11月 27 日  タイムカプセル (43) 平成9年 (1997年)   アクアライン    平成10年へ    タイム・カプセル

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この年、ダイアナ元英皇太子妃の乗った乗用車が8月31日未明、パリ市内のセーヌ川沿いの
自動車道路のトンネルで交通事故を起こし、重傷を負ったダイアナさんは出血多量のため死亡した。

ダイアナさんの新しい恋人とうわさされ、事故車に同乗していたエジプト人の富豪も死亡した。

車は、追いかけるカメラマンたちの乗った数台のオートバイを猛スピードで振り切ろうとして
トンネルの壁に激突したようだ。

6日、ロンドンのウエストミンスター寺院で葬儀が行われエリザベス女王も列席した。


(映画)第70回アカデミー賞「タイタニック」(レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット)

東宝「もののけ姫」 東映「失楽園」(役所広司黒木瞳

 
(音楽)第39回レコード大賞「
Can You Celebrate?」(安室奈美恵

ひだまりの詩(Le Couple) FACE(globe)White Love、Steady(SPEED) Pride(今井美樹)Everything (It's you) (Mr.Children) You Are The One(TK PRESENTS ) However(GLAY) 硝子の少年、愛されるより愛したい(Kinki Kids) Calling(B'z)Give me a Shake(MAX)

(テレビ)ラブジェネレーション(フジ 木村拓哉松たか子成田離婚(フジ 草g剛、瀬戸朝香)総理と呼ばないで(フジ 田村正和鈴木保奈美、西村雅彦)彼女たちの結婚(フジ 鈴木京香、松本明子)青い鳥(TBS 豊川悦司、夏川結衣)竜馬がゆく(TBS 上川隆也)ひとつ屋根の下2(フジ 江口洋介福山雅治酒井法子)バージンロード(フジ 和久井映見、反町隆史失楽園(日テレ 古谷一行川島なお美)サイコメトラーEIJI(日テレ 松岡昌宏、大塚寧々)伊東家の食卓(日テレ 伊東四朗

ビーチボーイズ(フジ 反町隆史竹野内豊広末涼子)ストーカー・誘う女(TBS 陣内孝則、雛形あきこ、麻生祐未)いいひと。(フジ 草g剛、財前直見)踊る大捜査線(フジ 織田裕二、柳葉敏郎、深津絵里)ギフト(フジ 木村拓哉、室井滋)総理と呼ばないで(フジ 田村正和、筒井道隆)




                                  




(スポーツ)伊良部、ヤンキースと契約、日本人6人目の大リーガーに。

(ファッション)女子校生スタイル、ヴィンテージファッション
(流行語)ガーデニング、パパラッ、透明な存在、ポストペット、失楽園する、チャイドル、ビジュアル系、モバイル

(社会)中国の最高実力者、ケ小平氏が92歳で死去(2.19)秋田新幹線「こまち」が開業(3.22)消費税率5%に引き上げ(4.1)生保として戦後はじめての経営破綻となった日産生命保険(4.25)をはじめ、三洋証券(11.4)北海道拓殖銀行(11.17)山一証券(11.24)など金融機関の破綻が相次いだ。

156年にわたる英国の香港統治が幕を閉じ中国へ返還される(7.1)英国のダイアナ元皇太子妃がパリで交通事故死(8.31)エジプト南部の遺跡観光拠点、ルクソールで、イスラム過激派とみられる武装グループが観光客を襲撃し、日本人5人を含む60人が死亡(11.17)神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ東京湾アクアラインが開通、全長15km(12.18)

(物故) 登小平(92歳)萬屋(中村)錦之助(64歳)杉村春子(91歳)西村晃(74歳)三船敏郎(77歳)勝新太郎(65歳)マザーテレサ(87歳)

(その他)深田恭子、日テレドラマ「FiVE」でデビュー。安室奈美恵、TRFのダンサーSAMと電撃結婚、妊娠3ヶ月。斉藤慶子、木本裕仁と結婚。松田聖子、神田正輝と離婚。広末涼子、「MajiでKoiする5秒前」で歌手デビュー。

アサヒ・スーパードライ、ハイパーヨーヨー、ピカチュー、ベルギーワッフル(菓子)キシリトール(ロッテ)失楽園(渡辺淳一) ONE PIECE(少年ジャンプ)



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               L'oiseau Bleu(青い鳥)








