タイムカプセル (57) 平成23年 (2011年) タイム・カプセル
この年、3月11日午後2時46分、三陸沖の海底を震源とする東日本大震災が発生。
最大震度7の強い揺れと国内観測史上最大の津波を伴い、死者・行方不明者はあわせて1万9千人以上。
建物は全壊・半壊あわせて38万戸以上という甚大な被害となった。
また、この震災が引き金となって東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質が漏れ出すという深刻な事態となった。
(映画)第84回アカデミー「アーティスト」
「ハリー・ポッターと死の秘宝」「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」
松竹「八日目の蝉」(井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子)東映「デンデラ」(浅丘ルリ子、倍賞美津子)東宝「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(前田敦子、瀬戸康史、峯岸みなみ)
(音楽)第53回日本レコード大賞 「フライングゲット」
AKB48 「Everyday、カチューシャ」「上からマリコ」「桜の木になろう」AKB48「Lotus」 嵐 「迷宮ラブソング」「マル・マル・モリ・モリ!」
(テレビ)NHK大河ドラマ「江 ~姫たちの戦国~」(上野樹里、宮沢りえ、北大路欣也)NHK「おひさま」(井上真央、原田知世、若尾文子、樋口可南子、斉藤由貴)NHK「カーネーション」(尾野真千子、小林薫、麻生祐未、綾野剛)NHK「glee/グリー」(森川智之、日高のり子、水樹奈々)日テレ「家政婦のミタ」(松嶋菜々子、長谷川博己、相武紗季)TBS「JIN-仁-」(大沢たかお、綾瀬はるか、中谷美紀、内野聖陽)TBS「南極大陸」(木村拓哉、綾瀬はるか、堺雅人)日テレ「妖怪人間ベム」(亀梨和也、杏、鈴木福)
テレ朝「DOCTORS 最強の名医」(沢村一樹、高嶋政伸、野際陽子)フジ「謎解きはディナーのあとで」(櫻井翔、北川景子、椎名桔平)フジ「BOSS2」(天海祐希、竹野内豊、戸田恵梨香)フジ「美しい隣人」(仲間由紀恵、檀れい)日テレ「この世界の片隅に」(北川景子、小出恵介)日テレ「行列のできる法律相談所」(島田紳助)「ザ!世界仰天ニュース」(笑福亭鶴瓶、中居正広)「ぐるぐるナインティナイン」(岡村隆史、矢部浩之)「世界の果てまでイッテQ!」(内村光良)テレ東「鈴木先生」(長谷川博己、土屋太鳳)テレ東「勇者ヨシヒコと魔王の城」(山田孝之、宅麻伸、ムロツヨシ)
(流行語)「なでしこジャパン」「絆」「スマホ」「どじょう内閣」「どや顔」「帰宅難民」「風評被害」「計画停電」「ジャスミン革命」(チュニジア)「想定外」「年の差婚」
(スポーツ)日本相撲協会が八百長問題で春場所中止を決定(2.6)女子サッカーW杯・ドイツ大会で「なでしこジャパン」初優勝(7.17)内村航平、体操世界選手権で個人総合3連覇(10月)錦織圭、スイス・インドアでテニス男子世界ランキング1位のジョコビッチを破る大金星で決勝進出(11月)
(社会)チュニジア政権崩壊(1.15)、民主化運動「アラブの春」広がる。民主党小沢一郎、強制起訴に(1.31)エジプトのムバラク大統領辞任(2.12)東北新幹線「はやぶさ」デビュー(3.5)東京電力が初の計画停電を実施(3.14)アメリカ同時テロ首謀者のオサマ・ビンラディン容疑者殺害(5.2)
中国・浙江省の高速鉄道事故で40人が死亡(7.23)地上波テレビのアナログ放送終了、地上デジタル放送に移行(7.24)民主党・野田佳彦新内閣が発足(9.2)ギリシャの財政危機が欧州各国に波及、ユーロ危機が深刻化(10月)リビアのカダフィ氏死亡(10.20)北朝鮮が金正日総書記死去を発表(12.19)
(物故)山下敬二郎、喜味こいし、坂上二郎、エリザベス・テイラー、スティーブ・ジョブズ、田中好子、団鬼六、児玉清、長門裕之、宮尾すすむ、小松左京、前田武彦、竹脇無我、杉浦直樹、北杜夫、立川談志
(その他)浜崎あゆみ(32)、オーストリアの俳優マニュエル・シュワルツ(30)と結婚(1.1)板野友美(19)、シングル「Dear J」でデビュー(1.26)松山ケンイチ(26)、女優の小雪(34)と結婚(4.1)加藤茶(68)、タレントの河原綾菜(23)と45歳の年の差結婚(6.23)島田紳助が暴力団関係者との親交発覚で芸能界引退(8.23)マイクロソフトが「Windows8」を発表(9.13)小倉優子、美容師の菊池勲と結婚(10.7)TBS「水戸黄門」が視聴率低迷で42年の歴史に幕(12.19)「謎解きはディナーのあとで」(小学館)「ONE
PIECE」(集英社)
Everyday、カチューシャ(AKB48)
美味しんぼ
2014年5月19日付で、人気グルメ漫画「美味しんぼ」が連載打ち切りとなった。
打ち切りの理由は、この漫画の内容が福島の「風評被害」を広めたためという。
