11月 26 日  タイムカプセル (42) 平成8年 (1996年)   タイム・カプセル

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この年、小室ファミリーが、ポップス界を席巻した。
元TMネットワークの小室哲也がプロデュースするアーティストが続々登場。

TRFらに続き、globeがアルバム「globe」でトップセールスを記録、シングルも「DEPARTURE」をミリオンセラーに送り込んだ。
安室奈美恵も、「chase the Chance」「Don't wanna cry」「You're my sunshine」と3曲のミリオンセラーを連発、トップアイドルに。

(映画)第69回アカデミー賞「イングリッシュ・ペイシェント」

松竹「美味しんぼ」(三国連太郎、佐藤浩市、羽田美智子、芦田伸介)東宝「Shall we ダンス」(役所広司草刈民代

(音楽)第38回レコード大賞「Don't wanna cry」(安室奈美恵

名もなき詩(Mr. CHILDREN)
あなたに逢いたくて~Missing You~(松田聖子)LA・LA・LA LOVE SONG(久保田利伸)Chase the Chance、You're my sunshine(安室奈美恵)I'm proud(華原朋美)そばかす(JUDY AND MARY)ミエナイチカラ(B'z)DEPARTURE(globe)熱くなれ(大黒摩季)BELOVED(GLAY)

(テレビ)秀吉(NHK 竹中直人沢口靖子) ひまわり(NHK 松嶋菜々子家へおいでよ(NHK 杉浦直樹、鈴木砂羽、小橋めぐみ、岸田今日子)名探偵コナン(日テレ)発掘!あるある大辞典(フジ)ロングバケーション(フジ 木村拓哉、山口智子)協奏曲(TBS 田村正和、木村拓哉、宮沢りえAge,35恋しくて(フジ 中井貴一、田中美佐子、瀬戸朝香)3番テーブルの客(フジ 西村雅彦、生瀬勝久、黒木瞳、鳥越マリ、細川俊之、岡田眞澄)ナースのお仕事(フジ 観月ありさ、松下由樹)金田一少年の事件簿(日テレ 堂本剛、ともさかりえ)

古任三郎2(フジ 田村正和、西村雅彦)みにくいアヒルの子(フジ 岸谷五朗、常盤貴子)続・星の金貨(日テレ 酒井法子、大沢たかお)ピュア(フジ 和久井映見、堤真一)おいしい関係(フジ 中山美穂唐沢寿明イグアナの娘(テレ朝 菅野美穂川島なお美草刈正雄影武者 織田信長(テレ朝 藤田まこと、名取裕子、片岡鶴太郎)銀狼怪奇ファイル(日テレ 堂本光一、宝生舞)透明人間(日テレ 香取慎吾、深津絵里)逮捕しちゃうぞ(TBS)るろうに剣心(フジ)温泉若おかみの殺人推理(テレ朝 東ちづる、岡田茉莉子



                                                   




(スポーツ)野茂投手がノーヒット・ノーラン。アトランタ五輪開催。西武の清原、FAで巨人入団。
(ファッション)ルーズソックス。だらしな系。アムラー現象(茶髪、細マユ、ミニスカ)

(流行語)「ストーカー」「イントラネット」「自分で自分をほめたい」「メークドラマ」「ジミ婚」「EQ」「チョベリバ」「援助交際」「プリクラ」「オヤジ狩り」「ロンバケ」

(社会)4/1三菱銀行と東京銀行が合併、東京三菱銀行発足。2/28ダイアナ妃、チャールズ皇太子と離婚。6/21 O-157集団食中毒。7/19アトランタ五輪開催(~8/4)10/1保険業法の改正により生保・損保の相互参入。12/17ペルー日本大使館人質事件。

(物故)岡本太郎(84歳) 横山やすし(51歳)ジーン・ケリー(83歳) 司馬遼太郎(72歳)フランキー堺(67歳) 渥美清(68歳)藤子・F・不二雄(62歳)遠藤周作(73歳)

(その他)竹内結子、フジ「新・木曜の怪談 Cyborg」でデビュー。早見優、福田富雄と結婚。渡辺美奈代、矢島昌樹と結婚。

「サクラ大戦」(セガ)ポケモン。たまごっち。松竹歌劇団(SKD)解散。羽生善治、七冠達成。三大テノール日本で共演。



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 LA・LA・LA・LOVE SONG (ロングバケーション 主題歌)









