ギリシア神話事典                あ行 い行  え行   お行  か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 ら行


エアEa/エンキ(Enki)
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バビロニアの水神。シュメール地方ではエンキ(Enki)と呼ばれる。
エアという名は「水の家」を意味する。

アンシャル(Anshar)とキシャル(Kishar)の息子。妻はダムキナ(Damkina)でマルドゥク(Marduk)の父。
天空神アヌ(Anu)、大気神エンリル(Enlil)とともにバビロニア・パンテオン(Babylonia・Pantheon)の三体一座をなす水神。

地底の大洋アプス(Apsu)の支配者で知恵、豊穣、医術、芸術、彫刻を司る。
そのため、大工、石工、貴金属細工師の保護神とされる。

人類の友であり、神々が大洪水を起したときは、ウトナピシュティム(Utnapishtim)に方舟を造らせて人間を救った。
聖所はエリドゥ(Eridu)にあり、魚の尾をもつやぎで象徴された男や肩から水をふき出す男、あるいは手に瓶を持つ男の姿で表現された。

(The Encyclopedia Britannica)

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エイレイテュイアEileithyia
ゼウスとヘラの娘で出産、助産の女神。古代ギリシア時代、女たちは分娩に際してこの女神の名を呼んだ。


エイレネEirene
「平和」の意。ホーラの一人。


エヴィア島(Euboia)→エウボイア島


エウボイア島Euboia
ギリシアの東方、エーゲ海西部に位置する島。クレタ島に次いで二番目に大きな島である。
島名は「牛に優れた地」の意味をもち、古くから畜産が盛ん。
また小麦、大豆、葡萄、オリーブなどを産する。この島は、もともとギリシア本土の一部であり、
地震により分裂して島になったと考えられている。
(The Encyclopedia Britannia)


円卓の騎士Knights of the Round Table
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アーサー王(King Arthur)は、ブリテンの首都キャメロット(Camelot)に居城をかまえていた。
そこでは武勲と礼儀作法が重視されていた。彼は騎士同士で上席を奪い合う争いが起こらないよう、円卓の騎士制度を設けた。

彼ら騎士たちは平等な会席者であり、名誉や義兄弟の契り、さらに弱者や教会の庇護といった騎士道の掟をなによりも遵守しながら、
それぞれが冒険を求めて旅立っていった。
そして冒険から戻ると、彼らは城に集まり、たがいの手柄話に花を咲かせたのである。

円卓は、常に12の席が存在し、アーサー王を含めて12人になるように設定されていた。
その椅子と円卓には、アーサーの師匠である魔術師マーリン(Merlin)の魔法がかかっており、
万が一円卓の誰かが死したときに、その空席を埋めるにふさわしい騎士でなければ座れない
(後継者として認められない)よう強力な呪いがかかっていたという。


円卓の騎士



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エインヘリャルEinherjar
来たるべき最終戦争ラグナロク(Ragnarok)に備え、主神オーディン(Odin)やフレイヤ(Freyja)が集めている歴戦の勇者たち。
その名前は「一人で戦う者」を意味し、戦争の中で手傷を負って死んでいったものたちによって構成されていた。
彼らの住むヴァルハラ (Valhalla)は一種の理想郷であり、当時の人々は死に際して、自らを武器で傷つけてもそこに召されることを望んでいたのだという。
Teutonic Myth&Legend (Donald A. Mackenzie)


エウテルペEuterpe
ムーサの一人で笛を司る。ストリュモン(Strymon)の河神との間にレソス(Rhesos)を産んだ。


エウノミアEunomia
「秩序」の意。ホーラの一人。


エウマイオスEumaios
オデュッセウスに仕える豚飼であり、また友人である。
オデュッセイアでは、エウマイオスはイタケに帰郷したオデュッセウスが最初に出会う人間であった。
彼は変装したオデュッセウスの正体に気付かなかったが、彼に食事と寝床を与え、温かくもてなした。
そこへテレマコスが長旅から帰ってきたが、同様に歓待した。
テレマコスも、はじめ父親の正体に気付かなかった。
オデュッセウス不在の間、エウマイオスはテレマコスの父親がわりだった。
(オデュッセイア 第16歌)


エウメニデスEumenides
ギリシア神話の復讐の女神エリニュスたちの別名。「慈愛の女神たち」の意味。
オレステス(Orestes)は、暗殺された父アガメムノンの仇を討つために実の母親クリュタイムネストラを殺害する。
同名のアイスキュロスの悲劇によれば、エリニュス(復讐の女神たち)は、母殺しのオレステスをどこまでも追いかけまわして狂気に追い込んだ。
復讐の女神たちは、アテナの司る法廷アレオパゴス(Areopagos)でオレステスが無罪放免となったため、彼をしつこく責めるのを止めるようにと説得される。
復讐の女神たちも怒りを和らげ、その後、名前もエウメニデスという名に変わったという。
(アイスキュロス Aischylos『慈愛の女神たち Eumenides』)


