タイムカプセル (45) 平成11年 (1999年)     宇多田ヒカル    タイム・カプセル

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この年、自作の曲をR&Bテイストで歌う16歳の歌姫、宇多田ヒカルが「Automatic」でデビュー。
アルバム「First Love」が、800万枚を超えるビッグセールスを記録、前代未聞のメガヒットとなった。

ヒッキーと呼ばれる彼女は、演歌の星、藤圭子の娘。母親譲りの歌唱力とニューヨーク滞在でR&Bの感覚、
シンガーソングライターとしての才能に磨きをかけ、「時代の歌姫」に。

母、藤圭子を知る中高年世代までが、妙に納得してファンの裾野を広げ、「宇多田現象」を全国的に広げた。

(映画)第72回アカデミー賞「アメリカンビューティ

「スターウォーズ ファントム・メナス」「マトリックス

東映「鉄道員(ぽっぽや)(高倉健大竹しのぶ)東宝「のび太の結婚前夜」(大山のぶ代、小原乃梨子、野村道子、久米明)


(音楽)第41回レコード大賞「Winter, agin」(GLAY)

First Love、Automatic(宇多田ヒカル)Monochorome、Boys&Girls(浜崎あゆみ)BE WITH YOU(GLAY)フラワー(Kinki Kids)ラストチャンス(Someting Else) Loveマシーン(モーニング娘。)だんご3兄弟(速水けんたろう、茂森あゆみ)「A・RA・SHI」() energy flow(HEAVEN'S DRIVE) サマーナイトタウン(モーニング娘。) LOVE 〜Destiny〜 (浜崎あゆみ)

(テレビ)あすか(NHK 竹内結子魔女の条件(TBS 松嶋菜々子、滝沢秀明)美しい人(TBS 田村正和常盤貴子、大沢たかお)ケイゾク(TBS 中谷美紀、渡部篤郎)リップスティック(フジ 三上博史、広末涼子)古畑任三郎3(フジ 田村正和、西村雅彦)氷の世界(フジ 竹野内豊、松嶋菜々子)救命病棟24時1(フジ 江口洋介、松嶋菜々子)

3年B組金八先生5(TBS 武田鉄矢、小西美帆)Over Time-オーバー・タイム(フジ 反町隆史、江角マキコ、木村佳乃)リング最終章(フジ 柳葉敏郎、長瀬智也)サラリーマン金太郎(TBS 高橋克典、羽田美智子)君といた未来のために I'll be back(日テレ 堂本剛、遠藤久美子、仲間由紀恵)to Heart 恋して死にたい(TBS 堂本剛、深田恭子京都迷宮案内(ANB 橋爪功、野際陽子、北村総一朗)



                                  





(スポーツ)中日ドラゴンズ 11年ぶりの優勝
(ファッション)「ガングロ」「ヤマンバ」「厚底靴」

(流行語)「2000年問題」「iモード」「勝ち組負け組」「西暦2000年問題」「癒し」「カリスマ店員」


(社会)欧州連合(EU)の単一通貨「ユーロ」が11ヵ国で導入される(1.1)自民・自由党連立の小渕改造内閣が発足(1.14)金融再生委員会は大手銀行15行に7兆4,592億円の公的資金注入を正式承認(3.12)

NATO軍によるユーゴスラビア空爆(3.24)東京都知事に石原慎太郎氏初当選(4.11)全日空機乗っ取り、機長刺され死亡(7.23)ロシア軍がチェチェン共和国へ進攻(10.1)ポルトガル領マカオが中国へ返還(12.20)ロシアのエリツィン大統領が辞任(12.31)
 
(物故)芦田伸介(81歳)ジャイアント馬場(61歳)藤原弘達(77歳) 大川慶次郎(70歳)

(その他)倉木麻衣(17)「Love,Day After Tomorrow」でデビュー。杉良太郎(55)と伍代夏子(36)が結婚。江口洋介森高千里が結婚。島谷ひとみ、「大阪の女」で歌手デビュー。(ジャニーズ)」「A・RA・SHI」でデビュー。イチロー(26)と元TBSアナウンサーの福島弓子(33)が、ロサンゼルスで挙式。