ロングバケーション


葉山南(山口智子)は、挙式当日、新郎に逃げられる。

彼女は婚礼衣装の裾をたくし上げ、白無垢姿のまま、一心不乱に街を駆け抜ける。


新郎のマンションに辿り着いた南は、そこで彼のルームメイト秀俊(木村拓哉)と出会う。


秀俊にしてみれば、ドアを開けたら白無垢姿の女性が血相を変えて立ち尽くしているのである。

「なんだよ!この女」といった心境だった。



人生途上の挫折感の中で、ふとめぐりあった男と女のラブロマンス。


落ち目のモデル、葉山南は、結婚式当日に婚約者が失踪してしまい、そのルームメイトだった
冴えないピアニスト、瀬名秀俊とやむを得ず同居することになる。


婚約破棄で自暴自棄になった南、そして若さゆえに自分の気持ちを率直に表現できずに悩む秀俊。

だが二人は、お互いの心に触れて、忘れていたピュアな気持ちを次第に取り戻してゆく。


人生最悪の時に出会った二人が過ごす時間は、穏やかなピアノの調べのようにゆったりと流れる。
それはまるで、神様のくれた長い休日…。



本作は、平均視聴率29.6%、最高視聴率は36.7%、瞬間最高視聴率43.8%を記録。

瀬名秀俊の住むマンションの屋上、葉山南がなじみのオープン・エア・カフェのロケ地が名所
となるなど「ロンバケ現象」と言われる社会現象を巻き起こした。


また、南の後輩・桃子(稲森いずみ)が連発する「チョベリバ」や「超ラブラブって感じ」
などのコギャル語も話題になった。











イグアナの娘


青島リカ(菅野美穂)は、母からの愛情を実感することなく育った少女。


母・ゆりこ(川島なお美)の目には、リカが醜いイグアナにしか見えないのだ。


やがて妹のまみ(榎本加奈子)が生まれ、母親はちゃんと人間に見える妹ばかりを
愛するようになる。


ある日、リカは「あの子はガラパゴスのイグアナなのよ」と叫ぶ母親の声を偶然聞いてしまう。

リカは、鏡に映った自分の姿がイグアナに見えるようになってしまうのだった。



原作は、萩尾望都による漫画作品。自分の正体が、ガラパゴスのイグアナだと思い込み、
絶望の気持ちで人生を送る女子高生の青春を描く。


鏡に向き合う少女と、そこに映る「セーラー服姿のイグアナ」その対比が、
母親に愛されないことの苦しみを痛切に表現し、幅広い層の支持を得た。


実写では難しいと思われる漫画の世界を、テレビドラマで違和感なく描き、
新たなドラマ領域を開拓した佳作である。

















Shall We ダンス?


中年サラリーマンの杉山(役所広司)はある日、電車の中から、ビルの窓際にたたずむ美女を見かける。

どうやら彼女は、そのビルの一角を占める社交ダンス教室の教師らしい。

杉山は、結婚して子供も生まれ、家庭も円満だし、マイホームも手に入れた。
だが仕事と家庭だけで生きている杉山の心には、いつしか空虚感が芽生えていた。


そんなおり電車から偶然見えたダンス教室の女性。
彼女の存在が気になって仕方がなかった杉山は、社交ダンスを始めることを決意する。

翌日、ダンス教室へやってきた杉山は、意を決して教室のドアを開けた…。





ほんのちょっと日常から踏み出す勇気から始まった社交ダンスの世界は、
冴えないサラリーマン杉山にとって、まるで異次元の世界だった。

圧倒されながらも、ダンス教師・舞(草刈民代)と踊る機会をうかがいながら杉山はダンスを習い始める。

やがて、少しずつ熱くなっていく自分に、杉山は生きている喜びを感じるようになっていた。


周防正行が監督。社交ダンスを通して人生を見つめ直す中年男性を描き大ヒットを記録したハートフルコメディ。


ヒロイン舞を演じた草刈民代は、日本を代表するバレリーナである。

映画では、気品が輝く立ち姿で、中年サラリーマンの役所公司がいつのまにか格好いいおじさんに
変貌していく姿と合わせ、この映画のリアリティーを高める大きな要素となっている。