エウリピデスEuripides [前485頃-前406]
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ギリシアの三大悲劇詩人の一人。
ソフィストと自然哲学の影響を受け、伝統的悲劇を合理主義精神によって改革。

神話の世界を日常の世界にまで引降ろし、悲劇を人間情緒の世界と化した。
競演における優勝は前 441年以来五回 20編。

現存作品はサテュロス劇(Satyr play ディオニュソスの従者サテュロスを題材とした喜劇)一編と偽作一編とを含めて 19編。

主要作品『アルケスチス』 Alkestis (前 438上演)、『メディア』 Medeia (前 431)、『ヒッポリュトス』 Hippolytos (前 428)、
『アンドロマケ』 (Andromache)、『ヘカベ』(Hekabe)、『ヘラクレス』(Herakles)、『トロイの女たち』 Troiades (前 415)、

『救いを求める女たち』(Hiketides)、『エレクトラ』(Elektra)、『ヘレネ』 Helene (前 412) 、
『タウリスのイフィゲネイア』 (Iphigeneia he en Taurois)、『イオン』 (Ion)、『フェニキアの女たち』 (Phoinissai)、

『オレステス』 Orestes (前 408) 、『バッカスの信女』 Bakchai (前 405) 、
『アウリスのイフィゲネイア』 Iphigeneia he en Aulidi (前 405)。

(The Encyclopedia Britannica)

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エウリュビアEurybia
ガイアとポントスの娘。
クレイオス(Kreios ティタン神族)と交わり、アストライオス(Astraios)、ペルセス(Perses)、パラス(Pallas)を生んだ。


エウリュディケEurydike
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1 オルフェウスの妻。テッサリアのペネイオス河(Peneios)の谷のニンフ。(ナパイア Napaia 谷のニンフ)

美貌のニンフだったエウリュディケは天才的楽人として名高いオルフェウスと結婚してまもなく、アリスタイオス(Aristaios アポロンの子)に
凌辱を加えられそうになり、逃げる間に毒ヘビにかまれ頓死した。

オルフェウスはエウリュディケを生き返らせようとして、竪琴を持って冥界に下り、
音楽の力で死者の国を支配する非情な神々の心を動かし、いったんは地上に連れ帰る許可を与えられた。

しかし、途中で後ろを振り返ってエウリュディケの姿を見てはならないという禁止に違反したために、
地上に着く直前にエウリュディケは冥界に連れ戻されてしまったという。
( → オルフェウス)

2 テバイ王クレオンの妻。ハイモンの母。息子の死を悲しんで自殺した。
3 ミシュア王アドラストス(Adrastos)の娘。イロス(Ilos)の妻。ラオメドン(Laomedon)の母。
4 ラケダイモン(Lakedaimon ゼウスの子)とスバルテ(Sparte ナイアス Naias 水のニンフ)の娘。
5 ボイオティアのオルコメノス王(Orchomenos)クリュメノス(Klymenos)の娘。ピュロス王ネストルの妻。

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エウリュノメEurynome
オケアノスとテテュスの娘。(オケアニド Oceanid 海のニンフ)
ゼウスに愛され、カリス女神(Charis)たちの母となった。


エウロスEuros
アストライオス(Astraios ティタン神族)と曙の女神エオス(Eos)の子で「東風」の神。


エウロペEurope
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1 オケアノスとテテュスの娘。(オケアニド Oceanid 海のニンフ)。

2 フェニキアのテュロス王(Tyros)アゲノール(Agenor)とテレファッサ(Telephassa ナイル河神ニルス Nilus の娘。ナイアス Naias 水のニンフ)の娘。

エウロペに一目ぼれしたゼウスは彼女を誘惑するために、自身を白い雄牛に変える。
エウロペが侍女と花を摘んでいる時に、白い雄牛を見つけその背にまたがると、その途端白い雄牛はエウロペをクレタ島へと連れ去った。

そこでゼウスは本来の姿をあらわし、エウロペはゼウスの妃となった。
エウロペはゼウスとの間に、ミノス、ラダマンテュス(Rhadamanthys)、サルペドン(Sarpedon)をもうけた。

ゼウスがエウロペを連れ去る際にヨーロッパ中を駆け回ったため、その地域はエウロペの名前から「ヨーロッパ」 (Europa) と呼ばれるようになった。
また、この時ゼウスの変身した雄牛の姿が星となり、おうし座になったといわれる。

(アポロドロス 第三巻 1-1)(ヘロドトス Herodotos 『歴史 Historiai』 Book I Clio)