青い鳥


柴田理森(豊川悦司)は、長野にある寂れた田舎町・清澄の駅員である。

駅長の父・憲史(前田吟)と父一人子一人で暮らしている。


ある日清澄駅に、一目で都会から来たと分かる垢抜けた母娘が降り立った。

町村かほり(夏川結衣)と娘の誌織(鈴木杏)である。


母と娘は、再婚相手の綿貫(佐野史郎)と会うために、やって来たのだった。





かほりは、清澄で暮らすことになったのだが、慣れない田舎暮らしと、
夫の父に冷淡な態度をとられ、息の詰まるような毎日を送っていた。


娘の誌織は、通学の途中、駅の待ち時間に、理森と言葉を交わすようになり、
「駅長さん」と呼んで理森を慕う。


ある日、夕立が降る中、駅の待合室で、いつものように母の迎えを待つ誌織。

やがて、母かほりの赤い車が駅に近づく。
かほりは、車から降り立ち、傘を片手に誌織を迎えにやってくる。

だが、折からの風雨に傘を飛ばされ、雨に濡れるかほりに理森は目を奪われる。




本当の幸せを求めて彷徨う男女の姿を繊細に描いたラブストーリー。


清澄駅で、理森とかほりは、顔を合わせた途端、運命的な出会いを感じる。

この出会いは、やがて二人の運命を大きく狂わせることになった。

理森は、全てを投げうち、かほりとその娘・誌織を連れて駆け落ちしてしまう。



本作は「純愛」をテーマとした物語である。

主人公は、純愛を全うするため、自己犠牲をいとわず、逃避行を決行する。


だが、その代償として、職場や家族という社会での居場所を失ってしまう。
純愛は、今現在の状態を確保したままでは手に入らないものとして描かれる。


そして落ち行く旅の途中、束の間の幸せをかみしめる二人の背後に迫る追っ手の影。

不倫と言う禁断の恋に葛藤しながらも純愛を貫こうとする二人の姿は、観る者の心を打つ
のだが、道を踏み外してしまった彼ら二人の向かう先に、安住の地はなかったのである。



本作は、その波乱に満ちた逃避行を、ロードムービーさながらの大掛かりな
全国縦断ロケと、半年の撮影期間をかけて壮大に綴ったドラマである。


全11話の連続ドラマが終了した翌週に「完結編」として、その後を描いた
二時間スペシャルが放映されたことでも話題を集めた。














ラブジェネレーション


哲平(木村拓哉)の誕生日、理子(松たか子)は雨のなか、彼の家の前で帰りを待ち続ける。


哲平が帰宅したのは、さんざん待った後だったが、理子は偶然通りかかったと言って、彼の誕生日を祝う。

しかし、用意していたバースディケーキが崩れているのに気づき、あわてて隠そうとする。


二人は押し問答をしたあげく、哲平の手が、ふと理子の手に触れる。

「おまえ、なんでこんな手冷たいんだよ? 待ってたのか、ずっと」




広告代理店の制作部門から営業に回されクサる哲平。

さらには、生意気な腰掛けOL・理子に自慢のロン毛をバッサリと切られてしまう。


意に添わない異動にとまどい軋轢を繰り返す哲平に、理子は反発を感じるが、
お互いのぶつかりあいの中で、二人は次第に気持ちが近づいていく。



そんななか、哲平は、かつてのガールフレンド・水原さなえが兄・荘一郎と婚約したことを知る。

心を揺らす哲平と、切ない思いを抱えながら素直になれない理子とのじれったい恋愛模様が描かれる。

「月9」枠で放映され、平均視聴率30.8%を記録した大ヒットドラマ。















成田離婚


商社の水産二課で働く星野一朗(草なぎ剛)と受付嬢の田中夕子(瀬戸朝香)は、
同じ会社にいながらほとんど話したことがなかった。

あるクリスマスの夜、二人は街で偶然出会い、一朗は夕子にひとめぼれ。


夕子は失恋直後で、会った瞬間に運命の相手と思い、一年後に、二人はゴールイン。


しかし一朗は、新婚旅行先のローマで、優柔不断でドジな性格から失敗を繰り返す。

夕子の不満は募り、成田に帰ってきたとたん大喧嘩になってしまう。

一朗は衝動的に別れようと口走り、夕子は買い言葉で、離婚に応じてしまう。




だが、もらったお祝い金や会社の手前、二人は新居になるはずだったマンションで、
離婚できないまま、しばらくいっしょに暮らすことになってしまう。



1990年代後半に社会的に注目された「スピード離婚」をテーマとしたラブコメディ。


新婚旅行で頼りにならない夫に嫌気がさして帰国し、そのまま離婚してしまうことから、
日本の玄関口でもある成田空港をもじって「成田離婚」という流行語が生まれた。


実は、お互いにまだ好きなのだが、離婚を口にした手前、なかなか気持ちを伝えられない
もどかしさがうまく表現されていて、視聴者の共感をしっかりと掴んだ作品である。













     



失楽園


今や、政治家や芸能人が最も恐れているもの、それは「週刊文春」が放つ「文春砲」である。


1980年代の「ロス疑惑」では、ロサンゼルスで起こった銃撃事件を、三浦和義氏による
保険金殺人ではないかと、全7回にわたって報道。2008年、三浦氏は最終的に自殺に追い込まれた。