家へおいでよ


寺崎悟(杉浦直樹)は、私立の女子大でフランス語を教えている教授である。

女房からは逃げられ、いまは古い洋館で孤独な一人暮らしをしている。


そんなある日、寺崎は新宿の定食屋で、27歳の女性(鈴木砂羽)と相席になる。

外は雨で、彼女はびしょぬれだった。寺崎は彼女に、車で送ってやろうと言う。

その女性はどこでもいいと答える。しいて言えば、寺崎の家へ行きたいらしい。

訳アリの孤独な身の上だと言う彼女は、洋館のひと部屋を借りることになった。



古い洋館に暮らす大学教授と、偶然下宿することになった若者たちが繰り広げる
ユーモアとペーソスあふれる群像ドラマ。


やがて、女性の友だちだというスナックで働く少女や、孤児院育ちの25歳の青年も
越してきて、寺崎の洋館は若者たちでにぎやかになるのだった。


みんなが引っ越してきた晩、洋館の庭で、にぎやかなパーティーが行われる。

同居人たちが打ち合わせをして、寺崎への感謝を込めて開いてくれたのだ。

だがこれで、寺崎の一人暮らしの孤独が癒されたかといえば、そうではなかった。


人は、大勢の中に居ても、ふと孤独感を覚えることがある。
特に性格や興味関心の点で、異質な人間たちと一緒に居る時に感じるものだ。


ひとりだと孤独だが、いっしょにいると別の形で「疎外感」が生まれてくる。
他者があってこそ、自分の居場所があると考えていた寺崎は、がくぜんとする。

結局は本人でしか解決できない「集団のなかの孤独」をテーマとした作品である。













Age,35 恋しくて


島田英志(中井貴一)は、食品会社の課長である。

妻の朱美(田中美佐子)そして二人の子供たちと、幸せな毎日を送っている。


だが、英志は、常務秘書の照井ミサ(瀬戸朝香)と密かに関係を続けていた。

奔放でストレートなミサ。

そんなミサに英志は、いつか別れねばと思いつつも、のめり込んでいた。





一方、妻の朱美は、美大時代の同級生・成瀬シン(椎名桔平)にふと再会する。

陶芸家のシンは、朱美に陶芸教室を手伝ってくれないかと依頼する。


やがて英志は、ミサとの別れを決意する。

だが、ミサに「子供ができた。産む」と宣言されるのだった…。



柴門ふみ原作の人気コミックをドラマ化。夫婦のW不倫を描いて話題を呼んだ作品。


一家四人で温かい家庭を築いていた夫は、その裏で、愛人との不倫を続けていた。
はじめは、遊びから始まった不倫だが、やがて本気になってしまう。


愛する家族のためにも、一度は愛人との決別を決意するものの、愛人の妊娠が発覚。

さらに不倫に気づいた妻までも、不倫に走ってしまうという泥沼の展開となってしまう。



本作は、W不倫を描いたドラマであるが、回を追うごとに、大人の哀愁や切なさが
加わった純愛ストーリーに転化していくという、従来とは異質の作品となっている。


登場人物たちは、互いに葛藤と苦悩を続けた結果、最終的に「自分にとっての幸せ」
を優先し、不倫ドラマには珍しい大団円を迎えることになる。


添い遂げるだけが愛の形ではない。
結婚が幸せのための選択なら、離婚も幸せのための選択ではないだろうか。


お互いの人生観が変わったり、方向性が変わると、むしろ一緒にいることよりも、
離れた方がいい場合もありえる。


本作は、新たにスタートが可能な35歳という年齢をひとつのターニングポイント
と捉え、前向きに自分らしく生きる人生の在り方を問いかける作品である。











3番テーブルの客


その男は、かつて売れない歌手だった。

今は夢をあきらめ、劇場近くの喫茶店で働いている。


しかし、諦めがつかないのだろうか、劇場の演目を常に気にしている。

今日も夜に開催されるライブの歌手をチェックしていた。


今日はビビ萩原という歌手が出るらしい。

そのとき、店に一人の女性客がやってくる。




3番テーブルに通されたその女性を見るや、男は驚く。

彼女はかつての妻であり、男を支えてくれたパートナーでもあった。




三谷幸喜の脚本を、24人の監督が演出した、同一脚本の監督競作シリーズ。


基本となる設定は、ウエイターとして働いている喫茶店に、その男の別れた妻が
客としてやってくる。


男はとっさに、ミュージシャンとして活躍していて、今夜もビビ萩原の
バックバンドとしてステージに立つ、と噓をつく。

しかし、ビビ萩原とは、その別れた妻の芸名だった。



同じ脚本でも、監督が違えば、別のドラマが出来上がる。

キャスティング、ロケ地なども毎回異なり、脚本が大幅にアレンジされた作品もある。


これまで、テレビドラマでは、脚本家の方が、演出家より注目されてきた。

それだけに、この監督をクローズアップした企画は、ドラマ愛好家の注目を集めた。











温泉若おかみの殺人推理


宇佐美夏江(東ちづる)は、飯坂温泉望雲閣の若女将。