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3 ガイアの子ティテュオス(Tityos)の娘。
ポセイドンと交わり、エウフェモス(Euphemos アルゴ号遠征隊の一人)を生んだ。


エエティオンEetion
小アジア、ミュシア(Mysia)のテーベ王(Thebe)。アンドロマケ(Andromache トロイの武将ヘクトルの妻)の父。
アキレウスがミュシアを攻めた時、エエティオンは息子たちとともに殺されたが、アキレウスは彼に敬意を表し、その武器とともに手厚く葬った。
エエティオンの墓にはニンフたちが楡(にれ)の木を植えたという。
(イリアス 第六歌 416)


エオスEos
ヒュペリオン(Hyperion ティタン神族)とテイア(Theia ティタン神族)の娘。曙(あけぼの)の女神。ローマではオーロラ。
枕詞は「指は薔薇色の」。アレスと密通したことでアフロディテの怒りを買い、絶え間なく恋に身を焼くようにされた。


エキドナEchidona
クリュサオル(Chrysaor ポセイドンの子)とカリロエ(Kallirrhoe オケアニド Oceanid 海のニンフ)の娘で半身女、半身蛇の怪物。
怪物テュフォン(Typhon)との間にオルトス(Orthrus)、ケルベロス、 ヒュドラ、キマイラを産む。
眠っているところを百眼のアルゴス(Argos)に殺された。
(アポロドロス 第ニ巻 1-2)(Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology by William Smith)


エクスカリバーExcalibur
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ブリタニア王アーサー(King Arthur)が使ったとされる聖剣。妖精により特別な加護が備わっていたとされる。

その刀身はあらゆるものを切り裂く事ができたという。
また、その鞘には、持ち主の傷を癒し、不死身にする力があったとされている。

王となったアーサーは数々の武勇を重ねていくが、ある時戦いの中で自分の剣を破損してしまう。
落胆するアーサーだったが、魔術師マーリン (Merlin) に導かれてある湖へと辿り着く。

すると水中から「湖の乙女 (Lady of the Lake)」と呼ばれる妖精が現れ、見るも立派な剣を授けてくれた。
この剣こそがエクスカリバーであった。

(The Encyclopedia Mythica)


エクスカリバー


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エクレシアecclesia
古代ギリシアのポリスの市民の集会。民会と訳される。
全成年 (18歳以上) 市民男子が参加の資格をもち、その決定事項は、
行政、立法、外交など国政のあらゆる面に及び、裁判も行う場合があった。
アテネでは前5世紀のペリクレス時代にその政治的重要性は最高となり、市民はだれでも発言する権利をもち、
評議会の準備した議案を審議し、国政最高の決議機関となっていた。
(The Encyclopedia Britannica)


エーゲ海Aegean Sea
バルカン半島と小アジア半島との間の地中海の一海域。
周辺はエーゲ文明の発祥地であり、古代には、クレタ島のミノス文明とペロポネソス半島のミュケナイ文明が誕生した。
さらに時代を下ると、アテネやスパルタに代表される多くの都市国家により形成された古代ギリシア文明が生じた。
(The Encyclopedia Britannica)


エーゲ文明Aegean civilization
古代ギリシアにおける最古の文明。有名なトロイ、ミュケナイ、ミノアの三文明のほか、
さらに古い段階のキュクラデス文明などがある。
ドイツのシュリーマンのミュケナイ遺跡発掘により存在が確認された。
(The Encyclopedia Britannica)


エコーEcho
「こだま」の意。(アルセイド Alseid 森のニンフ)
おしゃべりだったためヘラの怒りを買い、他人の言葉を繰返すだけで、
自分からは何も話しかけることができないようにされてしまった。
そのためやがて美男子ナルキッソスに恋した彼女は、胸の思いを彼に何も伝えることができずに捨てられ、
悲しみのあまりやせ細って、
しまいに身体のない声だけの存在になってしまったという。
(Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology by William Smith)


エジプト文明Egyptian Civilization
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エジプトにおいて、ナイル川の定期的氾濫によって肥沃な土地という恵みを受けて形成された文明。

ハム系(Ham)のエジプト人が、メソポタミア文明の影響をうけて前8000年頃から潅漑農業による農耕文明に入り、
ノモス(Nomos)という小国家の分立を経て前3000年頃、エジプト古王国という統一国家を成立させた。