問題となった部分は、東京電力福島第1原発を訪問した主人公らが鼻血や倦怠感を
訴える描写があった。
また福島県双葉町の井戸川・前町長の「福島では同じ症状の人が大勢いる」
「今の福島に住んではいけない」などの発言が紹介されていた。
さらに福島大学の准教授も実名で登場し「福島を広域に除染して人が住めるように
するなんて、できないと思う」と語る場面も描かれていた。
発行元の小学館は、5月19日発売の「週刊ビッグコミックスピリッツ」にお詫びの
文章をのせ「美味しんぼ」連載の休止を発表した。
石原伸晃環境大臣は「専門家によれば、被ばくと鼻血との因果関係はないとのことだ。
漫画で風評被害を引き起こすようなことがあってはならない」とコメントした。
一方、同漫画の作者・雁屋哲氏は「鼻血については真実であり風評ではない」と反論。
漫画作品だけに、創作部分も多いかも知れない。表現の隅々にまで、被災者の心と体に
寄り添う細心の注意が必要なのは、言をまたない。その意味で、配慮に欠けた部分もある。
だが、時間をかけた取材に基づく関係者の意見や批判、主張まで「通説とは異なるから」
と否定して、封じてしまっていいのだろうかという疑問も残る。
なお「美味しんぼ」の単行本についても、最終巻「福島の真実編」(第111巻)で絶版となった。
レコード大賞
かつて歌手のレコードが売れることはテレビに出ることだった。
レコード大賞や紅白歌合戦は高視聴率を記録し、年末の風物詩として
国民的関心が寄せられる一大イベントであった。
大晦日には、一家に一台のテレビを囲んで、家族が団欒するというのが
家庭の茶の間での一般的な形態だった。
だがやがて、これらの番組の権威は、次第に凋落を迎えることになる。
1977年(昭和52年)レコード大賞は、最高視聴率50.8%を記録。
だが、近藤真彦が「愚か者」で大賞を受賞した1987年(昭和62年)以降、
レコ大の視聴率は大きく下落していく。
「愚か者」の売上枚数は18万枚、オリコンは年間35位。
近藤は大賞を受賞したものの、自身の曲は、大ヒットとは程遠いものだった。
レコ大の受賞を巡り、芸能大手のジャニーズ事務所と審査関係者との間で
買収・談合絡みの取引があったことは、誰の目から見ても明らかであった。
視聴者の不信感を招いた結果、レコード大賞の視聴率は、この年を境に
1988年に21.7%、そして2011年には14.9%にまで落ち込んでしまった。
一方、紅白歌合戦は、1972年(昭和47年)最高視聴率80.6%を記録。
当時は、レコード大賞と並ぶ、年末の国民的番組であった。
だが、出場歌手の選考基準が不透明なことから、毎回視聴者からの批判が殺到、
2011年の視聴率は、38.4%と全盛期の半分に落ち込んだ。
両番組とも、業界の利権が見え隠れする番組に成り下がってしまったのである。
カーネーション
大阪・岸和田の呉服店の長女として生まれた糸子(尾野真千子)は、だんじり祭りが大好きな少女。
夢は大工になってだんじりの屋根に乗ることだが、おてんばな糸子は厳格な父・善作(小林薫)から
怒られてばかり。
ある日、糸子は集金の使いの帰りに男の子とケンカをして集金の金をなくしてしまい、善作から
「女のくせに男と張り合うな」と殴られ、なぜ女に生まれてきたのかと落ち込む。
そんなとき祖母からドレスを贈られた糸子は大喜び、夢は洋服を作ることに大きく転換した。
大阪で洋裁店を営みながら、三人の娘を世界的なデザイナーに育てた糸子のパワフルな一生を描く。
元気一杯で豪快なタンカを切る糸子と、母親の千代(麻生祐未)や、幼馴染の奈津(栗山千明)ら
それぞれのキャラクターが視聴者に愛された。
とりわけ、綾野剛演じる妻子がいながら糸子と恋に落ちる朴訥なテーラー職人・周防龍一は
熱狂的な人気を博した。
また、老年期の糸子を夏木マリが演じている。
謎解きはディナーのあとで
宝生麗子(北川景子)は、警視庁国立署に勤務する女性刑事である。
実は彼女の正体は、世界的に有名な大財閥「宝生グループ」のお嬢様だ。
だが身分を隠して公務に汗を流すことが、彼女の生きがいとなっている。
あるとき、アパートの一室で女性が絞殺されるという事件が発生する。
死体は、鍵をかけた部屋の中で、床にうつ伏せの状態で大の字になっていた。
さらに不思議なことに、女性は、室内なのにブーツを履いたまま倒れていた。
謎の事件に遭遇した麗子は、執事の影山(櫻井翔)に事件のあらましを話す。
すると、銀縁メガネの奥の瞳を輝かせながら、影山が次のように言う。
「この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか?」
全国の書店員が売りたい本を投票で選ぶ「本屋大賞」を受賞した東川篤哉の同名小説をドラマ化。
富豪の令嬢という身分を隠して働く女性刑事と、その執事が難事件を解決するユーモアミステリー。
櫻井翔が演じる執事・影山の冴えわたる推理とともに、暴言すれすれの「毒舌」も見どころ。
また北川景子が演じるお嬢様の上司で、お坊ちゃん警部を椎名桔平がコミカルに演じている。