芸能スキャンダルから政治家の汚職まで、週刊文春が放つ数々のスクープは大きな影響力を持ち、
多くの悲喜劇を生み出してきた。

だが、唯一の例外となるもの、それは作家によるスキャンダルだ。
これは週刊文春だけでなく、出版界全体にいえる構図である。




その代表例として「失楽園」で知られる作家・渡辺淳一氏の下半身スキャンダルがある。

「失楽園」の映画化、ドラマ化の際には、主演した黒木瞳、川島なお美との関係が取り沙汰された。

とりわけ川島とは、写真週刊誌がホテル室内でキスしている写真まで撮ったが、結局掲載は見送られた。


これは週刊誌がコラムなどの執筆を依頼している作家たちが、お得意様だからにほかならない。

作家のスキャンダルに関しては、自社のスクープ記事を潰してまで、黙殺する図式が出来上がっているのである。













総理と呼ばないで


1.8%という内閣支持率に総理(田村正和)は苦悩していた。

史上最低の支持率に組閣して1か月というのに官房長官のなり手も見つからない。


マスコミからは叩かれ、野党からは不信任案が出るなど八方ふさがり。

なんとかあと1か月内閣を維持し在職最短記録更新だけは避けたいと願っている。


妻の総理夫人(鈴木保奈美)は、派手好きで仲も悪い。

前妻の娘(佐藤藍子)の女優を目指す「お嬢さま」ぶりにも頭を悩ましている。




そんなある日、総理は「お嬢さま」のもとにやってきた家庭教師候補の青年
(筒井道隆)を官房長官に抜擢するという破れかぶれの策に出る。



ある架空の国の総理官邸を舞台に、総理とその側近たちの混乱ぶりを描くコメディー。


登場人物に名前がなく「総理」や「官房長官」「副総理」など肩書で名前を呼び合うのが
独特で、現実感を重視せず、室内劇としての面白さを追求した政治パロディである。


鈴木保奈美が派手好きで浮気性の総理夫人を演じ、「古畑任三郎」でダメな部下だった
西村雅彦が、総理をサポートする切れ者の首席秘書官を演じている。


田村正和演じる総理は、気位は高いが、優柔不断で失言も多い。おまけに漢字の読みを
間違えるなど、現実の政治家を風刺する意図も垣間見られる作品となっている。












ビーチボーイズ


舞台はとある海辺の民宿・ダイヤモンドヘッド。


能天気でお調子者の桜井広海(反町隆史)は、夏だからという理由で、この民宿で働いている。

彼は、水泳でオリンピックを目指していたが、怪我で挫折した過去を持っていた。


同じくその民宿に逗留している鈴木海都(竹野内豊)は、一流商社のサラリーマン。

エリート街道を邁進していたが、ささいなミスで左遷され、虚無感を抱きつつ海に来ている。

その民宿の一人娘・真琴(広末涼子)は、この二人に興味を抱くのだが…。





夏の海を舞台に、お調子者の桜井広海(反町隆史)と、クールで理知的な鈴木海都(竹野内豊)
という、一見ソリが合わなそうな二人が、友情を深めていくというストーリー。


本来なら出会うはずのない水と油のような男二人が、海沿いに建つ民宿「ダイヤモンド・ヘッド」
を訪れ、住み込みで働くことに。


物語は、主人公の二人が、民宿の主人と孫、スナックのママなど多彩な登場人物たちと織り成す
ひと夏の出来事を描いた青春群像劇である。



本作は、夏特有の開放的なムードや、センチメンタルに溢れた夏ドラマの代表作である。


桜井広海「ガキの頃さ、夏休み楽しかったよな。何であんなに楽しかったんだろ…。」


子供の頃の夏は今の何十倍も楽しかった。そして夏休みが待ち遠しくて仕方がなかった。


大人になって、秩序だった都会生活を続けるうちに、そんな喜びも、いつしか忘れてしまった。

いつの間にか「心から楽しむ事」を追求する事すら、億劫になっていたのかも知れない。


誰もが心に記憶にあるであろう、みずみずしい夏の心象風景がよみがえってくる。

本作は、そんなノスタルジーに浸らせてくれる作品である。














もののけ姫


中世の日本。化物を退治したものの、死の呪いを受けた若者アシタカは西へと向かう。

旅の道中、人の子でありながら山犬に育てられた少女サンに出会う。


まだ赤子であった彼女を、両親は自分たちが逃げるために、山犬に投げ与えたのだ。

そのため彼女は、人間を憎んでいた。だがやがて彼女は、人間の若者アシタカと心を通わせるようになる。



もののけ(物の怪)とは、人間の侵略から、自然を死守しようとする森の精霊たちである。

彼女たちの領域を脅かした者は、速やかにその報いを受けることになる。


山犬の背に乗り、森を駆け巡るサン(もののけ姫)の姿は、ギリシア神話の狩猟の処女神

アルテミス(Artemis)に通じるところがある。


最初、人間を憎んでいたサンは、山里の若者アシタカと出会い、彼にだけは心を開いた。

しかしサンの森の処女神としての本性は、アシタカによって弱められたとも言える。


恋を知ったからである。サンは恋によって人間として目覚め、女性として成長したが、

それは処女神としての本性の喪失のはじまりでもあった。





                     もののけ姫(米良美一)