統一国家の形成はメソポタミア文明よりも早い時期であった。

古王国の時代に青銅器の使用、文字(ヒエログリフ Hieroglyph)、ピラミッドなどの特徴のあるエジプト文明が繁栄した。

エジプト王国はその後、中王国、新王国と推移し、前332年までに31の王朝が興亡した。
ここまでがエジプト古代文明と言うことができる。

この間、一時的にヒクソス(Hyksos)、アッシリア(Assyria)、ペルシアなどの異民族の支配を受けたが、
エジプト文明は維持された。

その後、前4世紀のアレクサンドロス大王(Alexandros)の支配、プトレマイオス朝(Ptolemaic Dynasty)
エジプトのギリシア系権力が成立したが、
この王朝の王はファラオ(Pharaoh)を名乗り、エジプト文明の要素を吸収して、いわゆるヘレニズム(Hellenism)文明を形成した。

しかし、プトレマイオス朝が前1世紀末にローマに滅ぼされ、エジプト文明は終わりを告げた。
その後、7世紀以降はイスラム化する。    

初期王朝時代  (前3100−2686年) 第1〜第2王朝  王権と政治体制の確立 
古王国時代  (前2686−2185年) 第3〜第6王朝  ピラミッド建造と太陽信仰 
第1中間期 (前2185−2040年)  第7〜第10王朝  国土の分裂、ピラミッドの略奪 
中王国時代  (前2040−1782年)  第11〜第12王朝  テーベ(Thebes)政権による国土再統一 
第2中間期  (前1782−1570年)  第13〜第17王朝  異民族の流入と国土の再分裂 
新王国時代  (前1570−1070年)  第18〜第20王朝  対外遠征と国土拡張 
第3中間期  (前1070−730年)  第21〜第24王朝  エジプトの分裂と小国の乱立 
末期王朝時代  (前730−332年)  第25〜31王朝  ヌビア(Nubia)独立と最後の栄光 
プトレマイオス朝時代  (前332−30年)    マケドニア人王家の支配 ギリシャ文化との融合 

世界史の窓(www.y-history.net/appendix/wh0101-030_1.html)

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エジプト神話Egyptian mythology
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創造神ラー(Ra)は何も存在しない原初の海、ヌン(Nun)から現れた。
ラーがくしやみをすると、風の神シュウ(Shu)が鼻孔から現れた。

それから唾を吐くと雨の女神テフヌト(Tefnut)が口から現れた。
ラーはふたりの神を海を渡る旅へと送り出した。

それから創造と知覚の力を使って原初の要素を生み出し、名前を呼んでそれらが現れるのを見守った。
このとき、彼は宇宙の秩序の女神マアト(Maat)も作り出した。

彼女は彼の創造に秩序をもたらす役割を負っていた。
創造の仕事をするにあたり、ラーは乾いた場所に立つ必要があった。

そこでヌンを後退させたところ、ベンペン石(Benben stone)と呼ばれる岩だらけの島または小山が現れた。
神は石の上に立ち、自分が作り出そうとしているあらゆるものを心に描いた。

彼が原初の海から地上の植物、動物、鳥を呼び出してその名を口にすると、彼らは現れた。
次にラーは彼の眼である女神ハトホル(Hathor)にシュウとテフヌトを探させた。

ふたりの神を連れて戻ってきたハトホルは、彼女に代わる眼がラーの顔についているのに気づいた。
自分の場所が奪われたことに彼女は泣き、その涙から最初の人間が生まれた。

ラーはハトホルを自分の眼窩に戻したが、今度は彼女はコブラの姿になってそこにとどまり、ラーが自分の造った世界を支配するのを助けた。
シュウとテフヌトには大地のゲブ(Geb)、空のヌト(Nut)というふたりの子供がいて、彼らは交わり、星を産んだ。

ふたりの仲に嫉妬したシュウは彼らを分かち、ヌトが月のどの日にも出産するのを禁じた。
しかしヌトは暦の神トト(Thoth)とサイコロの賭けをして5日間余分な日を勝ち取った。

これらの日に、彼女はオシリス(Osiris)、セト(Set)、ネフティス(Nephthys)、イシス(Isis)というエジプトのもっとも偉大な神々を産んだ。

Myths&Legends (Philip Wilkinson)

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エゼキエルEzekiel
旧約聖書に登場する紀元前六世紀頃のバビロン捕囚(Babylonian captivity)時代におけるユダヤ人の預言者である。
エゼキエルの生涯に関してはエゼキエル書以外に記載は無く、そのエゼキエル書も個人的な記述が非常に少ないために不明な部分が多い。
わかっているのはエゼキエルは祭司であり、父親をブジ(Buzzi)と言い、捕囚民の長老たちから相談を受ける存在であったことから、
おそらく祭司の家系であっただろうと言われていること。
そして紀元前597年の最初のバビロン捕囚において強制移送された一人であり、バビロンのカブル河(Chabur)畔のテルアビブの難民社会に住んでいたこと。
また、妻がエルサレムの陥落前夜に亡くなった事ぐらいである。
Alchemical Studies (C. G. Jung)