望雲閣の一人息子・拓也(渡辺いっけい)の元に嫁いで二年になる。


姑の松代(岡田茉莉子)に毎日しごかれながらも、持ち前の明るさで楽しく暮らしている。

そんなある日、夏江の幼馴染・一ノ瀬真弓(高樹澪)が、父親と夫とともに遊びに来る。


父親の浩太郎(高松英郎)は、一ノ瀬興業の社長で、超がつく金持ちだ。

また夫の明(草川祐馬)は、浩太郎が見込んで真弓と結婚させた、一ノ瀬家の婿養子である。





再会を喜ぶ夏江だが、真弓と明の夫婦関係は、どうもうまくいっていないらしい。


翌朝、夏江は温泉駅近くで明を見かけたが、その後朝食の時間になっても明は戻ってこない。

すると、明を誘拐したといい五千万円の身代金を要求する電話がかかった。


父親の浩太郎は、要求通りに身代金を準備して、犯人の指定の場所に運んだ。

だが結局、金は奪われたうえに、神社の境内で明も死体で発見される。




90年代に肩のこらないエンタメ路線という事で、素人探偵を主人公とした作品が多く制作された。

本職がルポライター(水谷豊、片平なぎさ、沢村一樹)やタクシー運転手(渡瀬恒彦)、葬儀社の
女社長(片平なぎさ)などで、これらの作品は、いずれもヒットして長期シリーズとなった。


本作は温泉旅館の若女将が、宿泊客が絡んだ殺人事件に巻き込まれ、その謎解きをするものである。


本作の特色としては、毎回別の温泉地が舞台となり、若女将を演じる東ちづるは、それぞれ違う
温泉旅館の、違う名前の若女将を演じている。


若女将とその夫が、旅館の仕事そっちのけで謎解きをしていると、姑の大女将(岡田茉莉子)
が現れて、あまり事件に首を突っ込むなと叱ったりする。


だがその裏では、息子夫婦よりも先に事件を解決しようと、仲居頭と協力して、必死になって
推理したりしている。その姿が何とも可笑しくて笑ってしまうのである。


本作はサスペンスながら、そんなコメディタッチの雰囲気が受け、1996年から2019年まで
23年間、全27作ものロングランとなっている。
















影武者 織田信長


天正九年、織田信長(藤田まこと)は、着々と天下統一の準備を進めていた。

しかし、敵は多く、羽柴秀吉(片岡鶴太郎)は、信長に影武者を勧める。


そこで選ばれたのは、信長とうり二つの行商人・左平(藤田まこと)だった。

秀吉は、左平の母を人質にとり、左平を強引に影武者に仕立て上げる。


信長、秀吉、秀吉の妻・寧々(沢田亜矢子)そして武術を仕込む甲賀者の

黒蜘蛛(根津甚八)の四人以外には、この秘密は明かされなかった。




あるとき、織田家法要の席で、鷹狩りに出かけてしまった信長の留守の間に、

左平は信長の妻・濃姫(名取裕子)と顔を合わせることになり緊張してしまう。




1996年1月3日、テレビ朝日系列で放映された新春大型時代劇3時間スペシャル。


一介の瓜売りの男が、天下統一を目指す信長の影武者に、という奇抜な内容だが、

羽柴秀吉の「本能寺の変黒幕説」なども織り込まれた意欲作となっている。


主演の藤田まことが、信長役と心優しい瓜の行商人・左平の二役を演じている。

庶民派俳優として、人間臭い演技を得意とする藤田まことに格好の役柄と言える。


見所は、終盤の本能寺の変で、信長は影武者を置き、本能寺から脱出する手筈だった。


いち早く明智光秀の謀反を察した秀吉は、目障りな存在であった光秀を排除すべく、

光秀に信長のいる本能寺を襲わせるよう仕向けたのだった。

だがしかし、ラストは思わぬ展開に。















るろうに剣心


幕末の動乱期、倒幕派の志士・緋村剣心は「人斬り抜刀斎」と呼ばれ、

修羅の如き殺人剣を駆使する剣客として恐れられていた。


時は流れ、明治11年。剣心は、過去を悔い改め、殺人剣を捨てる。

彼は、不殺(ころさず)を誓い、穏やかな日々を送ろうと決心する。


だが彼の存在は、明治の時代になっても、強さを求める者にとって、

ひとつの目標であり、倒すべき相手として語り継がれて来た。







その「伝説の人斬り」緋村剣心が、東京の下町に現れたと知り、

腕に覚えのある者たちが次々と動き出す。


血塗られた過去を背負いながらも、殺生をしないことを誓った剣心。

次々と襲い掛かる敵を前に、誓いを守り通すことができるだろうか。




主人公は、幕末最強と謳われた「人斬り抜刀斎」こと緋村剣心。


さぞ屈強な剣豪なのだろうと思いきや、アニメ冒頭で、呑気に

登場したのは「おろ?」が口癖の、どこから見ても優男風の美剣士。


物腰も柔らかで、きわめて礼儀正しい、朗らかな好青年である。


だが「能ある鷹は爪を隠す」という。襲い掛かる悪党どもを前に、

スピード感あふれる超人的な立ち回りを披露する。


この普段の癒しキャラとの落差が、作品の魅力の一つとなっている。