「五体不満足」(乙武洋匡)「本当は恐ろしいグリム童話」(桐生操)NARUTO(少年ジャンプ)



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           First Love (魔女の条件 主題歌)




  最後のキスは タバコのflavorがした ニガくてせつない香り 
  明日の今頃には あなたはどこにいるんだろう 誰を想ってるんだろう 
  You are always gonna be my love いつか誰かとまた恋に落ちても 
  I'll remember to love You taught me how 
  You are always gonna be the one 
  今はまだ悲しいlove song 新しい歌 うたえるまで








魔女の条件


広瀬未知(松嶋菜々子)は、陵星学園高校の数学教師である。

彼女は、恋人の北井大(別所哲也)からプロポーズを受けるが、素直に喜べない自分がいた。


ある日、未知が担任するクラスに、問題児・黒澤光(滝沢秀明)が転入してくる。

彼は、母・鏡子(黒木瞳)が理事長を務める大病院の跡継ぎだった。


光は、自分を理解してくれる未知と出会ったことで、好意を寄せるようになる。

やがて二人は、教師と生徒という間柄ながら、密かに付き合い始める。




だが、次第に二人の噂が知れ渡ってしまい、未知は学校を辞めるハメになる。

そして未知は、退職の挨拶で「黒澤光を愛している」と全校生徒を前に告白する。

だが、周囲の非難・中傷は容赦がなく、二人は逃避行を決行する。



教師と教え子の禁断の愛という、不道徳ながらもどこか魅力的な題材を扱った作品。


タイトル「魔女の条件」には、魔女狩りという意味が含まれている。

女教師・未知と不良高校生・光は恋に落ち、関係を持ってしまうが、未知は「魔女狩り」の標的
の如く、周囲から非難や妨害を受け、苦しい状況に置かれることになる。


冷たい視線を投げられ、次第に孤立していく彼らの姿には、痛々しいほどのリアリティが感じられる。

やがて二人は、自分たちをがんじがらめにしていた社会一般の通念や偏見と正面から闘う道を選ぶ。


二人のセンセーショナルな恋愛描写は、大いに世間の話題を集め、平均視聴率21.5%、最終回には
29.5%いう高視聴率を記録、社会現象ともいえる衝撃作となった。



劇中に登場するミケランジェロの絵画「アダムの創造」は、神による人類創造を描いたものである。

土人形であったアダムは、神の指先に触れた瞬間、魂が込められ、意思を持つ人間となった。


だがアダムはその後、妻のイブと共に禁断の木の実を食べて、エデンの園から追放される。

楽園を追放された二人は、苦渋に満ちた荒れ野で、日々暮らすことを余儀なくされてしまう。


本作「魔女の条件」は、この楽園追放という悲劇的な運命になぞらえて描かれた作品である。

主人公の二人が、悲惨な境遇に追いつめられていくのも、周囲の非難や重圧に負けたから
ではなく「禁断の誘惑」と「自らの良心」のせめぎ合いに、打ちのめされてしまったからだ。


年齢差や、教師と生徒という壁があっても、愛を貫こうとする二人の姿は、観る者の心を打つ
のだが、道を踏み外してしまった彼ら二人の向かう先に、安住の地はなかったのである。