エッダEdda
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アイスランド古典文学の代表的な作品。韻文エッダと散文エッダがある。
韻文エッダは、9世紀から 13世紀にかけて制作された作者未詳の約 40編の物語詩で、その写本は 13世紀後半にさかのぼる。

神々、人間、巨人の世界の創世からラグナロク(Ragnarok 世界の終末)にいたる物語を含んだ神話詩と、古いゲルマン人の人生観や処世訓を反映する教訓詩と、
ジグルド (Sigurd ドイツの「ニーベルンゲンの歌 Das Nibelungenlied」のジークフリート Siegfried に相当する) の物語を主軸とする英雄詩から成る。

散文エッダはスノッリ・ストゥルルソン(Snorri Sturluson, 1178−1241年)によっておそらく 1222−1223年に書かれたもので、
スノッラ・エッダ(Snorra Edda、略記号: SnE)ともいわれる。

本来スカルド詩(Skald 古ノルド語の韻文詩)の作詩法を説明したもので、序に続いて、問答形式で神話体系を語る章、詩語についての章、および作者自身の作った
100の異なるスカルド詩形で書かれた国王賛歌から成る。

(The Encyclopedia Britannica)

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エフェソスEphesus
小アジアの西海岸に栄えた古代都市。アルテミス崇拝で知られ、古代七不思議の一つに数えられるアルテミス神殿遺跡(Temple of Artemis)がある。エペソス。
(The Encyclopedia Britannica)


エヌマ・エリシュEnuma Elish
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バビロニア・アッシリア(Babylonia and Assyria)の創世叙事詩。

7枚の書板から成り、ニネベ(Nineveh)のアッシュールバニパル(Ashurbanipal)図書館跡出土の文献のほか、アッシュール(Ashur)出土の文献、
キシュ(Kish)出土およびウルク(Uruk) 出土の新バビロニア(Neo-Babylonia)時代の文献などが残存している。

世界の初めに、淡水の神アプス(Apsu)と海水の女神ティアマット(Tiamat)の交合から神々の種族が発生したが、アプスは彼の子孫がふえるにつれて、
若い神々のたてる騒がしい物音に耐えられなくなり、彼らを滅ぼそうとはかった。

しかしこの計画を見破った知恵と魔術の神エア(Ea)はその能力を使って逆にアプスを殺し、彼に代って水の支配者となった。

ティアマットはアプスの死に復讐しようとして、キングー(Kingu)を総大将とする恐ろしい怪物の軍勢を生み出し、神々に攻撃をしかけ、一時は彼らを窮地に陥らせた。

しかし神々はこの危地を脱するため、エアの息子のマルドゥク(Marduk)を王位につけ、彼をティアマットとの戦いに向かわせたところ、
マルドゥクはみごとにティアマットを倒し、キングーと怪物たちを捕虜にして凱旋した。

そして彼はティアマットの死体を2分して、それから天地をつくり、そのあとでエアの助言に従い、捕虜にしたキングーも殺して、その血から人類をつくった。

(The Encyclopedia Britannica)

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エパフォスEpaphos
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ゼウスとイオ(ナイアス Naias 水のニンフ)の子。エジプト王。

母のイオはゼウスに愛されたことが原因でヘラの嫉妬を受け、ゼウスに雌牛の姿に変えられてエジプトに逃れ、ナイル河の河辺で元の姿に戻ってエパフォスを生んだ。

しかしヘラがクレスたち(クレテス Kuretes)に頼んでエパフォスを異国に連れ去ったため、ゼウスはクレスたちを殺し、イオはビュブロス王(Byblos)のもとに
エパフォスがいると聞いてシリア中を探し回って再会した。

その後イオはエジプトに戻り、エジプト王テレゴノス(Telegonos)と結婚した。
エパフォスは、テレゴノスのあとを継いで王となり、ナイル河神の娘メムフィス(Memphis ナイアス Naias 水のニンフ)を娶って、
彼女の名にちなんでメムフィスを創建した。

メムフィスとの間にリビュエ(Libye)、リュシアナッサ(Lysianassa)をもうけた。
娘のうちリビュエは、ポセイドンとのあいだにアゲノール(Agenor)、ベロス(Belos)、レレクス(Lelex)を儲けた。
またリュシアナッサは、ポセイドンとのあいだにブシリス(Busiris)を儲けた。

(アポロドロス 第ニ巻 1-3,1-4,5-11)

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エピゴノイEpigonoi
「後に生まれた者」の意。
テバイ攻めの七将が敗れた十年後に、七将の子供たちが復讐を誓い、再びテバイを攻めた故事において、この七将の子供たちを「エピゴノイ」と呼んだ。
エピゴノイの戦いは「テバイ攻めの七将」のときとは逆の経過をたどった。
彼らは勝利してテバイを落城させたが、かつての七将のうちただ一人生還したアルゴス王アドラストスの子アイギアレウス(Aigialeus)のみがこの戦いで死んだ。
( → テバイ攻めの七将)