本作は原作の大ヒットも重なり「お嬢様の目は節穴ですか?」の流行語も生まれるなど人気を集め、
大好評につき、2013年に劇場用映画版が制作、公開された。
glee/グリー
オハイオ州マッキンリー高校のグリークラブは、かつて強豪だったが、今やすっかり衰退していた。
新米教師ウィルは、部を立て直そうと立ち上がるが、部員たちはいずれも落ちこぼれ揃い。
ウィルがあきらめかけた頃、アメフト部のクォーターバックだが、歌が上手いフィンが入部。
部の存続の条件は州大会での優勝だった。合唱部は栄光を取り戻すことができるのか?
涙あり笑いあり、負け犬たちのサクセスストーリー!
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ティナ |
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クイン |
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テリ |
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スー |
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レイチェル |
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ウィル |
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エマ |
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パック |
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カート |
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メルセデス |
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アーティ |
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フィン |
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本作は、2009年から2015年に、アメリカ「20世紀FOX」で放映されたミュージカル・ドラマ。
世界中で人気を博し、6シーズンに渡って放送された。
タイトルの「glee(グリー)」は日本で言うところの合唱だが、日本の合唱部といえば、
直立不動でコーラスしているイメージがある。
彼らのそれは、ヒットソングを踊りながら歌うので、まるでショータイムを見ているようだ。
まさに聴衆と一体となって楽しむというエンタメ大国アメリカの国民性なのかも知れない。
「そもそも合唱って何なのか」ということをよくよく考えさせられた番組だ。
鈴木先生
鈴木章(長谷川博己)は、緋桜山中学校2年A組の国語教師である。
彼は、独自の教育理論により、理想のクラスを作るべく日々奮闘している。
そんなある日、衝撃的な出来事が鈴木先生を襲う。
クラスの男子生徒が、小学4年生の少女を無理やりレイプするという事件が発生したのだ。
その日の放課後、学校へやって来た少女の母親に、担任である鈴木先生が対応する。
母親は、問題の男子生徒を非難し、また学校側の責任を追及するのだった。
平凡な教師が、学校内で起こる問題や事件を、独自の教育理論により解決していく姿を描く。
問題を起こした男子生徒は、少女をレイプしたのではなく、お互い合意の上だったと主張する。
その少女は、母親に問い詰められたため、レイプされたのだと言い訳していたのだった。
鈴木先生は「性交渉をしても良い年齢は、実年齢ではなく、精神年齢だ」とした上で、
「問い詰められて噓の言い訳をするのは、精神が未熟な証拠」と、男子生徒に告げる。
精神年齢とは、相手を理解し、自分に責任を持ち、自ら判断できる心の年齢である。
人間は、精神や肉体の性差を持つかぎりにおいて、異性に惹かれ、好意を抱くことは、
自然なことだが、実際には、法律や道徳で、性交渉を行う年齢は制限されている。
それは、精神的な自立があってこそ、社会や集団が円滑に機能するという考えからだ。
その男子生徒は「二人とも精神的に未熟だったのか」と非を認め、母親に謝罪するのだった。
鈴木先生は、金八先生のように立派な理想の教師ではない。
ごく平凡な人生を歩み、たとえば、生徒と同じ目線で会話をしたり、30代になっても
合コンで恋人探しをしたりと、相当に人間臭い教師なのである。
だが彼は、一見普通に見える生徒たちほど、心の中には鬱屈したものを抱えていると考え、
彼らの心の中を改革することにより、理想のクラスを作り上げようとしているのだ。
本作は、あからさまに踏み込んだ性の問題や、疎外される生徒の置かれた立場と苦悩、
それらの解決策を見出そうと奮闘する教師と生徒の姿を描いた学園ドラマの傑作である。