サラリーマン金太郎


金太郎(高橋克典)はある日、ひとりの老人(津川雅彦)を助ける。

その老人は、磯釣りの岩場で、足を骨折して動けなくなっていたのだ。


お礼がしたいと、老人は名刺を差し出した。

老人の正体は、ヤマト建設の会長・大和龍之介だった。


一度サラリーマンをやってみたいと思っていた金太郎は、
大和の一存で入社が決まった。





だが、入社したヤマト建設は、官僚から天下りしてきた横暴な
大島社長(森山周一郎)の命令が絶対というワンマン会社だった。


ある日、金太郎は、飲み会で、同僚たちからヤマト建設の現状を聞いていた。

そこで絡んできたヤクザを相手に大立ち回りを演じてしまう。


翌日、そのヤクザ達が組長を連れて会社に乗り込んでくる。

幸い、その組長が、以前の金太郎の族の後輩だったため、一応事は収まった。

が、この不祥事を幸いにと、大島社長は金太郎を首にしようとするのだが…。



本作は、本宮ひろ志の人気漫画(集英社)が原作。

元暴走族の矢島金太郎が、サラリーマンとなり、型破りな行動力で困難に立ち向かう。

好評につきシリーズ化もされたほか、劇場映画化も実現した。















科捜研の女


京都市内で骨董店を営む会社社長・瀬島が自宅で拳銃で撃たれて死亡した。


現場に急行した京都府警の刑事らは、凶器の拳銃が見つからないことから殺人事件と推定。

だが、木場警部(小林稔侍)は、長年の刑事としてのカンで、何か不自然なものを感じる。


そのとき、現場近くのゴミ置き場を漁っていた不審な女が捕まる。

証拠の品を探していたと主張するその女は、科学捜査研究所の榊マリコ(沢口靖子)だった。





彼女は、四年前に渡米し、FBIで科学捜査を学んで帰国、科捜研に着任したばかりという。

マリコは、鮮やかな推理力を発揮して、瀬島が自殺だということを見事に証明するのだった。



京都府警科学捜査研究所(通称・科捜研)の榊マリコを中心とする研究員たちが、DNA鑑定など
専門技術を武器に、事件の真相解明に挑む姿を描く。


バツイチの独身・榊マリコ(沢口靖子)は、科捜研の名物研究員である。

彼女は、アパートで一人暮らしをしているが、部屋の中には、汚れ物が山積みになっている。

料理も苦手で、卵焼きを焦がしてしまい、廊下に煙が充満するほど料理下手に拍車がかかっている。

そんな「私生活が超無能」なマリコが、難事件をサラリと解決する様子が人気の秘密なのだろう。



ドラマは、現場に残された細かい物的証拠の分析・考察よって事件解決に導く構成となっている。

たとえば、殺人現場に残された僅かな糸、土と匂いで犯人を分析したり、監視カメラの映像や
音声の解析など、毎回事件解決の為に駆使される「科学捜査」の見せ場がある。


こうした科学力で事件の真相に迫るというのがドラマのコンセプトとなっている。


また当時、科捜研という部署は、あまりよく知られていなかったが、このドラマで人気が出て、
女性職員の応募者が激増し、京都府警から、番組が表彰されるというおまけもついた。














リップスティック


有明悠(三上博史)は、東京第二少年鑑別所に勤める法務教官。

彼には画家の兄がいたが、七年前に亡くなっている。


有明は、死んだ兄の恋人・桑田千尋(麻生祐未)に思いを寄せていた。

千尋は、有明の気持ちに気づきながらも、その兄を忘れられずにいる。


ある日、傷害事件を起こした少女・早川藍(広末涼子)が収監されてくる。

彼女は、有明に心を開こうとせず、出された食事にも全く口をつけなかった。




藍は、シュウという名前の猫を飼っていた。

あるとき藍は、こっそりシュウの世話をする有明に、特別な気持ちを抱き始める。



鑑別所という閉ざされた空間の中で、一種の会話劇として物語が進行する。


「非行少女」が鑑別所にいるのは約一か月、その後は、保護観察か少年院送致かが決まる。

彼らは「相談室」で、教官たちと濃密な言葉のやり取りをしながら、信頼関係を築いていく。


だが、精神的な孤独や心の傷を抱えている彼女たちの多くは、最後まで報われない。


ある少女は、義父から性的虐待を受けていた。その義父を階段から突き落とし補導される。

だが、鑑別所から家に戻ったものの、自分の居場所がなくなったことを悟り、自殺する。


また、夫のDVによる家庭内崩壊、援助交際、未成年妊娠など、当時すでに問題となっていた
「社会的タブー」を次々と取り上げる展開は放送当時、視聴者に大きな衝撃を与えた。