エピダウロスEpidauros
ペロポネソス半島東部に位置する港湾都市。
名医アスクレピオスゆかりの聖地とされる。
アスクレピオスを祀った聖域の遺跡には、古代の劇場が美しい形で残っていることで知られ、「エピダウロスの考古遺跡」として世界遺産に登録されている。
(The Encyclopedia Britannica)


エピメテウスEpimetheus
「後から考える者」の意。イアペトス(Iapetos ティタン神族)とクリュメネ(Klymene オケアニド Oceanid 海のニンフ)の子で、プロメテウスの弟。
(アポロドロスによれば、イアペトスとアシア Asia オケアニド Oceanid 海のニンフ の子)
神々から火を盗んだ兄の所業に怒ったゼウスにより送り込まれたパンドラを、兄の忠告を無視して妻とした。
(ヘシオドス 511)


エペイオスEpeios
1 工匠。イデ山から木を切り出し、両脇に開きのついた空洞の木馬(トロイの木馬)を作った。
(アポロドロス E5-14)

2 エリス王(Elis)エンデュミオン(Endymion)とイピアナッサ(Iphianassa ナイアス Naias 水のニンフ)の子。


エペイロスEpeiros
ギリシア北西部、アドリア海に面する山岳地帯。現イピロス(Ipiros)
面積9203平方キロメートル。
「ギリシアのスイス」ともいわれる山岳地帯であり、同国でもっとも雨量が多い。
年降水量は1300ミリメートル(アテネは410ミリメートル)。
森林に恵まれ、主要河川の水源地となっている。
中世には北方よりスラブ系、アルバニア系諸民族の侵入を受けたが、1450年にオスマン帝国がこの地を征服した。1913年ギリシアに帰属。
(The Encyclopedia Britannica)


エラトErato
1 ムーサの一人で叙情詩・恋愛詩を司る。
2 ニュシアデス(Nysiades)の一人。ゼウスから赤子のデュオニュソスの養育を委託される。


エリアーデMircea Eliade  [1907−1986]
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ルーマニアの宗教学者、神話学者、小説家。
ブカレスト大学卒業後、イタリア、インドに留学、哲学、宗教学を学ぶ。

帰国後、ブカレスト大学哲学科の助教授に任命され、同時に評論家としても活躍し、幻想的小説も発表する。
第2次世界大戦中に外交官として国を出たまま、パリその他各地で研究生活をおくった。

1956年シカゴ大学教授となり、宗教研究の分野で大きな影響を残した。数十冊をこえる学術書、膨大な学術論文、数十編の中・短編小説がある。

主著『永遠回帰の神話』 Le Mythe de l'ternel retour (1949) 、
『イメージとシンボル』 Images et symboles: essai sur le symbolisme magico-religieux (1952) 、『シーャマニズム』 Shamanism (1964) 、

『聖と俗』 Le Sacr et le profane (1965)、小説『令嬢クリスティナ』 Domnisoara Cristina (1936) 、
『ムントゥリャサ通りで』 De strada Mntuleasa (1967) など。

(The Encyclopedia Britannica)

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エリクトニオスErichthonios
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アテネの伝説的王。
アテナに欲情し、凌辱しようとしたヘファイストスの精液が彼女の脚に流れたのを女神が羊毛でふき取って捨てたところ、
それによって大地が懐妊し生れた子で、上半身は人間、下半身はへびの形をしていた。
アテナはこの子をふたをした籠に入れ、当時アテネを支配していたケクロプス王(Kekrops)の三人の娘たちに、中を見ることを禁じて預けた。

しかし彼女たちは好奇心を押えられずに籠を開けて中の奇怪な嬰児を見てしまい、驚愕のあまり発狂してアクロポリスの断崖から身を投げて死んだ。

アテナの神殿で育てられたエリクトニオスは、成人するとケクロプスに譲位されてアテネの王となった。
彼は父親譲りの器用さで四頭立ての戦車を作り出し、それを御して戦場を所狭しと駆け回った。

彼は足の代わりに蛇の尾を持っていたため歩けず、またその外見が人々に恐れられていた。
しかし戦車に乗ることによってその恐ろしげな足を隠すことができたのも好都合だった。

この四頭立ての戦車を発明したという功績によって、 エリクトニオスはぎゃしゃ座として天に輝くことになったとされる。
(アポロドロス 第三巻 14-6,14-7)(Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology by William Smith)

