然だろう。

ドラマは、そんな過酷な現実を、子供ながらに知る事で現実を生きていくストーリーとなっている。

本作は、子供にとって真の幸せは何か、本当の意味の親の愛情とは何かを問いかける作品である。   










ルーズヴェルト・ゲーム


中堅精密機器メーカーの青島製作所は、ライバル社との競合に苦しみ、倒産寸前の大ピンチ。

取引先から10億円以上の値下げを要求され、メインバンクからは融資ストップも示唆される。


社長の細川(唐沢寿明)は、維持費がかさみ成績不振も続く野球部の廃部を提案する。

だが、部を創設した会長の青島(山崎努)は難色を示す。


本作のタイトル「Roosevelt Game」は「奇跡の逆転劇」という意味。

大ヒット作「半沢直樹」を手がけた主要スタッフが再集結し、原作も同じ池井戸潤となっている。





経営不振からリストラに踏み切った製作所と、成績も振るわないその会社の社会人野球チームが

廃部に追い込まれようとする苦境からどう逆転するかを描き出している。


逆転に次ぐ逆転の物語は、まさに「半沢直樹」の世界だが、敵味方がはっきり分かれ、

活劇のように展開するサラリーマンたちの闘いが小気味いい。


唐沢寿明演じる主人公の社長の「お前はもう、ゲームセットだ」のセリフも耳に残る。









緊急取調室


真壁有希子(天海祐希)は、警視庁捜査一課の叩き上げの女刑事である。


ある日、猟銃を持った男が乗客8人を人質にバスジャック事件が発生した。

有希子は、自分が代わりに人質になるとバスに近づき、犯人に説得を試みる。


無傷で犯人を投降させるつもりだったが、途中で人質が騒ぎ立ててしまう。

その結果、特殊部隊が犯人に発砲する事態に陥ってしまった。

結局、有希子の判断ミスということになり、責任を負わされ異動を命じられる。




その異動先は、通称「キントリ」と呼ばれる緊急事案取調班。

それは、取調室で被疑者の取り調べを行う捜査一課の専門チームであった。



取調室という密室を舞台に刑事と被疑者との「攻防」を描く刑事ドラマ。


緊急取調班に配属された有希子を待っていたのは、自白したのに身元を明かさない男や
供述を二転三転させるなど、厄介な被疑者ばかり。


あの手この手を尽くして被疑者と駆け引きする様子がスリリングで緊張感のある映像で描かれ、
視聴者は、一気に本作の世界観に惹き込まれる。


取調室には、被疑者の人権に配慮し、監視カメラなど可視化設備が整えられている。
自白の強要や冤罪を誘発するとして、取調室の密室化が問題視されていたからである。

刑事たちも昔のように、権力をかさに密室でオイコラと追い詰めることができなくなった。


このドラマが制作されたのは2014年。一方、取調べの録画(可視化)を義務付ける法案が
可決されたのは2016年であり、その意味では、時代に先駆けたドラマである。









ブレイキング・バッド


主人公のウォルター・ホワイトは、高校の化学教師。

妻と息子を支えるために安月給ながらも懸命に働いている。


ある日、突然倒れ、運ばれた先の病院で末期ガンを宣告される。

彼は自分の死後、せめて残される家族のために金を稼いでおきたいと考えた。

そこで、化学の知識を活かし、覚醒剤を密造して売りさばくことを思いつく。


タイトルは「道を踏み外す」という意味。その言葉のとおり、余命2年と医師から告げられた

田舎町の化学教師が、ドラッグを密造し、家族に金を残そうとするところから物語は始まる。




やがて押しも押されもせぬ「麻薬王」にまでのし上がった彼は、巨万の富を築き上げるが、

裏社会のトラブルに巻き込まれてしまい、一番大切だったはずの家族との絆を失ってしまう。


ドラッグ密造を、エンタメ作品の題材にすることに抵抗を感じる視聴者もいるかもしれない。

だが本作には、アメリカの麻薬との戦いが成功を収めていないことへの皮肉が込められている。


覚醒剤の消費者の多くは、ヤクザや遊び人などではなく、ワーキング・プア(貧困就労者)だ。

最低賃金は低く抑えられ、大手スーパーでフルタイムで働いても生活が苦しい。

子供を育てるには、夜も飲食店などで働き続けるしかない。そのためシャブで眠気と戦うのだ。


彼らにとって、誰もが努力すれば豊かになれるはずのアメリカン・ドリームは、文字通り夢物語

であることを、本作は殺伐と描き出している。


2008年、衛星TVで放映が開始された本作は、またたくまにアメリカ国内で一大ブームを巻き起こし、

テレビ界のアカデミー賞と言われるエミー賞を 2年連続(2013、2014年)で受賞。


本作は、主人公の化学教師が違法行為に手を染めているため、地上波では放映不可能となっている。

だが、絶大な人気を博し、数々のアワードを受賞したドラマほど地上波では放映されていない。


規制の多い地上波TVは、つまらなくなったと言われる昨今、視聴者の衛星TVやケーブルTVへの

ニーズが、今後さらに高まることが予想される。