本作は「永遠の愛」をテーマとした作品である。

劇中、ヒロイン・藍は、これを「永遠という名のバス」に喩えている。


教官・有明と藍の二人は、いずれ、離れ離れにならなければならない運命の中にいた。

むろん、鑑別所という特殊な環境が、二人をそうさせているのは云うまでもない。


だが、やがて朽ち果ててしまう、目に見えるこの世界に「永遠」など、本当に存在するのか。

もし、あるとすれば、モノではなく、誰かを想い続ける「ヒトの心」にあるのではないか。


運命に抗うかのごとく、どんなに遠く離れていても、人を想う‥愛する心は永遠なのだと。













美しい人


整形外科医の岬京助 (田村正和) は、大学病院を辞めて美容外科病院を開業した。


ある日、京助の前に、謎の女性・みゆき (常盤貴子) が現れる。

彼女は「整形手術で顔を変えてほしい、顔はどんな顔にしてもいい」と懇願する。


理由は、暴力を振るう夫(大沢たかお)から逃れるため顔を変えたいという。

岬は、みゆきの顔を事故で亡くした自分の妻とそっくりの顔にしてしまう。





主人公は、最愛の妻を飛行機事故で失い、残された娘と二人暮らしの美容外科医。

そこにやってきた、顔を整形して人生をやり直したいという女性。

過去を抱える男女が惹かれ合っていくサスペンスタッチのラブストーリー。



90年代、脚本の野島伸司の作品の中には、過剰に「母性」の強いヒロインが多く登場する。

そして母性本能の根底にある重要な要素は、相手の弱さに感応する「感情移入」だと野島は語る。


本作は、DVを題材にしており、大沢たかお演じるDV男がドラマのキーパーソンとして登場する。

一般にDV男は、精神的な弱さを抱えた者が多く、自分が好きなように振る舞える相手を好む。


反面、暴力を振るった後は「俺にはお前しかいない」など母性を刺激するような発言が目立つ。

そんな姿を見放しておけないという母性本能から、DVに苦しみながらも離れられなくなるのだ。



一方、田村正和演じる主人公も、亡くなった妻が忘れられないという精神的外傷を抱えていた。

外科医である彼は、DVの夫から逃れてきたヒロインに、亡き妻の顔に似せる手術をしてしまう。


彼にとって愛する妻と同じ顔を持つヒロインは、心の隙間を埋めてくれる心安らぐ存在となる。


ヒロインもまた、これまでの人生とは違う、彼との穏やかな暮らしに惹かれ始める。

だが、妻に似ているから愛されているのだろうか、その偽りの関係に心の葛藤を感じ始める。



最終回、ヒロインは、自らを愛されることよりも、これ以降は、亡き妻の身代わりとして、
主人公を支えて生きていく事を決意する。

それはまさに、庇護すべきものを前にした「母性愛」の発露と言えるものであった。














氷の世界


大手保険会社の調査部に勤める広川英器(竹野内豊)は、ある事件を担当する。

それは、女子高の女教師が自転車で帰宅途中、堤防から転落死するという事故だった。


同じ頃、警察には「女教師の死は他殺、犯人は学校内部にいる」という匿名の投書が舞い込む。

その投書の情報を得た英器は、女教師の転落死は、単なる事故ではない、と考えるようになる。


さらに調査を進めた英器は、その女教師の同僚・江木塔子(松嶋菜々子)の存在を知る。

調査によると、塔子の元婚約者・久松(及川光博)が、海で変死していたことが判明する。




それは女教師の事故死と同時期に起こっていたのだった。

英器は、事件の真相を知るため、塔子の過去を探ろうとするのだが…。



保険調査員の主人公・英器は、調査の結果、意外な真犯人に辿り着く。

真犯人は女性であり、彼女は過去に、最愛の恋人を塔子に略奪されていた。


ドラマは、最愛の恋人を寝取られてしまった女性が、その奪った相手に、
復讐を遂げていくというものである。

報復の情念によって、その女性は支配されていく。

自分は江木塔子に恋人を奪われた。同じ苦痛を塔子にも与えてやるのだと。


復讐者の女性は、塔子を直接傷つけるのではなく、彼女の恋人を殺めることで、
自らの追った過酷な精神の傷を、塔子自身に共有させようとする。


まさに陰惨さに満ち溢れた展開ではあるものの、ドラマの根底に流れるものは、