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エリスElis
ペロポネソス半島北西部に位置する古代ギリシアの都市国家。現イリア(Ilia)。
面積2681平方キロメートル。
馬の飼育と前 776年以来エリス人が司ったオリュンピア競技で知られている。
中心市エリスは前 572年までに全地域を統合、ときにスパルタと同盟または敵対したこともあったが、
オリュンピア競技の主催者としておおむね中立を堅持し、独立を保持した。
(The Encyclopedia Britannica)


エリスEris
ニュクスの子で「争い」の女神。ペレウスとテティスの婚礼の宴席に、
ヘラ、 アテナ、アフロディテの三女神の争いのもととなった黄金のりんごを投げ入れた。
(アポロドロス E3-2)


エリニュスErinys
復讐の女神。複数形はエリニュエス。アレクト(Alekto)、ティシフォネ(Tisiphone)、メガイラ(Megaira)の三女神を指す。
クロノスが父ウラノスの陰部を切り取った際に流れた血から生まれた。
翼をもち、頭髪はへびで、炬火をもって罪人を追い、狂わせる。
また多産豊穣をもたらす者としてエウメニデス(Eumenides 慈愛の女神たち)、セムナイ(Semnai 厳かな女神たち)とも呼ばれる。
彼女らは、冥界の底であるタルタロスに住み、犠牲には黒い羊とネファリア(Nephalia 水,蜜、ミルクの混合物)が捧げられた。
なお、ローマではフリアイ(Furiae)あるいは、ディライ(Dirae)と呼ばれる。
(アイスキュロス Aischylos 『慈愛の女神たち Eumenides』)


エリュシオンElysion
古代ギリシア人が想像した楽園。
神々に特別祝福された人間たちが死後の生をおくる場所。
世界の西のはてのオケアノスの流れの岸辺にある野原で、ラダマンティス(Rhadamanthys ゼウスの子)が支配し、雪も嵐もなく、
常に西風が吹く、人間にとって最も住みよい場所であるという。
ベートーベンが第九交響曲に用いたシラーの『歓喜に寄す』にもエリュジウム(Elysium)とラテン語に由来する形で現れる。
フランス大統領官邸エリュゼ宮(Elysee)の名もこれにちなむ。
(The Encyclopedia Britannica)


エリュシクトンErysichthon
テッサリアのトリオパス王(Triopas)の子。
女神デメテルの聖森の木を、材木にするために切り倒した罰を受け、無限の飢餓に襲われ、数日にして自分の家畜を食い尽くした。
娘のムネストラ(Mnestra)は、ポセイドンに愛され、身を変ずる術を授けられていたので、姿を変えて身を売っては、父の飢餓をみたしていたが、
彼はついに我とわが身をくらって死んだという。
(オウィディウス Ovidius『変形譚 Metamorphoses』巻八)



エルフElf
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イングランド、アイスランド、スカンジナビア、ゲルマン神話に登場する妖精。

耳が長く尖っていて、若々しい外見を持ち、森や泉、井戸や地下などに住んでいる。

身のこなしは軽く、手先も器用で、弓矢を得意とし、魔術にも長けている。
エルフは、人間に対して友好的なときもあるが、悪意をぶつける場合が多い

人間の赤ん坊を盗んだり、若い男を魔法にかけて長い間、虜にしたりすることがある。
その例がリップ・ヴァン・ウィンクル(Rip Van Winkle)の物語である。

きこりのウィンクルが山中で奇妙な一団に酒をふるまわれて寝込んでしまう。
目を覚まして山を下りると、20年も経っていて、世の中がすっかり変わってしまっていたという物語。

また、急な激痛や病気などはエルフの悪戯によって引き起こされるものだとされたり、家畜の病気や悪夢も彼らが原因とされた。

イングランドでは、急な麻痺や激痛を表す「エルフの一撃」 (elf-shot) という言葉がある。

Spirits, Fairies, Gnomes, and Goblins (Carol Rose)


→ 取り替え子(Changeling)

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エレシュキガルEreshkigal
古代メソポタミア神話の冥府の女王。
夫のネルガル(Nergal)とともに死者の国を支配する。
ネルガルはもと天上に住んでいたが、あるとき彼の無礼を怒ったエレシュキガルがその引渡しを要求した。
ところが冥府に来たネルガルは、逆にエレシュキガルの髪をつかみ、その首をはねようとしたので、エレシュキガルは降参し、
彼に冥府の支配権をゆだね、自分はネルガルの妻になったという。
(The Encyclopedia Britannica) 


エレクトラElectra
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1 アガメムノンとクリュタイムネストラの娘。
母とその情夫アイギストスに殺された父の復讐のため弟オレステスを逃し、みずからはニ人に虐待されながら弟の帰国を待っていた。

やがて成長した弟が戻り復讐を成就する。
その後、復讐の女神エリニュスたちに追われる弟を守り、ピュラデス(Pylades フォキス王 Phokis ストロフィオス Strophios の子)と結婚して
メドン(Medon)とストロフィオス2(Strophios)を得た。

(エウリピデス Euripides 『エレクトラ Electra』)

2 大洋神オケアノスとテテュスの娘。
海洋神ポントスとガイアの子タウマス(Thaumas)の妻となって、虹の女神イリス(Iris)およびアエロ(Aello)
とオキュペテ(Okypete)の二人のハルピュイア(Harpyia)を生んだ。

3 アトラスとプレイオネ(大洋神オケアノスの娘)よりアルカディアのキュレネ山(Kyllene)で生まれた七人の娘(プレイアデス)の一人。
ゼウスとの間にイアシオン(Iasion)とダルダノス(Dardanos)を儲けた。

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エレクトラ・コンプレックスElectra complex
女子が父親に性愛衝動をもつと同時に母親に嫉妬と憎しみをいだきながら、これを無意識のうちに抑圧し、屈折した異性願望を形成する心的状況をいう。
アガメムノンの娘エレクトラにちなんで、ユングにより命名された。
(The Encyclopedia Britannica)


エレボスErebos
原初の闇(冥界)を表す擬人神。カオスの子。
自分の姉妹ニュクス(夜)と交わってアイテル(光)とヘメラ(昼)の父となった。


エロスEros/キューピッド(Cupid)
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男女両性を結びつける「愛」の原理として万物に先だって存在した原初神。
ヘシオドスの『神統記』では、天地生成の初めに、カオスに次ぎガイアと共に生まれたとしている。

古代ギリシアでは、力強い有翼の男性あるいは若々しい青年であったが、やがて、少年の姿でイメージされるようになった。
後に、軍神アレスと愛の女神アプロディテの子であるとされるようになった。

エロスは弓矢を持ち、金の矢で射ることによって恋情を、鉛の矢で射ることで嫌悪の情を燃立たせるという。

ある時、アポロンは、エロスが持つ小さな弓を見てからかった。

これに腹を立てたエロスは、仕返しとばかりに、アポロンの胸を金の矢で射ぬき、
たまたまアポロンの前に居たペネイオス河神の娘ダフネを鉛の矢で撃った。

アポロンはダフネへの恋慕のため、彼女を追い回すようになったが、ダフネはこれを嫌って逃れた。

しかし、いよいよアポロンに追いつめられて逃げ場がなくなったとき、ダフネは父の河神に祈った。

「男心を惑わす私の姿を変えてください 」

その瞬間、美女ダフネの腕は小枝となり、すらりと伸びた足は木の根となり、彼女は月桂樹になってしまった。
(The Encyclopedia Mythica)(オウィディウス Ovidius『変形譚 Metamorphoses』巻一)

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エムプーサEmpusa
ヘカテ女神に従う女の怪物。
いろいろな姿を取り、夜に婦人子供のところに現れて嚇し,人間を喰らい、ときに美しい女に化けて男を誘惑するが、最後にはこれを喰らうという。
(Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology by William Smith)


エンデュミオンEndymion
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アエトリオス(Aethlios ゼウスの子)とカリュケ(Kalyke アイオロス2の娘)の子。

エリス Elis (ペロポネソス Peloponnesus 半島北西部の地方。オリュンピア Olympia をはじめ多くの遺跡がある)の創建者。

イピアナッサ(Iphianassa ナイアス Naias 水のニンフ)との間に、パイオン(Paion)、エペイオス2(Epeios)、
アイトロス(Aitolos)の三男と一女エウリュキュデ(Eurykyde)を儲けた。

月の女神セレネ(Selene)に見そめられてその愛人となり、彼女のとりなしによってゼウスから永遠に若さと美しさを保ったまま眠り続けることを許された。
彼が眠る洞窟には毎夜セレネが訪れて、眠ったままの愛人と交わる。

こうしてセレネは、彼の種により 50人の娘たちを生んだといわれる。

(アポロドロス 第一巻 7-5)(Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology by William Smith)

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エンリルEnlil
前 3000年頃に栄えたバビロニアの古都ニップル(Nippur)の守護神で風の神。
天空神アヌ(Anu)、水神エア(Ea)とともに最高神に属し、大地を支配するものとみなされた。

後のアッカド王朝期(前2350ころ〜前2150ころ)に、シュメールの宗教体系がセム人に取り入れられると、エンリルは単に「主」を意味するベール(Beel)の名で
よばれるようになったが、その後バビロンのマルドゥク神(Marduk)が優位にたつまで、広くメソポタミア各地で尊崇された。
なお配偶神はニンリル(Ninlil)である。
(The Encyclopedia Britannica)





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