復讐に憑かれた女性が、去っていった恋人に捧げるあまりにも純粋な愛情である。


この一途な愛情の裏返しで復讐鬼と化した女性の姿に、どうしようもない哀れさと
悲しみの深さが輪郭づけられることにより、ドラマに奥行きがもたらされている。















京都迷宮案内


杉浦恭介(橋爪功)は、東京で全国紙のキャップを務めていたが、管理職に

収まるのをよしとせず、地方紙「京都日報」のヒラ記者に転身した変わり者。


彼は、京都に到着早々、占い師殺人事件に遭遇してしまう。

その現場で偶然、京都日報のメンバーは、初めて杉浦に出会う。


彼らは当初、優秀な記者を雇ったと聞いていたのだが、冴えない中年記者の

杉浦の風貌を見て、がっかりしてしまうのだった。





歴史的因縁の深い京都を舞台に、敏腕記者・杉浦恭介が謎解きに挑むミステリー。


杉浦の妻と娘は、東京に住んでおり、今は京都の下宿先で単身生活を送る身である。


一見冴えない中年記者だが、常識や既成観念に囚われず、物事の本質を見極める目を

持っており、実はデキる男という彼のキャラクターが作品の魅力となっている。


杉浦恭介の上司は、京都日報社会部のキャップを務める橘つた子(野際陽子)。

当初、杉浦の単独行動に振り回されていたが、徐々に彼の実力に気付き始める。



事件の舞台となる京都は、歴史が長い分、オカルト的な伝承も多い街。

昔から京都は、多くのミステリー小説、映画、ドラマの舞台となってきた。


本作には、観光名所ではなく、そんな古都の裏の顔を案内しようという意図が

たぶんに含まれていて、京都マニアにはたまらないドラマとなっている。


本作は、1999年から2008年まで9年間、全10シリーズに渡り放映され、

最高視聴率16.5%を記録、安定した人気を誇るロングラン番組となった。















ATM手数料


銀行の大型再編が相次ぐなか、1999年、首都圏のコンビニにATMが登場した。


ATM手数料は銀行のドル箱と言われるようになって久しいが、逆に言えば
その収益がないと銀行員の給与や膨大な設備の維持管理費が賄えない。

日本人は世界一の預金好きで、資産の多くを銀行口座に持っている。

そして現在では、ATMをもっぱら財布代わりに使っている。




その財布を開け閉めするごとに手数料が入る仕組みをつくれば、
ゼロ金利時代とはいえ、十分稼げるわけである。

その象徴がコンビニなどに置かれた提携ATMだ。


これは引き落とした預金者から手数料を徴収するだけでなく、引き落とされた銀行は
ATMを設置した銀行に手数料を支払う契約となっている。

そのため同業者間でグルグルと金が回る仕組みとなっているのだ。


今や、コンビニにATMはつきものとなっており、毎日誰も文句を言わず、
自分の金を引き出すために手数料を支払い続けている。


ちなみに、ATM手数料だけで利益を稼いでいるセブン銀行では、
純利益276億円(2020年)のうち、99%がATM手数料の収益である。

濡れ手に粟とは、きっとこういう商売のことをいうのだろう。












      アメリカン・ビューティー(AMERICAN BEAUTY)1999年(米)アカデミー最優秀作品賞

広告代理店に勤務するレスター(スペイシー)は、郊外に邸宅を構え、妻と高校生の娘と三人暮らし。

だが会社では、リストラの嵐にさらされ、家庭ではプライドの高い妻との仲は冷え切り、娘も反抗期を
迎えて、父親とほとんどしゃべろうとはしない。一見幸せに見える家庭だが内実は崩壊寸前であった。

かつてアメリカの理想の家庭像は、郊外の広い庭付き一軒家に妻や子と優雅に暮らすというものだった。
中産階級の経済力のある強い父親、優しい専業主婦の母親、そして素直な子供達と犬や猫。

しかし古き良き時代は過ぎ去り、現代のアメリカは、わずか数%の富裕層が富の大半を享受する格差社会
に変貌してしまった。映画は、上辺だけを取り繕う事で成り立っている一家庭の欺瞞、ひいてはアメリカ
社会の欺瞞を鋭く暴き出している。

(監督)サム・メンデス(SAM MENDES)(出演)ケビン・スペイシー(KEVIN SPACEY)
アネット・ベニング(ANNETTE BENING)ソーラ・バーチ(THORA BIRCH)